Trademark Appeal Case
「オーダーメイドマンション」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−8027(T2002−8027/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「オーダーメイドマンション」の文字を標準文字で表してなり、第36類に属する願書に記載の役務を指定役務として、平成12年2月28日に登録出願、その後、指定役務については、当審における平成14年8月12日付け手続補正書により、第36類「マンションの売買」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「本願指定役務との関係において、『注文によって作られたもの』を意味する『オーダーメイド』の文字と、『中高層の集合住宅』を意味する『マンション』の文字とを、『オーダーメイドマンション』と普通に用いられる方法で書してなるものである。ところで、近時の分譲型マンションの販売においては、入居者の希望する自由な設計・間取り変更等により、入居前に間取りや内装を希望にあったものに変更できるマンションや、建物の躯体のみを販売し、購入者が入居前に間仕切りや設備を自由に決められるいわゆる『スケルトン方式』を採用している例、あるいはコーポラティブ方式によるマンション建設が多数見受けられるところ、本願商標に接する取引者・需要者は、全体として『内装・間仕切り・設備等についてオーダーメイドが可能なマンション』程の意味合いを認識するに止まり、このような商標を、本願指定役務中前記意味合いに照応する役務、例えば『間取りや内装の変更が可能なマンションの売買や売買の代理又は媒介』に使用しても、単に役務の質を認識するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務について使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。なお、出願人は、本願商標が商標法第3条第2項に該当する旨主張しているが、出願人提出の資料に使用されている『オーダーメイドマンション』の文字は、その多くが本願商標を特許庁長官の指定する文字に置換して現された商標(標準文字)と構成・態様を異にしているものであるとともに、『オーダーメイドマンション』の文字が単独で使用されているものはほとんど認められず、社名と認められる文字及び他の文字とともに使用されているものがほとんどであって、各資料に示されている『オーダーメイドマンション』の文字は、自他役務を識別するための標識と認識されるというよりも、役務の質を表示したにすぎないものと理解されるにとどまるというべきであるから、上記資料によっては、本願商標が商標法第3条第2項に該当するという出願人の主張についても、認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記のとおり、「オーダーメイドマンション」の文字を書してなるものであるところ、該文字中「オーダーメイド」の文字は、「注文によって作ること。また、その品。」等の意味(広辞苑第5版)を有し、また、「マンション」の文字は、「中高層の集合住宅」等の意味(広辞苑第5版)を有する外来語としてそれぞれ一般に親しまれ、使用されている語であって、これらの語を連結したものと容易に看取させるものである。
ところで、本願指定役務「マンションの売買」との関係においては、近時の分譲型マンションの販売においては、入居者の希望する自由な設計・間取り変更等により、入居前に間取りや内装を希望にあったものに変更できるマンション等の建設がおこなわれている実状が見受けられるところである。
(2)「オーダーメイドマンション」の文字が上述した指定役務に使用されている状況は、たとえば、以下の(ア)ないし(カ)の新聞ないしインターネットによるホームページの情報等によっても窺い知ることができる。
(ア)「オーダーメードマンション間取り、内装購入者の好み 入居後改装するより割安」の見出しの下に、「新築マンションが続々と分譲されているが、間取りや床材、内装などを、購入者の希望に添って自由に変えられるマンションが相次いで登場している。東京大田区に二月に完成予定の分譲マンション『シティオ馬込』。・・・マツヤハウジングが分譲した。・・・たとえば、(1)間取りを1LDKにするか2LDKにするか(2)床は畳、カーペット、フローリング、クッションフロアシートのいずれか(3)室内の床、壁、天井、トイレ、洗面化粧台の色を何色にするかなどを購入者が選ぶ。」(1994年1月14日 読売新聞東京朝刊)。
(イ)「オーダーメードマンション急増 要望多様化で間取りや調度を相談」の見出しの下に、「部屋の間取りを自由に決められる『オーダーメードマンションが』が増えている。・・・ユニチカエステート(大阪)が今月五日に販売したマンションでは、百十一戸のうち二十二戸にオーダーメードを採用した。台所やトイレ、風呂の水回り野市以外は、部屋の間取りが自由にできる。」(1999年6月15日 読売新聞大阪朝刊)。
(ウ)「人気再燃、コーポラティブハウス組合設立し土地購入し自由度高い間取り、内装」の見出しの下に、「事前に購入者が決まっているため、モデルルームの整備など、事業費の1割近くを占める広告・販売費を抑えられ、間取りや内装を自由に設計できるのが強みだ。・・・マンションの建設ラッシュの陰で、今後もオーダーメードマンションが存在感を増しそうだ。」(2003年8月18日 毎日新聞大阪朝刊)。
(エ)フォレセーヌ株式会社のホームページにおける、オーダーメイドマンションについての紹介の欄において「通常のオーダーメイドマンションは、間取りの変更や、内装などの使用・設備を選択するというスタイルが多い中、お客様のさらなるご要望にお応えするため、私たちフォレセーヌは、『オーダーメイド』を越える『フルオーダーメイド』プロジェクトを推進して参ります。」(http://www.foretseine.co.jp/first.html)。
(オ)住宅新報社のHousingTIMESのホームページにおける、ニュースインデックス・今日のニュース(2002・5・24)の欄において「水回りも自由プラン、経堂でオーダーメードマンション リクルートコスモス
リクルートコスモスは5月25日から東京・経堂で独自の基本設計を採用したオーダーメード型マンション「コスモ経堂リベディア」(19戸)の販売を開始する。二重床・二重天井を採用、全住戸を水回りの配置も含めてフリープランにする。」(http://www.jutaku-s.com/)。
(カ)有限会社都市クリエイテイティブのホームページにおける、コーポラティブハウスについての紹介の欄において「注文住宅の打ち合わせと同じように、設計者と時間をかけて直接打ち合わせるので、設計の自由度が高く、オリジナリティーあふれる“オーダーメイド・マンション”を手に入れられます。基本的にフリー区画・フリープランで、広さも間取りも自由自在。自分のライフスタイルや好み、感性に応じた“こだわり空間”のコーディネイトが可能です。」(http://www.tc-create.com/)。
上記(1)及び(2)を総合すると、「オーダーメイドマンション」の文字からなる本願商標をその指定役務「マンションの売買」に使用する場合、これに接する取引者需要者は、該役務が内装・間仕切り・設備等についてオーダーメイドが可能なマンションの意味合いを認識するに止まり、結局、本願商標は、単に役務の質を表示したものと理解させるというべきであり、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記以外の役務に使用するときは、それが恰も「内装・間仕切り・設備等についてオーダーメイドが可能なマンション」であるかのように、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(3)なお、請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの点については争ってはおらず、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張して、原審で提出した資料9ないし12及び14を援用し、また、当審において甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む)を提出している。
そこで、請求人が提出した各資料及び甲各号証(枝番を含む)における本願商標の使用状態をみるに、ここに示されている「オーダーメイドマンション」の文字は、これが単独で使用されているものは認められず、自他商品識別標識としての機能を有する請求人の社名と認められる「野村不動産」の文字を含む他の文字とともに使用されているものがほとんどであって、各資料及び甲各号証(枝番を含む)に示されている「オーダーメイドマンション」の文字は、自他役務を識別するための標識と認識されるというよりも、役務の質を表示したにすぎないものと理解されるにとどまるというべきである。
また、前記新聞ないしインターネットによるホームページの情報等を勘案すれば、請求人のみが「オーダーメイドマンション」の文字を使用し、他人は使用していないとはいえないものである。
してみれば、提出された各資料及び甲各号証(枝番を含む)を総合して検討しても、本願商標が使用された結果、需用者が何人かの業務に係る役務であることを認識できる状態に至っていると認めることはできないものであるから、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであるとする請求人の主張は、これを採用することはできない。
(4)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとし、商標法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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