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Trademark Appeal Case

健康グッズの医療機械器具該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−30569(T2004−30569/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1.本件商標

本件登録第1771435号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和57年1月16日に登録出願され、「カタラーク」の文字を横書きしてなり、第10類「医療機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和60年5月30日に設定登録されたものである。

第2.請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「医療用機械器具」を取消す。審判費用は、被請求人の負担とする。との審決を求める。と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べている。

1.請求の理由

本件商標は、その指定商品中「第10類 医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

すなわち、本件商標は、昭和34年法の第10類「医療機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品とするものであるが、指定商品中「医療機械器具」については継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実を見出だすことができない。

因って、当該指定商品について本件商標が使用されていないことは明白であるので、請求の趣旨記載通りの審決を求めるものである。

2.弁駁の理由

被請求人が提出した答弁書に対し以下の通り弁駁する。

ー、被請求人の主張

被請求人は、本件商標は、「医療機械器具」について継続して3年以上日本国内において商標権者が使用していると主張し、使用の事実を証する資料を提出しているので、以下これを検証する。

二、使用商品について

(1)被請求人は、本件商標を使用している商品は、胸郭の骨格を安定させるためのサポーターであるとし、商品の装着方法の説明図を乙第1号証として提出している。

しかしながら、このようなサポーターは、所謂健康グッズの類であり、商品区分第10類の「医療器械器具」に属する商品ではない。

特許庁商標課編「商品および役務の区分解説[国際分類第8版対応]」によれば、第10類「医療用機械器具及び医療用品」の【解釈】において、「医療用機械器具」は「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。」と説明されている。また、「医療用の補助器具及び矯正器具」は「この概念に含まれるものは、主として医師が処置し又は医師の指導で使用される“器具器械的なもの”に限られる。」と説明されている。また、「医療用サポーター」は、例えば「へん平足用サポーター」がこの概念に属するとされている。

なお、昭和34年法第10類の「医療用機械器具」の解説においても、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。」と説明されており、「医療用の補助器具及び矯正器具」についても「この概念に含まれるものは、主として医師が処置し又は医師の指導で使用される “器具器械的なもの”に限られる。」と説明されている。

すなわち、「医療機械器具」とは、「医院又は病院で専ら使用される機械器具」であり、一般市販商品としての所謂健康グッズは「医療用機械器具」の範疇に属さないことは明白である。

所謂健康グッズと医療機械器具との弁別は薬事法上における「医療用具」に該当するか否かが参考となる。薬事法第2条第4項は、『この法律で「医療用具」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている器具器械であって、政令で定めるものをいう。』とされており、薬事法施行令第1条は、「薬事法(以下「法」という。)第2条第4項に規定する医療用具は、別表第1のとおりとする。」とし、別表第1において医療用具の内容を明らかにしている。また、厚生労働省による製造承認をうけ、都道府県の製造許可を受けたメーカーでのみ製造されるものであり、医療用具承認番号の表示義務が課せられている。第10類の「医療機械器具」に該当するか否かは結局、薬事法の規制を受ける「医療用具」に該当するか否かによって決せられるべきと解される。

(2)使用の事実を証する資料について

然るに、乙第1号証で装着法を示し、乙第2号証で商品の包装を示し、乙第3号証で取扱説明書を示している商品は、所謂健康グッズとしてのサポーターであり、医療用具としての承認も受けておらず、第10類の「医療機械器具」に該当しないことは明白である。

従って、如何に取引の事実を証したとしても、本件商標が第10類の「医療機械器具」について使用されていることの証明にはならない。

三、むすび

以上の通り、被請求人提出の証拠によっては、本件商標の使用の事実は立証されておらず、商品「医療機械器具」について本件商標が使用されていないことは明白であるから、請求の趣旨記載通りの審決を求めるものである。

第3.被請求人の主張

被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審判を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。

答弁の理由

(使用の事実について)

本件商標は、請求に係る指定商品「医療機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者が使用しているものである。以下、その使用の事実について立証する。

(1)本件商標を使用している商品

本件商標を使用している商品は、胸郭、すなわち胸部(胸骨、肋骨、胸椎)の骨格を安定させるためのサポーターである。

肩のはりは、背中の筋肉だけでなく、背中、胸全体の骨格のアンバランスが影響しているといわれている。そして、このことに注目した山田クリニック医院長の山田仁医師は、ゴムバンド健康法を提唱し、これを実践するために開発されたサポーターが本件商標を使用している商品、すなわち「医療機械器具」である。

このサポーターは、商品の装着方法の説明図(乙第1号証)に示すように、腰及び背中の部分を中心に固定するものである。そして、このサポーターを装着した状態のままで肩回し運動を行うことにより、胸郭のひずみを緩和することができるとともに、背筋を伸ばし、正しい姿勢を保持するために役立つものである。

(2)本件商標の使用の事実を証する資料

次に、本件商標の使用の事実を証する資料について説明する。

(a)本件商標が使用されている商品の包装

まず、本件商標が使用されている商品の包装を資料として添付する(乙第2号証)。

この商品の包装の前面の上部右側、両側面の中央部、上面及び下面の中央部から少し右側寄りの部分、裏面の上部中央に、本件商標である片仮名文字の「カタラーク」が商標登録表示とともに書されている。

なお、この商品の取扱説明書(乙第3号証)の上部右側にも、本件商標である片仮名文字の「カタラーク」が書されている。

(b)取引の実情を証する資料

次に、本件商標が使用されている商品「カタラーク」の取引の実情について説明する。

本件商標が使用されている商品「カタラーク」は、以下のとおりの取引がなされているものである。

イ.発注書(乙第4号証)

発注書(乙第4号証)は、ピップトウキョウ株式会社北関東センターが被請求人に対して、2004年4月8日にカタラークMサイズを30個、カタラークLサイズを60個発注し、2004年4月12日にこれらを受領したことを証明するものである。

ロ.注文書(乙第5号証)

注文書(乙第5号証)は、白十字販売株式会社が被請求人に対して、2004年4月15日にカタラークMサイズを10個、カタラークLサイズを10個発注し、これらを受領したことを証明するものである。

ハ.発注書(乙第6号証)

発注書(乙第6号証)は、森川産業株式会社埼玉チェーンセンターが被請求人に対して、カタラークMサイズ30個を発注し、2004年4月23日にこれらを受領したことを証明するものである。

ニ.売上伝票(乙第7号証)

売上伝票(乙第7号証)は、前商標権者である株式会社朝日が森川産業株式会社千葉営業所に対して、カタラークLサイズを5個、カタラークMサイズを5個、2003年10月28日に販売したことを示すものである。

なお、本件商標は、2003年7月11日に前商標権者である株式会社朝日から現商標権者である被請求人に譲渡され(乙第8号証)、2004年3月25日に移転登録がなされている(乙第9号証)。

ホ.売上伝票(乙第10号証)

売上伝票(乙第10号証)は、被請求人がピップフジモト株式会社大阪・名古屋支店に対して、カタラークLサイズを30個、カタラークMサイズを30個、2003年11月6日に販売したことを示すものである。

ヘ.売上伝票(乙第11号証)

売上伝票(乙第11号証)は、被請求人がピップトウキョウ株式会社中部センターに対して、カタラークMサイズを30個、カタラークLサイズを30個、2003年12月22日に販売したことを示すものである。

(c)商品販売証明書(乙第12号証)

商品販売証明書(乙第12号証)は、医療法人社団仁嘉会・山田クリニックにおいて、2001年6月30日から2004年6月30日までの間、本件商標が使用されている商品「カタラーク」が継続して販売されていたことを証明するものである。

(d)書籍(パソコン症候群が見る間に治せる裏技66)(乙第13号証)

株式会社主婦の友社発行の書籍「パソコン症候群が見る間に治せる裏技66」(乙第13号証)の第75頁に、本件商標が使用されている商品の包装の写真と、女性モデルがカタラークを装着している写真が掲載されている。そして、これらの写真の下には、本件商標である片仮名文字の「カタラーク」と記載されている。

この書籍は、前述した山田クリニック医院長の山田仁医師と、山田クリニックCMK治療室の橋爪起知氏、工藤幸一郎氏、池村聡文氏の共同著作によるものであり、平成14年1月1日に発行されたものである。

(e)健康商品総合カタログ(乙第14号証)

健康商品総合カタログ(乙第14号証)は、被請求人が販売店向けに作成したカタログである。

このカタログの第3頁の下部には、本件商標が使用されている商品の包装の写真が掲載されているとともに、この写真の右側には「胸郭安定サポーター・山田式 カタラーク」と本件商標が記載されている。

(3)以上のとおり、本件商標は、請求に係る商品「医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者が使用していたことは明らかであり、請求人の請求は成り立たないことは明白である。

したがって、本件審判請求は成り立たないとの審決を求めるものである。

第4.当審の判断

本件審判請求において、被請求人の提出した「商品(胸郭安定サポーター)の装着方法」(乙第1号証)、「本件商標を使用した商品パンフレット」(乙第2号証)、「商品の取り扱い説明書」(乙第3号証)、「被請求人発行の商品総合カタログ及び取引書類」(乙第3号証)等によれば、本件審判請求の予告登録(平成16年5月20日)前3年以内に、被請求人により、本件商標「カタラーク」と社会通念上同一と認められる商標が商品「胸郭安定サポーター」について使用されていることを認めることができる。

そこで、被請求人の使用に係る商品「胸郭安定サポーター」が、本件取消審判請求に係る「医療用機械器具」(医療機械器具)の範疇に属する商品であるか否かについて、当事者間に争いがあるので、以下、判断する。

(1)「医療機械器具」について

本件商標は、前述のとおり、昭和57年1月6日に登録出願、旧第10類に属する「医療機械器具」ほか商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同60年5月30日に設定登録されたものである。

そして、商品区分解説(特許庁商標課編 昭和55年3月31日改訂版)によれば、第10類「医療機械器具」の項には、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。」とし、また、その下位概念であり、省令に表示された「医療用の補助または矯正器具」については、「この概念に含まれるものは、主として医師が処置し又は医師の指導で使用される『器具器械的なもの』に限られる。しかし、医療用の『腹帯、脱腸帯』等は、この概念に属する。」と記載されている。

(2)「胸郭安定サポーター」について

そこで、本件商標の使用に係る「胸郭安定サポーター」について検討するに、乙第1号証、乙第2号証等の装着方法や取扱説明書の商品の特長等の記載よれば、該商品は、「胸郭のひずみを緩和し、安定することを目的とする矯正用のサポーター」と認められるものである。

そうすると、上記商品は前述の省令表示の「医療用の補助または矯正器具」の範疇に属する商品と判断するのが相当であり、このことは、たとえば、同概念に属する商品として、「脊椎矯正器、腹帯、弾性くつ下」等も省令表示として挙げられていることからも是認し得るものである。

してみれば、前記「胸郭安定サポーター」は、国際分類採用前のいわゆる旧分類下においては、旧第10類に属する「医療用の補助または矯正器具」の範疇に属する商品とみるのが相当である。

なお、請求人は、「医療機械器具」に属するか否かは薬事法の規制を受ける医療用具に該当するか否かにより決せられる、と主張しているが、必ずしも薬事法の規制を受ける医療用具のみに限定しなければならないとする合理的な理由も見い出し得ないから、その主張は採用できない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「医療用の補助または矯正器具(胸郭安定サポーター)」について、使用されていたものというべきである。

したがって、本件商標は、指定商品中「医療用機械器具」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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