Trademark Appeal Case
略称の品質表示性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−20980(T2000−20980/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、第24類「布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,織物製トイレットシートカバー,浴用リネン製品,ベッド用布製品,ベッドカバー,ベッドリネン,ベッド用覆い,カーテン用織物製留めひも,アイダーダウン,家庭用リネン,テーブルリネン,便座カバー」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成11年3月4日に登録出願されたものである。
指定商品については、第24類の指定商品を平成11年8月16日付、及び平成11年12月24日付の手続補正書により、「布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,羽毛布団,その他の布団,毛布,家庭用スリーピングバック,タオルケット,布団カバー,布団側,まくらカバー,敷布,ベッドカバー,ベッド用覆い,その他のベッドリネン,織物製ブラインド,カーテン,カーテン用織物製留めひも,シャワーカーテン,織物製コースター,織物製ランチョンマット,テーブル掛け,テーブルセンター,織物製トイレットシートカバー,便座カバー,浴用手袋」と補正した。
2 原審の拒絶理由
本願商標は、黒塗りのやや横長の長方形状(右辺がほんの少し内側へ湾曲している)の中に「TeX」の欧文字を白抜きで書かれたものであるが、構成中の文字部分「TeX」は「textile」の略称として「織物」「生地」等の意味合いにおいて、日常一般に採択使用されている文字である。してみれば、全体としても特異な構成とはいい難い本願商標をその指定商品中、例えば、織物製の商品などに使用しても、該商品が織物ないしは生地であるというその商品の品質を表示したものとして認識させるにとどまり、自他商品を区別する標識としては認識し得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の請求理由(要旨)
(1)本願商標の自他商品識別性について
商標法が商品の品質を表示する商標を登録しないのは、商品の品質を表示する商標を一人の者に独占させることなくその使用を取引界に広く開放するためである。この趣旨からして、独占させるべきでない商標とはその趣旨から取引者の誰もが自己の商品を販売するにあたりその品質を表示するために使用するような一般的なものである。そうであるとすれば、商品の品質の表示として一般に使用される表示ではない本願商標は商標法にいう商品の品質の表示する商標には該当しない。
後述するように、本願商標は我が国では請求人の子会社によって使用されている。この事実は当該商標が自他商品識別力を有することを裏付けるものであって、自己の商品と他人の商品とを識別させることが出来るからこそ、本願商標を実際の取引において請求人の子会社は使用しているのである。このように、本願商標が現実の取引において使用されている点からも、当該商標は商品の品質を表示するものとはなり得ない。
以上のとおり、本願商標は、商品の品質を表示するものではなく、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第3条第2項について
本願商標は我が国でも請求人の子会社によって本願の指定商品に永年に渡って使用されてきており、その結果、当該商標に接した場合には需要者が何人かの業務に係るものであると認識されるに至っている。請求人は、本願商標の使用事実を立証する証拠方法(甲第1号証)を提出する。このインボイスに述べられた商品の販売する数量からして本願商標が使用された商品が大々的に販売されていることが判る。また、その広告がマスメディアである新聞に折り込まれるチラシであるから数多くの需要者の目に触れるものであることは容易に推測できる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項によって登録されるべきものである。
(3)品質の誤認について
本願商標の指定商品はいずれも布地(すなわち生地)からなるものである。この点で本願商標はいずれの指定商品に使用されたとしても、商品の品質の誤認を生じ得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
4 当審の判断
(1)本願商標の自他商品識別性について
(ア)本願商標の構成態様
本願商標は、後掲のとおり、右辺がやや中に弓なりになる黒塗り長方形内に白抜きで表した「TeX」の欧文字との構成よりなるところ、該構成文字である「TeX」の欧文字は、その指定商品との関係よりすれば「織物・生地」又は「糸の太さの単位の一」の意味合いを容易に看取させるものといえる。また、該黒塗り長方形の図形は、右辺がやや弓なりになるとしても、これが独立して自他商品識別性を有する程のものといい難いものである。
してみると、本願商標の構成全体、すなわち「TeX」の欧文字と該黒塗り長方形とを合わせ看ても、該図形部分は背景的なもの、ないしは該文字を白抜きで表すための下地的なものとして捉えて認識するというのが相当であって、白抜きで表された「TeX」の欧文字から生じる意味合いを越えて別異な観念が生じるものということはできない。
(イ)「TeX」の認識性
本願商標の構成文字「TeX」は、「テックス」と読まれること明らかであり、そのカナ表記であると理解させる「テックス」及び欧文字綴りを同じくし同一視できる「tex」の語は、上記意味合いを理解させる語として、例えば「テックス【tex】糸の太さの単位の一。1000メートルの糸の質量をグラムで表したもの」、「テックス(textureから)・・・2.織物・生地の意。」(広辞苑 第五版)、「テックス[tex]繊維・糸の太さを表す単位の1つ.1テックスは長さ1000mで1gのものの太さ.〈現〉→デニール.★ISO(国際標準化機構)で,万国共通の番手の表し方として推奨.」、「テックス[texture]織物,生地.〈現〉★生地の名称をつくる造語成分として使われることが多い.」(国語大辞典(新装版)1989年10月30日 小学館発行)、及び「テックス(洋語 英textureから)・・・2.織物生地。布地の商標名などの一部に用いられる。」(コンサイスカタカナ辞典第2版 2000年9月10日 三省堂発行)等として掲載されており、繊維ないしアパレル業界はもとより広く一般に認識されているといえるものである。
そして、織物,生地の意味合いとして使用されている実情は、商号の英文字表記、或いはインターネット等のいわゆるドメイン名の一部に「tex」が使用されているほか、上記辞書で記述されたところの布地の商標名などの一部に用いられるものとして、例えば、次のような新聞記事報道及びインターネット上のホームページの情報等により、その一端を窺い知ることができるところである。
<新聞記事報道>
(a) 「クラレ、ワーキング・ユニホーム向けの新ストレッチ素材を発売」(1997.01.16 日刊工業新聞)の見出しの下「・・・ワーキング・ユニホーム向けの新ストレッチ素材「エステックス・プラス10=写真」を開発、・・・ポリエステル長繊維を特殊仮撚りによる糸加工と織り、染めの高次加工により伸縮性をを持たせた。・・・」の記事。
(b) 「強浮力持つ新素材 重さ130キロも水にプカリ 米・パイオ・ケミカル社開発」(1991.04.10 読売新聞東京朝刊)の見出しの下「◆救命具や水着に/・・・新素材の合繊織物「パイオテックス」を開発したと発表した。・・・パイオテックスは、ポリエチレンを素材に特殊な方法でつくった織物に含まれる無数の微小な気泡が浮力を生み出す仕組み。」の記事。
(c) 「インタビュー/ダイドーリミテッド社長・羽鳥嘉彌氏、経常益10%続けられる会社に」(1992.01.28 流通サービス新聞)の見出しの下「・・・紳士服地「ミリオンテックス」を発売。この服地で・・・」の記事。
(d) 「泉州の織物組合がファッションショー 地域ブランドをPR 【大阪】」(1993.12.01 朝日新聞大阪朝刊)の見出しの下「・・・来年に関西国際空港が開港することから「りんくう(臨空)」とテキスタイル(繊維)を合わせてつくった「リンテックス」を地域のブランドとしてPRしていく。」の記事。
(e) 「大同毛織 海外生産の動向がカギ(課題と展望)」(1986.10.01 朝日新聞東京夕刊)の見出しの下「・・・毛織物は「ミリオンテックス」をはじめとする紳士ものオーダーメード用を中心に・・・」の記事。
(f) 「紬からハイテク織物まで 200年の伝統・米沢織服地の秋冬展」(1987.12.19 読売新聞東京朝刊)の見出しの下「・・・欧米にも輸出されていて、そのときのブランドはヨネテックス。・・・」の記事。
(g) 「リコー、テキスタイルシステム発売へ。糸の立体感を表現」(1988.06.29 日刊工業新聞)の見出しの下「・・・糸の立体感を表現できるテキスタイルシステム「リコーテックス―W=写真」を八月一日から発売する。・・・」の記事。
(h) 「【テキスタイル】 独自素材で市場の変化をリード 第56回京都スコープ 「エッジ」コーナー 糸が持つ潜在力に注目 産地の個性生かして」(2004.11.08 繊研新聞)の見出しの下「・・・ソロテックスのPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維、「ソロテックス」。・・・」の記事。
(i) 「【専門商社】 提案機能に磨きかける商社OEMビジネス アパレル流通の中核に踏み込む トータルコスト削減サポート 全工程パッケージ化新ビジネスモデル確立へ」(2004.10.25 繊研新聞)の見出しの下「・・・構造発色繊維の「モルフォテックス」を使ったレディスフォーマル用素材など、・・・」の記事。
(j) 「アウター用を強化 ユニチカテキスタイル 来秋冬向け服地」(2004.10.21 繊研新聞)の見出しの下「・・・ボトム用織物を中心に人気の「ナノ・テックス」加工(撥水(はっすい)・撥油「ナノ・ペル」)のようにアウター拡大につなげる考えだ。・・・」の記事。
(k) 「ハンドメードの極意」(2003.09.16 日本繊維新聞)の見出しの下「・・・ブランド名は「TEX TEQ」(テキスタイル=生地とテクニック=技術を徹底的に極めるの意)・・・」の記事。
(l) 「出光テクノファイン、グンゼと共同開発の環境対応素材を発売。衣服内のムレ軽減」(2001.10.18 日刊工業新聞)の見出しの下「・・・環境対応素材「リペット・プロテインTEX」と「リペット・シルクウェーブ」の販売を始めたと発表した。・・・」の記事。
<ホームページ情報>
(m) 「西陣織正絹(シルク100%)列地」(http://www.segawa-tex.com/12p.html)の検索見出しの下「・・・SEGAWA−TEXへようこそ/せがわの列地・・・」の掲載。
(o) 「TEIJIN WEB SITE」(http://www.teijin.co.jp/japanese/news/2002/jbd021001.html)の検索見出しの下「・・・「2003-04秋冬+2003年春夏 テイジン素材総合展」について・・・テキスタイル総称ブランド「TEIJINTEX」のさらなる浸透を図ります。・・・」の掲載。
(p) 「定番商品−MENS」(http://www.nic.gr.jp/s-decor/picup_autumn_winter.html)の検索見出しの下「・・・定番商品の中から選りすぐりの生地をご紹介します。 価格は特に記載のないものは、シングル上下服お仕立上りの税別価格/No 6 ブランド HONEY TEX 型番 1213−886(毛96%ポリエステル4%)/No 9 ブランド CKK TEX 型番 1314−880(毛100%)/No 11 ブランド AROMATEX 型番 1410−884(毛98%ポリエステル2%)・・・」の掲載。
(q) 「紳士服ノムラブランド&インフォ」(http://www.1129nomura.co.jp/buranndo.htm)の検索見出しの下「・・・取り扱いブランド/ピエール・カルダン、アラン・ドロン、ミユキ毛織、ダイドーミリオンTEX、長大スーパーTEX・・・」の掲載。
(r) 「エイブリックNET:ジャパンゴアテックス」(http://www.ablic.net/wc-hj/HJNO09898.html)の検索見出しの下「・・・事業内容 ゴアテックス(R)(延伸多孔質ポリテトラフロロエチレン製品)を中心とする高機能ポリマー応用製品の研究開発、製造、販売、輸出入・・・ファブリクス部門では、お馴染みの「GORE-TEX」ブランドでアウターウェアやフットウェア、グローブ等を生産、販売・・・」の掲載。
(s) 「気になるお値段」(http://www.vightex.com/b/01/body.html)の検索見出しの下「・・・三星毛糸/このメーカーも大手アパレルを中心に各種DCブランド御用達の生地メーカーです。「Three Stars Tex」の名で親しまれ、バーバリーやポールスチュアートでお馴染みの三陽商会、アクアスキュータムのレナウンなどがよく使用する・・・」の掲載。
(ウ)まとめ
以上の事実を勘案すると、繊維業界ないしアパレル業界において他の文字と結合して使用されるとはいえ、「織物、生地」の意味合をもって使用される「テックス」「tex」及び「TEX」の用例からして、本願商標の「TeX」の文字は、その構成文字が該黒塗り長方形の図形とを結合してなるものであるとしても、「織物、生地」の意味合を理解させるものとみて差し支えなく、これらと同一視されるものというべきである。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その商品が織物或いは生地であるという程の意味合いを認識する場合が多いといわざるを得ないから、本願商標をその指定商品中の「織物製の商品」に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎず、繊維業界ないしアパレル業界の使用をも考慮すれば、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、指定商品中の「織物製の商品」については、商標法第3条第1項第3号に該当するものとしなければならない。
(2)商標法第3条第2項について
請求人(出願人)は、本願商標は我が国でも請求人の子会社によって本願の指定商品に永年に渡って使用されてきており、その結果、当該商標に接した場合には需要者が何人かの業務に係るものであると認識されるに至っている旨述べて、その使用事実を立証するものとして甲第1号証を提出している。
そこで、請求人(出願人)提出に係るインボイス及び広告の写し(甲第1号証)について検討すると、指定商品中の「レディース カーディガン、レディス ノースリーブ、メンズポロシャツ、パンツ」の各商品に商品名表示の上段に「TeX」の文字、及び後掲のとおりの本願商標と構成態様を同じく標章の下に「カルフールのオリジナルブランドです。」との表示をもって、本願指定商品の一部商品に使用されていることは確認し得る。
しかしながら、当該インボイスからは、本願商標の使用は確認できず、また、当該広告にあっては、その頒布地域、時期ないし期間、及び頻度等も不明というほかなく、かつ、当該標章には本願商標にはない「カルフールのオリジナルブランドです。」とする文句が添えられているものである。
そうすると、本願商標が、その指定商品、第24類「布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,羽毛布団,その他の布団,毛布,家庭用スリーピングバック,タオルケット,布団カバー,布団側,まくらカバー,敷布,ベッドカバー,ベッド用覆い,その他のベッドリネン,織物製ブラインド,カーテン,カーテン用織物製留めひも,シャワーカーテン,織物製コースター,織物製ランチョンマット,テーブル掛け,テーブルセンター,織物製トイレットシートカバー,便座カバー,浴用手袋」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に使用され、請求人の業務に係るものとして、取引者、需要者間に広く認識されるに至っているとは認められないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであるとする請求人の主張は、採用することができない。
(3)品質の誤認について
本願商標の指定商品はいずれも布地(すなわち生地)からなるものであり、この点で本願商標はいずれの指定商品に使用されたとしても、商品の品質の誤認を生じ得ない旨述べている。しかし、本願商標からは上述のとおり「織物、生地」の意味合を理解させるものであって、本願の指定商品中には、織物製でない、皮革製や毛皮製の商品、及び繊維を糸にせず織らないでつくった布状製品であるところのいわゆる、不織布製の商品等が包含されていること明らかであって、これらに本願商標を使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、指定商品中の「織物製の商品」以外の指定商品については、商標法第4条第1項第16号に該当するものとしなければならない。
(4)結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、登録をすべきものでないから、これを理由に本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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