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Trademark Appeal Case

著名商標の異業種混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年異議第90991号
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第1197291号商標の第1号防護標章の登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件商標登録第1197291号防護標章第1号標章(以下、「本件標章」という。)は、昭和45年3月23日に登録出願され、「CLARINS」の文字を横書きしてなり、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和51年4月26日に設定登録された登録第1197291号商標を原登録商標として平成4年9月25日に登録出願され、第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,美容・理容,入浴施設の提供,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,マッサージ」を指定役務として、平成9年12月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、その指定商品中「化粧品」について広く使用されているとしても、化粧品は、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことを目的として、身体塗擦、散布等の方法で使用するものである。一方、本件防護標章の指定役務中「宿泊施設の提供」は、ホテル、旅館等の宿泊施設を利用させる役務であり、又、「飲食物の提供」は、食堂、レストラン等が料理及び飲料を飲食させる役務である。従って、「化粧品」と「宿泊施設の提供、飲食物の提供」とは上記のとおり、取引形態が全く相違し関連がない。しかも、商標権者の業務内容は、化粧品の製造及び販売であって、あらゆる生産部門に経営の手を延ばしている企業ではないことは、日本経済新聞社発行の日経在日外資系企業年鑑には、商標権者の紹介はなく、更に商標調査会発行の日本商標名鑑97にも、基本商標の紹介記事がない。従って、これら事実に鑑みて、他人が、基本登録商標を「宿泊施設の提供及び飲食物の提供」の役務について使用しても、決して出所の混同を生ずるおそれはないものであり、本件防護標章は、商標法第64条第1項に違反して登録されたものである。従って、商標法第68条第4項により準用する商標法第43条の2第1号により、「宿泊施設の提供、飲食物の提供」の役務に関する権利は取り消されるべきものである。

3 取消通知の理由

本件防護標章は、「CLARINS」の欧文字を横書きしてなり、第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,美容・理容,入浴施設の提供,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,マッサージ」を指定役務として、平成9年12月5日に設定登録されたものである。

本件防護標章の基本登録商標の指定商品は、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」とするものであって、本件防護標章の指定役務中「宿泊施設の提供,飲食物の提供」とは、業種、取引形態等が全く相違し関連がないといえるものであり、かつ、本件防護標章の基本登録商標は、他人がこれをその指定役務中「宿泊施設の提供,飲食物の提供」に使用しても出所の混同を生ずるおそれがある程度に需要者の間に広く認識されているものとも認められない。したがって、本件防護標章の指定役務中上記役務については商標法第64条第1項に違反して登録されたものと認める。

4 商標権者の意見

化粧品会社が「ホテル」「レストラン」等を経営している業界の多角化は、中央物産株式会社が「ホテル(ホテルプレジデント)」を経営、株式会社資生堂が「レストラン、(現資生堂パーラー)」を経営している事実、化粧品等の商標として著名な「シャネル」が「スナック」、同じく「ニナ・リッチ」が「喫茶店」、同じく「ダンヒル」が「パブレストラン」の店名にそれぞれの著名商標が他人により使用されことに対する裁判事件において取引者、需要者が契約上、組織上、財政上等何らかの関係が存するのではないかと誤認、混同を生ずるおそれがあると判断されたことからも、化粧品の商標として著名な原登録商標が「宿泊施設の提供,飲食物の提供」の役務に使用された場合、取引者、需要者の間に商標権者又は商標権者と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件防護標章第1号に係る「CLARINS」は、その指定役務中の「宿泊施設の提供,飲食物の提供」の役務について、商標法第64条第1項に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断

本件防護標章は、「CLARINS」の文字よりなり、原登録商標に係る指定商品は第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として設定の登録がなされたものである。

商標権者の提出に係る証拠を徴するに、商標権者は、1954年「エステティックサロン」の経営からはじまり、サロンにおいて使用するマッサージ用オイルを一般に販売したところこれが大ヒットし、その後発表するスキンケア製品が次々と美容賞を受賞し、フランスのスキンケアメーカーの先駆者という地位を不動のものとしたという評価を受けていることが認められる。

そして、商標権者は、「CLARINS」商標を1968年(昭和43年)以来フランス国始め世界各国で「化粧品」「美容マッサージ器」等に使用し、また、1976年には「クラランス ビューティ スクール」を創立しているものであり、日本においては、日本法人であるクラランス株式会社が昭和61年3月から「化粧品」、「ボディマッサージ器」に「CLARINS」(「クラランス」)商標を使用しているものであることが認められる。

原登録商標「CLARINS」は、化粧品、美容マッサージ器について使用され、女性雑誌にて広告・宣伝をするとともに、西武(池袋、渋谷)高島屋(日本橋、横浜、京都、大阪)、大丸(心斎橋、神戸、博多)、阪急(梅田)、三越(日本橋、銀座、名古屋、札幌)、松屋(銀座)伊勢丹、そごう、東武(池袋)、近鉄、名鉄等の百貨店限定販売を行い、外国の百貨店ブランドとしては、「4C=(クリニーク、シャネル、クラランス、C・ディオール,2L=エスティ ローダー、ランコム)と称され、平成5年末にはシャネルと3位争いを演じる「クラランス」と称されるほどに急伸長し、「CLARINS」商標は、商標権者の商号の略称であるとともに、代表的出所標識としてのいわゆるハウスマークとして使用してきた結果、取引者・需要者の間に広く認識されているものであることが認められる。

そして、「CLARINS」(クラランス)なる語は、人名に由来するとしても、一般に特定の意味を有するものとして知られ親しまれたものとは認められない一種の造語というべきものであり、また、商標権者は、エステティックサロン、ビューティスクールを経営しているものであることも認められ、近時の美容は医学に近い分野の業界となってきているところから、宿泊施設及び飲食物の提供をともなって利用者にあった美容の講習、スキンケア、エステ等を行う者も存するところである。

してみれば、「化粧品」等の商標として取引者、需要者の間に広く認識されている「CLARINS」商標をその指定役務中の「宿泊施設の提供,飲食物の提供」の役務について使用した場合、商標権者又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって、本件防護標章は、商標法第64条第1項に違反して登録されたものでない。

よって、結論のとおり決定する。

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