Trademark Appeal Case
著名略称と商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90181(T2002−90181/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4530190号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成12年10月24日に登録出願され、第9類「理化学機械器具,測定機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、平成13年12月21日に設定登録されたものである。
2 本件商標に対する取消理由
登録異議申立人レーザーテック株式会社(以下「申立人」という。)の引用する登録第4118432号商標は、「レーザーテック」の文字を横書きしてなり、昭和63年3月31日に登録出願され、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、平成10年2月27日に設定登録がされたものである。同じく、登録第4521762号商標は、「LASER TECH」の文字を横書きしてなり、平成12年10月5日に登録出願され、第9類「光学機械器具,スキーゴーグル,サングラス,普通眼鏡,防じん眼鏡,眼鏡の部品及び附属品,スイミングゴーグル,保安用ヘルメット」を指定商品として、平成13年11月16日に設定登録がされたものであるが、その後、本権の分割移転により、その指定商品は、登録第4521762号の1商標が「光学機械器具,スキーゴーグル,サングラス,普通眼鏡,防じん眼鏡,眼鏡の部品及び附属品,スイミングゴーグル,保安用ヘルメット但し、光学機械器具を除く」、登録第4521762号の2商標が「光学機械器具」として、それぞれ平成14年8月28日にその登録がされたものである(以下これらを合わせて「引用商標」という。)。しかして、本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであって、その構成中の文字部分に相応して、「レーザーテック」の称呼を生ずるものと認められ、他方、引用商標は、その構成文字に相応して、「レーザーテック」の称呼を生ずるものと認められる。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「レーザーテック」の称呼を同じくする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,保安用ヘルメット,磁心,抵抗線,電極」と引用商標の指定商品とは、同一又は類似する商品と認められる。
また、申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、「レーザーテック」は、申立人の名称の略称として、本件商標の登録出願前に取引者・需要者の間において広く認識されていたことが認められる。してみれば、本件商標は、申立人の名称の著名な略称よりなるものと認めざるを得ず、しかも、商標権者は、本件商標の登録を受けるについて、申立人の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第11号に違反して登録されたものである。
3 商標権者の意見
(1)商標登録異議意見書と同時に提出の商標権の一部抹消登録申請書で、本件商標の指定商品の一部を放棄した結果、本件商標の指定商品は「測定機械器具及びその部品」となったから、本件商標と引用商標とは指定商品において同一又は類似しないものとなった。したがって、本件商標は、商標法4条第1項第11号に該当するとの取消理由は解消された。
(2)申立人が提出した著名性を裏付ける証拠は、欠陥検査装置に関する証拠と、レーザ顕微鏡に関する証拠が殆どすべてである。これらの商品は、測定機械器具に該当するものではなく、光学機械器具に該当するものである。また、測定装置に関する記事が記載された証拠は、甲第30号証ないし甲第32号証の3件である。この程度の証拠をもって、需要者の間において広く認識されたものと認定することは妥当でなく、測定機械器具について、「レーザーテック」が申立人の著名な略称であるとするには無理がある。
また、仮にそうであったとしても、本件商標は、欧文字で「LASER/TECH」と書されているところ、申立人の名称は片仮名により「レーザーテック」と表示されており、異なる商標である。一方、商標法第4条第1項第8号には、著名な他人の略称に類似する商標が該当する旨は規定されていない。そして、「LASER」と「TECH」の間に赤線が介在する本件商標の全体構成を見れば、本件商標から申立人との同一性を推し量ることは困難であり、本件商標をもって、申立人の人格権を損なうということはできない。
したがって、本件商標が他人(申立人)の著名な略称を含む商標であるとはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4 当審の判断
本件商標が引用商標と商標において類似し、指定商品もその一部において同一又は類似するものであることは、商標権者も明らかに争わないところであって、本件商標について商標法第4条第1項第11号に該当するとの理由で指定商品中の「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,保安用ヘルメット,磁心,抵抗線,電極」の登録を取り消すべきものとした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
商標権者は、本件商標については商標権の一部抹消の登録を理由にその取消理由が解消する旨の意見を述べているが、商標登録が商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるか否かは、当該商標の登録査定時を基準に判断すべきところであり、他方、商標権の権利放棄の効果は、当該放棄に係る登録以後において発生するものであって、放棄の登録前にまでその効果が遡及するものと解すべきではないから、本件商標の登録後になされた商標権の一部放棄の事実は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした先の取消理由の認定判断に何ら影響を及ぼすものとは認められず、商標権者のかかる主張は採用できない。
また、申立人が提出した甲第4号証ないし甲第68号証、甲第71号証及び甲第72号証を総合すると、申立人は、昭和35年7月に創業(神奈川県横浜市)の後、昭和61年(1986年)にレーザーテック株式会社に社名を変更し、また、同年には米国法人レーザーテック・ユー・エス・エー・インクを設立している。そして、同社は、創業以来、IC、LSI(大規模集積回路)の生産効率化に欠かせないフォトマスク欠陥検査装置をはじめ、LSIレチクル欠陥検査装置、カラーレーザー顕微鏡、非接触表面測定装置等を開発、販売し、なかでもフォトマスク欠陥検査装置は、わが国市場の90%、米国でも40%以上を占める世界的なハイテク企業であることを認めることができる。
商標権者は、申立人が提出した測定装置に関する記事が掲載された証拠は、甲第30号証ないし甲第32号証の3件であることをもって、測定機械器具について「レーザーテック」の文字が申立人の著名な略称であるとするには無理がある旨主張するが、同甲各号証によれば、申立人の開発、販売に係る非接触表面測定装置は、同社のレーザー顕微鏡、カラー顕微鏡に取り付けて使用するものであることからみて、これら商品は互いに極めて関連が深く、その取引者、需要者を共通にしているものということができるから、「レーザーテック」の名称の著名性は測定機械器具の分野にも及んでいるというべきである。
そうすると、少なくとも、検査用、測定用の機械器具を含む半導体製造業に関係する商品の分野においては、「レーザーテック」の文字は、申立人がその取り扱いに係る商品について継続して使用した結果、本件商標の登録出願時の平成12年の前より取引者、需要者間において広く知られていたものと認め得るところであり、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたということができる。
さらに、被請求人は、本件商標は、欧文字で「LASER/TECH」と書されているから、片仮名で「レーザーテック」と表示されている申立人の名称とは異なる商標であり、そして、商標法第4条第1項第8号には著名な他人の略称に類似する商標が該当する旨は規定されていないから、本件商標と申立人との同一性を推し量ることは困難であり、本件商標をもって、申立人の人格権を損なうとはいえない旨、主張している。
しかしながら、本件商標より生ずる称呼は「レーザーテック」以外になく、本件商標は、かかる片仮名表記に相応する「LASER」と「TECH」の欧文字を赤色に着色した図形中の横線の上段と下段に外観上まとまりよく配してなるものであるから、少なくとも、上記と同様の商品(検査用、測定用の機械器具を含む半導体製造業に関係する商品)の分野においては、本件商標より生ずる「レーザーテック」の称呼において、申立人が直ちに認識されるものであって、本件商標は、申立人の著名な略称を表すものといわざるを得ない。
しかして、商標権者は、本件商標の登録を受けるについて、申立人の承諾を得ているものとは認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第11号に違反して登録されたものであるとする上記の取消理由は妥当なものと認められるから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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