結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2004−90271(T2004−90271/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4746888号商標(以下「本件商標」という。)は、「シンバイオティクス」「SYMBIOTICS」の各文字を上下二段に書してなり、平成13年3月6日に登録出願、第1類「化学品」、第29類「ビタミン・カルシウム等を主原料とする錠剤・粉末・顆粒及び液状の加工食品」、第30類「コーヒー及びココア,茶,菓子及びパン」、第32類「清涼飲料,果実飲料」及び第35類「広告」を指定商品・役務として、平成16年2月13日に設定登録されたものである。
これに対し、本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の取消理由を要旨次のように主張している。
本件商標を構成する「シンバイオティクス/SYMBIOTICS」の文字は、ビフィズス菌、乳酸菌等の腸内有益菌である「プロバイオテイクス/Probiotics」と、当該有益菌の増殖因子となり得る各種オリゴ糖である「プレバイオテイクス/prebiotics」とを含む微生物や物質に通ずるものである。
そして、「シンバイオティクス」と称される微生物や物質は、人の腸内における有益細菌の生育を促進させることによる整腸作用その他の具体的効能を有するものとして、食品に添加されることが少なくない。
したがって、本件商標をその指定商品中のシンバイオティクスを応用した食品や、たとえばこれに好適に利用される食品添加剤等に使用した場合には、これに接する者に、当該商品の品質を理解させるとどまり、他方、これを前記商品以外の商品に使用した場合には、当該商品の品質につき誤認を生じさせるおそれがある。
一方、本件商標をその指定役務中のシンバイオティクス商品の広告又はその代理について使用した場合には、これに接する者に、当該役務の質又は用途を理解させるにとどまり、他方これを前記役務以外の役務に使用した場合には、当該役務の質につき誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号の規定に該当するものである。
当合議体における平成17年1月25日付け取消理由の要旨は、下記のとおりである。
記
(1)本件商標は、上記「第1」のとおりである。
(2)申立人の提出に係る各甲号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)(株)健康産業新聞社1999年2月1日発行「食品と開発」VOL.34 ’99−NO.2(甲第1号証の1)中の「プロバイオティクス、プレバイオティクスと乳酸菌の利用」と題する論文において、「プロバイオティクス(probiotics)とプレバイオティクス(prebiotics)の研究は、この腸内フローラを中心とする....。プロバイオティクスもプレバイオティクスも、さらに両者を併用するシンバイオティクス(synbiotics)もその根底にある思想は宿主の腸内フローラを制御して健康に寄与させることにある。」、「さらに、Gibsonはプロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせたものをシンバイオティクス(synbiotics)の用語で提案している。」等と解説されている。
(イ)「独立行政法人農業技術研究機構 動物衛生研究所九州支所」のインターネットホームページ(甲第1号証の2)には、「正菌剤(プロバイオティクス)」の項において「2.プレバイオティクス、シンバイオティクスとは」として「プレバイオティクス(Prebiotics):prebioticsとなりうる有用菌の腸内増殖促進物質(オリゴ糖などの難消化性糖類)」、「シンバイオティクス(Synbiotics):probioticsとprebioticsを含む添加物」と解説されている。
(ウ)「プリマハム株式会社」のインターネットホームページ(甲第1号証の3)には、「プロバイオティック乳酸菌」の表題下に、「1.プロバイオティック乳酸菌とは 人の消化管内の常在菌叢を改善し、人の健康に役立つ有用乳酸菌を総称して、プロバイオティック乳酸菌(Probiotics Lactic Acid Bacteria)と呼んでいます。」と解説され、プロバイオティック乳酸菌による発酵食肉製品として同社の商品が紹介されている。
(エ)「株式会社ヤクルト本社」のインターネットホームページ(甲第1号証の4)には、「プロバイオティクスの定義」の項に「プロバイオティクス(probiotics)は抗生物質(antibiotics)に対比される言葉で、生物間の共生関係(probiosis)を意味する生態学的用語を起源としています。プロバイオティクスとは、『腸内フローラのバランスを改善することにより、宿主(人など)に有益な作用をもたらす生きた微生物』と定義されます。」、「プロバイオティクスの代表菌株」の項に「プロバイオティクスとは、”腸内フローラのバランスを改善することにより、宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物”。ヤクルト菌とビフィズス菌ヤクルト株は、プロバイオティクスを代表する菌株です。」と解説されている。
(オ)(株)クバプロ内「微生物はなぜ病気を起こすか」事務局制作「第18回『大学と科学』公開シンポジウム予稿集中の「プロバイオティクスへの応用」と題する論文において「『プロバイオティクス(probiotics:共生物質、生菌製品)』とは『摂取することによって、腸内菌叢のバランスを改善し、宿主の健康にとって有益な影響を与える微生物』のことです。よく似た言葉に、『プレバイオティクス(prebiotics)』 がありますが、これは『特定の腸管内細菌の増殖と代謝活性を選択的に促進し、健康の維持増進に有効な物質(食品)』を意味しています。....また、『シンバイオティクス』とは、プロバイオティクスとプレバイオティクスとが協調して働いている場合に使われています。」と解説されている。
(カ)「生存環境科学研究所」のインターネットホームページ(甲第4号証の1)には、「シンバイオティクスから生まれたIgY含有たまご使用」として商品を紹介する頁において、「シンバイオティクス(synbiotics)とは、アンチバイオティクス(antibiotics:抗生物質)のような消化管内の生態系全体に影響を与えるものではなく、有用な微生物との共生(symbiosis)を目指して開発された食品です。」と説明されている。
(キ)インターネット上の「ヘルシストニュース」と題する記事(甲第13号証)において、プロバイオティクス利用食品として開発が可能な発酵食品として「ヨーグルト、乳酸菌飲料、ケフィア、チーズ、発酵豆乳、糸引き納豆、味噌、発酵オーツミル、ドライソーセージ、発酵漬物、塩辛、発酵マヨネーズ」が掲げられている。その他、各企業のホームページにおいて、プロバイオティクス、乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖等を配合したいわゆる健康食品やコーヒー等の飲料等が紹介されている(甲第6ないし第12号証)。
(3)以上の認定事実によれば、加工食料品、コーヒー、飲料等を取り扱う業界ないしはこの種商品の取引者、需要者間においては、「シンバイオティクス」(synbiotics)の語は、人の健康に役立つ有用乳酸菌「プロバイオティクス」(probiotics)とその腸内増殖促進物質「プレバイオティクス」(prebiotics)を合わせたもの又はその両方の作用を併せ持った物質を表す用語であって、人の腸内における有益細菌の生育を促進させる微生物又は物質を指称するもの、すなわち、商品の原材料、品質等を表示するものとして容易に認識し理解され、かつ、通用しているものとみるのが相当である。そして、本件商標の指定商品中には、この種微生物又は物質を原材料に使用して製造する製品が含まれるものといえる。
(4)本件商標は、上記(1)のとおり、片仮名文字と欧文字とからなるところ、欧文字部分は、上記(3)にいう「synbiotics」と綴りが一文字異なるとしても、「シンバイオティクス」の称呼が生ずることが明らかであり、一般世人は上記(3)にいう片仮名文字「シンバイオティクス」の欧文字綴りを必ずしも正しく認識しているとは限らないことからすれば、本件商標の欧文字部分を上記(3)にいう「synbiotics」を表したものとして認識し理解するとみても何ら不自然ではない。
そうすると、本件商標をその指定商品中の第29類「ビタミン・カルシウム等を主原料とする錠剤・粉末・顆粒及び液状の加工食品」、第30類「コーヒー及びココア,茶,菓子及びパン」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」に含まれる「シンバイオティクスの作用効果を備えた商品」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その品質、効能又は原材料を表示したものと理解するに止まり、それをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、かつ、これを上記以外の商品について使用したときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるから、その指定商品中上記商品についての登録を取り消すべきものである。
商標権者は、上記「第3」の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。
当合議体は、上記「第3」の取消理由の通知について、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記「第3」の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標は、その指定商品・役務中、第29類「ビタミン・カルシウム等を主原料とする錠剤・粉末・顆粒及び液状の加工食品」、第30類「コーヒー及びココア,茶,菓子及びパン」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」について、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
しかしながら、本件商標は、その指定商品・役務中上記商品以外の商品については、取り消すべき理由が認められないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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