Trademark Appeal Case
図形商標の周知性立証
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90524(T2004−90524/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4774523号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成15年9月29日に登録出願され、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同16年5月28日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第3270094号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成6年3月17日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同9年3月12日に設定登録されたものである。
同じく登録第4610272号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成14年2月7日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同14年10月4日に設定登録されたものである。
同じく国際登録第788833号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成からなり、2002年7月9日に国際登録され、第18類、第25類及び第39類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として平成15年5月2日に設定登録されたものである。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)申立人は、「横長の長方形の下辺を弧状に凹ませた図形商標」(以下「引用標章」という。)を商品「履物、被服」等について使用しており、引用標章は日本国内及び外国において周知・著名となっている。本件商標は、上下及び左側の3本の直線と右側の弧状に凹んだ曲線からなる図形の上部を斜め右方向へ変形し塗り潰してなる商標であり、特に右下の方向から見た場合、引用標章と非常に近似した図形として把握され、さらに両者が「履物」について使用される場合には、履物の裏面に直接立体的な成形により表示されるのが一般的であることからして、細部の構成を判別し難く、両者は外観上極めて類似するものであり、両者を付した商品について出所の混同を生ずるおそれのあるものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものである。
(2)本件商標は、上記のとおり周知・著名な引用標章と外観上極めて類似するものであり、不正の目的(不正の利益を得る目的及び申立人に損害を与える目的等)をもって使用するものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(3)引用商標1ないし3は、いずれもその構成中に引用標章と同様の図形を有するものであって、本件商標と外観上極めて類似しているものであり、本件商標と同様に「履物、被服」等を指定商品とするものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)申立人は、引用標章が商品「履物、被服」等について使用する商標として日本国内及び外国において周知著名になっている旨主張し、証拠を提出しているので、この点について検討する。
申立人の提出に係る各甲号証を徴するに、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国、日本、台湾、香港、オーストラリアにおいて、「CAMPER」又は「Camper」の文字からなる商標、引用標章と同一の図形中に「CAMPER」の文字を配した商標がそれぞれ履物、被服等に使用されていることが推認される。
しかしながら、引用標章の周知著名性を示す資料として提出された雑誌広告の写し(甲第8号証)を精査してみても、引用標章と同一の図形中に「CAMPER」の文字を配した商標は散見される程度であり、「CAMPER」又は「Camper」の文字からなる商標が殆どであって、図形のみからなる引用標章自体が使用されていることを示すものは見当たらない。そして、我が国における雑誌広告として示された具体例は、わずか数誌にすぎず、しかもその発行部数、広告掲載期間、頻度等が一切不明なものである。引用標章の周知著名性を示す資料(広告等)として提出された甲第4号証にしても、「Camper News.Welcome!」と題する申立人のインターネットのホームページ(英文)と思しきものをプリントアウトしたものが1葉にすぎず、何を広告しているのかさえ定かでない。
また、上記「CAMPER」又は「Camper」の文字を有する商標を含め、引用標章を使用した商品の取引実態、例えば、製造・販売数量及びその期間、広告宣伝の規模及びその期間、我が国への輸入数量等を具体的に示すものは一切ない。
なお、申立人は、マドリッドプロトコルによる国際登録の状況を示す資料(甲第6号証)及び同人が各国で有する商標登録(出願)の一覧(甲第7号証)を提出しているが、各国で商標が登録(出願)されている事実があるとしても、そのことのみにより直ちに当該商標が周知著名になっているものと認めることができないことはいうまでもない。
その他、引用標章が履物、被服等に使用する商標として周知著名となっているものと認めるに足りる証拠はない。
してみれば、申立人の提出に係る証拠によっては、引用標章が、我が国はもとより外国においても、取引者、需要者間に広く認識されているものということはできない。
(2)次に、申立人は、本件商標と引用標章とが外観上極めて類似するものである旨主張しているので、この点について検討する。
本件商標は、別掲(1)のとおり、黒塗りの幾何図形からなるところ、上辺が下辺よりも長く、それぞれの右端が鋭く尖り、下辺が上辺よりも左方向に位置していることから、全体として左方向に進行する如き印象を与えるのに対し、引用標章は、その代表的なものは別掲(4)の引用商標3と認められるところ、横長長方形の下辺を弧状に湾曲させた図形からなるものであって、左右辺の長さは同じで、その先端も尖鋭ではなく、全体的に動きを感じさせないものであるから、それぞれを時と処を異にして観察しても、外観上彼此相紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
申立人は、本件商標を右下方向から見た場合、引用標章と非常に近似した図形として把握される旨主張するが、仮に本件商標を右下方向から観察したとしても、両者の上記差異により外観上判然と区別し得るものである。
また、本件商標と引用標章は、それぞれの構成に照らし、いずれも特定の称呼及び観念を生ずるものとは認められない。
そうすると、本件商標と引用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(3)以上を前提にして、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるか否かについて検討する。
(ア)上記のとおり、引用標章は履物、被服等に使用する商標として周知著名なものとはいえないこと、さらに本件商標と引用標章とは非類似の商標であることから、本件商標は、同法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(イ)本件商標と引用商標1ないし3との類否についてみるに、引用商標1は、引用標章と同様の図形と「CAMPER」の文字の組合せからなるものであって、本件商標と引用標章とが類似しないものである以上、本件商標と類似するものであるとする理由は見出し難い。
引用商標2は、全体として篭字風のローマ字「A」を変形させた如き図形かなるものであって、本件商標を連想、想起させるような要素や共通点は見出し難く、本件商標と引用商標2とは、それぞれを時と処を異にして観察しても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
引用商標3は、引用標章と同一といい得るものであるから、本件商標と類似するものでないことはいうまでもない。
してみれば、本件商標は、同法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(ウ)上記のとおり、引用標章は履物、被服等に使用する商標として周知著名なものとはいえないこと、さらに本件商標と引用標章とは非類似の商標であることから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用標章ないしは申立人を連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の商品であるか如くその出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
してみれば、本件商標は、同法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(エ)上記のとおり、引用標章は履物、被服等に使用する商標として周知著名なものとはいえないこと、さらに本件商標と引用標章とは非類似の商標であること、加えて本件商標が不正の目的をもって使用するものであるとする理由は見出し難いものである。
してみれば、本件商標は、同法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、その登録を維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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