Trademark Appeal Case
著名商標の類否・混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90332(T2004−90332/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4751608号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成15年7月22日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同16年2月27日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
(1)申立人らの使用する商標の著名性について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、1923年にドイツで設立され、世界各国で紳士服等の製造販売を行っているフーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの日本法人である(申立人とフーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトをまとめていうときは、以下「申立人ら」という。)。
申立人らの製造販売に係る商品(以下「申立人ら製品」という。)には、「HUGO」、「HUGO BOSS」、「HUGO/HUGO BOSS」、「BOSS」等のブランドが使用され、これら申立人らの使用に係る商標は、世界各地に展開している小売店による販売活動、宣伝活動等により、世界的規模で周知性を獲得している。
申立人ら製品は、日本において本格的な販売が開始された1985年(昭和60年)以来、その営業活動により、現在、55の直営店や有名百貨店で販売されている。その結果、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの略称である「フーゴ・ボス」、「HUGO BOSS」、及び上記申立人らの使用に係る商標は、我が国において著名なものとなっている。
(2)商標法第4条第1項第8号について
前記(1)のとおり、「HUGO BOSS」は、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの著名な略称であり、また、この略称は、さらに「HUGO」と略称され、本件商標の登録出願時には著名なものとなっていた。
したがって、本件商標は、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの著名な略称である「HUGO」を含むものであって、かつ、同社の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、以下(ア)ないし(エ)に示した各登録商標(以下まとめて「引用商標」という。)と「フーゴ」又は「ヒューゴ」の称呼において類似し、かつ、その構成中の「HUGO」より生ずるフーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの観念において類似するものである。また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
【引用商標】
(ア)登録第2301695号商標
「hugo」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年11月7日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年2月27日に設定登録され、その後、指定商品については、平成14年4月24日に、第9類、第20類、第21類、第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換の登録がされたものである。
(イ)登録第2534878号商標
「hugo」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年11月7日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年5月31日に設定登録され、その後、指定商品については、平成15年6月25日に、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換の登録がされたものである。
(ウ)登録第3265268号商標
別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成5年11月19日に登録出願
、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年2月24日に設定登録されたものである。
(エ)国際登録第771889号商標
別掲(2)のとおりの構成よりなり、2001年(平成13年)9月5日に国際登録、第9類、第14類、第16類、第18類、第24類、第25類、第28類、第34類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、我が国において平成15年1月24日に設定登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの著名な略称と同一又は類似の部分を含むから、これをその指定商品について使用した場合は、その需要者をして、該商品が申立人ら製品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号について
商標権者が本件商標を使用した場合、申立人らの使用に係る商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)申立人らの使用する商標の著名性について
本件商標の登録出願前に発行されたと認められる甲第3号証ないし甲第12号証の71によれば、申立人らは、我が国において、その取扱いに係る紳士服、ネクタイ、時計、眼鏡等に、主として別掲(3)のとおりの構成よりなる商標、「HUGO BOSS」、「BOSS HUGO BOSS」の文字よりなる商標等又はこれらの片仮名表記である「ボス/ヒューゴボス」、「ヒューゴボス」を表示して販売し、かつ、雑誌、新聞等に宣伝広告をしていた事実が認められる一方、「HUGO/HUGO BOSS」(「HUGO」の文字が大きく表示されている。)の文字よりなる商標を使用した香水、眼鏡が雑誌等に掲載されていた事実は認められるが、その使用例はきわめて少なく、さらに、「ヒューゴ」ブランドを使用した紳士服、婦人服等の販売が開始されたのは、本件商標の登録出願日の約2ヶ月前である2003年(平成15年)5月ころであることが認められる。また、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトは、「ヒューゴ・ボス」、「HUGO BOSS」などと略称されていた事実を認めることができるが、これが単に「HUGO(ヒューゴ)」と略称されていた事実を見出すことはできない。
そうすると、別掲(3)の商標、「HUGO BOSS」、「BOSS HUGO BOSS」の文字よりなる商標等又はこれらの片仮名表記である「ボス/ヒューゴボス」、「ヒューゴボス」が本件商標の登録出願時には、申立人らの取扱いに係る紳士服、ネクタイ、時計、眼鏡等を表示するためのものとして、ファッション関連商品の分野における需要者の間に広く認識されていた事実及びフーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトが「ヒューゴ・ボス」、「HUGO BOSS」と略称されていた事実を認めることはできるとしても、「HUGO」の文字が、本件商標の登録出願時において、申立人らの取扱いに係る紳士服、ネクタイ、時計、眼鏡等を表示するものとして、また、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの著名な略称を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されていたと認めることは困難であるといわざるを得ない。
(2)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成は、「&」を表したと理解される文字を介して、いずれもアンダーラインが引かれた「HUGO」及び「ENZO」の各文字が同一の書体をもって、軽重の差なく外観上まとまりよく表されているばかりでなく、構成文字全体から生ずると認められる「フーゴアンドエンゾ」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、構成する文字全体をもって一体不可分の造語を表したと理解されるとみるの相当である。
したがって、本件商標は、その構成中の「HUGO」の文字部分のみが分離され、これが独立して把握、認識されることのない商標というべきものであるから、その全体の構成文字に相応して「フーゴアンドエンゾ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、単に「フーゴ」又は「ヒューゴ」の称呼は生じないものといわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第19号について
前記(1)で認定したとおり、「HUGO」の文字は、本件商標の登録出願時において、申立人らの取扱いに係る紳士服、ネクタイ、時計、眼鏡等を表示するものとして、または、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの著名な略称を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。
また、前記(2)で認定したとおり、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語を表したと認識されるものであって、その構成中の「HUGO」の文字部分のみが独立して自他商品の識別機能を発揮するものではないから、「フーゴ」又は「ヒューゴ」の称呼及びフーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの観念は生じないものである。
そうすると、本件商標は、フーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの著名な略称を含むものということはできないし、これをその指定商品について使用しても、需要者をして、該商品が申立人らの取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれもないものである。
さらに、本件商標中の「HUGO」の文字部分を抽出し、これより「フーゴ」又は「ヒューゴ」の称呼及びフーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフトの観念を生ずるから、本件商標と引用商標とは類似の商標であるとする申立人の主張は、その前提において誤りがあるというべきものであり、したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似の商標というべきであって、不正の目的をもって使用をするものということもできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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