Trademark Appeal Case
「元」と「苑」の称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2005−60008(T2005−60008/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4287876号商標(以下、「本件商標」という。)は、「消臭元」の文字(標準文字による)を書してなり、平成10年4月28日登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同11年6月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2 イ号標章
請求人が商品「消臭剤、芳香消臭剤」について使用を予定する標章として示したイ号標章は、「消臭苑」の文字(標準文字による)を書してなるものである。
3 請求人の主張(要旨)
請求人は、商品「消臭剤、芳香消臭剤」について使用を予定するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由について次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第5号証を提出している。
(1)判定請求の必要性
請求人は、本件商標の商標権者であるが、本年度秋より商品「消臭剤、芳香消臭剤」についてイ号標章の使用を予定している。
イ号標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属するものとすれば、敢えてイ号標章について出願するまでもなく、また、仮に第三者がイ号標章の出願、使用を請求人に先立って行ったとしても本件商標の商標権をもって対抗し得る点からして、本件判定を求めるものである。
(2)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
(ア)本件商標は、標準文字による漢字で「消臭元」と表してなるもので、「ショウシュウゲン」の自然的称呼が生ずる。
一方、イ号標章は、漢字で「消臭苑」と表してなるもので、「ショウシュウエン」の自然的称呼が生ずる。
両者を比較すれば、僅かに後半部において「ゲ」と「エ」の差異を有するのみである。「ゲ」の音は、後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する有声子音(g)と母音(e)との結合した音節であり、一方、「エ」の音は、有声の開放音であり、舌面位置を中心とする半開き母音である。両者は、若干調音方法を異にするものであるが、母音「e」を共通にしており、また、共通した「ン」の音が付帯していること、さらに8音と称呼数の多い音構成において比較的聴別され難い中間に位置することよりすれば、一連に称呼した場合には、上記差異音の差が称呼全体に及ぼす影響は小さく、語調・語感が近似したものとなり、聞き間違いを生起し、互いに称呼上相紛らわしいと判断される。
(イ)また、本件商標は1995年秋に新発売された芳香消臭剤に使用を開始されて以来、市場において好評を博しており、消臭剤、芳香消臭剤市場においてトップの位置を占めるものである(甲第1号証ないし甲第4号証)。
すなわち、「消臭元/ショウシュウゲン」といえば、請求人の製造、販売に係る消臭剤、芳香消臭剤を示すものとして取引者・需要者間において遍く認知されている状況にある。
かかる状況においては、僅かに末尾に近い後半部において「ゲ」と「エ」の差異を有するのみであるイ号標章の称呼「ショウシュウエン」に接した場合には、これを「ショウシュウゲン」と聞き誤る可能性はきわめて高いものといい得る。
したがって、本件商標とイ号標章とは、聞き誤りを生ずるおそれがあり、互いに称呼上において類似する。
(ウ)参考までに、「ショウシュウゲン」と「ショウシュウガン」は称呼上類似するとの判断が、登録異議の申立てについての決定において示されている(甲第5号証)。付帯する母音が相違する「ゲ」と「ガ」の相違があるにも拘わらず、称呼上類似すると判断されており、「ショウシュウエン」はこの事例にもまして、「ショウシュウゲン」と称呼上紛らわしいというべきである。
なお、当該登録異議申立事件において、登録異議申立人が「消臭元」の周知著名性を主張したのに対し、取消理由においてもその旨が記載され、最終的に「上記の取消理由は妥当なものと認められる」と認定している。
(エ)イ号標章の使用予定商品「消臭剤、芳香消臭剤」は、本件商標の指定商品中の「薬剤」に属することは明らかである。
(3)結び
したがって、「消臭剤、芳香消臭剤」に使用予定のイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
4 当審の判断
本件商標とイ号標章との類否について判断するに、上記のとおり、前者は「消臭元」の文字を、後者は「消臭苑」の文字を、それぞれ書してなるものであるから、両者は、その外観において、明らかに相違するものである。
また、「消臭元」の文字からなる本件商標は、その構成文字全体から「不快な臭いを消すもと」ほどの意味合いを生ずるのに対し、「消臭苑」の文字からなるイ号標章は、その構成文字全体から「不快な臭いを消す目的で設けた場所」ほどの意味合いを生ずるものであるから、両者は、その構成文字全体から生ずる意味合いにおいて、互いに紛れるおそれがあるとまではいい難いものである。
さらに、本件商標から生ずると認められる「ショウシュウゲン」の称呼とイ号標章から生ずると認められる「ショウシュウエン」の称呼とを比較するに、両称呼は、第5音において「ゲ」の音と「エ」の音との差異を有するものであり、しかも、該「ゲ」の音は、後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する有声子音(g)と母音(e)との結合した音節であって、かつ、その調音方法と相俟って、響きが強く、明瞭に聴取されるものであるのに対し、該「エ」の音は、母音(e)のみの音節であって、声を口腔内に響かせる有声の開放音であることから、両音は、その音質を異にし、これがその称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、本件商標とイ号標章をそれぞれ一連に称呼するときは、その語感が異なり、互いに聴別し得るものというべきである。
したがって、本件商標とイ号標章は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するということはできないから、商品「消臭剤、芳香消臭剤」に使用予定のイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する。
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