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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第3320号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2371452号商標(以下、「本件商標」という。)は、「PROFILE」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年7月13日登録出願、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するもの及び電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品及び附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、平成4年1月31日登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は「商標登録第2371452号は、その指定商品中『医療機械器具』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び請求人の答弁に対する弁駁の理由を概要次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)請求人は、1970年前より「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」についての開発を行ってきているが、甲第2号証に示すとおり、1980年(昭和55年)3月28日には「プロフィル」の文字からなる商標(以下、「引用A商標」という。)を使用する上記の商品の我が国への輸入について、厚生大臣の承認を得ている。その後、例えば甲第5号証ないし甲第7号証に示すとおり、少なくとも引用A商標或いは「Profile」の文字からなる商標(以下、「引用B商標」という。)を「気管切開チューブ」及び

「気管内チューブ」等について継続して使用しているばかりでなく、甲第8号証に示すとおり「PROFILE」の文字からなる商標(記号W)或いは「PROFILE」の文字の上下に2つ割りの梨型(カフをあらわす)の図形を配した商標(記号D)をオーストラリア、ベネルックス、フィンランド、フランス、ドイツ、英国、イタリア、ノルウェイ、スペイン、スウェーデン、米国等の十数カ国に登録を受けており、これらの商標は我が国における上記の商品の取引者及び需要者の間にも広く認識されているところである。しか

して、引用A商標及び引用B商標はそれぞれ「プロフィル」及び「プロフィール」の称呼を生ずるものであることは明らかである。

一方、本件商標は「PROFILE」の文字を書してなるものであるから「プロフィール」の称呼を生ずるものであることも明らかである。

してみると、本件商標と引用A商標、引用B商標はその称呼上互いに類似する商標であることはいうまでもない。

また、本件商標の指定商品中の「医療機械器具」には「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」が含まれていること及び「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」とこれらの商品を除く医療機械器具は互いに類似する商品であることが明らかである。

結局、本件商標は請求人の業務に係る「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」を表示するものとして取引者及び需要者の間に広く認識されている引用A商標及び引用B商標に類似する商標であって、その指定商品中には「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」及びこれらの商品に類似する商品、つまり「医療機械器具」が含まれているから、この限りにおいては商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものといわざるをえない。

なお、請求人は、「医療機械器具」について使用するための「PROFILE」の文字からなる商標及び「PROFILE」の文字の上下に2つ割りの梨型(カフをあらわす)図形を配した商標を商願昭53−37529号及び同53−37530号として昭和53年5月19日に登録出願もしたが、これらの登録出願は結果として拒絶査定がされた(甲第3号証及び甲第4号証)、しかし、その後、請求人は甲第9号証に示す登録第2527975号商標の登録を受けたものであるが、これに対しては、被請求人が本件商標を引用して無効審判を請求している。したがって、請求人は本件審判請求をするについて、いわゆる利害関係を有する者である。よって、請求の趣旨のとおりの審決を求める。

(2)被請求人は、答弁書において、請求人の提出に係る甲第2号証ないし同第7号証をもってしては、引用A商標及び引用B商標が取引者及び需要者の間に広く認識されているものとは認められない旨を主張している。しかしながら、引用A商標及び引用B商標が使用されている商品「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」は医療機械器具のなかでも極めて特殊な商品であるから、これらの商品の取引者及び需要者が極めて限られた範囲の者であることは明らかである。しかして、引用A商標及び引用B商標は少なくとも1970年(甲第24号証の3)からこれらの極めて限られた範囲の取引者及び需要者の間には広く知られているところであるから、商標法第4条第1項第10号の規定にいう「需要者の間の間に広く認識されている商標」に該当するものであるといわざるをえない。

そして、「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」についての引用A商標及び引用B商標が本件商標の登録出願の日前に既に取引者及び需要者の間に広く認識されていたことを立証するものとして、更に医療専門雑誌「麻酔」等に長年に亘り掲載された引用A商標及び引用B商標の広告等の資料を甲第10号ないし甲第28号証として提出した。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概要次のように主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

(1)請求人が、請求人商標の著名性を立証するものとして提出した甲各号証によっては、同商標が、請求人の取扱に係る「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」等の商品の商標として、日本国内において取引者、需要者間に広く認識されているものとは、到底認められるものではない。

即ち、甲第2号証は、「日本メディコ株式会社」宛の医療用具輸入承認事項一部変更承認書の写と、その添附書類であるが、本証では、同承認書と請求人の関係、及び請求人商標がどの様な態様で上記商品に使用されているのか等、明らかでない。

甲第3〜4号証は、パトリス及びブランデーの商標出願拒絶のリストであって、請求人商標の使用事実を立証するものではない。

甲第5〜7号証は、日本メディコ株式会社が頒布の「Profile」の商標を使用した「気管チューブ」「気管切開チューブ」のリーフレットと思われるが、同リーフレットの頒布時期、頒布数量、頒布先等不明であり、本証によって「Profile」の商標が上記商品に使用された事実は証明されても、同商標の著名性は何等証明されないものである。

甲第8号証は、「PROFILE」の諸外国登録リストとあるが、登録番号、商標の態様等、不明である。

以上の通りであって、請求人提出の甲第2ないし第8号証によっては、請求人商標が、請求人の業務に係る商標として、日本において取引者、需要者間に広く認識されている事実は何等証明されるものではない。

したがって本件商標が、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたとする請求人の主張は失当なものといわざるをえない。

(2)請求人は、弁駁書において、『請求人商標(引用A商標及び引用B商標)が使用されている商品「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」は医療機械器具のなかでも極めて特殊な商品であるから、これらの商品の取引者及び需要者は極めて限られた範囲のものであり、請求人商標はこれらの極めて限られた範囲の取引者及び需要者の間には広く知られているから、商標法第4条第1項第10号の規定にいう「需要者の間に広く認識されている商標」に該当する』旨主張し、甲第10号証ないし第28号証を提出している。

しかしながら、請求人が請求人商標の著名性を立証するものとして新たに提出した甲各号証によっても、同商標が、請求人の取扱いに係る「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」等の商品の商標として、限られた範囲の当該取引者、需要者間に広く認識されているものとは、未だ認められるものではない。

即ち、甲第10号証ないし第23号証は、雑誌「麻酔」及び「臨床麻酔」に掲載された、気管内チューブ等の広告の写しであるが、本証からは当該雑誌の発行部数、頒布先等不明である。したがって、本証によって請求人商標が上記商品に使用された事実や請求人商標が広告に掲載されている事実は証明されても、この程度の宣伝広告活動はむしろ当然であって、いくら特殊な商品であるとはいえ、同商標の著名性は何等証明されないものである。

また、同広告によれば、請求人商標は気管内チューブ等に附属される「カフ」について使用されているものと思料するが、同広告において、例えば「プロフィルカフ付き」といった商品の説明文的な表現で小さく表示されているものが多く、且つ、商標の使用態様も統一されていない。

本証により請求人商標の著名性は何等証明されるものではない。

甲第23号証は、雑誌「体外循環技術」の別冊「医療機器紹介」と題するリーフレットの写しであるが、本証は気管内チューブ、気管切開チューブの進歩を解説した記事にすぎず、これによっては請求人商標の著名性は何等証明されるものではない。

甲第24号証は日本メディコ株式会社の会社経歴書であって、請求人商標の使用事実、著名性を立証するものではない。

甲第25号証は日本メディコ株式会社製品の価格表であるが、本証からも請求人商標の著名性は何ら立証されない。

甲第26号証ないし第28号証は日本メディコ株式会社作成のカタログの写しであるが、同カタログの頒布時期、頒布数量、頒布先等不明であり、本証によって請求人商標が気管内チューブ用のカフ等に使用された事実は証明されても、同商標の著名性は何等証明されないものである。

(3)以上の通りであって、そもそもいかなる商品であろうとある程度の宣伝広告活動が行なわれるのは極めて当然であるから、宣伝広告活動が行われていた事実のみで当該商品の著名性を主張するのは失当である。

したがって、請求人提出の甲第10証ないし第28号証によっても、請求人商標が、請求人の業務に係る商標として、限られた範囲の取引者、需要者間に広く認識されているといった事実は未だ証明されるものではない。

以上の通りであるから、本件商標が商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたとする請求人の主張は失当なものといわざるをえない。

(4)さらに付言すれば、被請求人は請求人商標と同一若しくは類似の本件商標を、その指定商品中請求人の取扱い商品と同じ「医療用機械器具」に属する「歯科用穿削器具」について株式会社モリタに対し、又「磁気共鳴断層撮影装置」についてジーイー横河メディカルシステム株式会社に対しそれぞれ通常使用権を許諾しているものである。

乙第1号証ないし第4号証から明らかなように、株式会社モリタは「歯科用ファイル」(歯科用穿削器具に含まれる商品である。)について本件商標を使用しており、当該商品につき広範に渡って宣伝広告活動を行っている。一例を示せば、乙第1号証のカタログは、歯科医院、歯科技工所、歯科大学、歯科材料器械取扱店等に約19000冊頒布されている。また、乙第2号証の情報誌[Dental Magazine」は歯科医院、歯科技工所、歯科大学、歯科衛生士学校等に約26000冊頒布されている。

また、乙第5号証から明らかなように、ジーイー横河メディカルシステム株式会社は「磁気共鳴断層撮影装置(MR)」について本件商標を使用している。ジーイー横河メディカルシステム株式会社のMRシステムは世界No.1シェアを誇っている。

請求人の業務に係る商標として広く認識されていると認定されるためには、少なくとも医療用機械器具について請求人商標をみれば需要者は直ちに請求人の取扱いに係る商品であると認識される程度の著名性が必要と思われる。

しかるに、需要者(病院等)を共通にする医療用機械器具については、上記の通り、他の2社も請求人商標に同一若しくは類似の本件商標を「歯科用ファイル」、或いは「磁気共鳴断層撮影装置(MR)」について使用しているものである。

よって、請求人商標を使用した商品に需要者が接した場合、直ちに請求人の業務に係る商品であると認識するか否か疑問である。

(5)したがって、請求人商標が、取引者、需要者間に広く認識されているといった請求人の主張は、到底認められるものではない。

4 当審の判断

請求人は、「プロフィル」の文字からなる商標及び「Profile」の文字からなる商標を「気管切開チューブ」及び「気管内チューブ」等について継続して使用しているばかりでなく、甲第8号証に示すとおり、「PROFLE」の文字からなる商標又は「PROFILE」の文字の上下に2つ割りの梨型(カフをあらわす)の図形を配した商標をオーストラリア、ベネルックス、フィンランド、フランス、ドイツ、英国、イタリア、ノルウェイ、スペイン、スウェーデン、米国等の十数カ国で登録を受けており、これらの商標は我が国における上記の商品の取引者及び需要者の間にも広く認識されている旨主張する。

そして、甲第10号証ないし甲第22号証によれば、昭和55年12月から昭和61年4月にかけて医療専門雑誌「麻酔」に7回、及び昭和56年6月から昭和61年6月にかけて医療専門雑誌「臨床麻酔」に6回にわたって請求人の「気管切開チューブ」又は「気管内チューブ」の宣伝広告が掲載され、その宣伝広告中に前記商品の商標と認識される「Profile」又は「プロフィル」の文字や請求人のいう梨型の図形内にややデザインを加えた「Profile」の文字又は「プロフィル」の文字を配した商標が併せて掲載されている事実が認められる。

しかし、請求人は、前記の医療専門雑誌「麻酔」及び「臨床麻酔」の販売部数について主張立証をしていないところ、その題号からみて、前記の医療専門雑誌は、医療従事者の中でも一部の限られた者を読者層としているものと推定できるから、これら雑誌に合計13回にわたって請求人の商品及び商標に関する前記宣伝広告が掲載されても、それによって、我が国における医療機械器具及びこれに類似する商品の取引者・需要者間に、請求人の前記宣伝広告中の商標が、広く認識されるに至ったものとは認め難い。

そして、甲第10号証ないし甲第22号証以外の請求人が提出した証拠を含め総合勘案しても、請求人主張の商標が、本件商標の登録出願の時に、医療機械器具及びこれに類似する商品の取引者・需要者間に広く認識されていたものと認めることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、指定商品中「医療機械器具」についての登録を無効とすべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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