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Trademark Appeal Case

成分表示と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−6365(T2003−6365/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1.本願商標

本願商標は、「FLAVAN」の欧文字と「フラバン」の片仮名文字とを二段に横書してなり、第29類「ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・液状の加工食品,食肉,食用魚介類(生きているものを除く),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」及び第32類「ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする清涼飲料,ビール,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、平成14年4月11日に登録出願され、その後、指定商品については、同14年12月25日付け手続補正書により、第29類「ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・液状の加工食品,食肉,食用魚介類(生きているものを除く),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」及び第32類「ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」と補正されたものである。

2.原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『FLAVAN』の文字と『フラバン』の文字とを上下二段に普通に用いられる方法で書してなるところ、指定商品との関係において、『フラバン』の文字は、『植物界に分布する物質であるポリフェノールに属する水溶性の植物性色素であるフラボノイド系に分類され、構造的に密接な関連性を有する一つの物質群』の意に通じる語と認められる。そして、本願商標構成中の『FLAVAN』の文字が下段の『フラバン』の文字の英語表記と認められるから、本願商標をその指定商品中の『ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・液状の加工食品,ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする清涼飲料』に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、その商品が上記『植物界に分布する物質であるポリフェノールに属する水溶性の植物性色素であるフラボノイド系に分類され、構造的に密接な関連性を有する一つの物質群の成分を含んでいるものであること』の意を表示したものと理解するに止まり、単に商品の品質(成分)、原材料を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3.当審の判断

1) 本願商標は、「FLAVAN」及び「フラバン」の文字を書してなるところ、以下にあげる事実から、該文字は、原審説示のとおり「植物界に分布する物質であるポリフェノールに属する水溶性の植物性色素であるフラボノイド系に分類される一つの物質群」の意を表す語であると認めることができる。

(a)「JFRLニュース:参考資料 資料No.1 Jun.1999ポリフェノール(特にフラボノイド)について」の説明中、「ポリフェノールとは」の項目には、「ポリフェノール(多価フェノール)とは、同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基(ベンゼン環、ナフタリン環などの芳香族環に結合した水酸基)をもつ化合物の総称であり、以下に示すような多くの種類のポリフェノールが主として植物界に広く分布しています。今回の参考資料は、代表的なポリフェノールであるフラボノイド系化合物の構造ならびに生体調節機能に関するものです。」とあり、その「ポリフェノール」をさらに細かく分類した「フラボノイド系」の分類中には、「イソフラボン類」、「フラバノール(カテキン)類」や「アントシアニジン類」等に並んで「フラバン類」の記載、及び「〈資料1〉フラボノイドの分類と基本構造」において、「フラボノイドは、3個の炭素原子からなる部分(C環の部分)の構造によって下記のように分類されます。・・1)フラボン:C環に1個の2重結合を有し、C環4位にカルボニル基を有するもの。・・3)イソフラボン:フラボンで、B環の結合位置がC環2位から3位に置き換わったもの。4)フラバン:C環には2重合結合もカルボニル基も含まれないもの。5)フラバノール:フラバンのC環3位に水酸基が結合したもの。・・9)アントシアニジン:C環に2個の2重合結合を有し、C環1位の酸素が+に荷電したもの。」の記載とフラバンを含む各フラボノイドの構造式、「〈資料2〉フラボノイドの機能性」において、「付表には、フラボン類、フラボノール類、イソフラボン類、フラバノール(カテキン)類、フラバノン類およびアントシアニジン類に属する代表的な化合物について、これまでに報告されている生体調節機能(ただし、抗酸化性、抗変異原性、抗ガン性、血圧上昇抑制、抗糖尿病性及び抗アレルギー性)を一覧してみました。)」(http://www.jfrl.or.jp/other/jfrlnews/polyphe2.pdf)の記載がある。

(b)「ビタミン・ハーブ・サプリメント百科事典」のホームページ「フラボノイド(Flavonoids)」の項目には、「フラボノイドは水溶性の植物性色素で約3000種類ぐらい知られています。構造的にはお互い密接な関連性を持ついくつかの物質群に分類されます。例えば、イソフラボン(isoflavone)、フラバン(flavan)、フラバノン(flavanone)、フラボン(flavone)、フラバノール(flavanol)、カテキン(catechin)、アントシアニジン(anthocyanidin)などです。タマネギに含まれるケルセチン(quercetin:flavanolに属す)、・・、ソバに含まれるルチン(rutin)、・・などはこの分類の更に細かな分類の一項目に相当します。・・ケルセチン、ルチンは血管を強化する物質として有名です。また、アントシアニジンは、ビルベリー(bilbery:ブルーベリーの一種)に含まれますが、夜間視力の改善や糖尿病性網膜症に有効であるとして有名です。その他、物質ごとに少しずつ違いますが、抗酸化作用、抗炎症作用、抗ヒスタミン作用、抗ウィルス作用などを有してます。」(http://www.medicosmart.com/supplement_enc/enc_flavonoid.html)の記載がある。

(c)「古賀信幸研究室のホームページ」の「研究内容の紹介」中にある「研究室の研究テーマ」の1つに「フラボノイド類の生体内動態に関する研究」があるが、その中に「フラボノイド類は、私たちが日常に飲用している緑茶や柑橘類などに多く含まれている植物成分の1つで、抗酸化作用、抗菌・抗カビ・抗ウィルス作用、抗ガン作用などの生物学的ならびに薬理学的な性質を有するポリフェノール化合物として、一般によく知られています。・・数種類のフラボノイド類を選び、実験動物(ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ)での生体内動態を明らかにしようと計画しています。」の記載及びフラバン類、フラボン類、イソフラボン類についてのそれぞれの構造式(http://www.nakamura-u.ac.jp/~nobuyuki/Introduction.htm)の記載がある。

2) さらに、当審において調査した結果、「FLAVAN」及び「フラバン」の語について、以下の記載が認められるものである。

(a)化学大辞典7(共立出版発行)957頁には、「フラバン」の項目があり、その説明には「2−フェニルクロマン、2−フェニル−2,3−ジビドロペンゾピラン【英flavan,2−phenylchorman,2−phenyl−2,3−dihydrobenzopyran,独Flavan,2−Phenylchorman,2−Phenyl−2,3−dihydrobenzopyran】 製法 α−フェニル−γ−(2−オキシフェニル)プロピルアルコールを塩酸で処理する。」の記載がある。

(b)「あいけんどっとねっと」のホームページの「健康食品栄養素辞典」中、「フラボノイド」の項目には、「フラボノイドは植物の黄色に寄与し、その化合物は植物を起源とする物だけでも4千種類以上が報告されています。・・〔C6-C3-C6〕を基本構造とする一群の化合物の総称をフラボノイド類と呼び、フラバンを基準として、フラバノン、フラボン、カルコン、フラバノール(カテキン)、フラバノノール、フラボノール、オーロン、フラバン−3,4−ジオール(ロイコアントシアン)、イソフラボンなどの化合物があります。また、植物化学の分野ではフラボノイド類を次の様に分類しています。1.アントシアニン類、2.フラバン類、プロアントシアニジン類、・・・フラボノイドの生理作用として、フラボノイドは、毛細血管を保護・丈夫にし、その吸収力を調整する作用がある事が知られています。最近では、フラボノイドの生理機能に関する研究の進展によって、次のような作用を持っていることがわかってきました。1.抗酸化性 2.抗変異原生 3.抗ガン性 4.血圧上昇抑制作用 5.抗菌・抗ウィルス作用 6.抗う歯(虫歯)作用、7.抗アレルギー作用 この中で、最も研究されているのが抗酸化性で、『茶カテキン』のように商品化されているものもあります。」(http://www.ai-ken.net/dic/ha/hu.html)の記載がある。

(c)「慣用名」のホームページ「2004-01-17天然物の母体骨格」中、「その他の天然物」の1つ「フラボノイド」の項目には、「Flavan フラバン 2−phenylchromane 2−フェニルクロマン 3,4−dihydro−2−phenyl−2H−1−benzopyran 3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン」の記載と構造式の記載、及び「2004-06-12 含酸素多環系」の項目には、「Flavan フラバン、Flavone フラボン、Flavylium フラビリウム、Isoflavone イソフラボンなどの誘導体は、フラボノイドに分けてあります。」(http://homepage1.nifty.com/nomenclator/triv/oxapoly.htm)の記載がある。

(d)「TOMMY SORA GOOD LIFE ONLINE SHOP」のホームページ中、「Masquelier’sOPC」という商品名の「フランス・ボルドーのぶどう種子エキス末(OPC)加工食品」の説明には、「OPCとは日本語でオリゴメリック(低重合)プロアントシアニジンと呼ばれるポリフェノールの中でも極めて抗酸化力の強い天然物です。・・健康を害する活性酸素の除去に大きな力を発揮し酸化を防ぎます・・日本の研究者たちの調べたところによると、ビタミンEの50倍、ビタミンCの20倍も協力であることがわかっています。・・・OPCの分子構造:FLAVAN(フラバン)-3-OL 2〜3量体」(http://www.mysora.com/opc/opc.html)の記載がある。

上記事実から、「FLAVAN」及び「フラバン」の語は、近年、一般によく知られているカテキンやイソフラボンにならんで、抗酸化性、抗ガン性、血圧上昇抑制作用、抗菌・抗ウィルス作用、抗アレルギー作用の効能のあるポリフェノール中の1つであるフラボノイド系に分類される1化合物名を意味する語にすぎないものと認めることができる。

そうであるならば、「FLAVAN」及び「フラバン」の文字を書してなる本願商標を、その指定商品中、「ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・液状の加工食品」及び「ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする清涼飲料」に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、その商品がポリフェノールに属するフラボノイド系化合物フラバンの成分を含有しているものであるという、単に商品の品質(成分)、原材料を表示するにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認識し得ないものとみるのが相当である。

してみれば、本願商標は、その指定商品中、ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする商品に使用するときには、単に、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものであり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

おって、請求人は、自他商品識別力は当該業界の商品との関係において判断されるべきであるところ、本願商標は、製造業者よりもエンドユーザーに比重がおかれた分野の商品であり、当該商品のパッケージにおいては薬品のように専門的な学術語を用いて効能、効果を説明することはないから、本願は自他商品識別力を有する造語からなるものと認められ登録されるべき旨主張しているが、本願商標は、前記のとおりと認められるから、これをその指定商品中、ポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者が係る商品の原材料名を表示したものと認識する可能性は極めて高いものといえ、さらに、このような原材料名のみからなると認められる商標は、誰しもその使用を必要とし、誰しもその使用を欲するといえるものであることから、一私人に独占を認めることは適当でないと認められることからも、本願商標を登録することは出来ないものと判断するのが相当であり、請求人の主張を採用することは出来ない。

よって、結論のとおり審決する。

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