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Trademark Appeal Case

著名商標の略称と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−16284(T2003−16284/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「ValentinoMarudini」の文字を標準文字で表してなり、第14類「時計」を指定商品として、平成14年6月6日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由

本願商標は、世界のトップデザイナーとして婦人服、紳士服、ネクタィ、バッグ、靴、ベルト、アクセサリー等のファッション関連商品のデザインを手がけ著名である「VALENTINO GARAVANI」の略称と認識・理解される「Valentino」の欧文字を有しているから、これを本願の指定商品に使用しても、需要者をして「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンテーノ・ガラバーニ)又は同人と組織的、経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。との拒絶理由を示した。そして、出願人の意見に対して、本願商標の出願時には、例えば、「男の一流品大図鑑、85年版」(昭和59年12月1日講談社発行)において、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の文字とともに、「スーツ、ブルゾン、シャツ、ネクタイ、ベルト及びバッグ」の商品が掲載されていること、雑誌「non−no」1989年No23号(平成元年12月5日集英社発行)及び「marie claire」(1996年2月1日中央公論社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」が単に「ヴァレンティノ」と略称され、商品「婦人服」等と共に掲載されていること、「英和商品名辞典」(1990年研究社発行)「Valentino Garavani」の項において、「イタリア RomaのデザイナーValentino Garavani(1932−)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Miranoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字で書くこともある)。...」との記事及びデザイナーとしての紹介記事が掲載されていること、「世界の一流品大図鑑、93年版」(平成5年5月20日講談社発行)において、「VALENTINO」ブランドの香水が掲載されていること、「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日岩波書店発行)の「ガラヴァーニ」の項において「ヴァレンティノGaravani,Valentino通称ヴァレンティノValentino(伊1933−)服飾デザイナー...」との紹介記事が掲載されていることから、「VALENTINO」標章は、「バレンチノ」、「ヴァレンティノ」の称呼よりなる商標として、また、デザイナーである「VALENTINO GARAVANI」も「VALENTINO」(バレンチノ、ヴァレンチィノ)と称呼されて婦人服、紳士服等について同人のデザインに係る商品に付される商標ないしは同人の略称として著名であったこと、「VALENTINO」標章が付される商品「婦人服、紳士服」等と本願商標の指定商品とは、共にファッション関連の商品である(ファッション性のある時計が販売されている)こと等を併せ考慮すれば、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、その構成中前半の「VALENTINO」の文字部分を捉え、著名な「VALENTINO」標章を連想、想起し、その商品が「VALENTINO GARAVANI」又は同人と何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である旨、認定・判断して、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 デザイナーとしての「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の著名性については、原審の「例えば」として示された辞書類及び雑誌等において、以下の事実が認められる。

(1)「英和商品名辞典」(1990年研究社発行)には、「イタリアRomaのデザイナーValentino Garavani(1932− )のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など....1967年にFirenzeで白一色のコレクションを発表してマスコミに大きく取り上げられ、一躍その名を高めた.」の記載がある。

(2)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日岩波書店発行)の[ガラヴァーニ]の項において「ヴァレンティノ Garavani,Valentino通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933−)服飾デザイナー...」との紹介記事が掲載されていること。

同じく、[ヴァレンティノ Valentino]の項において、「ガラヴァーニ、ヴァレンティノ」を見よとの表示があること。

(3)「男の一流品大図鑑'85年版」(昭和59年12月1日講談社発行)において「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」のデザインに係るものとして「スーツ、ブルゾン、シャツ及びバッグ」の商品を紹介しているほか、ベルトを紹介している項において「・・・オフタイムこそ、ヴァレンティノで洒落てみたい。...」の掲載がされていること。

(4)「non−no 1989年 NO23号」(平成元年12月5日集英社発行)において「ヴァレンチノ、ソニア・リキエルから、若々しいbisブランドがデビュー。」の見出しの下「...この秋デビューしたヴァレンチノの「オリバー・ドンナ」...」との掲載がされていること。

(5)「marie claire 1996年2月号」(1996年2月1日中央公論社発行)において「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」が単に「ヴァレンティノ」と略称され、商品「婦人服」等と共に掲載されていること。

(6)「世界の一流品大図鑑、93年版」(平成5年5月20日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO」ブランドの香水が掲載されていること、

そうすると、デザイナー「Valentino Garavani」は、我が国において「VALENTINO GARAVANI」及びその片仮名表記である「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の表示をもって紹介されることのある世界のトップデザイナーであって、かつ、同氏がデザインした婦人服、アクセサリー、バッグ、靴等のファッション関連商品におけるデザイナーズブランドを表示するものとして、本願商標の登録出願時には既に、我が国において著名であったものと認められばかりでなく、単に「VALENTINO」及び「ヴァレンティノ」の表記にあっても、前記デザイナーを指し又はそのデザイナーズブランドないしはその作品群を容易に想起させるものであるとの状況は、本願商標の登録出願時(平成14年6月6日)前において既に我が国の取引者、需要者間に広く認識せられていたものというべきであり、その状況は現在に至るまで継続しているものとみて差し支えないものである。

2 出所混同のおそれについて

(1)本願商標は、前記したとおり、「ValentinoMarudini」文字を書してなるところ、これより外国人の氏名であるかの如くに理解される場合のあることを必ずしも否定するものでない。しかし、請求人(出願人)提出に係る証拠を徴しても、これが我が国の需要者間に特定の外国人氏名であり、かつ、よく知られているとの事情は不明というほかなく、かかる欧文字を一体のものとしてのみ印象付けて記憶するものとするような格別の事情に乏しい状況にあってみれば、これに接する需要者はその構成中の「Valentino」又は「Marudini」の各文字のうち記憶、印象し易い文字部分により取引に資する場合も決して少なくないものというべきである。

(2)そうしてみると、本願商標の指定商品は、ファッション関連商品といえる「時計」とするものであって、その需要者層は老若男女を問わないばかりか、いわゆるブランド品に詳しい者ばかりでないから、本願商標をその指定商品に使用した場合、上述した状況からしてその構成中の「Valentino」の文字部分に着目し、強く印象づけられ、これと本願商標の登録出願時には既に我が国においてその取引者、需要者の間に広く認識されていた国際的なトップデザイナー「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)」又は「VALENTINO GARAVANI」及びその片仮名表記である「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」によるデザイナーズブランドないしはその作品群を容易に想起する「VALENTINO(ヴァレンティノ)」とを関連付けて取引に資する場合があるというべきである。

(3)したがって、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、当該商品が「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)」のデザインに係る商品、又は同人と組織的、経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあるものといわなければならないから、本願商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるものというのが相当である。

3 請求人の主張について

(1)「Valentino」、「VALENTINO」が、イタリアにおいてありふれた名前であるとしても、我が国においては、ファッション関連からみれば、上述のとおり国際的なトップデザイナー「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)」又はそのデザイナーズブランドないしはその作品群を容易に想起するものである。そして、これ以外の「Valentino」をその氏名の一部にするデザイナーないしそのブランドが、単に「Valentino」、「VALENTINO」又は「ヴァレンティノ(バレンチノ)」と略されている状況は見出せない。

(2)また、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)」と何らかの関係がある者以外の「VALENTINO」又は「Valentino」の文字を含む商標登録の存在は認めるとしても、それらの商標がデザイナー「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」との関係で混同を惹起させるものかどうかは、個別・具体的に決せられるものであって、本願における混同可能性を否定する根拠とするのは適切でなく、前記認定を左右するに足りない。

(3)このほか述べる請求人(出願人)の主張及びその提出に係る証拠をもって前記認定を覆すに足りない。

なお、「VALENTINO」の文字をその構成中に有する登録商標に関して、本件と同様に審決又は異議決定をしたものに対する東京高等裁判所における行政訴訟事件において、次のとおり判決されているところである。

(ア)平成14年(行ケ)第201号事件(審判番号07-07234 商標登録第2699605号 商標「GIANNI VALENTINO」 指定商品第19類「台所用品、日用品」)は、平成15年9月30日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。

(イ)平成14年(行ケ)第354号事件(審判番号09-20430 商標登録第2614322号 商標「GIANNI VALENTINO」 指定商品第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」)は、平成15年9月30日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。

(ウ)平成14年(行ケ)第370号事件(審判番号08-20103 商標登録第2357409号 商標「RUDOLPH VALENTINO」 指定商品第17類

「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く) 」)は、平成15年9月29日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された(なお、上告(平成15年(行ノ)第202号、平成15年(行サ)第183号)されている。)。

(エ)平成14年(行ケ)第402号事件(審判番号09-02833 商標登録第2715313号 商標「Rudolph Valentino/「V」図形」 指定商品第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く) 」)は、平成15年9月29日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された(なお、上告(平成15年(行ノ)第201号、平成15年(行サ)第182号)されている。)。

(オ)平成14年(行ケ)第405号事件(審判番号11-35033 商標登録第2629700号 商標「valentino /orlandi」 指定商品第17類「被服、布製身回品、寝具類」)は、平成15年6月19日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。

(カ)平成14年(行ケ)第421号事件(審判番号10-35465 商標登録第2582891号 商標「valentino /orlandi」 指定商品第17類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」)は、平成15年6月19日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。

(キ)平成16年(行ケ)第335号事件(異議番号2003-90376 商標登録第4658091号 商標「「SとV」のモノグラム図形/SILVIO VALENTINO」 指定商品第3類「せっけん類,薫料,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き,靴クリーム,靴墨」)において、平成17年2月24日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。

4 むすび

結局、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとして、その登録を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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