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Trademark Appeal Case

称呼の類似性「バ」と「パ」

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89087(T2004−89087/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4696631号の指定商品中、第9類「事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),石綿織物,石綿製フェルト,絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標登録の無効の審判

1 本件商標

本件商標登録の無効の審判に係る、登録第4696631号商標(以下「本件商標」という。)は、「アルバック」の片仮名文字を横書きしてなり、平成12年12月19日に登録出願、別掲に記載した、第1類、第2類、第4類、第6類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第14類、第16類、第17類、第21類、第37類、第40類及び第42類に属する各商品・役務を指定商品及び指定役務として、同15年6月24日に登録査定、同年8月1日に設定登録されたものである。

そして、その後、同16年12月14日に、その指定商品・指定役務中の第9類「事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),石綿織物,石綿製フェルト,絶縁手袋」及び第21類「家事用手袋」について、放棄による一部抹消の登録がなされているものである。

2 本件商標登録の無効の審判

本件商標登録の無効の審判は、本件商標の指定商品中、第9類の全指定商品、第10類の全指定商品、第16類の全指定商品、第17類の全指定商品及び第21類の全指定商品については、本件商標が商標法4条1項11号に違反して登録されたものであるとして、同法46条1項により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の引用する商標

請求人は、本件商標が商標法4条1項11号に該当するものとして、下記の5件の登録商標を引用しており、いずれも、現に有効に存続しているものである。

(1)登録第3183616号商標(以下「引用A商標」という。)は、「ALPA’C」の欧文字を大きく表し、その下部に「アルパック」の片仮名文字を小さく表した構成からなり、平成6年2月1日に登録出願、第23類「糸」を指定商品として、同8年8月30日に設定登録されたものである。

(2)登録第4044287号商標(以下「引用B商標」という。)は、「ALPA’C」の欧文字と「アルパック」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成8年3月8日に登録出願、第24類「織物(畳べり地を除く),メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身回品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」を指定商品として、同9年8月15日に設定登録されたものである。

(3)登録第1785119号商標(以下「引用C商標」という。)は、「ALPAC」の欧文字を横書きしてなり、昭和58年6月10日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、その後平成7年11月29日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。

(4)登録第3162322号商標(以下「引用D商標」という。)は、「ALPA’C」の欧文字を横書きしてなり、平成5年9月6日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同8年6月28日に設定登録されたものである。

(5)登録第4044288号商標(以下「引用E商標」という。)は、「ALPA’C」の欧文字と「アルパック」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成8年3月8日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同9年8月15日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張の要旨

請求人は、本件商標中、第9類の全指定商品、第10類の全指定商品、第16類の全指定商品、第17類の全指定商品及び第21類の全指定商品の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第22号証を提出した。

本件商標は、片仮名文字「アルバック」を横書きにしてなり、その構成文字に相応した自然的称呼「アルバック」が生じる。

一方、引用A商標、引用B商標及び引用E商標は、欧文字「ALPA’C」と片仮名「アルパック」を二段書きにしてなり、引用C商標は欧文字「ALPAC」を横書きにしてなり、引用D商標は欧文字「ALPA’C」を横書きにしてなるものであるから、これらの引用各商標からは、その構成文字に相応した「アルパック」の自然的称呼が生じる。

本件商標から生じる「アルバック」の称呼と引用A商標ないし引用E商標から生じる「アルパック」の称呼とを比較すると、5音という構成音数を共通にし、第3音の濁音、半濁音にしか差異を有しない。そして、差異音である「バ」と「パ」の音は、共に両唇を合わせて破裂させて発音する音であって、いずれも母音(a)を共通にする近似した音である。また、当該差異音の位置は、称呼の識別上明瞭に聴取するのが困難である中間音にある。そのため、「アルバック」と「アルパック」の称呼は、全体の語調感が極めて近似し相紛らわしく、彼此聴き誤るおそれがあるものといえる。

よって、本件商標は引用A商標ないし引用E商標と、称呼において類似する。

また、本件商標と引用A商標ないし引用E商標は、いずれも通常の片仮名または欧文字の横書き若しくは欧文字と片仮名の二段書きをありふれた字体で横書きしたものにすぎず、外観において特段に強い印象を与えるものではない。加えて、観念においても、本件商標と引用A商標ないし引用E商標は、特段の意味合いを有するものではないから、この点において両商標を比較することはできない。

したがって、本件商標及び引用A商標ないし引用E商標における外観および観念は、称呼における上記の類似性を凌ぐものではない。

よって、本件商標と引用A商標ないし引用E商標は、全体的に観察して類似する商標であるというべきである。

また、本件商標の指定商品中、少なくとも、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),石綿織物,石綿製フェルト,絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」は、引用A商標ないし引用E商標の指定商品と抵触している。

更に、請求人は、引用A商標ないし引用E商標をアトピー性皮膚炎等アレルギ−の原因となる物質を使用しない糸や生地、これらの糸や生地を使用した肌着、ベビー衣料等の商品に使用しており(甲第19号証ないし同第21号証、同第22号証)、肌にやさしい商品としてアレルギー症状に悩む多くの取引者、需要者に愛好されているものである。したがって、本件商標は、引用A商標ないし引用E商標と現実の取引の場においても混同を生じさせるおそれが大きいものである。

以上より、本件商標と引用A商標ないし引用E商標とは類似の商標であり、また、その指定商品も抵触している。

したがって、本件商標の登録は、商標法4条1項11号に違反してされたものであるから、同法46条1項の規定により無効にされるべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。

請求人は、第9類、第10類、第16類、第17類及び第21類の全指定商品の登録を無効とするとの審決を求めているが、被請求人は、平成16年11月30日付で、本件商標の指定商品中、第9類「事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),石綿織物,石綿製フェルト,絶縁手袋」及び第21類「家事用手袋」を放棄する「商標権の一部抹消登録申請書」を特許庁に申請している(乙第1号証)。

そして、上記の放棄された指定商品以外の本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とは、生産部門、販売部門、品質、用途、需要者等を異にする非類似の商品である。

したがって、本件商標と引用各商標とは、商標権の一部抹消登録がされることにより、指定商品が互いに類似しないものであるから、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものということはできない。

してみれば、同法46条1項の規定により、本件商標の登録を無効とすることはできない。

第5 当審の判断

本件商標は、前記したとおり、「アルバック」の片仮名文字を横書きしてなるものであるから、該文字に相応して「アルバック」の称呼を生ずるものである。

他方、引用A商標は「ALPA’C」の欧文字を大きく表し、その下部に「アルパック」の片仮名文字を小さく表した構成からなるものであり、引用B商標は「ALPA’C」の欧文字と「アルパック」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるものであり、引用C商標は「ALPAC」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用D商標は「ALPA’C」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用E商標は「ALPA’C」の欧文字と「アルパック」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるものであるから、いずれも、それぞれの文字に相応して「アルパック」の称呼を生ずるものと認められる。

そこで、本件商標から生ずる「アルバック」の称呼と引用各商標から生ずる「アルパック」の称呼とを比較するに、両称呼は、いずれも5音からなっており、第3音において「バ」と「パ」の差異を有する点を除き、他の4音を共通にするものである。そして、該差異音である「バ」と「パ」の音にしても、母音(a)を共通にする濁音「バ」と半濁音「パ」の差にすぎないものであり、しかも、比較的聴別され難い中間に位置するものである。

そうとすれば、両称呼は、それぞれを一連に称呼した場合、その語調、語感が似たものとなり、称呼上、相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。

そして、本件商標の指定商品中の第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第17類「絶縁手袋」及び第21類「家事用手袋」は、引用C商標ないし引用E商標の指定商品に含まれる「手袋」と類似するものであり、第9類「防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」は、引用C商標の指定商品に含まれる「防火被服、防じんマスク、防毒マスク、溶接マスク」と同一又は類似するものであり、第16類「紙製幼児用おしめ」は、引用C商標ないし引用E商標の指定商品に含まれる「おしめ」と類似するものであり、第17類「糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。)」は、引用A商標の指定商品に含まれる「糸」と類似するものであり、第17類「石綿織物」は、引用B商標の指定商品に含まれる「織物(畳べり地を除く)」と類似するものであり、第17類「石綿製フェルト」は、引用B商標の指定商品に含まれる「フェルト及び不織布」と類似するものというべきである。

この点について、被請求人は、商標権の一部抹消登録申請書(乙第1号証)を特許庁に提出しており、商標権の一部抹消登録がされることにより、本件商標と引用各商標とは互いに類似しないものであるから、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものということはできない旨主張している。

しかしながら、商標法4条1項11号違反を理由とする無効審判は、争いになっている商標が登録査定時において同号に違反していたか否かが争点となるものであり(指定商品・指定役務が2以上ある場合は、指定商品・指定役務毎に判断される)、商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その商標権は、初めから存在しなかったものとみなされるものである。これに対して、商標権の一部を放棄した場合、その放棄の効力が発生するのは、抹消登録時であり(商標法35条において準用する特許法98条1項1号)、しかも、将来に向かって失効するものと解されるものである。

そうとすれば、商標権の一部抹消登録がされたとしても、当該商標に内在している無効理由自体が登録査定時に遡って解消するものではないから、この点についての被請求人の主張は採用できない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第9類「事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),石綿織物,石綿製フェルト,絶縁手袋」及び第21類「家事用手袋」について、商標法4条1項11号に違反してされたものであるから、同法46条1項の規定により、上記商品についての登録を無効とすべきである。

しかしながら、本件無効審判の請求に係るその余の指定商品については、引用各商標の指定商品とは生産部門、販売部門、品質、用途、需要者等を異にする非類似の商品というべきであるから、商標法4条1項11号に違反して登録されたものではなく、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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