Trademark Appeal Case
デジタル教科書の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−10469(T2003−10469/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「デジタル教科書」の文字を標準文字として表してなり、第9類「CD−ROMその他の記録媒体に記録されて定期的に発行される電子出版物」を指定商品として、平成14年8月8日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同15年4月30日付け手続補正書により、第9類「CD−ROMその他の記録媒体に記録されて定期的に発行される電子出版物(教科書に準拠したもの及び教科書に関連したものに限る。)」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『デジタル教科書』の文字を横書きしてなるところ、『デジタル』の文字部分は、『ある量またはデータを有限桁の数字列として表示すること』を意味する語で、『教科書』の文字部分は、『学習用教材として使用される図書』を意味する語であるから、指定商品との関係において、これよりは『学習用教材として使用される図書をあるデータを有限桁の数字列として表示したCD−ROM』の意味合いを理解、認識させるものであるから、これを本願の指定商品中、『前記に照応する商品』に使用するときは、単に、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがありますので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「デジタル教科書」の文字を横書きしてなるところ、該構成文字は、「アナログの反意語で、ある量またはデータを有限桁の数字列として表現すること」を意味する語である「デジタル」の文字と「学習用教材として使用される図書」を意味する語(「広辞苑第5版」株式会社岩波書店発行)である「教科書」の各文字を結合したものと容易に理解されるものである。
そして、近年、コンピュータ及びネットワーク技術の発展・普及により、従来、紙媒体で流通していた情報のデジタル化が進行し、百科事典や各種の事典・辞典類がCD−ROM形態で提供されるようになり、現在では、書籍、雑誌、新聞だけでなく、絵画などの美術作品を対象としたデジタル化も行われている実情があることよりすれば、本願商標よりは、「CDーROMその他の記録媒体に記録されてデジタル化された教科書(学習用教材)」の意味合いを容易に理解・認識させるとみるのが相当である。
さらに、「デジタル教科書」の文字が、商品の品質を表示するものものとして普通に使用されていることは、例えば、新聞記事情報、各種商品を紹介するインターネットのホームページにおいて、以下の記事があることからも十分に裏付けられるところである。
(1)1998.6.22 「毎日新聞」東京朝刊 13頁
「[特集]デジタル時代を読む1998 ・・将来の教育ソフトの見通しは。・・いま
デジタル教科書
を作っている。シミュレーションゲームを取り入れたものだ。」
(2)2001.4.2 「日刊工業新聞」9頁
「衛星ブロードバンド(広帯域)で中国主要3都市の大学間をネット接続。デジタルデバイド(情報格差)の解消や国境を越えた衛星ネットの多目的利用などをねらいとする遠隔教育実験が上海、蘇州、北京の大学を結び行われた。・・【双方向性を発揮】具体的には大学の屋上に直径3.5メートルほどの送受信アンテナを設置、教室には送受信やビデオ・オン・デマンド(VOD)に対応した
デジタル教科書
用のパソコン3台とカメラ、スピーカー、スクリーンを配置して簡単な“放送大学”を築いた。」
(3)「DINF障害保健福祉研究情報システム 発展する
デジタル教科書
・・有用性 視覚障害者及びディスレクシアのための録音団体(RFB&D)の、デジタル録音図書技術分野への参入とともに、全国的なレベルでのデジタル教材の有用性が著しく高まった。これらの
デジタル教科書
は、現在、構造的な音声フォーマットで利用できるようになっている。」
(http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/04csun/noble.html)
(4)「『国語の力』を育むIT活用・・光村図書出版株式会社・・2.『
デジタル教科書
』の開発コンセプトと基本構成 『
デジタル教科書
』とは、プロジェクタなどの教材提示装置を用いた一般教室での一斉学種のための教授用ソフトウェアである。」一般教室における普段の授業の中で教科書と併せてご活用いただくことを基本とし、『教科書を忠実に再現すること』と『シンプルな構成と操作性』を開発コンセプトとした。」
(http://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyoka/kokugo/S_digital/01.asp)
(5)「デジタル教科書『教科書プラスNo1』特殊教育におけるコンピュータ利用協議会(文部科学省コンソーシアム)」
(http://www.dik.co.jp/home/jpn/service/digi_book/sample/)
(6)「第154回国会 衆議院文部科学委員会での議事録(抜粋)2002/07/03 ・西委員 次に、
デジタル教科書
についてでございます。先日の当委員会でも、拡大教科書という話が議論になりました。私も、以前
デジタル教科書
を作成するようにというふうに提言したことがあるんですけれども、弱視の児童生徒にとって強い要望のある拡大教科書問題を解消するという側面だけでなくて、目の不自由な児童生徒も、音訳ソフトを使えば音声の教科書として利用することも可能になるわけでございます。」
(http://page.freett.com/LVC/kakudaikyoukasyo/touben/020703.htm)
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する需要者をして、「CDーROMその他の記録媒体に記録されてデジタル化された教科書(学習用教材)」であるものと理解させるに止まり、単に商品の品質を表示したものと認識させるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、定期的に発行されるパッケージ系で且つコンテンツ系の電子出版物についても、紙の定期刊行物の題号と同様の取り扱いがなされるべき旨主張するが、前記認定のとおりであるから、請求人のこの主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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