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Trademark Appeal Case

不使用取消の証拠不十分

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第9606号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第2205379号商標の指定商品中「被服(和服,溶接マスク,防毒マスク,防じんマスク,防火被服を除く)」についてはその登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2205379号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和62年7月29日に登録出願され、別紙に示すとおりの構成よりなり、第17類「洋服、コート、下着、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録されたものである。

2 請求の趣旨

被請求人は、本件商標の指定商品中「被服(和服,溶接マスク,防毒マスク,防じんマスク,防火被服を除く。)」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を概略次のように述べている。

(1)本件商標はその指定商品中、上記の商品について継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る上記の商品についての登録は取消されるべきである。

そして、本件商標の登録原簿謄本(甲第1号証)によれば、専用使用権者、通常使用権者の設定登録はなされていないものである。

以上の理由により、本件審判請求は請求の趣旨どおりの審決を求める次第である。

なお、請求人は、商標「The DUFFER of ST.GEORGE +図形」について商標出願を行っており(商願平7−77062)、平成8年11月15日付で、同商標は本件商標に類似する旨の拒絶理由を受けた。そこで、本件商標を、その指定商品中上記の指定商品と類似する商品について取消すべく取消審判を請求した次第である。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、答弁書において、本件商標の使用説明書を提出し、通常使用権者である有限会社テネット(住所 福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号)及び有限会社トリプレックス(住所 福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号)が本件商標をその指定商品の一部(シャツ、詳細にはTシャツ)に使用している、また、ずぼん、コート、シャツ、ジャケット等の被服についても過去、本件商標を使用してきた実績がある、旨主張している。

さらに被請求人は、平成10年7月3付答弁書証拠補充書において、有限会社テネット及び有限会社トリプレックスの従業員の証明書を提出している。

しかしながら、以下に述べるような理由により、被請求人提出の使用説明書及び証明書は、本件商標の過去3年間の使用の証明には不十分である。

▲1▼答弁書について

被請求人は、通常使用権者である有限会社テネットが、福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号秀和舞鶴レジデンス104号にある衣料品店「ヴインテージキング」において本件商標を使用したTシャツ(シャツ)を少なくとも平成6年6月5日から平成9年6月5日の間販売している旨主張し、使用説明書(1)を提出している。

しかしながら、使用説明書(1)の証明書は、通常使用権者・有限会社テネットが自らの使用の事実を主張しているものに過ぎず、それだけをもって客観的な本件商標の使用証明となるものではない。また、それに添付された写真には撮影年月日が記されており、同写真は1998年5月31日に撮影された事が明らかである。すなわち、同写真は、本件審判請求日から1年近く経った後、被請求人の答弁書提出のわずか3日前に撮影されたものに過ぎず、商標法第50条第2項が要求する本件審判請求の登録前3年以内の使用の証明にはならない。

次に被請求人は、通常使用権者である有限会社トリプレツクスが、福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号秀和舞鶴レジデンス102号にある衣料品店「トリプレックス」において本件商標を使用したTシャツ(シャツ)を少なくとも平成6年6月5日から平成9年6月5日の間販売している旨主張し、使用説明書(2)を提出している。

しかしながら、使用説明書(2)の証明書も(1)と同じく、通常使用権者が自ら用の事実を主張しているものであり、客観的に本件商標の使用を証明するものではない。また、それに添付された写真のTシャツには、タグの部分に本件商標らしき標章が付されている。その標章のタグは、衣服のサイズを表す記号「L」を含むタグの上に重ねて縫い合わされているものであるが、標章のタグが向かって右上がりにずれて縫い合わせてあり、極めて不自然である。この写真からは、本件商標が実際にこのように使用されていたのか、あるいは、使用証明の際に縫い合わせて写真を撮影したものなのか不明である。

さらに、同写真には右下に撮影年月日が記されており、同写真は1998年5月31日に撮影されている。すなわち、同写真は(1)の写真と同様に、被請求人の答弁書提出のために撮影されたものに過ぎない。したがって、同写真は、商標法第50条第2項が要求する本件審判請求の登録前3年以内の使用の証明にはならない。

▲2▼答弁書証拠補充書について

被請求人は、上記答弁書の補充証拠として、本件商標の通常使用権者である有限会社テネット及び有限会社トリプレックスの従業員の証明書を提出している。各証明書は、上記会社の従業員が『私は有限会社テネット(トリプレックス)の従業員であって、別紙写真に示すTシャツを、福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号秀和舞鶴レジデンス104号(102号)にある衣料品店「ヴィンテージキング(トリブレックス)」において少なくとも平成6年6月6日から平成9年6月5日迄の間において、販売していることに相違ありません。』と宣言し、それにTシャツの写真が添付される構成になっている。しかし、この証明書は以下の点において本件商標の使用の証明には不十分である。

〔証明書について〕

(イ)まず、上述のように、同証明書は本件商標の通常使用権者の従業員が宣言しているのに過ぎない、という点である。商標の使用の証明は客観的なものであることが必要であるところ、かかる通常使用権者の従業者の証明書だけをもって使用の証明とすることはできない。

(口)さらに、その証明書はすべて、「私は〜〜販売していることに相違ありません」という型の文章の下部に日付、住所及び名前を記入する形式であり、それはいわば一種の署名であるに過ぎないので、客観性、信憑性を著しく欠くものである。

〔証明書に添付の写真について〕

(ハ)次に、証明書に添付された写真は、(a)楽器を持った5人のグループがプリントされている写真(FORTUNE&CO.の文字が写っているものとその部分が隠れているものがある)、(b)HAWAIIの文字とサーフボードを持った少年がプリントされているTシャツの写真、及び(c)左胸にSTREET SHUFFLEの文字と図形がプリントされているTシャツの写真、の3種類に大別することができる。

以下に、それらの添付写真も本件の有効かつ客観的な証拠としては採用できない旨を主張する。

まず、上記(a)〜(c)の写真はすべて、その撮影年月日が記されていない。撮影時に日付の設定をし忘れたのか、故意に設定しなかったのか、若しくは、日付の記載を消して複写したのか、定かではない。しかし、いずれにせよ、もしそれらの写真が本当に、被請求人が本件商標の使用を主張する平成6年6月5日から平成9年6月6日の間に撮影されていたものならば、被請求人はそれを主張するべきであり、また主張したはずである。

また、(a)及び(c)の写真は上記▲1▼の被請求人答弁書に添付の写真(1998年5月31日撮影)と全く同じTシャツをやや拡大して撮影されたものであり、答弁書に添付の写真よりも、本件商標のタグ部分が大きくはっきりと写されている。かかる(a)及び(c)の写真が、もし平成6年6月5日から平成9年6月5日の間に撮影され答弁書提出の際にも添付することが可能であったのならば、証拠補充というかたちをとらずに、当初から答弁書に添付されていたはずである。にもかかわらず、本件の証拠としては不十分かつ不適切な写真(本件審判請求の登録前3年以内の使用の証明とはなり得ない1998年5月31日の日付入りで、本件商標の部分が小さくはっきりしない写真)を答弁書に添付していることから、(a)及び(c)の写真は1998年5月31日以後に撮影されたので答弁書提出には間に合わなかったものと推測できる。

以上により、答弁書証拠補充書に添付の写真は平成6年6月5日から平成9年6月5日の間に撮影されたものと判断することはできず、この点において本件の使用証拠としては不適切である。

(二)さらに、添付写真のタグ部分の拡大写真(各写真ページの上部写真)に見られるように、写真に写されているTシャツには2種類のタグが付いている。すなわち、(a)については「Fabric Made in U.S.A.Assembled in Honduras+図形」のタグの上から本件商標を付したタグが縫い合わされており、そのため、図形の上半分が覆われてしまっている。(b)も同様に、「PRO WEIGHT+図形」のタグの上に本件商標を付したタグが縫い合わされているので、図形部分の上半分が覆われてしまっている。(c)についても「PRE SHURUNK...」のタグの上半分が、その上から縫い合わされた本件商標のタグに覆われている。これらの写真のように本件商標のタグをきっちりと縫い合わせると下のタグが見えなくなるので、このような場合、各タグの上の方だけを縫うのが一般的であり、写真のような縫い合わせかたは極めて不自然である。すなわち、今回撮影をするにあたって、既存のTシャツのタグの上に縫い合わされたものであるに過ぎない可能性がある。

▲3▼上記のように、証明書が客観的な信憑性に欠けること、答弁書に添付の写真が審判請求の約1年後に撮影されたことが明白であること、答弁書証拠補充書に添付の写真がいつ撮影されたものなのか不明であること及び本件商標が表されたその写真のタグ部分が極めて不自然であること等を総合的に斟酌すると、被請求人の答弁書及び答弁書証拠補充書は、本件審判請求登録前3年の本件商標の使用の事実を証明するものではない。

したがって、本件商標はその指定商品中「被服(和服,溶接マスク,防毒マスク,防じんマスク,防火被服を除く。)」についての登録は商標法50条の規定により取り消されるべきである。

なお、本件商標がもし実際に使用されていた場合には、被請求人は日付の入った仕切伝票・納品書、広告宣伝等が掲載された印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)、公的機関等の証明書等を提出し、本件商標の使用の事実を客観的に立証する必要がある。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、証拠方法として登録商標の使用説明書(1)及び(2)、有限会社テネットの従業員の証明書、有限会社トリプレックスの従業員の証明書を提出した。

(1) 請求人は、本件商標はその指定商品中「被服(和服,溶接マスク.防毒マスク,防じんマスク.防火被服を除く。)」につき継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用福者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、上記商品についての登録は取り消されるべきである。また、本件商標の登録原簿謄本によれば、専用使用権者、通常使用権者の設定登録はなされていない。と主張している。

しかし、添付する登録商標の使用説明書に示すように、本件商標権者である吉田信明が所有する本件商標は、通常使用権者である有限会社テネット(住所 福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号)及び有限会社トリプレックス(住所 福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号)が、本件商標をその指定商品の一部(シャツ、詳細にはTシャツ)に使用している。また、ずぼん、コート、シャツ、ジャケット等の被服についても過去、本件商標を使用してきた実績がある。

即ち、有限会社テネットは福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号秀和舞鶴レジデンス104号にある衣料品店「ヴィンテージキング」において本件商標を使用したTシャツ(シャツ)を少なくとも平成6年6月5日から平成9年6月5日の間、販売している。

また、通常使用権者である有限会社トリプレックスは福岡県福岡市中央区舞鶴1丁目6番12号秀和舞鶴レジデンス102号にある衣料品店「トリプレックス」において本件商標を使用したTシャツ(シャツ)を少なくとも平成6年6月5日から平成9年6月5日の間、販売している。

さらに、衣料品店「ヴィンテージキング」、「トリプレックス」の両店舗において、少なくとも平成6年6月5日から平成9年6月5日の間に本件商標を使用したずぼん、コート、シャツ、ジャケット等の被服についても販売してきた実績がある。

従って、請求人の本件商標はその指定商品中「被服(和服,溶接マスク,防毒マスク・防じんマスク,防火被服を除く。)」につき継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しない」という主張は成り立たない。

以上の理由から、前記答弁の趣旨の通りの審決を求めるものである。

(2)補充証拠

先に提出した答弁書の補充証拠として、本件商標の通常使用権者である有限会社テネットの従業員の、本件商標を使用したTシャツを少なくとも平成6年6月5日から平成9年6月5日の間、衣料品店「ヴィンテージキング」において販売しているという証明書を提出する。

また、同じく通常使用権者である有限会社トリプレックスの従業員の、本件商標を使用したTシャツ(シャツ)を少なくとも平成6年6月5日から平成9年6月5日の間、衣料品店「トリプレックス」において販売しているという証明書を提出する。

4 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取り消し審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明確にしない限り、その登録の取り消しを免れない。

そこでまず、本件審判において被請求人より提出された答弁書に添付の登録商標の使用説明書(1)及び(2)をみるに、これらの使用説明書は、被請求人が本件商標権の通常使用権者であるという有限会社テネット及び同じく有限会社トリプレックスが商標権者が用意したと認められる(印刷された。)本件商標をTシャツに付して販売した旨の証明書であって、これに添付された写真の撮影年月日は本件審判請求の登録から10月程後のものであり、かつ、本件商標のタグが該Tシャツの別のタグの上に縫い合わされたと認められる極めて不自然なものである。

次に、追加資料として提出された答弁書証拠補充書についてみるに、この補充書に添付の18通の証明書は、答弁書に添付の証明書と同様、前記の有限会社テネット及び有限会社トリプレックスの従業員が、それぞれ商標権者が用意したと認められる同じ文面からなる証明書に本件審判請求の登録から約11月後の平成10年6月22日以降に署名、押印したものであり、これに添付された写真には撮影年月日が表示されておらず、そのうえ、三種類のTシャツに付された本件商標のタグは、前記答弁書に添付のものと同様に極めて不自然なものである。

そして、被請求人は、答弁書及び答弁書証拠補充書において前記3の如く答弁するのみで、請求人の前記2(2)の弁駁に対し何らの答弁もしていないばかりでなく、本件商標が被請求人(又は通常使用権者)によって本件審判の請求の登録前3年以内に商品「被服」について商取引の実際において使用されたことを客観的に証明する証拠の提出もない。

以上のとおり、被請求人が提出した登録商標の使用説明書及び各証明書によっては、被請求人が本件商標を指定商品中の「被服」について使用していたものということはできない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人により本件審判の請求に係る商品「被服(和服,溶接マスク,防毒マスク,防じんマスク,防火被服を除く。)」について、使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「被服(和服,溶接マスク,防毒マスク,防じんマスク,防火被服を除く。)」についての登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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