Trademark Appeal Case
「速聴機」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−6366(T2003−6366/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「速聴機」の文字を標準文字とし、第9類の願書記載の商品を指定商品とし、平成13年11月1日に登録出願、その後、指定商品については、平成14年10月21日付手続補正書をもって、「テープレコーダ,オーディオ再生機」と補正されたものである。
2 原査定の要旨
原査定は、「本願商標は、高速音声による聴覚刺激を行う機器、換言すれば速聴訓練用機器を指称したと看取させる『速聴機』の文字を書してなるものであるから、このようなものを速聴訓練もその用途の一とすると判断される補正後の指定商品『テープレコーダ,オーディオ再生機』に使用しても、単に商品の品質、用途を表してなるにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、例え本願商標が前記法条に該当するとしても、商標法第3条第2項の要件を具備している旨を主張するが、提出された資料によっては、使用による識別性を有するに至ったことを認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張の要旨
「速聴」は、請求人が初めて開発した潜在能力開発メソッドであって、「速聴」自体出願人が創造した造語であり、既に商標登録を受けている。本願商標「速聴機」は、この「速聴」メソッドを行う特殊テープレコーダ及びCD−ROMの特殊オーディオ再生機の商標であり、現在まで出願人しか販売していない。「速聴機」自体長年にわたって広告宣伝され、既に多量に販売しているから、本願の指定商品「テープレコーダ,オーディオ再生機」の取扱業者、需要者においては、既に使用により出所表示機能を具備している。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当したとしても、使用により識別力を有するに至ったものであり、商標法第3条第2項の規定により、登録されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「速聴機」の文字よりなるところ、本願商標を構成する「速」、「聴」及び「機」の語は、広辞苑第五版によれば、それぞれ「はやいこと。」、「耳を立ててよく聞くこと。聞きとること。」、及び「細かいはたらきをする、組み立ててできた道具」等の意味合いを有する語であり、いずれも我が国において広く親しまれ、他の語と組み合わせ、例えば「速報(早く知らせること)」、「聴力(音を聴きとる能力。)、及び「機械(しかけのある器具。からくり。」のように熟語を形成するものとして、普通に使用されている語であるから、全体として「速く聴くことのできる機械」の如き意味合いを容易に看取させるものである。
そして、「速聴」の文字、及び指定商品を取り扱う業界については、次のような実情にある。
(A)速いスピードで聴き学習効果を上げることを内容とする請求人以外の者による書籍が多数販売されている事実が、例えば、書籍を販売するインターネットウェブサイト(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/browse/-/489986/249-8864732-7700348)において、「速聴」の文字をキーワードに検索すれば容易に確認することができる。
(B)再生スピードを変更することのできるテープレコーダー、ICレコーダ等が、ソニー株式会社(「2004.6 ICレコーダー/テープレコーダー/ラジオ/ラジオカセット総合カタログ」参照)、松下電器産業株式会社(「Panasonic 2004/8−9 ICレコーダー・レコーダー・ラジオ総合カタログ」参照)、日本ビクター株式会社(「ポータブルオーディオ総合カタログ2004Winter」参照)、株式会社東芝(「http://www.toshiba.co.jp/webcata/it/dmr_p1.htm」参照)、三洋電機株式会社(「http://www.sanyo-audio.com/case_rec/mr65/index.html」参照)等から販売されている事実がある。
(C)「速聴」の語は、辞書には掲載されてはいないが、(A)の検索結果から、「速聴」の文字と並べ使用されることの少なくない「速読」の文字が、「本などを速く読むこと」(広辞苑第5版)の意味を有する成語として一般に使用されている。
以上、本願商標を構成する各文字が広く親しまれ普通に使用されている語であって、これを一連に書した本願商標から前記した意味合いを容易に看取させること、及び、(A)ないし(C)の実情を総合的に勘案すれば、「速聴機」の文字を普通に表示してなる本願商標は、現在において、これをその指定商品に使用するとき、「速く聴くことの出来る機械」あるいは「速く聴くための機械」であるという商品の品質、機能、用途等を表示するものと認識させるに止まるものと判断するを相当とする。
(2)商標法第3条第2項に該当するとの主張について
請求人は、上記3において、「速聴」の文字は、請求人の創造した造語であると述べているので、まず、この点について検討する。
請求人の主張、及び提出された添付資料3によれば、本願商標の使用開始時期は、1993年(平成11年)とされるところ、1983年(昭和58年)2月10日プレジデント社発行の書籍「速聴の英語」には、「速聴(ネイティヴの英語を、英語本来のリズムで聴く)とは、「耳で行う速読」であり、あの「速読」は、「目で行う速聴である」のだ。(21頁13行ないし15行)」の記載が有ることからすれば、請求人が本願商標を使用する10年程前にすでに、「速聴」の文字は請求人以外の者によって、書籍の題号、及び「早く聞く」という意味合いをもって使用されていたと認められるから、「速聴」が請求人の創造した造語であるとの主張は、これを採用することができない。
次に、請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項に該当すると主張し、添付資料1ないし11(原審で提出のものを援用)を提出しているので、当該資料について検討する。
平成14年10月24日付提出の添付資料1及び2は、商標の商品への使用を示す写真であるところ、「速聴機」の文字が下段の写真において表示されていることは認められるが、商品全体を表示した上段の写真中には、下段に示された写真に表示された部分が見当たらず、これをもって、本願商標をその指定商品に使用しているとすることはできない。
次に、添付資料3は、請求人の会社概要であるが、資料中に「4倍速速聴機」の文字は表示されているものの、「速聴機」のみの使用は見当たらず、これをもって、本願商標をその指定商品に使用しているとすることはできないものである。
同じく、添付資料4ないし8は、書籍の広告、及び書籍・雑誌の抜粋であるが、書籍の広告をもって、本願の指定商品の広告状況を表すものとすることはできず、また、添付資料5及び6の書籍に抜粋は、「速聴と能力開発プログラムが融合するSLBS」をタイトルとして、その下部に、「速聴機」の文字を「スーパーリスニングシステム」の文字とともに表示するものであり、これをもって、本願商標をその指定商品に使用する広告とすることはできず、また、添付資料7及び8の雑誌の抜粋においても、「速聴機」の文字が指定商品について商標として使用されていると認めうる表示は見当たらないから、これら資料をもって本願商標の使用実績を推し量る証左とすることはできない。
そして、平成14年11月12日付提出の添付資料9は、商品売上額についての書面であるが、これは、請求人本人の組織に属する商品管理部次長が作成した書証であることから、本願商標の使用状況を示すものとしては、客観性に欠けるといわざるをえないものである。
また、平成15年1月14日付提出の物件提出書をもって提出された書面(同日付提出の上申書の記載から添付資料10と推認される)中、「資料1 2」「3」「4」と示されている書面は、その内容が書籍の販売数であることから、これをもって本願商標の使用実績を推し量る証左とすることはできない。
また、同日付提出の資料2ないし4は、請求人の作成にかかる商品パンフレットであるが、各パンフレット中に、「4倍速速聴機」、「速聴」の文字は見受けられるものの、「速聴機」の文字については、「世界初の4倍速速聴機、ついに登場!」、「再生スピードを事由に調節できる世界唯一のCD速聴機です。」、「アルファ波をコントロールしながら、自動再生・停止する多機能CD速聴機で、思い通りの能力開発が可能に!」、のように、文中の記述的な説明に使用されるのみであり、また、このパンフレットの配布先(地域)、配布枚数等が明らかでないから、これのみでは、本願商標が使用され、取引業界において請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっているとすることはできない。
そして、添付資料1及び2を補足する、平成15年1月7日付提出の添付資料11「使用商標の商品への使用態様を示す写真」は、資料1及び2の商品との同一性が確認できず、これをもって、本願商標をその指定商品に使用しているとすることはできない。
以上、請求人が提出した、上記の資料1ないし11それ自体を、また、これらを総合して検討しても、本願商標が使用により、取引業界において何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっているとはいえないから、このことをいう請求人の主張は採用することができない。
また、職権をもって調査するも、請求人の主張を補完する証左は発見できなかった。
(3)結論
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとの原査定の認定は妥当なものであり、また、本願商標が使用により、取引業界において何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいえないから、結局、原査定を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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