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Trademark Appeal Case

商標使用の定義と立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−30306(T2004−30306/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4132868号商標(以下「本件商標」という。)は、「太助」の文字を横書きしてなり、平成8年1月18日登録出願、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節、寒天、削り節、とろろ昆布、干しのり、干しひじき、干しわかめ、焼きのり」を除く。),豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,食用油脂,なめ物,食用たんぱく」を指定商品として、同10年4月10日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中『食肉,肉製品』について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中の「食肉,肉製品」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上日本国内において使用した事実は無いから、商標法第50条第1項の規定により、上記指定商品については、取り消されるべきである。

なお、請求人は、商願2004−8325(平成16年1月30日出願)の出願人であることを付言する。

2 答弁に対する弁駁

被請求人は、答弁書による使用事実1、使用事実2の疎明を以ってしても、以下の点からして商標法第50条第1項に規定する使用の事実を証明しきれたことにはならない。したがって、請求人は、本件審判についてその請求の趣旨どおりの審決を求める。

(1)答弁書の使用事実1に対して

ア.証明されない事実1

仮に、ビニール袋(乙第2号証)と包装紙(乙第3号証)とが、真正に被請求人のものであったとしても、遅くとも平成15年12月までに、「鯨ベーコン」を仕入れ、販売する段階に、そのビニール袋と包装紙とが使用されたという客観的な事実証明は全く無く、宣誓認証付きとはいえ、唯一が、被請求人と利益を共にするその社員の証明書のみであって、あくまで主観的な事実証明の域を脱していない。

イ.証明されない事実2

「鯨ベーコン」は、平成4年4月1日施行の「商品及び役務の区分」に基づく類似商品・役務審査基準で、「食用魚介類(生きているものを除く。)」に指定されたものであるばかりでなく、改正以前においても、また、平成14年1月1日から施行された現行審査基準でも、一貫して同じ取扱いとされてきているとおりであり、「鯨ベーコン」を「食肉」扱いすることに全く根拠が無い。

(2)答弁書の使用事実2に対して

ア.証明されない事実1

仮に、ビニール袋(乙第2号証)と包装紙(乙第3号証)とが真正に本件商標権者のものであり、それが仮に黙示の通常使用権を付与したというグループ企業の株式会社昭和の店に渡ったとして、その店で遅くとも平成15年12月に、「ハムの詰め合わせ」を仕入れ、販売する段階に、御歳暮贈答品としてそのビニール袋と包装紙とが使用されたという客観的な事実証明は全く無く、宣誓認証付きとはいえ、唯一、株式会社昭和において利益を共にするその社員の証明書のみであり、あくまで主観的な事実証明の域を脱していない。

イ.証明されない事実2

仮に、御歳暮贈答品である「ハムの詰め合わせ」にそのビニール袋と包装紙とが使用されたとして、その商品は伊藤ハム株式会社が予め贈答品としてセットしたものであり、何処の企業が取り扱ったとしてもそれは伊藤ハム株式会社製の「ハムの詰め合わせ」に変わりがなく、何を以ってして被請求人の商品と言えるのか。ビニール袋または包装紙は、単なる搬送手段または保護紙としての機能を果たしているにすぎないものであり、したがって、それは商標法第2条第3項に規定する「使用」には当らない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。)を提出した。

1 答弁の理由

(1)使用の事実1

ア.被請求人は、自己が経営する店舗において、遅くとも平成15年12月までに「肉製品」を販売し、その際、本件商標に係る商標と社会通念上同一の商標が付された包装紙で当該商品を包装している。

当該事実は、商標法第2条第3項第2号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡」するものであることから、本件商標の使用に該当する。

イ.被請求人は、愛知、岐阜、三重等において、スーパー等のインストアーとして出店しており、その中の一つとして「太助アピタ東海荒尾店」がある。

「太助アピタ東海荒尾店」において、商品販売の際、商品を包装するために、ビニール袋及び本件包装紙(「本件包装紙1」)を使用している(乙第2号証及び乙第3号証)。

本件のビニール袋及び本件包装紙1には、「塩干の太助」及び「塩干太助」という商標が付されているが、当該商標のうち、「塩干の」及び「塩干」の部分に比べ、「太助」の文字部分は大きく表示されている。また、「塩干」というのは、商品の内容を表す一般的な用語にすぎないものであるから、「太助」の文字部分が商標の要部である。

そして、本件商標と上記商標の要部である「太助」の文字は、社会通念上同一の商標である。

ウ.本件のビニール袋及び本件包装紙1は、「昌和物産株式会社」で作成され、納品されている(乙第4号証)。

エ.乙第5号証の商品の納品書より、平成15年12月に、「太助アピタ東海荒尾店」は、「株式会社昭和」より「鯨のベーコン」を仕入れていることは明らかである。

そして、「鯨」は「食用魚介類」としての側面と「食肉」としての側面をも併せて有しており、このことから、一般需要者は、「鯨のベーコン」は、「加工水産物」としての側面と、「肉製品」としての側面の二面性を有する商品であると認識するのが通常である。

よって、仮に、「鯨のベーコン」が、指定商品「加工水産物」の概念に属するからといって、それだけで直ちに「鯨のベーコン」が指定商品「肉製品」の概念に属しないことの根拠とはなり得ない。

オ.上記の事情を総合的に考慮すれば、平成15年12月の段階で、被請求人は、「太助アピタ東海荒尾店」において、「肉製品」に属する「鯨のベーコン」を仕入れて販売し、その販売の際、本件商標と社会通念上同一の商標が付されている本件のビニール袋及び本件包装紙1により、かかる「鯨のベーコン」を包装していたことは明らかである。

そして、本事実を証明するため、「太助アピタ東海荒尾店」で商品の仕入れ、管理、販売等の業務に従事している山本圭介氏の証明書及び宣誓証明書を提出する(乙第9号証及び乙第16号証の1)。

(2)使用の事実2

ア.本件商標の通常使用権者である「株式会社昭和」は、その経営する店舗「SPルーム昭和」において、遅くとも平成15年12月頃に「肉製品」を販売し、その際、本件商標と社会通念上同一の商標が付された包装紙(乙第13号証)で当該商品を包装している。

当該事実は、商標法第2条第3項第2号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡」するものであることから、本件商標の使用に該当する。

イ.被請求人の商業登記簿謄本及び「株式会社昭和」の商業登記簿謄本より、被請求人が、「株式会社昭和」を中核に構成される「昭和グループ」に属するグループ企業であることは明らかであり、被請求人は、本件商標について、設定登録と同時に自社で使用するだけでなく、グループ企業の中核である「株式会社昭和」に黙示で使用を許諾していることは明らかである。

ウ.本件商標の通常使用権者である「株式会社昭和」は、愛知県名古屋市明野町において、飲食品類を販売する店舗である「SPルーム昭和」を経営している(乙第1号証)。

この「SPルーム昭和」は、一般の飲食品のみならず、飲食品の贈答品も販売している。

乙第11号証は、平成15年12月における「SPルーム昭和」への納品書である。この納品書より、平成15年12月には、「SPルーム昭和」に対し、「MD−401」等の商品が納品されていたことは明らかである。

なお、この納品書に示されている品名「MD−401」等は、商品の番号であり、これらは、乙第12号証に示すように、贈答品である「ハムの詰め合わせ」の一品種を意味する。

以上より、遅くとも平成15年12月には、「SPルーム昭和」において、乙第12号証に示す贈答品の各種「ハムの詰め合わせ」が納品されていたことは明らかである。

エ.また、「SPルーム昭和」において、商品販売の際、商品を包装するために使用している包装紙(「本件包装紙2」)を乙第13号証に示す。

本件包装紙2には、「塩干・珍味・贈答品の太助」という商標が付されていることは明らかである。そして、当該商標のうち、「塩干・珍味・贈答品の」の部分に比べ、「太助」の文字部分が大きく表示されている。また、「塩干・珍味・贈答品」というのは、商品の内容を表す一般的な用語にすぎない。

よって、本件包装紙2に表示された商標のうち、「太助」の文字が商標の要部であることは明らかである。

そして、本件商標と上記商標の要部である「太助」の文字は、社会通念上同一の商標である。

さらに、本件包装紙2は、「昌和物産株式会社」で作成され、平成15年12月の段階で、本件包装紙2が「SPルーム昭和」に納品されていることは明らかである(乙第14号証)。

オ.上記の事情を総合的に考慮すれば、平成15年12月において、通常使用権者が経営する店舗「SPルーム昭和」において、「肉製品」である「ハムの詰め合わせ」が販売され、その販売の際、本件商標と社会通念上同一の商標が付されている本件包装紙2により、かかる「ハムの詰め合わせ」を包装していたことは明らかである。

そして、本事実を証明するため、通常使用権者が経営する店舗「SPルーム昭和」において、商品の仕入れ、管理、販売等の業務に従事している店長の黒田猛義氏の証明書及び宣誓証明書を提出する(乙第15号証及び乙第16号証の2)。

2 まとめ

(1)以上より、平成15年12月に、商標権者が経営する店舗において、本件商標と社会通念上同一の商標が付された本件ビニール袋及び包装紙1により、取消請求に係る指定商品である「肉製品」に含まれる「鯨のベーコン」を包装、販売していたことは明らかである。

(2)また、平成15年12月に、通常使用権者が経営する店舗において、本件商標と社会通念上同一の商標が付された本件包装紙2で、取消請求に係る指定商品である「肉製品」に含まれる「ハムの詰め合わせ」を包装、販売していたことは明らかである。

第4 当審の判断

(1)被請求人提出に係る乙第1号証、乙第6号証及び乙第10号証によれば、「株式会社昭和」と「株式会社太助」とは、「昭和グループ」を形成する関連会社であることが認められる。

両社は、その本店所在地(名古屋市熱田区明野町2番3号)も同じであり、かつ、3名の取締役が両社の取締役を兼任しているものである。

そうすると、商標権者である「株式会社太助」が、本件商標の使用について、同じグループ内の中核企業である「株式会社昭和」に対し、黙示による通常使用権を許諾することは当然あり得るところである。

また、「SPルーム昭和」が、「株式会社昭和」の営業所の一つである事実が乙第1号証によって認められる。

そして、上記の事実よりすれば、「株式会社太助」が所有する本件商標を、「株式会社昭和」の営業所の一つである「SPルーム昭和」が使用する行為は、本件商標の通常使用権者が使用する行為と同等のものとみなしてしかるべきである。

(2)また、被請求人提出に係る乙第11号証及び乙第12号証(仕入伝票)によれば、「SPルーム昭和」は「株式会社昭和」より、平成15年12月5日、同6日、同11日及び同16日付けで伊藤ハム株式会社製の「ハムの詰め合わせ」を仕入れている事実が認められる。

さらに、乙第13号証及び乙第14号証によれば、「SPルーム昭和」は「昌和物産株式会社」より、平成15年12月11日付けで「太助:ギフト用包装紙」を購入している事実が認められる。

加えて、当該包装紙が乙第13号証に示す包装紙であるとする被請求人の主張には無理がないものと判断される。

(3)しかして、乙第13号証に示す包装紙には「塩干・珍味・贈答品の」の文字を上段に小さく、「太助」の文字を下段に大きく横書きしてなるところ、上段に小さく書された「塩干・珍味・贈答品の」の文字は、商品の普通名称・用途等の品質を表示するにすぎないものであるから、「太助」の文字が独立して自他商品の識別標識として機能し得るものであり、かつ、当該文字は本件商標「太助」と社会通念上、同一視し得る商標と認め得るものである。

(4)以上の事実を総合勘案すると、本件商標の通常使用権者と認め得る「株式会社昭和」は、その営業所である「SPルーム昭和」において、本件商標「太助」と社会通念上、同一視し得る商標を、本件取消審判の予告登録(平成16年3月24日)前3年以内に該当する平成15年12月頃に歳暮用品として、本件取消請求に係る指定商品中の「肉製品」に該当する「ハム」について使用していたものといわざるを得ない。

(5)なお、請求人は、「仮に、御歳暮贈答品である『ハムの詰め合わせ』にそのビニール袋と包装紙とが使用されたとして、その商品は伊藤ハム株式会社が予め贈答品としてセットしたものであり、何処の企業が取り扱ったとしてもそれは伊藤ハム株式会社製の『ハムの詰め合わせ』に変わりがなく、ビニール袋または包装紙も、単なる搬送手段または保護紙としての機能を果たしているにすぎないものであるから、商標法第2条第3項に規定する『使用』には当らない。」旨主張しているが、百貨店やスーパーストアが、他社の商品を自己の商標を付した包装紙で包装する行為が、商標の使用として認められていることからすると、「株式会社昭和」が、伊藤ハム株式会社の「ハムの詰め合わせ」を、本件商標「太助」と社会通念上、同一視し得る商標を付した包装紙を用いて包装する行為は、商標法第2条第3項に規定する「使用」に該当するとみるのが相当である。

したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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