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Trademark Appeal Case

商品形状の普通表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−10754(T2001−10754/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第18類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成12年5月1日に立体商標として登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同13年2月5日付けの手続補正書によって、「旅行かばん,ブリーフケース,アタッシェケース,その他のかばん類」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係に於いて、アタッシュケース等のかばん類が取り得る形状の一形態を認識させる立体的形状よりなるものであるから、これを指定商品中『かばん類』について使用しても単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能又は美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は、当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうすると、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

2 これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示したとおり、かばんの立体形状を表してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、単にかばんの一形状を表示するにすぎないものと理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

3 請求人は、意見を種々述べているが、以下のとおり採用することができない。

(1) 本願商標の特徴は「出願人の商品以外に・・・形状として採用されている事実は皆無である。」、「本願商標は単なる『かばん類が取り得る形状』ではなく、かばんの表面に特徴ある図形模様が配されている商標である。」、「本願商標は1946年以来現在でも使用されつづけている。」から、「商品の出所・品質を認識できるようにまで至っている。」旨を主張する。

しかしながら、かばんを取り扱う業界においては、表面に特徴を持たせた多種・多様な形状のかばんが製造・販売されていることは周知の事実であって、本願商標は、それを構成する表面の特徴が、商品等の機能(強度・耐久性の増加による収納物の保全)や美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲内で施されたものというべきであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標であるから、その形状に特徴を持たせたことをもって、自他商品の識別力を有するものとは認められないことは1で述べたとおりである。

(2) 「本願商標を見た需要者は『ZERO HALLIBURTON(ゼロハリバートン)』のかばんであることを想起するに至っている」から、「本願商標は商標法第3条第2項により登録されるべき商標である」旨を主張し、原審において甲第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出し、さらに、当審において甲第11号証ないし同第31号証(枝番を含む。)を提出している。

そこで、請求人の提出に係る甲各号証について検討するに、原審提出の甲第2号証の3及び同第6号証並びに当審提出の甲第14号証の2、同証の7、同証の9、同証の13、同証の18、同証の20及び検甲第1号証のかばん自体には、「ZERO」と「HALLIBURTON」の各欧文字を二段に横書きした商標が刻印されているものである。

加えて、提出された甲各号証中のかばんは、ほぼ全てにわたって「ZERO」と「HALLIBURTON」の各欧文字を二段に横書きした商標若しくは「ZERO HALLIBURTON」の欧文字を横書きした商標(以下「『ZERO HALLIBURTON』等」という。)又は「ゼロハリバートン」若しくは「ゼロ・ハリバートン」の片仮名文字の商標(以下「『ゼロハリバートン』等」という。)が付されて紹介されているものである。 しかして、前示のとおり、商品の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、或いは、その美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)には、商品の出所を表示し自他商品を識別する標識として採択されるとはいえないものであり、その識別機能を果たすものとしては文字、図形又は記号等が適しているため、もっぱらこれらが自他商品の識別標識として採択・使用されていることは顕著な事実であること、及び前示認定のとおり、本願商標に係る形状が商品かばんの一形態を表示するにすぎないものであること等からすれば、前記の甲各号証中の商品かばんは、「ZERO HALLIBURTON」等又は「ゼロハリバートン」等の文字商標により識別されているというべきである。

さらに、当審において提出された甲第17号証(枝番を含む。)は、表題を「証明書」としているが、いずれもあらかじめ文章が記載された一枚の用紙のみの画一的な証明書に、請求人とは取引先あるいは顧客の関係にあると思われる者が署名捺印したものであって、いかなる根拠により証明されたものであるか明らかでなく客観性に欠けるものであるから、前記甲号証は、にわかには採用し難い。

その他、請求人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本願商標それ自体が、使用により自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているとするには十分とはいえないものである。

(3) 本願商標(かばんの立体図形)を付した商品かばんの日本国内における販売実績が「1991年から2000年までには100億円弱」に及んでおり、「その間に販売されたかばんは、15万個弱」(意見書)である旨を主張する。

しかしながら、先に述べたとおり、本願商標は、その機能や美感と無関係な特異な形状ではなく、指定商品の形状そのものの範囲を出る形状とは認められないこと、及び「ZERO HALLIBURTON」又は「ゼロハリバートン」等の文字商標とともに用いられることが多いことから、上記の販売実績及び販売数をもってしても、本願商標が自他商品の識別力を獲得したものとは認められない。

また、請求人は、本願商標と同一の立体形状からなる商標が米国において登録が認められ、商標として機能している旨を主張し、甲第10号証を提出している。

しかしながら、出願に係る商標が自他商品の識別力を有するか否かは、各国の判断に委ねられているのであって、日本において出願された商標は、日本の商標法及び商品の取引事情に照らして登録されるか否かが判断されるべきものであるから、米国の登録を理由として本願商標を登録することはできない。

(4) 本願商標と同一の構成からなる商標が他の類の指定商品について登録がなされている旨を主張する。

しかしながら、商標が自他商品の識別力を有するか否かは、当該商標とその属する指定商品との関係において個別具体的に判断されるべきものであるから、他の類の登録を理由として本願商標を登録することはできない。

4 結 論

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するとも認められないものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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