1 本願商標
本願商標は、「TRANSCYTE」の文字を横書きしてなり、第5類及び第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年6月22日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、当審において最終的に同17年4月12日の手続補正書により第5類「薬剤,獣医科用薬剤,衛生用薬剤,食餌療法用食品,乳児用食品,医療用粘着バンドおよびテープ,救急用ドレッシング,包帯,ドレッシング用包帯,外傷用ドレッシング,皮膚の傷の治療用生体適合性のある創傷被覆材,ドレッシング用ガーゼ,歯科用材料,歯科用充填用材料,歯科用ワックス,消毒剤」及び第10類「外科用人造皮膚,培養外科用人造皮膚,代替用外科用人造皮膚,仮合成表皮膚と結合した代替用外科用人造皮膚,弾性の支持用包帯,弾性のストッキング,代替用外科用皮膚組織,傷を一時的にカバーする代替用皮膚組織」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「TRANSCYT」の文字を書してなり、平成4年9月7日登録出願、第10類「生物検体の作成において細胞及び細胞粒子の収集及び移動に用いるためのフィルター容器及びろ過装置」を指定商品として、同7年6月30日に設定登録され、その後、同17年6月14日に更新登録された登録第3051347号商標(以下「引用商標」という。)を引用し、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標と引用商標とは、その構成それぞれ上記のとおりであるところ、両者は「トランスサイト」「トランスシット」の称呼において類似するものと認められるものであって、請求人(出願人)もこの点については何ら言及するところがない。
そこで、本願商標の指定商品中の「第10類 外科用人造皮膚,培養外科用人造皮膚,代替用外科用人造皮膚,仮合成表皮膚と結合した代替用外科用人造皮膚,弾性のストッキング,代替用外科用皮膚組織,傷を一時的にカバーする代替用皮膚組織」と、引用商標の指定商品である第10類「生物検体の作成において細胞及び細胞粒子の収集及び移動に用いるためのフィルター容器及びろ過装置」の類否について検討するに、前者のうち人造皮膚あるいは外科用の皮膚組織とは、火傷や何らかの作用により人体の皮膚が損傷をうけたとき、皮膚の再生や人体組織を保護するため外科的手術により人体に直接処置される外科用の人造皮膚組織材料であり、また、弾性のストッキングとは、患部を物理的作用により保護し治療するための患者に直接処方される医療用の補助器具であって、いずれも医師による医療行為の一環として患者に直接施される医療用の外科用材料又は補助器具と認められる。
これに対し、後者は、商標権者の提出に係る「物件提出書」(平成5年9月10日提出)によれば、病院や医学的検査所において用いられる人体の細胞診のための塗抹標本を自動的に作製する機械器具用のフィルターとその容器と認められる。
そうすると、両商品は、共に医師や検査技士等により医療機関において用いられるものであるとしても、その使用される形態はもちろんのこと、その用途、用法、機能を全く異にしているものであって、その流通経路も明らかに相違するといい得るから、両商品が競合するとみることは困難であり、両商標がそれぞれ上記の指定商品について使用されたとしても、その商品が同一営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認混同されるおそれはなく、両商品は類似するものではないというのが相当である。
また、本願商標の上記以外の指定商品と、引用商標の指定商品とは、類似しないこと明らかである。
してみれば、本願商標と引用商標が、その称呼において類似するとしても、互いの指定商品において類似するといえない以上、本願商標は、商標法4条1項11号に該当するものではないというべきである。
したがって、本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした原査定の理由をもって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。