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Trademark Appeal Case

複合商標の一体性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−6567(T2002−6567/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

第1 本件商標登録出願

本件商標登録出願は、商標(以下「本願商標」という。)の構成を別掲(1)に示すものとし、第36類に属する願書記載の役務を指定役務として、平成12年5月15日に登録出願されたものである。

そして、指定役務については、当審における平成16年10月4日、及び同17年7月7日付け提出の手続補正書をもって、最終的に第36類「建物の管理」と補正されているものである。

第2 原査定の引用商標

原査定において、本願商標が商標法4条1項11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した商標は、以下の2件の登録商標である。

1 登録第3317008号商標

登録第3317008号商標(以下「引用A商標」という。)は、「FOUR SEASONS」の文字を横書きしてなり、平成5年12月16日に登録出願、第36類「建物の貸与,建物の貸借の代理又は媒介,建物の管理」を指定役務として、平成9年5月30日に設定登録されたものである。

2 登録第4319663号商標

登録第4319663号商標(以下「引用B商標」という。)は、「FOUR SEASONS」の欧文字を上段に、「フォーシーズン」の片仮名文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成9年11月21日に登録出願、第36類に属する別掲(6)に記載のとおりの役務を指定役務として、平成11年10月1日に設定登録されたものである。

第3 当審の判断

1 本願の指定役務は、上記のとおり補正された結果、引用B商標とは、その指定役務において類似しないものとなった。

したがって、引用B商標をもっての、本願の拒絶の理由は解消した。

2 引用A商標との類否について

(1)本願商標の構成について

本願商標は、前記した構成のものであって、左右5対の枝をもって構成される樹木の図形を描き、その下部に「FOUR SEASONS」(「FOUR」の欧文字と「SEASONS」の欧文字の間は一文字分程度の間隔があり、「OUR」の文字及び「EASONS」の文字は小さく表されている。)の欧文字を横書きしてなるものである。

そこで、本願商標の構成について考察するに、その構成中の樹木の図形部分と「四季」の意味を理解させる「FOUR SEASONS」の欧文字部分とは、互いに意味上の関連性があるとはいえないから、この限りにおいては、本願商標が常に一体的に把握されるとすべき特段の理由はない。

しかして、商標の類否判断における対比される商標の考察について判例は、「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかもその取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」(最高裁第三小法廷 昭和43年2月27日判決 昭和39年(行ツ)第110号 判例時報516号36頁)としているところである。

以下、この判例の趣旨に照らして、本願商標と引用A商標との類否について検討する。

(2)本願商標の周知・著名性の獲得の有無について

請求人は、本願商標は取引社会において著名性を獲得しており、図形部分と文字部分とが一体的に把握される旨主張して、証拠方法として甲第1号証ないし同第194号証(枝番を含む)を提出している。

そこで、本願商標が一体的に把握されるとすべき、取引における実情が存するか否かについて以下、検討する。

(ア)請求人使用A標章、請求人使用B標章及び請求人使用C標章の周知・著名性について

請求人が提出した甲各号証によれば、請求人は、世界各国でホテルチェーンを運営し(甲第3号証ないし同第35号証)、また、我が国においても、件外会社との業務提携に基づき、1992年1月にホテル業を開業し(甲第167号証の新聞全面広告ほか)、その開業前である1989年9月頃から、その旨を雑誌、新聞で広告宣伝をする(甲第36号証ないし同第170号証)とともに、その役務である「宿泊施設の提供」等の標章として、別掲(2)ないし(4)に示した各標章(以下、「請求人使用A標章」、「請求人使用B標章」、「請求人使用C標章」という。)を、1991年1月頃から表示していたことが認められるところである(甲第75号証、同第80号証、同第123号証ないし同第168号証の雑誌、新聞などの記事)。

また、1992年1月のホテル開業後においても、主として、請求人使用B標章を使用して広告宣伝を継続していることが認められるところである(甲第171号証、同第173号証ないし同第177号証の広告・宣伝記事)。

以上によれば、請求人使用A標章、請求人使用B標章及び請求人使用C標章の各標章は、これが、1991年1月ころから継続して宣伝ないし使用された結果、請求人の取り扱う役務「宿泊施設の提供」を表示するものとして、我が国における当該役務の取引者・需要者の間で広く認識されていたといい得るものである。

(イ)「FOUR SEASONS(フォーシーズンズ)」の標章の周知・著名性について

請求人使用A標章ないし請求人使用C標章は、左右5対の枝をもって構成される樹木の図形を上部に配し、下段部には、「Four Seasons Hotel/椿山荘/TOKYO」、「Four Seasons Hotel/CHINZAN−SO,TOKYO」あるいは「Four/Seasons/Hotels・Resorts」の各文字を配してなる構成のものであって、このうちの、「Hotel(s)」、「Hotels・Resorts」の各文字は提供される役務を、「椿山荘」及び「CHINZAN−SO」の文字は役務の提供者を、「TOKYO」は役務の提供場所を、それぞれ認識させる文字であるから、請求人使用A標章ないし請求人使用C標章の文字部分における共通の基幹部分は、「Four Seasons」の欧文字にあるということができるものである。

そして、請求人が提出した甲各号証をも総合して勘案すれば(例えば甲第38号証の「フォーシーズンズがアジアへ初進出」との見出しの雑誌記事、甲第43号証の「フォーシーズンズは世界でも最高級といわれるホテルだが、」との記述のある新聞記事など。)、請求人の名称および同人が世界各国で営業するホテルチェーンの名称は「FOUR SEASONS(フォーシーズンズ)」と略称され、これが、遅くとも1992年1月に請求人が我が国でホテル業を開業する頃には、役務「宿泊施設の提供」の取引者・需要者の間において、広く認識されていたということができるものである。

(ウ)本願商標の周知・著名性について

本願商標は、前記したように別掲(1)に示した態様よりなるところ、その図形部分は、前記(ア)で、役務「宿泊施設の提供」との関係において、取引者・需要者間で広く認識されている旨認定・判断した請求人使用A標章ないし請求人使用C標章における図形部分と同一態様のものと認められ、また、本願商標構成中の欧文字部分「FOUR SEASONS」は、前記(イ)で認定・判断したように、これが、請求人の略称ないしは同人が営業するホテルチェーンの名称の略称として、役務「宿泊施設の提供」の取引者・需要者間において、広く認識されているものであるから、左右5対の枝をもって構成される樹木の図形の下部に「FOUR SEASONS」の欧文字を横書きした標章、すなわち、本願商標と同一の態様よりなる標章は、役務「宿泊施設の提供」との関係において、取引者・需要者間において、広く認識されているということができるものであって、結局、本願商標は、これが役務「宿泊施設の提供」役務に使用される場合には、取引者・需要者により、請求人の役務に使用する商標として一体的に認識・把握されるものとみて差し支えないということができるものである。

(3)役務「宿泊施設の提供」と「建物の管理」との関連性について

甲第190号証の請求人のインターネットホームページ情報によれば、請求人は、世界28カ国で60を超えるシティホテル(都市における大型ホテル)及びリゾートホテル(保養地、行楽地のホテル)施設を営業していることが認められ、また、甲第194号証(枝番を含む)の請求人のインターネットホームページ情報によれば、請求人は、世界各地において、レジデンス(別荘や高級分譲住宅)の販売やその建物の維持・管理の役務を行っていることが窺われるところである。

さらに、平成17年5月31日付で提出された上申書に添付された資料1ないし同9のインターネット情報によれば、世界的に著名な複数のホテルが、世界各地及び日本国内において、レジデンス(別荘や高級分譲住宅)の販売ないし貸与及び該施設の維持・管理の役務を提供しており、ここにおいて、該役務の提供者が別途経営するホテルにおける客室滞在環境と、同質の居住環境を維持・管理する役務を提供していることが認められるところである。

そうとすれば、役務「宿泊施設の提供」と、役務「建物の管理」についてみるときには、上記のように、それらが同じ事業者により提供されることがあり、また、そのことにより、この両役務の提供を受ける需要者層が重なることがあるということができるものである。

(4)請求人が役務「宿泊施設の提供」に使用している標章と「建物の管理」に使用している標章との関連性について

前示の甲第190号証及び同第194号証には、別掲(5)に示した請求人標章(以下、「請求人使用D標章」という)が使用されていることが認められるところであり、この請求人使用D標章は、その構成中に、左右5対の枝をもって構成される樹木の図形と「FOUR SEASONS」の欧文字とを有していることから、請求人は、役務「建物の管理」に使用する標章について、同人が役務「宿泊施設の提供」に使用して広く認識されている標章と関連のある標章を採択して使用しているということができるものである。

(5)本願商標とその指定役務との関連性について

以上の(2)、(3)及び(4)にみられる取引の実情に照らせば、本願商標が、その指定役務「建物の管理」に使用される限りにおいては、その取引者・需要者は、これを請求人の提供にかかる役務に使用する標章であると理解し、図形部分と文字部分とを一体的に把握するものとみるのが相当である。

(5)本願商標と引用A商標との類否について

左右5対の枝をもって構成される樹木の図形と「FOUR SEASONS」の欧文字よりなる請求人の標章は、前記で認定・判断したように、役務「宿泊施設の提供」との関係においては、引用A商標の登録出願日の平成5(1993)年12月16日以前から、周知となっていたといえるものであり、また、これが、本願の指定役務「建物の管理」に使用される場合には、その取引者・需要者により一体不可分の商標として、認識され、把握されるといえるものである。

そうとすれば、本願商標から生ずる「フォーシーズンズ」の称呼が、引用A商標から生ずる称呼と共通するものであっても、本願商標は、樹木の図形部分の有無により外観上引用A商標と明確に区別できるものであり、また、その観念においても、本願商標は、「四季」の観念とともに請求人の提供する役務に使用される商標との観念をも伴うことから、単に「四季」の観念のみを生ずる引用A商標とは、観念上紛れることはないというべきである。

してみれば、本願商標と引用商標との類否について、外観、称呼、観念を総合的に考察し、これと前示の取引の実情を照らして判断すれば、本願商標は、引用A商標と類似するものではなく、本願商標は商標法4条1項11号に該当する商標とすることはできないというべきである。

したがって、原査定の理由をもって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

その他、政令で定める期間内に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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