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Trademark Appeal Case

複合商標の要部と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89082(T2004−89082/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4769549商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成15年7月30日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同16年5月14日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4714267号商標(以下「引用商標」という。)は、「ラシーネ」の文字を標準文字で書してなり、平成15年2月5日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同15年10月3日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張の要点

請求人は、「本件商標の第3類の指定商品「化粧品」について登録を無効とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第18号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)請求人適格

請求人は、化粧品の製造・販売を業としており、本請求については利害関係を有するものであり、すなわち、請求人適格を有している。

(2)本件商標

(ア)本件商標の概要

本件商標は、「GiNZARACiNE」なるアルファベット文字を左横書きにしたものからなる。そして、その書体は、ゴシック体を基調とした飾り文字ではあるが、普通に用いられる方法で書されたものの域を出てはいない。

(イ)本件商標の要部

本件商標は、その一部に「GINZA」なる語を含むものである。「GINZA」は「銀座」をローマ字表記したものにすぎず、「銀座」が我が国の地名として著名であることはいうまでもない。

さらに、「GINZA」なる表記も、「銀座」を意味する語として一般的によく使用されている。そうすると、本件商標が外観上まとまりよく一体に構成されているとしても、外観、称呼、観念のいずれの観点からも「GINZA」部分が他の部分と分離し得ることは明らかである。

よって、本件商標は、その商標中に含まれる「GINZA」部分については、商品の産地・販売地を普通に用いられる方法で表示しているにすぎないため、この部分については自他商品識別力が生じていないものと解せられ、自他商品識別力が生じ得る部分、すなわち本件商標の要部は「RAC1NE」となる。

(ウ)本件商標の称呼

本件商標の称呼であるが、「RACINE」からどのような称呼が生じ得るかが問題となる。そこでみていくと、「NE」は、日本語では「ネ」と発音されることがある。また、フランス語風に発音した場合にも「ネ」の称呼が生じる可能性がある。更に、イタリア語においても「NE」は「ネ」と読まれるのが一般的である。

この点からすると、本件商標の要部「RACINE」の称呼として「ラシーネ」も生じ得るといえる(甲第3号証ないし同第14号証参照)。

したがって、本件商標の称呼は、「ギンザラシーヌ」「ギンザラシーネ」「ラシーヌ」「ラシーネ」「ギンザ」である。

(エ)本件商標の外観

本件商標の外観は、上記(ア)に記載したとおり、その書体はゴシック体を基調とした飾り文字ではあるが、普通に用いられる方法で書されたものの域を出てはいない。

(オ)本件商標の観念

本件商標の観念は、「銀座のラシーヌ、銀座のラシーネ」といった程度で、特定固有の明確な観念を意味する語ではない。

(3)引用商標

(ア)引用商標の概要

引用商標は、「ラシーネ」を標準文字にて出願し登録されている。

(イ)引用商標の称呼

引用商標の称呼は、「ラシーネ」である。

(ウ)引用商標の外観

引用商標は、特徴的な外観を有するものではない。

(エ)引用商標の観念

引用商標は、造語であり、特定の観念を有するものではない。

(4)本件商標と引用商標の類否

(ア)称呼の類否

本件商標は、上述したとおり、その要部「RACINE」から「ラシーネ」なる称呼が生じ得る。そうすると、引用商標「ラシーネ」の称呼「ラシーネ」とは称呼同一となることは明らかである。

これより、本件商標と引用商標の称呼を比較した場合、相互に類似関係にあるといえる。

(イ)外観・観念の類否

本件商標と引用商標の外観・観念については、上述したとおりであり、相互に紛れることのない非類似の関係にあるものといえる。

(ウ)指定商品

本件商標、引用商標共に指定商品に第3類の「化粧品」が含まれている。したがって、その限りにおいて、指定商品は同一である。

(5)結論

以上より、本件商標の第3類「化粧品」については、その出願時において、引用商標に係る商標登録出願が既になされているため、商標法第8条第1項に該当するものであり、その商標は、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。

(6)被請求人の答弁に対する弁駁の理由

(ア)本件商標の構成の認定

被請求人は、請求人による本件商標の構成の認定に誤りがあると主張している。

しかしながら、本件商標のような表現方法は、ごく一般的なありふれた手法によるものである。特に、本件商標の「G1NZA」部分は「I」「A」の外観が多少変形されているとはいえ、ほぼ原型を留めた形でデザインされているため、需要者においても「GINZA」を認識することは容易である。よって、この程度のデザインは、普通に使用されている域をでないものと認められる(平成6年(行ケ)85号、甲第15号証参照)。

以上より、本件商標の「GiNZA」部分は「普通に用いられる方法で書され」ているにすぎないことは明らかである。

(イ)本件商標の要部認定

本件商標中「GiNZA」は、著名な地理的名称であり、商品の販売地を表示するものとして広く認識されている「銀座」をローマ字にて表記したものにすぎないことは明らかである(甲第16号証ないし同第18号証参照)。

以上より、「GiNZA」部分は本件商標の付記的部分にすぎず、本件商標中自他商品識別標識としての機能を果たす要部は、「RACiNE」の部分にあることは明らかである。

(ウ)本件商標の称呼認定

商標公報(甲第3号証ないし同第14号証)に記載されている「称呼(参考情報)」は、参考情報にすぎず、審査はこれに拘束されないということは事実である。しかしながら、この「称呼(参考情報)」は、商標検索の際の、称呼の同一・類否を判断するための検索において使用される性格を有しており、このことからすれば、参考情報として掲載される称呼は、その商標から一般的に生じ得ると考えられる称呼であるのが普通であると考えられる。 つまり、誰も考えつかないような称呼が掲載されることは、殆どないと考えるのが通常である。

以上より、請求人が「称呼(参考情報)」に掲載された称呼を根拠に本件商標の称呼を特定したことは、何ら根拠がないとはいえない。

(エ)商標の類否判断

商標の類否判断は、称呼、外観、観念の3つの観点からなされるものであり、そのうちの一つでも同ー又は類似であれば全体として類似するものとされる。特に、商標が人づてに伝達されるものであることを考えれば、類否判断における称呼の重要性は無視できるものではない。

(オ)結論

以上より、「ラシーネ」なる称呼が生じる本件商標は、引用商標と類似するものであり、商標法第8条第1項の規定に該当するものである。

4 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べている。

(1)第一に、本件商標の構成についての請求人の認定には、誤りがある。

本件商標は、その構成文字中「i」の文字については「・」の部分を、「A」の文字については「−」の部分を各々青色の円図形で表すことにより普通に用いられない特徴ある文字に表現してあり、本件商標はこれら特徴ある文字を複数含むことにより、色彩とも結合したその全体の構成に特徴を有するのであって、請求人が述べているような「普通に用いられる方法で書されたもの」ではない。しかも、請求人は「普通に用いられる方法で書されたもの」であるとの主張点について具体的証拠を示すものではなく、主観的な見解を述べているにすぎないといわざるを得ない。

(2)第二に、請求人は、本件商標の要部についての認定を誤ったものである。

本件商標「GiNZARACiNE」は、統一ある特徴をもって全体を構成することにより、「GiNZA」の文字部分と「RACiNE」の文字部分は、不離一体に表されているのである。この点は、請求人も「外観上まとまりよく一体に構成されている」と認めているとおりである。かつ、「GiNZA」の文字部分は、商品の産地・販売地を普通に用いられる方法で表示する域を越えていることは上述のとおりであって、本件商標の自他商品識別力が生じ得る部分は、本件商標の全体にあることは明らかである。

かくして、外観、称呼、観念のいずれの観点からも「GINZA」部分が他の部分と分離し得ることは明らかであり、本件商標の要部は、「RAC1NE」であるとする請求人の主張は、本件商標の構成についての評価と全体観察を誤ったものである。

(3)第三に、請求人が、本件商標を構成する「RACINE」の文字部分の称呼を、商標公報に記載の「称呼(参考情報)」に掲げられている称呼の中から恣意的に選択して引用商標との類否判断を行ったことには、誤りがある。

商標公報に掲載されている「称呼(参考情報)」は、登録商標から生じる可能性のある1又は複数の称呼を項目のとおり参考として列挙したに止まるものであり、審査においてはこの「称呼(参考情報)」に拘束されるものでもないのであることからすれば、列挙されている称呼についてその発音の一部を根拠に本件商標の称呼を特定することは、何ら根拠がないといわざるを得ない。

けだし、登録商標からどのような称呼が生じるかは、当該登録商標を構成している文字の前後関係を含めた全体構成から判断されるものである以上、参考情報の称呼を引き合いにして、商標を構成する文字の一部を取り上げてその発音をうんぬんすることは無価値である。

(4)結論

(ア)本件商標は、統一して表すことにより不離一体に構成したものからなるのであって、分断して観察すべき根拠はない。

(イ)「G1NZA」の文字部分は、商品の産地・販売地を普通に用いられる方法で表示する城を越えた特徴を有するものである。

(ウ)「RAC1NE」の文字部分から「ラシーネ」の称呼が生じ得る可能性を否定するものではないが、本件商標から自然に生じる称呼は、前後関係を含む全体の構成から判断すべきものである。

(エ)本件商標が称呼の一部の発音に引用商標との共通性を認めるとしても、本件商標は、標準文字からなる引用商標とは外観及び観念において顕著に相違しているのであり、この相違は両商標における発音の一部の共通性をはるかに凌駕しているのであって、本件商標は、引用商標とは外観、称呼、観念のいずれにおいても類似するものではない。

以上の次第であり、本件商標は、引用商標に類似するものではなく、その登録は、商標法第8条第1項の規定に該当するものでないことは明らかである。

5 当審の判断

(1)請求人は、本件商標は商標法第8条第1項の規定に該当するものである旨主張するが、本件商標及び引用商標の登録出願日、設定登録日からみると、同法第4条第1項第11号に該当するものであるとの主張と解されるから、本件商標が同法条に違反して登録されたものであるか否かについて検討する。

(2)本件商標は、別掲のとおり、「i」の文字のドット部及び「A」の文字の横線部を青色の円図形で表した「GiNZARACiNE」の文字よりなるところ、これら各文字は、同じ大きさで等間隔に表されていて、全体の文字数も11文字とさほど多いものではなく、青色の円図形の配された文字の位置が、「R」の文字の左部と右部がほぼ対称的に配されているものである。しかも、東京都中央区の「銀座」をローマ文字で表した「GINZA」を本件商標の前半部のように「i」と「A」の両文字の一部を青色の円図形で表すことは、必ずしも普通に用いられる表現方法であるともいい難く、かかる構成においては、前半部の「GINZA」の文字を地名の「銀座」を表したものみるよりは、むしろ構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。

してみれば、本件商標は、全体の構成文字に相応して「ギンザラシーン」及び「ギンザラシーヌ」の称呼を生じ、特定の意味を看取させない一種の造語よりなるものといわなければならない。

これに対し、引用商標は、「ラシーネ」の文字よりなるものであるから、該文字に相応して「ラシーネ」の称呼を生ずるものである。

そうとすれば、本件商標より生ずる「ギンザラシーン」「ギンザラシーヌ」の称呼と引用商標より生ずる「ラシーネ」の称呼とは、構成音数、相違する各音の音質の差異により明瞭に聴別し得るものであり、両商標は、称呼において相紛れるおそれのない非類似のものと認められる。

さらに、本件商標が造語よりなること上記のとおりであるから、本件商標と引用商標とは、観念において比較することはできない。

また、それぞれの構成よりして、両商標は、外観においても判然と区別し得るものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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