Trademark Appeal Case
地名と温泉名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−2256(T2003−2256/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「神々の遊湯」「天橋立温泉」の各文字を二段に併記してなり、第42類に属する願書記載の役務を指定役務として、平成13年4月27日に登録出願されたものである。
そして、指定役務については、平成14年10月4日受付の手続補正書により、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,天橋立における入浴施設の提供,写真の撮影,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,通訳,翻訳,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,はり,衣服の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『神々の遊湯』『天橋立温泉』の文字を二段に書してなるところ、これは京都府宮津市の温泉『天橋立温泉』(正式名称・・・神々の遊湯『天橋立温泉』知恵の湯)を表したものと認識させるから、これをその指定役務中、前記の文字に照応する役務(例えば『天橋立温泉における入浴施設の提供』)について使用するときは、単に役務の提供の場所、質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「神々の遊湯」「天橋立温泉」の各文字を二段に併記してなるところ、これらの文字が原審説示のように「平成11年に開設された新しい温泉地とはいえ、天橋立温泉組合も組織されており、日本三景の一つ天橋立に湧き出た本格的な温泉」を表すものとして広く一般に知られていることが、例えば、以下の新聞・雑誌等の記事情報やインターネットのホームページ情報からも十分に裏付けられるところである。
(1)1999年12月7日付 京都新聞 22頁(朝刊17版)
「天橋立 神々の遊湯・知恵の湯 待望の温泉、20日開業」の見出しの下、「宮津市の天橋立温泉組合(幾世淳紀理事長)は六日、同市文珠に日本三景では初めてわいた『天橋立温泉』を二十日開業する、と発表した。初日は地元のお年寄り約三十人を無料招待する予定で、夜には観光関係者や工事業者らを招き祝賀パーティーを開く。先月末の府自然環境保全審議会温泉部会で、地下から温泉をくみ上げる温泉動力装置の設置が許可され、正式に決まった。同組合では天橋立の誕生にまつわる神話と、智恵の文殊で知られる智恩寺にちなんで『神々の遊湯『天橋立温泉』智恵の湯』と銘打って売り込む方針で、加盟する地元旅館、ホテル七業者のうち四業者の五施設で、二十日から宿泊客を対象に温泉営業を始める。温泉組合は審議会の結果を受け、掘削現場で温泉動力装置やタンクの建設をはじめ、温泉開業を告げるちらしやのぼりの製作も急いでいる。また、各旅館では露天風呂の建設やボイラーの付け替えなど開業準備が進められている。初日の二十日は、同市文珠の天橋立ホテルで午前十時から温泉の無事開業を祈願する神事が営まれ、午後は地域のお年寄りを無料招待する。二十一日は各旅館で、地元住民を対象に無料開放する予定。また、昼間の観光客に対する内湯の開放は、受け入れ態勢が整っている二旅館で二十四日から、入浴料八百円で始める。」とする記事がある。
(2)1999年12月22日付 読売新聞 29頁(大阪朝刊)
「温泉“乱立”丹後沸騰 『天橋立』が参戦、戦国時代へ 個性化で生き残り=京都」の見出しの下、「◆観光が基幹産業に 「味」ともタイアップ 丹後地域が、温泉でホットに息づいている。大半の町に計十六の公営、民間の温泉がある中、二十日には日本三景の一つ、天橋立(宮津市文珠)でも開業。全国的な知名度がある観光スポットの“参戦”となった。『乱立』は、基幹産業の織物がバブル崩壊で大きなダメージを受けたため、町が、活路を見いだそうとしたことが、背景にあるらしい。しかし、多くは宿泊設備を備えた同タイプの通年型観光施設のため、今後、競争も激化しそうだ。【切り札探し】年間宿泊客数の三割以上が海水浴客で、本来ならオフシーズンのはずの天橋立周辺の旅館街に二十日、『天橋立温泉』の文字が入った垂れ幕やのぼりが、ずらりと並んだ。観光案内所には、頭が良くなるという意味の『智恵の湯』、多く残る神話を指す『神々の遊湯』などの愛称を説明するチラシが置かれ、街は祝賀ムードにあふれた。この日開湯した天橋立温泉は、同温泉組合加盟の七軒が計一億一千万円を共同出資、二月から泉源の掘削を始め、開業にこぎ着けた。共通する願いは『天橋立頼りでなく、魅力を作り出していこう』。開湯の影響か、この一年、天橋立周辺では、観光を盛り上げようとする動きが出てきた。新名産の地ワイン作り、レストラン付き展望台オープン、遊園地のモノレール新設......。宿泊客数を三割アップの二十万人とするためだ。中でも、温泉の有無は集客に影響するようだ。宮崎劭(たかし)・天橋立観光協会長は「『温泉』がないと観光客の選択肢にさえ入らない。観光地としてなりたたないわけです」と強調する。掘削費に、当初予定より一千万円上乗せして三千万円を補助する宮津市の徳田敏夫市長は『観光振興の大きな柱。丹後全体への波及効果を願いたい』と話す。」とする記事がある。
(3)2000年12月21日付 京都新聞 26頁(朝刊17版)
「天橋立温泉を無料開放 開湯1周年 多彩にイベント」の見出しの下、「『神々の遊湯』をキャッチフレーズにデビューした日本三景初の温泉『天橋立温泉』が二十日、開湯一周年を迎え、観光客らが宮津市文珠の智恩寺周辺で行われた入浴無料開放など多彩な記念イベントを楽しんだ。同温泉は地元旅館などでつくる天橋立温泉組合(幾世淳紀理事長)が観光活性化を狙いに開発。現在、七軒の旅館やホテルが温泉を引き、この一年間で十万人余が利用したという。この日、北近畿タンゴ鉄道(KTR)天橋立駅付近にある泉源のタンク前では、同組合や天橋立観光協会文珠支部の関係者らがヒノキのミニぶろに湯を移す採湯式に臨み、智恩寺本堂に献湯した。幾世理事長が『温泉効果で宿泊客が二割以上増えた。今後は外湯建設に全力を』とあいさつ。同寺境内ではカニスキや甘酒の無料サービス、宮津節の踊りや出船祭の竜舞いも披露された。無料開放の温泉につかった京都市の男性(五七)は『天橋立は何度も来たが、温泉は初めて。ぽかぽかして気持ちいい』と話していた。」とする記事がある。
(4)2002年3月22日付 中国新聞 特集(中国朝刊)
「日本三景 食や遊びの趣向に浸る 河北新報・京都新聞・中国新聞合同特集 天の橋立 温泉堀り当て活気わく」の見出しの下、「『日本三景初の温泉を掘ろう』。京都府宮津市の天橋立・文珠地区の旅館が協力して掘削を始めたのは一九九九年一月のことだ。観光客が年々減少するなか、誘客策の一つとして費用一億円以上の温泉開発に乗り出す思い切った決断だった。『湧出(ゆうしゅつ)前は、温泉がないという理由で観光客に予約を断られることもあった。今は温泉地でなければ観光地でないという風潮ですからね』。天橋立温泉組合の幾世淳紀理事長は述懐する。市や旅館業者が泉源調査した結果、北近畿タンゴ鉄道(KTR)天橋立駅前から温泉の出ることが分かった。工事は岩盤に阻まれ難航したが、四カ月遅れで予定の千五百メートルまで掘り進め、同年九月に毎分九十リットル、三八・九度のやや褐色の湯が湧出した。十二月二十日、各旅館とホテル内に温泉がオープンした。現在、駅前では外湯施設の計画が進められている。泉質は重炭酸水素ナトリウムが多く含まれる重重曹泉、全国的にも良質の温泉だ。『独特のぬるぬる感が気持ちよく、こんな温泉は初めて』『肌がすべすべになり、体もぽかぽかする』と入浴客には大好評だ。温泉開発を機に宮津市の観光客入り込み数が増加に転じた。九二年の二百七十五万人をピークに、九九年には二百四十万人にまで減少していた。温泉開業後の翌年には二百五十万人と四年ぶりに増加するなど、『温泉効果』はすぐ表れた。幾世理事長は『難航した末の湧出で、恵まれた泉質といい、まさに神がかり的。私たちの熱い思いが伝わったのかも』と話し、温泉名を『神々の遊湯 天橋立温泉』と名付けた。温泉開発以外でも、地元では『もてなしの心』を合言葉に天橋立の売り込みに力を注ぐ。毎年二月末の日曜日に開く『天橋立寒中てんころ舟競争』もその一つだ。かつて地元漁業者がアサリ漁に使った舟を横に二隻つなぎ、赤い下帯姿の男性が乗り組む。男たちが勇壮にろをこぐ風景は、天橋立の冬の風物詩になっている。昨年、一昨年と、広島県・宮島の女性チームも参加し『日本三景交流』も実現した。また、夏には天橋立の松並木を自然の美術館にし、絵画や彫刻などを展示する『アート&クラフトフェア』を開催する。七月二十日夜には、天橋立松並木の三・六キロ間を二百本のたいまつでライトアップする『炎の架け橋』も催している。幻想的な雰囲気に包まれ、毎年二万人の見物客を魅了している。天橋立観光協会文珠支部の山本大八朗支部長は『人集めのイベントで終わるのではなく、いかに天橋立の美しさを感じてもらえるかにかかっている』と強調した。」とする記事がある。
(5)ブルーガイドニッポン26 琵琶湖・若狭・丹後半島(発行所 実業之日本社 2002年11月1日発行)
「天橋立・宮津」中の「Spot」欄に、「天橋立温泉&宮津温泉」との見出しの下、「神々の遊湯天橋立温泉は、ナトリウム・炭酸水素塩泉で、美肌の湯といわれ、神経痛や筋肉痛などに効能がある。源泉に立寄りの湯はないが、日帰り入浴ができる宿は、文殊荘(11時〜15時)、ホテル北野屋(11時〜15時、16時〜20時)、料理旅館鳥喜(11時〜21時)、対橋楼(11時〜15時)、千歳(11時30分〜15時)の5軒で、入浴料各800円。」とする記述がある。
(6)http://www.monjusou.com/main/amanohasidate_onsen/hasidate_onsen.htm
株式会社文殊荘のウェブサイトにおいて、「神々の遊湯 天橋立温泉」との見出しの下、「当館の温泉は源泉100%。自慢の温泉です。まったりとした肌にまとわりつくようなしっとり温泉で、露天風呂をはじめ、浴場からも四季が織り成す日本茶庭園風の景色がご覧いただけます。未だ数年しかたっていない為、天然温泉でありながらあまり知られていない名湯です。当館の姉妹館のお風呂、釜風呂・樽風呂・檜風呂・露天風呂も巡っていただけ様々なお風呂を楽しんでいただけます。日本海の景色と温泉を心ゆくまでのんびりお楽しみ下さい。地下1500mより湧出する天の橋立温泉は、湯治にも適した良質な泉源で、肌触りやさしく、『美肌の湯』と呼ばれ入浴後はツルツル・しっとりのお肌になるとお客様に大好評です。体も芯から温めいつまでもポカポカと心地よいぬくもりです。」とする記述がある。
同じく、「歴史と伝説の文珠に湧く『美人づくりの湯』で寛ぎの一時をどうぞ ●温泉名 天橋立温泉 ●泉 質 含弱放射能・鉄(II)−ナトリウム−塩化物泉 ●温度 39.8度 ●効能 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・うちみ・慢性消化器病痔病 冷え性・病後回復期・疲労回復・切り傷・やけど・慢性皮膚病」とする記述がある。
(7)http://www.amanohashidate.org/chitose/r_img/roten.html
「天橋立温泉」、「神々の遊び湯 天の橋立温泉」の見出しの下、「泉質:含弱放射能・鉄(II)−ナトリウム−塩化物泉 高張性中性低温泉 泉温:32.2°C気温29.3°C) 湧出量:80.1L/min(動力) 泉色:黄褐色,微淡白濁 泉味:塩味 泉臭:微腐臭 湧出地:京都府宮津市文珠小字宮ノ下303番1 深度:地下1500メートル 源泉名:神々の遊湯:天の橋立温泉 効能:...美肌の湯 天然療養泉...神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり 病後回復期・切り傷・美肌・火傷・運動器障害・慢性皮膚病・慢性消化器病・痔疾・疲労回復・健康増進・虚弱児童 動脈硬化症・高血圧症・慢性胆嚢炎・胆石症・冷え症・リウマチ 月経障害・痛風・うちみ・くじき・アトビー・慢性婦人病」とする記述がある。
(8)http://www.hashidate-daimaru.co.jp/amano_onsen.html
「天橋立温泉」の見出しの下、「神々の遊湯 『天橋立温泉』 知恵の湯!」、「正式名称が次のように決定しました。神々の遊湯『天橋立温泉』智恵の湯 当初の予測通り、療養泉と認定され、リュウマチ・神経痛に大きな効果があり、また重曹泉ということで美肌を作る作用があり、別名『美人の湯』とも言われる。」、「湧出地 京都府宮津市字文殊小字宮ノ下309−1 泉質 ナトリウム炭酸水素塩泉(低張性中性温泉)療養泉/天然療養泉...重曹泉...美肌の湯 効能 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動神経、麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消、化器病、痔病、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病 温度 38.9°C 日量 130トン」とする記述がある。
(9)http://www.kitakinki.gr.jp/onsen/tango/miyadu/hasidate.html
北近畿広域観光連盟のウェブサイトにおいて、「温泉」のページに、「神々の遊湯(あそびゆ)天橋立温泉」の見出しの下、「住所 京都府宮津市字文珠 電話 天橋立駅観光案内所/TEL0772−22−8030 料金 日帰り入浴料 800円 電車 KTR 天橋立駅下車、徒歩すぐ〜数分 車 中国自動車道(吉川JCT)→舞鶴若狭自動車道(綾部JCT)→京都縦貫自動車道(宮津天橋立I.C)→府道9号→R176→府道2号へ」とする記述がある。
そうとすれば、本願商標をその指定役務中、「天橋立における入浴施設の提供」など天橋立温泉に関連する役務について使用するとしても、需要者・取引者をして、その役務の提供の場所、質を表示したものと認識するにとどまり、これをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、また、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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