Trademark Appeal Case
人材市場の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−5736(T2003−5736/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「人材市場」の文字を標準文字として表してなり、第35類、第36類、第39類、第41類及び第42類に属する願書記載の役務を指定役務として、平成13年8月8日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定役務は、平成14年11月28日及び当審における同15年4月7日付け手続補正書により、第35類「インターネットを利用した広告」及び第42類「インターネットを利用した求人・求職情報の提供」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『人材市場』の標準文字を書してなるところ、該文字が新聞記事のとおり、一般に広く用いられていることよりすれば、これをその指定役務中『インターネットを利用した職業のあっせん』等の上記文字に照応する役務に使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する」旨、認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「人材市場」の文字よりなるものであるところ、その構成は、「才知ある人物、役に立つ人物」の意である「人材」の文字と、「毎日又は定期に商人が集まって商品売買を行う場所」等の意を有する「市場」の文字との組み合わせによるものと認められる。
しかして、当該文字よりは「人材の市場」との意味合いを看取させるものである。
そして、本願指定役務との関係において、企業が労働者を雇用するにあたり、当該企業の労働条件や必要に応じた人材を求めて「求人情報の広告」を行うものであり、また、職業を求める者にとっては、自己の希望する職種や労働条件等に適合する企業を求めて必要な情報を得る等、求人及び求職、双方のために、人材又は企業に関する情報を収集し、提供する役務が行われているところである。
また、原審が示した新聞記事情報に加えて、インターネットによれば、以下の事実を認めることができる。
(1)インターネットホームページ情報において、「人材市場」の文字検索をしたところ、ウェブ全体からの検索は782,000件であった。
(2)「人材市場 (Jin-Zai-Ichi-Ba) The Human Capital Market Place - Jinzai Ichiba 人材マーケットのポータルサイト・『人材市場』誕生 」の見出しのもと、「就職支援サイト」には「毎日就職ナビ」、「リクルートナビ」等、「転職支援サイト」には「リクナビキャリア」、「毎日キャリアナビ」等があり、就職に関する情報を検索することができるサイトがある(http://gifu.cool.ne.jp/jinjisoshiki/market.htm)。
(3)「人材市場アウトルック」の見出しのもと、「326職種」や「212業種」及び人材ニーズの概要」等を検索することができるサイトがある(http://www.cin.or.jp/needs/jinzai/default.asp?CNO=30)。
さらに、以下の新聞情報がある。
(1)2004.12.4 繊研新聞 第5面の新聞記事によれば、「産構審第9回基本問題小委 技術革新の課題は人材の流動化」の見出しのもと、「(前略)人材の流動化が阻害される要因には、移動するインセンティブの欠如、研究人材市場の不在、人材交流情報不足などがある。対策として人材流通市場の形成や人事交流など現行制度の活用が提案された。」との記載がある。
(2)2004.3.25 繊研新聞 第29面の新聞記事によれば、「【この人と1時間】 クリーデンス社長 保坂功さん FBの人材紹介に特化 ファッションは、人が創る 人と組織のインフラ プロにはプロで」の見出しのもと、「企業は『ヒト・モノ・カネ』で成り立つとされるが、ファッションビジネス(FB)でも、ヒトの重要性が強調されるようになってきた。必要とする人材を社内にとらわれず、『人材市場』から求めようという考え方が広がり、FB専門の人材紹介企業の役割が注目されている。クリーデンスの保坂功社長は、『ファッションは、人が創(つく)る。人と組織を結ぶインフラとしてFB業界の発展に貢献したい』と語る。人材が『市場化』――『転職』が一般化しています。『働き方』が多様化してきています。企業と個人の結びつきが多様化してきました。上場企業でさえ、終身雇用、年功序列をうたっている企業はほとんど無くなっています。派遣、パート、アルバイトなど雇用形態にかかわらず、『必要なときに必要な人材を調達する』という人材の市場化も進んでいます。場合によっては、業務委託など欧米に近いアウトソーシング的な形態も増えています。一方、市場化の一環で、『社員』という意味でのキャリア採用が積極的に行われています。これはコア人材を、内部に抱え、育成、維持しようということで、私どもは『高密度化』と呼んでいます。企業は『働き方』の多様化の中で、分野と役割で『高密度化』を使い分けようとしています。――転職の考え方も変わってきました。私どもは、転職は前向きであるべきと思っています。自分の可能性にチャレンジしたいとか、ひとつの仕事をやりきり、『次には、これをやりたい』といった具合にですね。初めは、私には敷居が高いと思っていたブランドが、話を聞いているうちに、それなら自分にもできると考えるデザイナーもいます。新しい可能性に目覚めたデザイナーもいます。転職の意思の有無にかかわらず、人材市場での自分を評価するためにも、私ども人材紹介企業を活用していただきたいです。(後略)」との記載がある。
以上によれば、近年、就職や転職のため、各企業の求人に関連する様々な情報を収集し提供する役務があり、また、インターネット上には、例えば「人材に関する様々な情報の収集、提供の場」程度の意味合いとして、「人材市場」の文字が使用されており、さらには、「人材市場」と称してこれらの情報を自由に検索できるサイトがあることから、今や、「人材市場」の文字は、「求人・求職等のため、人材に関する様々な情報を収集し、提供する場所」であるとして、取引者、需要者に認識されているといえるものである。
そうとすれば、「人材市場」の文字を普通に用いられる方法で表してなる本願商標を、その指定役務中「インターネットを利用した求人・求職情報の提供」について使用したときは、上記の意味合いを認識させるにすぎず、役務の質(内容)を表示するに止まり、自他役務識別標識としての機能を有しないと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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