結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89046(T2004−89046/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4748222号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナノブリリアント」の文字を標準文字で表してなり、平成15年4月17日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同15年12月18日に登録査定、同16年2月20日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第1975686号商標(以下「引用商標」という。)は、「BRILLIANT」の欧文字と「ブリリアント」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和59年10月16日に登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同62年8月19日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第21号証を提出した。
(1)「ナノ」の語の識別力について
本件商標「ナノブリリアント」のうち、「ナノ」の部分は、「10億分の1」という単位を表す接頭語で、例えば「10億分の1メートル」を表す「ナノメートル」や、「10億分の1秒」を表す「ナノセカンド」のように、長さや時間の単位に接頭語として結合し、「ナノ○○○」として用いられる言葉である。また、厳密に「10億分の1」とはいわないまでも、それくらいの大きさのものを扱う技術や分野について「ナノ」という言葉は用いられており、例としては、数ナノメートル程度の微細なものを扱う技術分野である「ナノテクノロジー」、ナノメートル程度の大きさまで掘り下げて生命現象を研究しようという生物学の分野である「ナノバイオロジー」といった言葉がある(甲第6号証「カタカナ語辞典」)。
この他にも、そのような微細な領域に「ナノデバイス」と呼ばれる単一電子メモリなどを作ってゆく「ナノエレクトロニクス」という分野があったり、微細な構造を持つ素材である「ナノマテリアル」と、そのひとつで半導体技術における新素材として注目の集まる「カーボン・ナノチューブ」など、「ナノ」という言葉は、様々な言葉に接頭語として付加され、「10億分の1」あるいはその程度の微細さのレベルを表すために用いられている。
そうすると、「ナノ○○○」という言葉があったとすると、近年の「ナノテクノロジー」ブームを背景として、これを見た者は「ナノ」+「他の言葉」という組み合わせであると容易に理解し、その意味合いとしては、「ナノテクノロジー」を応用したものや、微細な大きさの何かに関連した言葉であるととらえることになる。
そして、「ナノテクノロジー」は、本件指定商品「せっけん類、化粧品」の分野においても応用され、次のような新たな商品が生み出されており、この「ナノ」という言葉は、「せっけん類、化粧品」の分野においては、もはや識別力を欠くか、あるいは極めて弱い言葉である。
「せっけん類」に関しては、例えば、甲第9号証のサイトに示すように、「パワーナノソープ」として女性用の超高保湿・保護効果を謳う「せっけん」が販売されている。これは角質細胞間隔50ナノメーターより小さいサイズのカプセルに有効成分を配合することで、その有効成分がすばやく肌に浸透するようになっている商品で、最先端のナノテクノロジーを応用した「せっけん」であることを表すため、「パワーナノソープ」あるいは「ハイテクナノソープ」などの表現が用いられている。
甲第10号証のサイトでは、ナノ粒子が角質層に深く浸透することをアピールしたスキンケア商品が紹介されているが、「化粧水」などとともに「洗顔フォーム」が販売されている。商品自体の特徴は上記と同様で、商品販売用のケースには、ナノ粒子の“うるおい成分”が角質層に深く広く浸透します、として高い保湿効果が謳われている。
甲第11号証は、生分解性の高い「洗剤」の販売サイトであるが、なぜ生分解性が高いのかということについて、その答えが「ナノテクノロジー」にあることが説明されている。
甲第12号証は、その名も「NANO(ナノ)超微粒子石鹸」という「せっけん」を紹介するサイトであるが、これは超微粒子(ナノテク)を用いた商品で、洗顔をするだけで簡単に肌の外側から毛穴の中まで汚れを落とすことができる旨が説明されている。
このように、「せっけん類」の分野における「ナノテクノロジー」の応用のされ方としては、有効成分を肌の内側に浸透しやすくするよう、これをナノのレベルにまで小さくしたり、界面活性剤の粒子をより細かくしてきめを揃えることで肌の奥まで汚れをとったり、そのもの自体の働きを最大限に近づけて少量化を実現したりすることが挙げられる。このうち分かりやすいのは、粒子を細かくして肌の奥などの細かいところまで汚れをとるということであるが、いずれにせよ「ナノテクノロジー」が「せっけん類」の分野において応用されているのは間違いなく、そのような商品を指して直接的に「ナノソープ」といったり、「超微粒子(ナノテク)の石鹸」などと説明がなされているものである。よって、この分野において「ナノ」といえば、「ナノテクノロジー」を用いた商品であることを需要者らは直感し、これは単なる商品の品質等表示と見られるのが自然であるといえる。
次に、「化粧品」の分野においても、「ナノ」という言葉は「ナノテクノロジー」を用いた商品との関連で頻繁に用いられる。
甲第13号証は、基礎化粧品を扱う会社のサイトであり、「ナノ化粧品」とは、有効成分を微粒子化したことで、細胞間の隙間をすべるように浸透させることが可能になった化粧品、との記載があり、有効成分を超微粒子化するという「ナノテクノロジー」の手法が用いられていることが理解される。
甲第14号証のサイトでも一問一答形式で「ナノ化粧品」を紹介しており、「ハイテク“ナノテクノロジー”化粧品」「ナノ化粧品」「ナノコスメ」といった表現が見られ、このように「ナノ」を付加して化粧品を呼ぶことが一般的に行われていることが見て取れる。
甲第15号証は、化粧品販売のサイトであるが、ここでは「ナノ化粧品」という独立したジャンルを設け、複数のメーカーから販売される「ナノ化粧品」を取り上げている。その種類は、「美容クリーム」「美容液」「乳液」「ボディーローション」「洗顔料」「メイク落とし」など様々で、商品の特徴としてはやはり栄養成分を超微細なカプセルに包み込んだり、ナノミネラル水を配合することで、肌の奥まで有効成分が浸透しやすいようにしたものが中心である。
甲第16号証は、化粧品や健康食品の販売サイトであるが、ここでは「完全無添加ナノ化粧品登場!」として、やはり「ナノ化粧品」なる表現が用いられている。当該商品の内容は「洗顔料」「化粧水」「乳液」などで、今話題のナノテクノロジー化粧品をさらに超微細化したとして、「0.25ナノメートル」を指して「ナノクオータースキンケア」と指称している。
甲第17号証も、「ナノ化粧品」を紹介するサイトであるが、そのうちの「ボディークリーム」については、「ナノ化した、シルクミネラルマックスの有効成分が脂肪を分解し排出」との説明が見られる。
甲第18号証は、最近の新聞記事であるが、ここでは「UVケアに超微粒子」との見出しをつけて「日焼け止め用化粧品」を紹介している。配合成分をナノ単位まで細かくした日焼け止めや美容液が相次いで登場していることが記事の内容となっているが、具体的には、例えば紫外線を防ぐ効果のある成分を細かくして紫外線が侵入するすき間を埋めたり、美白成分の粒子を細かくして皮膚に浸透しやすくさせ、メラニンの生成を防ぐ化粧品などが発売されていることがわかる。
このように、「化粧品」の分野においても、数々の「ナノテクノロジー」を応用した商品が開発・販売されており、技術の応用の仕方としては、有効成分を細かくすることで、肌にその有効成分を浸透させやすくするものが中心となっている。また、当該化粧品について「ナノ化粧品」なる表現が方々でなされていることから、「ナノ化粧品」という表現がすでに一般的であることがわかり、また「ナノ化粧品」という「化粧品」のひとつの分野ができていることも窺い知ることができる。よって、「化粧品」について「ナノ」という言葉を見た者は、何の躊躇もなく「ナノテクノロジー」を応用した上記のような商品を思い浮かべるのであって、「ナノ」を単なる商品の品質等表示程度の認識でとらえるものである。
上記の通り、「ナノ」の文字が本件指定商品の分野ではすでに商品の品質等表示として理解されるような状況では、本件商標「ナノブリリアント」についても、これは「ナノテクノロジー」を応用した「せっけん類」や「化粧品」についての商標であることを冒頭の「ナノ」が理解させるものである。
このことは、特許庁における商標の審査実務の面からも肯定でき、「ナノ」という文字を含む商標に関し、自他商品識別力を欠くことを理由(あるいは理由のひとつ)とした拒絶例がいくつも存在する(甲第19号証)。
(2)本件商標と引用商標の類似性
以上より、本件商標「ナノブリリアント」からは「ナノ」の部分が商品の品質等表示として除外されるとともに、顕著な「ブリリアント」の部分が要部としてクローズアップされ、引用商標と同一の「ブリリアント」の称呼が生ずるので、両者は類似する商標である。
また、仮に「ナノブリリアント」の称呼を生ずるとしても、言葉の意味をともなって商標の称呼も把握されるので、本件商標は上記の通り「ナノ」+「ブリリアント」の結合と捉えられ、さらには「ブリリアント」中の強い破裂音「ブ」が、その前の「ナノ」とその後の「ブリリアント」とを分断するので、依然として本件商標は「ナノ・ブリリアント」として引用商標の「ブリリアント」と称呼上類似する。
ひいては、本件商標「ナノブリリアント」は、他人の登録商標「ブリリアント」に「ナノテクノロジー」商品であることを意味する「ナノ」の語を結合したに過ぎないのであるから、本件商標に接する需要者らは、これが付された商品は、請求人会社が更なる研究開発の結果、「ナノテクノロジー」を駆使して製造した商品であるかのような印象を受け、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は引用商標と類似する商標と判断されるべきであり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)品質誤認を生ずる可能性について
本件商標中「ナノ」の部分は、本件指定商品の分野にあっては「ナノテクノロジー」を応用した商品を表すことは、上に述べる通りであり、本件商標が指定商品中、「ナノテクノロジーを応用していないせっけん類、化粧品」について使用されると、「ナノ化粧品」などとして「ナノテクノロジー」を応用した商品が溢れている状況からは、需要者らは、これを「ナノテクノロジーを応用したせっけん類、化粧品」であるとその商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
(4)答弁に対する弁駁
被請求人の主張は、他の登録例を根拠にこれを一般化して本件に適用しようとするものであり、何ら個別・具体的な商標の類否の検討は行われていない。「ナノ」の語が本件商標の「せっけん類,化粧品」の分野にあっては、ほぼ品質表示にあたり、自他商品の識別力を欠くことは、数々の甲号証に示すとおりであって、被請求人の主張は取引の実情を無視したものである。更に、最近の審査例を見ると、「ナノコスメ/NANO−COSME」、「ナノバイオ」、「NANO GERMA/ナノゲルマ」等、続々と識別力を欠くとの判断がなされてきている(甲第21号証)。
併存登録例は、商標が短かったり、比較的一体性を感じやすい商標であったり、あるいは、そもそも併存登録されていること自体が疑問と思える例もいくつか存在する。
したがって、本件とは事例が異なる上に、本件における事情を考慮することなく、単に併存登録がなされているという形式面だけをとらえ、一般論的な議論を展開する被請求人の主張には理由がない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものであり、その登録は無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
請求人は、「ナノ」の部分は、「10億分の1」という単位を表す接頭語で、「ナノメートル」や「ナノセカンド」のように使用され、また、「ナノテクノロジー」、「ナノバイオロジー」、「ナノデバイス」、「ナノエレクトロニクス」、「ナノマテリアル」、「カーボン・ナノチューブ」の言葉があると述べている。
即ち、請求人自身も認めているように、「ナノ〇〇〇」という言葉が複数あることを考えると、需要者は、ナノがどの言葉の前半部分つまりどの言葉の略語かを特定することは一般に不可能である。
常にこれらの言葉に接し又その意味を理解している一部の需要者は、ナノの言葉から、上記各語を容易に想起するかもしれないが、大多数の需要者は、これらの言葉に常時接しておらず、又その意味も理解していないことを考えると、「ナノブリリアント」の商標名から「ナノ」と「ブリリアント」の結合であると想起するのは、需要者の通常有する注意力を基準として判断すると、到底困難であり、あくまでも「ナノブリリアント」として一連の状態で判断されるものというべきである。
また、請求人は、「ナノ」という言葉は本件商標の指定商品「せっけん類,化粧品」の分野においては、もはや識別力を欠くか、あるいは極めて弱い言葉である旨主張している。
しかしながら、「せっけん類,化粧品」を含む指定商品において、「ナノ〇〇〇」の商標と「〇〇〇」の商標とが非類似であるとして登録された例は、乙第4号証に示すとおり、数多く(29件)存在している。また、ナノの称呼を前半に有し、指定商品に「せっけん類,化粧品」を含む商標が品質誤認を生じないとして、2004年1月から7月30日の間だけでも、乙第5号証に示すとおり、40数件登録されている。
これらのことは、指定商品の「せっけん類,化粧品」との関係で、「ナノ○○○」の「ナノ」の部分から「ナノテクノロジー」を応用した商品であることを想起するのは、一般の需要者にとっては困難であることを裏付けており、また、ナノの部分が自他商品の識別に機能せず、本件商標の要部が後半の「ブリリアント」であるとの請求人の主張にも根拠がなく、本件商標の前半のナノの部分も十分に自他商品識別機能を有していることを裏付けている。
そうとすれば、本件商標は、「ナノ」と「ブリリアント」とに分離せずに一連の「ナノブリリアント」として判断するのが相当である。
そして、本件商標の「ナノブリリアント」と引用商標の「BRILLIANT/ブリリアント」の類否を判断すると、本件商標には前半に「ナノ」の称呼を有するのに対して引用商標はこれを有せず、両者の称呼は非類似である。
また、観念においても、本件商標の「ナノブリリアント」は造語であり、特定の観念を生じさせることがないのに対し、引用商標の「BRILLIANT/ブリリアント」からは、請求人が述べているように、「光り輝く、華々しい」などの特定の観念を生じさせるものであるから、両者は、観念においても非類似である。
更に、両商標の外観についてみても、本件商標にはアルファベット文字がなく、しかもカタカナ文字においては引用商標にない「ナノ」の文字を有しているものであるから、本件商標と引用商標の外観は明らかに相違しており、非類似である。
また、請求人は、引用商標の「BRILLIANT/ブリリアント」が登録された理由として、「ブリリアント」が顕著な言葉である旨述べているが、指定商品に「せっけん類,化粧品」を含み、しかも商標の一部に「ブリリアント」の称呼を有する商標が引用商標とは非類似であるとして登録されていることからみても(乙第6号証)、「ブリリアント」は「ナノ」との関係で分離して判断されるような顕著な言葉とはいえない。
このように、本件商標は、引用商標とその称呼、観念、外観の何れもが非類似であるから、本件商標と引用商標とは類似するとの請求人の主張は成り立たない。
(2)商標法第4条第1項第16号について
上記したように、ナノの称呼を前半に有し、しかも、指定商品に「せっけん類,化粧品」を含む商標が品質誤認を生じないとして、数多く登録されている実状を考えると、ナノの称呼部分は、指定商品の「せっけん類,化粧品」との関係において、品質の誤認を生じることがないといえる。つまり、本件商標は、その指定商品との関係で商標法第4条第1項第16号に違反していないといえる。
(3)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、無効にされる理由は存在しない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、構成各文字は、同書、同大、同間隔をもって外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずる「ナノブリリアント」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。そして、たとえ、構成中の「ナノ」の文字部分が「10億分の1」という単位を表す接頭語であり、「ナノテクノロジー」等の語を想起させるものであるとしても、かかる構成においては、特定の商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ構成全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ナノブリリアント」の称呼のみを生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標は、前記のとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「ブリリアント」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「ナノブリリアント」の称呼と引用商標より生ずる「ブリリアント」の称呼とを比較するに、両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部分において、「ナノ」の音の有無という音構成上の明らかな差異を有するものであるから、これらをそれぞれ一連に称呼するも、互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
また、本件商標は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、互いの観念については、比較すべくもないものであり、両商標は、前記のとおりの構成からなるものであるから、外観においても明らかな差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
この点について、請求人は、本件商標構成中の「ナノ」の文字部分は「10億分の1」という単位を表す接頭語であり、「超微細技術」を意味するナノテクノロジーという使い方も一般的になっており、「せっけん類、化粧品」の分野においても識別力を欠くか、あるいは極めて弱い語となっているから、本件商標の要部は「ブリリアント」の部分にある旨主張している。
確かに、「nano」の語は「10億分の1」という単位を表す接頭語であり、「nanotechnology/ナノテクノロジー」をはじめ、「nanobiology/ナノバイオロジー」、「nanoelectronics/ナノエレクトロニクス」、「nanomaterials/ナノマテリアル」、「carbon nanotube/カーボン・ナノチューブ」等のように用いられており、「超微細技術」を意味するものであることは、請求人の主張のとおりである。
しかしながら、「ナノテクノロジー」の語は、甲第7号証(知恵蔵1995)によれば、「ナノメートル(10億分の1メートル)の精度を扱う機械技術として提唱された分野で、加工技術や計測技術を対象としていたが、その後、分子や原子のオーダーの加工や計測を総称するようになった。」とあり、また、甲第8号証(文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターHP)には、「ナノテクノロジーとは、原子や分子の配列をナノスケールで自在に制御することにより、望みの性質を持つ材料、望みの機能を発現するデバイスを実現し、産業に活かす技術のことです。ナノテクノロジーは素材、IT、バイオなど広範な産業の基盤に関わるものであり、21世紀の最重要の技術と捉えられています。この技術により実現すると想定されることの例としては、・・・鉄鋼よりも10倍つよく、しかもずっと軽い材料(素材)、国会図書館の情報を角砂糖の大きさのメモリに収容(IT)、ガンを細胞数個程度の段階で検出(バイオ)などがあります。・・・ナノテクノロジーにおいては、非常に困難な課題の克服が要求されています。・・・」と記載されているように、極めて専門的な技術分野に属するものであり、未だ開発途上の技術であるということができる。
そうとすれば、「ナノテクノロジー」の技術は、今日においては、各種の素材の開発にまで及ぶ広範なものであって、せっけん類や化粧品の分野においても「ナノテクノロジー」に基づく素材を利用した製品が開発されつつあるとしても、せっけん類や化粧品等の消費者である一般的な取引者・需要者にとっては、IT産業や先端的な技術分野において「ナノテクノロジー」が研究されているというような漠然とした認識はあり得るとしても、せっけん類や化粧品の商標構成中の「ナノ」の文字から、直ちに、該製品が「ナノテクノロジー」に関連した製品であるとまで認識するとみるのは困難なことというべきである。
そして、請求人の提出に係る甲号証をみても、本件商標の登録査定前の資料と認められるものは、甲第12号証(フェリークのホームページ)と甲第17号証(エビアングリーンアルファのホームページ)のみであり、査定時に近い証拠を取り上げたとしても、甲第14号証(KITERUのホームページ)、甲第16号証(ビッダーズのホームページ)程度である。しかも、甲第12号証によれば、「商品名を『NANO(ナノ)超微粒子石鹸』としました」のように、「NANO(ナノ)」の語を商標的に用いており、商品の説明文においても、「超微粒子(ナノテク)利用の石鹸・・・」のように、抽象的、観念的な表現にとどまっているにすぎない。また、甲第17号証についても、左肩に「ナノ化粧品ミネラルシリーズ」の記載があり、アンアン2003/6.4(マガジンハウス)超簡単ダイエット特集記事の箇所には、文字が不鮮明で判読できないが、インターネット情報を参照してみれば、「ナノ化した、シルクミネラルマックスの有効成分が・・・」の文言を確認できるのみであって、該製品と「ナノテクノロジー(ナノ)」との具体的な説明は何らなされていない。このことは、甲第14号証及び甲第16号証の記事をみても同様である。
そうとすれば、「ナノ」の語が「せっけん類,化粧品」のきめ細かさを暗示させる場合があるとしても、上記した甲各号証をもってしては、「せっけん類,化粧品」の原材料、品質等を具体的に表しているものとは認め難く、識別力のない語であるとまではいえない。
加えて、「ブリリアント」の語は、広辞苑(甲第5号証)にも掲載されているように、一般にも広く知られている外来語であり、化粧品等の分野においては、「輝かしいさま」の語義とも相俟って、比較的採択され易い語であるということができる。被請求人の提出に係る乙第6号証によれば、せっけん類や化粧品を指定商品とし、「ブリリアント/Brilliant」の語を含む登録商標として、「ブリリアントスマイル」(登録第4698738号)」、「Brilliant snow/ブリリアントスノー(登録第4696986号)」、「Brilliant Club/ブリリアントクラブ(登録第4653009号)」、「ブリリアントローヤル(登録第4622768号)」、「ブリリアントフィギュア/BRILLIANT FIGURE(登録第4396035号)」、「ブリリアントデュウ/BRILLIANTDEW(登録第2225578号)」等が請求人とは別異の者により採択されている。
そうとすれば、「ブリリアント」の語が請求人の業務に係る「せっけん類,化粧品」の商標として取引者・需要者の間において広く知られているというような格別の事情でもない限り、本件商標は、その構成中の「ブリリアント」の文字部分のみを分離抽出して把握されることはなく、その構成全体をもって、不可分一体の商標として認識されるものとみるのが相当であるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第16号について
上記のとおり、「ナノ」の語は、本件商標の査定時において、「せっけん類,化粧品」の品質を具体的に表しているものとは認められないものであり、本件商標は、全体として一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが相当であるから、本件商標をその指定商品のいずれについて使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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