sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名マスコット名保護の争点

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89100(T2004−89100/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4768223号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4768223号商標(以下「本件商標」という。)は、「トラッキー」の片仮名文字を横書きしてなり、平成15年10月28日に登録出願、第28類「遊戯用器具,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,ビリヤード用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として、平成16年4月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第145号証(枝番を含む。)を提出した。

1.無効とされるべき理由(要約)

本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第10号、同第7号及び同第19号に該当する商標であり、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

(1)前提となる事実

請求人は、昭和60年に同人のプロ野球球団「阪神タイガース」(以下「阪神タイガース」という。)のマスコットを創りだし、昭和62年に同マスコットの名前を「トラッキー」と決定した。

そして、同マスコット及びその名前は、本件商標の出願前に、阪神タイガースのものとして著名なものとなっている。

また、請求人は、請求人やその許諾業者が昭和53年頃から現在まで、約26年間継続して販売する「阪神タイガースグッズ」或いは「タイガースグッズ」と総称され著名になっている商品群の一つとして、「トラッキー」の名を付したぬいぐるみやゴルフ用品等の種々の商品(トラッキー商品)を、昭和63年からカタログ等に掲載して販売し、前記のとおり、本件商標の出願前に請求人又は請求人の許諾業者が販売する商品として著名となっている。

(2)商標法第4条第1項第15号

本件商標は、阪神タイガースの「トラッキー」の名前と同一の片仮名文字から成る商標であり、その称呼は、阪神タイガースの「トラッキー」の名前と同じである。

したがって、本件商標をその指定商品に使用した場合は、その需要者をして、請求人の業務に係るもの、或いは請求人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係るもの、或いは請求人の標章による商品化事業を営むグループに属する者の業務に係るものであるかのごとく誤認させ、その結果

、当該商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第10号

上記(2)の記載の事実からすれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号

本件商標がその指定商品に使用されれば、阪神タイガースの著名なマスコットの名前「トラッキー」の出所表示機能を弱め、その財産的価値を稀釈化する等の結果になること明白である。

また、商標「阪神優勝/図」が第三者名義で登録されたことが各種メディアで取り上げられ社会問題となった事実があるが、その直後に本件商標は出願されたものであって、請求人と何ら関係のない本件出願人に本件商標を独占させることは、商道徳上問題があるばかりでなく、一般公衆を混乱させ、公共の利益を害する虞があることは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号

本件商標の登録出願前に「トラッキー」は、阪神タイガースのマスコット及びその名前として著名になっていた。

本件商標がその指定商品について使用されれば、阪神タイガースの著名なマスコットの名前「トラッキー」の出所表示機能を弱め、その財産的価値を稀釈化し、その語が持つ顧客吸引力や広告効果、ひいては請求人が長年にわたる継続した努力の結果獲得した信用を減殺する結果となることを考慮すれば、本件商標は不正の目的をもって請求人の著名商標と同一又は類似の商標を使用するものに該当する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

2.無効とされるべき理由(詳細)

本件商標が無効とされるべき理由は、上記1.のとおりであるが、さらに

、その理由の詳細について述べる。

(1)前提となる事実

(ア)我が国のプロ野球について

我が国のプロ野球は、歴史が古く、球場への入場者数は相当な数に上っている。また、試合のテレビ中継等も以前よりなされ、テレビの視聴者数も相当な数に上っていて、球場以外でも多くの人がそれらの試合を観戦している(甲第2号証及び甲第3号証の1、甲第3号証の2)。

そして、我が国のプロ野球の試合結果や種々の話題がテレビのスポーツニュースや新聞のスポーツ欄等で日々取り上げられ、人々の間で日常頻繁にプロ野球の球団やその選手、試合結果等が話題になることは、一般によく知られるところである。

(イ)阪神タイガース及びその著名性について

請求人の「阪神タイガース」は、プロ野球創設当時から現在に至るまで継続して高い人気を得ており、その存在と名称は、一般の人々においても著名なものとなっている。

(ウ)阪神タイガースの「トラッキー」について

請求人は、昭和60年に阪神タイガースのマスコットを創りだし、昭和62年に同マスコットの名前を「トラッキー」と決定した(甲第4号証)。

阪神タイガースの「トラッキー」は、昭和62年以降、請求人が主催する公式戦において、その試合前、試合中の攻守交替の間やホームランを打ったバッターを迎えるとき、試合後のヒーローインタビュー等のときに観客の前に登場してその存在を大きくアピールしている(甲第34号証、甲第35号証、甲第47号証、甲第56号証、甲第61号証及び甲第65号証)。

そして、「トラッキー」は、プロ野球の請求人の主催試合に限らず、請求人及びその関係会社主催の各種の行事(甲第36号証、甲第41号証、甲第44号証、甲第45号証、甲第48号証、甲第60号証及び甲第65号証)に登場したり、第三者が主催する各種の行事に招かれて登場して、多くの一般の人々の目に触れてきている(甲第37号証、甲第42号証ないし甲第44号証、甲第51号証ないし甲第53号証、甲第55号証、甲第57号証、甲第62号証ないし甲第64号証及び甲第68号証)。

(エ)請求人の主催試合の入場者数について

請求人主催の公式戦が行われた球場(阪神甲子園球場及び地方球場)への入場者数(概数)をみてみると、阪神タイガースの「トラッキー」が登場した昭和60年度から本件商標が出願された平成15年度までの請求人の主催試合の入場者数は、計約4429万8千人に上り、同マスコットに「トラッキー」との名前が付けられた昭和62年度から本件商標が出願された平成15年度までの間では、計約3933万6千人に上っている(甲第5号証)。

そうすると、昭和62年以降に限っても、延べ約3900万人以上もの観客の前で、阪神タイガースの「トラッキー」が、スコアボード横の画面上で或いは球場のグランド上で、種々のパフォーマンスを演じ、それら膨大な数の人々の目に留まってきているのである。そして、それら膨大な数の人々は

、周囲の種々の情報から、そのマスコットの名前は「トラッキー」であると認識するとみるのが自然である。

(オ)請求人主催の読売ジャイアンツとの試合の入場者数及びテレビ放映及びその視聴率について

特に、伝統的な試合として人気のある阪神タイガースと読売ジャイアンツとの試合のうち請求人の主催試合での入場者数(概数)は、昭和60年から平成15年に限ってみても、延べ約1262万人に上る(甲第6号証)。

阪神タイガースと読売ジャイアンツとの試合は、その多くが全国ネット等でテレビ中継され、テレビを通じてこれらの試合を観た人の数も、その視聴率からして、極めて膨大な数に上ることは容易に推測し得るものである(甲第7号証及び甲第8号証の1、甲第8号証の2)。

(カ)雑誌「月刊Tigers」について

請求人は、昭和53年3月1日より、プロ野球球団の発行誌として、雑誌「月刊Tigers」を発行し、その誌上において請求人のプロ野球球団及びその所属選手、その他プロ野球に関する事項を掲載している。この「月刊Tigers」の昭和53年の発刊後平成15年10月までの総発行部数は

、計約1306万6千冊である。

そして、「月刊Tigers」において、阪神タイガースの選手と共に「トラッキー」が観客の前に登場している写真、或いは、阪神タイガースのファンと「トラッキー」のふれあい会の案内が度々掲載されている(甲第9号証ないし甲第23号証)。

(キ)阪神タイガース子供の会について

請求人は、昭和57年2月1日に阪神タイガース子供の会を発足させた。以後、同子供の会は存続してる。なお、平成15年8月からは、阪神タイガースの大人向け及び子供向けの公式ファンクラブが誕生した。

そして、阪神タイガース子供の会の会員募集のちらしや同会の会員証には

、トラツキーの図形やその着ぐるみの姿が表されている(甲第24号証ないし甲第32号証)。

(ク)「トラツキー」が新聞記事等で紹介された例について

上記(ア)ないし(キ)の事実により、阪神タイガースの「トラッキー」が人々に広く知られるようになってきたことに伴い、多数の新聞やホームページにおいて、「トラッキー」やそれに関連する事柄がニュース等として紹介されている(甲第34号証ないし甲第69号証)。

(ケ)「トラッキ−」の著名性について

上記(ア)ないし(ク)の事実からして、阪神タイガースの「トラッキー」は、本件商標の出願日前において、その姿及び名前が、阪神タイガースのマスコットとして人々の間で著名となっていた。

(コ)阪神タイガースグッズ及びトラッキー商品の販売と実績について

請求人は、本件商標の出願前から現在に至るまで、種々の「阪神タイガースグッズ」を、請求人自らあるいは第三者を通じて販売してきている。

そして、請求人及びその関連会社「株式会社阪神百貨店」(以下「阪神百貨店」という。)等による、阪神タイガースグッズの販売実績は、例えば、平成15年度は37億5805万円である。

阪神タイガースグッズの一つとして、請求人は、「トラッキー」の名が付けられ、或いは阪神タイガースのトラッキーの姿を模した種々の商品を、昭和63年から現在に至るまで継続して販売している(甲第9号証ないし甲第23号証及び甲第70号証ないし甲第85号証)。

(サ)タイガースグッズ及びトラッキー商品の製造・販売の許諾について

請求人は、多数の第三者に対して、阪神タイガースの各種標章を使用した商品を製造・販売することを許諾してきている(甲第86号証ないし甲第88号証)。

請求人は、自ら種々のトラッキー商品を販売しているが、他方で、請求人は請求人の関係会社や第三者に対し、種々のトラッキー商品の製造・販売を許諾している(甲第89号証及び甲第90号証の1ないし甲90号証の469)。

(シ)トラッキー商品が請求人らによって販売されている事実について

阪神タイガースグッズのトラッキー商品が、請求人及び阪神百貨店と共に

、請求人からその製造・販売の許諾を受けた者においても、本件商標の登録出願日以前から現在まで継続して販売されていることは、新聞記事やインターネット上のホームページにおいても示されている(甲第91号証ないし甲第139号証)。

(2)商標法第4条第1項第15号について

上記のとおり、阪神タイガースのマスコット及びその名前「トラッキー」は、甲第2号証ないし甲第69号証で示すとおり、本件商標の登録出願日前において、著名となっていた。

他方で、甲第9号証ないし甲第17号証、甲第19号証、甲第70号証ないし甲第85号証で示すとおり、請求人及び阪神百貨店は、本件商標の出願前の昭和63年から現在まで継続して、タイガースグッズと総称されている商品中において、請求人の多種多様なトラッキー商品を販売してきている。

さらに、甲第89号証、甲第90号証の1ないし甲第90号証の469で示すとおり、請求人は第三者に対し、本件商標の出願前から、請求人の多種多様なトラッキー商品の製造・販売の許諾を行っている。

そして、請求人のトラッキー商品自体も、甲第91号証ないし甲第139号証で示すとおり、本件登録出願日前に、広く知られていた。

このような状況において、阪神タイガースの著名なマスコットの著名な名前「トラッキー」と同一の片仮名文字から成る本件商標がその指定商品について使用された場合、本件商標は、その需要者をして、本件商標が付された商品は請求人の業務に係るもの、或いは請求人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係るもの、或いは請求人の標章による商品化事業を営むグループに属する者の業務に係るものであるかのごとく誤認させ、その結果、当該商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標である。

(3)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、甲第2号証ないし甲第139号証に示されている事実からすれば、同法第4条第1項第10号に該当する商標である。

(4)商標法第4条第1項第7号について

請求人と何ら関係のない者である本件商標権者に本件商標の使用を独占させることは、商道徳上問題があるばかりでなく、一般公衆を混乱させ、公共の利益を害するおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、同法第4条第1項第7号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号について

前述の1.(5)のとおり、本件商標は不正の目的をもって請求人の著名商標と同一又は類似の商標を使用するものに該当するから、同法第4条第1項第19号に該当する。

3.答弁に対する弁駁

(1)プロ野球に対する関心度は高く(甲第2号証及び甲号証3の1、甲第3号証の2)、プロ野球ファンはあらゆる年齢層の老若男女にわたっていて、その数も膨大な数に上ると容易に推測される。

そして、あらゆる年齢層の老若男女にわたるこれら膨大な数のプロ野球ファン及び阪神ファンは全て目常の商品の購入者となり得るので、日常の商品の購入者におけるプロ野球ファン及び阪神ファンが占める割合も相当大きいといえる。

したがって、被請求人の「プロ野球ファンは、目常商品の購入者の一部に過ぎない」との主張は失当である。

(2)被請求人は、請求人以外の者が「トラッキー」の文字を有する商標が登録されているとして、登録第1405349号商標、登録2702979号商標を挙げている。

しかしながら、登録第1405349号商標は、昭和50年に出願され、その指定商品は「被服、布製身回品、寝具類」であるが、阪神タイガースの「トラッキー」が「トラッキー」と呼ばれるようになった昭和62年の約7年前の昭和55年に登録になったものである(なお、該商標権は、請求人の親会社阪神電気鉄道株式会社へ移転登録された。)。また、登録2702979号商標は、昭和62年出願され、平成7年に登録になったものであるが、その指定商品は「産業機械器具」等で、被請求人のいう一般大衆を需要者とする商品ではない。したがって、被請求人の主張には理由がない。

(3)被請求人は、本件商標の指定商品の需要者は一般大衆であると述べ、本件商標をその指定商品に使用しても阪神タイガースの「トラッキー」との間で、出所の混同を生じるおそれのないことの根拠にしている。

しかし、一般大衆の一人一人が日常のあらゆる商品の需要者となり得るのであって、結局、膨大な数の阪神ファンが本件商標の指定商品の需要者となり得るのである。

したがって、本件商標の指定商品の需要者が一般大衆であることは、請求人のトラッキー商品と本件商標が付された商品とがその出所において誤認混同されるおそれがあることの有力な理由にはなっても、そのおそれがないことの理由の一つとすることはできないことは明らかである。

なお、被請求人に係る、本件商標と同一の構成文字からなる別件の商標「トラッキー」(商願2004‐40969)は、商標法第4条第1項第15号に該当することを理由に拒絶査定を受けている(甲第145号証の1ないし甲第145号証の4)。

(4)結論

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第10号、同第7号及び同第19号に該当する商標であり、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べている。

1.プロ野球の阪神球団は、プロ野球球団中の最たる有名球団にして、球場の観客動員数・テレビ放映回数も特段に大にしてプロ野球球団としての著名度は高い。

しかし、プロ野球ファンは特定した野球愛好者にして主婦を主とする日常商品購入者の一部に過ぎないと共に、球場の観客は特定した阪神ファンのリピート参加が多く、テレビ観戦者も特定した阪神ファンに概ね限定される。 そして、球場やテレビ放映で視認される「トラッキー」なるマークは、その阪神球団のマスコットの愛称であることから、観客動員数・放映回数が大なるをもって、本件商標が全国的著名度を有するとは言えない。

2.本件商標と同一商標は、登録第1405349号号、第2702979号として、本件請求人以外の者が登録して日本国内で長期間、一般大衆を需要者とする指定商品について、独占使用されている事実がある。

3.本件商標の指定商品の需要者は一般大衆であることから、前記1、2の理由に照らして総合観案すると、本件商標権者が本件商標の指定商品に使用しても、阪神タイガースの「トラッキー」と出所混同をもたらす虞はない。

4.以上の理由から、前記趣旨のとおりの審決を求めるものである。

第5 当審の判断

1.請求人のマスコット「トラッキー」について

請求人の提出に係る甲第各号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)我が国のプロ野球観戦者数及び試合のテレビ中継の視聴者数は相当な数に上っていること(甲第2号証、甲第3号証の1、甲第3号証の2及び甲第140号証ないし甲第144号証)。

(2)請求人は、昭和60年に虎を擬人化したマスコットを創作し、昭和62年に該マスコットの名前を「トラッキー」と名付けたこと(甲第4号証)

(3)マスコット「トラッキー」(人が入った縫いぐるみ)は、昭和62年以降、請求人が主催する公式戦において、その試合前、試合中の攻守交替の間やホームランを打ったバッターを迎えるとき、試合後のヒーローインタビュー等のときに観客の前に必ず登場していること(甲第34号証、甲第35号証、甲第47号証、甲第56号証、甲第61号証及び甲第65号証)。

(4)マスコット「トラッキー」(人が入った縫いぐるみ)は、プロ野球の請求人の主催試合に限らず、請求人及びその関係会社主催の各種の行事(甲第36号証、甲第41号証、甲第44号証、甲第45号証、甲第48号証、甲第60号証及び甲第65号証)、又は、第三者が主催する各種の行事に参加していること(甲第37号証、甲第42号証ないし甲第44号証、甲第51号証ないし甲第53号証、甲第55号証、甲第57号証、甲第62号証ないし甲第64号証及び甲第68号証)。

(5)請求人の主催試合の観戦者数は、マスコット「トラッキー」の名前が付けられた昭和62年度から本件商標が登録出願された平成15年度間に計約3933万6000人に上っていること(甲第5号証)。

(6)請求人は、昭和53年3月1日より、プロ野球球団の雑誌「月刊Tigers」を発行し、その紙上において請求人のプロ野球球団及びその所属選手、その他プロ野球に関する事項を掲載すると共に、同誌の昭和63年7月1日発行以降にトラッキー商品等を紹介していること。そして、「月刊Tigers」の昭和53年の発刊後平成15年10月までの総発行部数は、計約1306万6000冊であること(甲第9号証ないし甲第23号証)。

(7)請求人は、昭和57年2月1日に「阪神タイガース子供の会」を発足させ、平成15年8月からは、阪神タイガースの公式ファンクラブが発足していること。そして、阪神タイガース子供の会の会員募集のちらしや同会の会員証には、「トラッキー」の図形やその着ぐるみの姿が表されていること(甲第24号証ないし甲第32号証)。

(8)請求人に係る「トラッキー」は、各種新聞やホームページにおいて、頻繁に掲載され紹介されていること(甲第34号証ないし甲第69号証)。

(9)請求人は、「トラッキー」或いはマスコット「トラッキー」の図形を種々の商品(文房具、時計、日用品、阪神応援グッズ、食器類、身の回り品

等)に付し、昭和63年から現在に至るまで継続して販売していること(甲第9号証ないし甲第23号証及び甲第70号証ないし甲第85号証)。

(10)請求人は、「トラッキー」及びマスコット「トラッキー」の図形を使用したトラッキー商品を製造・販売することを多数の企業に対して、許諾していること(甲第86号証ないし甲第88号証、甲第89号証及び甲第90号証の1ないし甲90号証の469)。

(11)トラッキー商品は、新聞記事やインターネット上のホームページにおいても掲載、紹介されていることが認められる(甲第91号証ないし甲第139号証)。

2.商標法第4条第1項第15号について

上記1.を総合勘案すれば、阪神タイガースのマスコット「トラッキー」は、阪神タイガーズの試合において必ず球場に登場すること、テレビの野球中継においても多数の世人がテレビ観戦していることよりすれば、マスコット「トラッキー」及びそのマスコット名「トラッキー」は、阪神タイガーズファンばかりでなく、一般世人間おいても広く知られているものと推認し得ること、請求人及びマスコット「トラッキー」の図形及びマスコット名「トラッキー」の使用許諾者は、各種商品に付し、使用していること等のことから、阪神タイガーズに係る、マスコット「トラッキー」及びマスコット名「トラッキー」は、本件商標の登録出願時を経て登録査定時に至るまで継続して、需要者間に広く知られ、認識されていたものというのが相当である。

そして、本件商標は、請求人らが文房具、阪神応援グッズ等の各種商品に使用する標章「トラッキー」と同一の片仮名文字からなるものであり、また、本件商標の指定商品は、請求人らが使用する商品とは近似した商品といい得るものである。

そうとすれば、 本件商標をその指定商品に使用した場合は、請求人らの使用標章を連想、想起し、請求人又は請求人らと経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがあるものというのが相当である。

なお、被請求人は、本件商標と同一商標が登録第1405349号及び同第2702979号として、請求人以外の者に登録されているから、本件商標についても商品の出所について混同を生じない旨主張している。

しかしながら、前者は使用標章が周知著名となる以前の昭和50年12月15日の出願であり(しかも、登録後に請求人の親会社へ移転登録されている。)、後者についてもその指定商品は「産業機械器具」等であって、本件商標の指定商品とはその生産者、用途、品質等を著しく異にするものであるから、これらの商標登録の存在をもって、本件商標についても出所の混同を生じないとする被請求人の主張は採用できない。

したがって、請求人のその余の無効理由について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。