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Trademark Appeal Case

役務区分と不使用取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−30149(T2004−30149/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1.本件商標

本件登録第4029201号商標(以下「本件商標」という。)は、平成6年8月19日に登録出願され、「SANCTUARY」の欧文字を横書してなり、第41類「植物の供覧、動物の供覧、映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、ゴルフの興行の企画・運営又は開催、競艇の企画・運営又は開催、小型自動車競争の企画・運営又は開催、運動施設の提供、娯楽施設の提供、スキンダイビング用具の貸与」を指定役務として、平成9年7月18日に設定登録されたものである。

第2.請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中「娯楽施設の提供」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。との審判を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

1.請求の理由

(1)請求人の調査によれば、本件審判請求前3年以内に、本件商標が、商標権者である被請求人によって、日本国内において、その指定役務中「娯楽施設の提供」について使用された事実は発見できなかった。

(2)さらに、登録原簿を見るも、本件商標には専用使用権及び通常使用権のいずれも設定登録されておらず、専用使用権者及び通常使用権者が存在しないものと推定される(甲第2号証)。

(3)したがって、本件商標は、その指定役務中「娯楽施設の提供」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれにも使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、登録を取消されるべきものである。

2.弁駁の理由

(1)被請求人は答弁書において、本件商標が「娯楽施設の提供」についてその使用権者たる有限会社松勘商事により使用されていると主張し、乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。

しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証には、本件商標「SANCTUARY」の記載は一切見出せないものである。

請求人が精査するに、乙第1号証及び乙第2号証に見られるのは、わずかに片仮名文字「サンクチュアリ」のみであって、該標章は、本件商標と社会通念上同一とは認められないものであるから、乙第1号証及び乙第2号証によっては本件商標の使用事実は何ら立証されていないというべきである。

しかも、乙第1号証及び乙第2号証中の「サンクチュアリ」の文字は、いずれも大書された「KOA伊勢志摩キャンプグランド」の文字の下に表記されていることからみて、キャンプ場の名称として使用されているとみるのが妥当である。このことは、被請求人が「KOA伊勢志摩キャンプグランド」を「本件施設」と定義し(答弁書2頁6〜7行)、「有限会社松勘商事は、平成6年4月25日、キャンプグランズ・オブ・アメリカジャパン株式会社との間でフランチャイズ契約を締結し、サブネームとして本件商標を使用して本件施設を運営している。」(答弁書2頁21〜24行)と述べていることからも明らかである。

しかるに、被請求人は、本件施設「KOA伊勢志摩キャンプグランド」が「遊園地」であって「娯楽施設」に該当する旨主張する(答弁書3頁4〜5行)。しかしながら、「キャンプ場」と「遊園地」とは、社会通念上明らかに別異の概念であり、かつ、取引者・需要者は、「キャンプ場」と「遊園地」とを別異の施設として認識しているのが取引の実情である。そして、特許電子図書館の商品・役務名リストによれば、役務名「キャンプ場の提供」には「遊園地の提供」に付与された類似群41K01ではなく、「宿泊施設の提供」と同一の類似群42A01が付与されており(甲第3号証及び甲第4号証)、また、特許庁商標課編「商品及び役務区分解説」の第42類の解説には、「この類には、特に、次の役務を含む。」と記され、「...、観光客用キャンプ場、...が宿、部屋及び食事を提供する役務」が具体的に例示されているところである(甲第5号証)。すなわち、商標登録の実務においても、前述の社会通念及び取引の実情に相応して、「キャンプ場の提供」と「遊園地の提供」とは別異の役務として取り扱われているのである。

そうとすれば、仮に標章「サンクチュアリ」が本件商標と社会通念上同一と認められるとしても、該標章が「遊園地の提供」に使用されているとは到底認められず、該標章は「宿泊施設の提供」の範疇に属する「キャンプ場の提供」に使用されているにすぎないものであるから、乙第1号証及び乙第2号証をもって本件商標が「娯楽施設の提供」に使用されているとは言い得ないものである。

(2)また、被請求人は、「本件施設は、キャンピング施設だけではなく、子供用のプール、ミニゴルフ、ファンサイクル用コース、プレイングランド、カヌーによる施設内散策、ビンゴパーティーなどの遊覧や娯楽のための乗り物や設備の提供も行っている」(答弁書3頁8〜11行)と主張し、それらの写真を乙第7号証として提出している。

しかしながら、被請求人のいう「子供用のプール、ミニゴルフ、ファンサイクル用コース、プレイグランド、カヌーによる施設内散策、ビンゴパーティーなどの遊覧や娯楽のための乗り物や設備の提供」は、本来の役務たる「キャンプ場の提供」に付随するサービスにすぎず、しかも、乙第7号証には、本件商標はもちろんのこと、標章「サンクチュアリ」すら見出せないものである。

したがって、被請求人のいう「子供用のプール、ミニゴルフ、ファンサイクル用コース、プレイグランド、カヌーによる施設内散策、ビンゴパーティーなどの遊覧や娯楽のための乗り物や設備の提供」が「娯楽施設の提供」の範疇に属するかどうかはともかく、乙第7号証によっては本件商標が「娯楽施設の提供」に使用されている事実は何ら立証されていないというべきである。

(3)乙第5号証の確認書には、「同キャンプグランドにおいて使用しておりました商標『SANCTUARY(サンクチュアリ)』」との記載は見られるが、キャンプグランドの如何なる場所に如何なる態様で使用していたものであるかの記載はない。実際に本件商標を「子供用のプール」等に使用していたのであれば、これらの施設や設備の写真には本件商標が見られて然るべきであり、当然にその写真を証拠として提出すべきところであるが、前述のとおり、乙第7号証に本件商標は一切見られず、写真番号−3に「Waterpark」の文字を表示した看板が、同8に「Fun Cycle」の文字を表示した看板が、同13に「KOA ISE Shima」の文字を表示した置き看板がそれぞれ見られるのみである。このことは、実際には本件商標が「子供用のプール」等に使用されていなかったことを示す証左である。

(4)以上のとおり、本件商標は、その指定役務中「娯楽施設の提供」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれにも使用されていないものであるから、請求の趣旨通りの審決を求めるものである。

第3.被請求人の主張

被請求人は、結論掲記のとおりの審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。

(答弁の理由)

1.被請求人は、有限会社松勘商事に対して、本件商標の使用を許諾しており、有限会社松勘商事は、不使用取消審判請求登録前3年において、本件商標を「KOA伊勢志摩キャンプグランド」(以下「本件施設」という。)を提供するに際して使用し、もって「娯楽施設の提供」に本件商標を使用している(乙第1号証及び乙第2号証)。以下、理由を述べる。

2.被請求人と有限会社松勘商事との関係

有限会社松勘商事は、不動産の売買及び賃貸並びに管理業の他、「遊園地の経営」などを業とする法人であり(乙第3号証)、被請求人とはいわゆる「同族会社」である(乙第3号証及び乙第4号証)。

同族会社であるため、被請求人と有限会社松勘商事との間に使用許諾契約書自体は存在しないものの、被請求人は、有限会社松勘商事に対し、本件施設において本件商標を使用することを許諾している(乙第5号証)。

3.有限会社松勘商事による本件施設の運営

有限会社松勘商事は、平成6年4月25日、キャンプグランズ・オブ・アメリカジャパン株式会社との間でフランチャイズ契約を締結し、サブネームとして本件商標を使用して本件施設を運営している。

なお、乙第6号証の請求書は、本件施設を運営している主体が有限会社松勘商事であることを証する資料である。同請求書記載の「KOA志摩磯部キャンプ場」とは、「KOA伊勢志摩キャンプ場」の旧称である。

4.本件商標の「娯楽施設の提供」における使用

(1)有限会社松勘商事は、乙第1号証及び乙第2号証の記載のとおり本件施設の提供に際し、本件商標を使用している。

そして、本件施設は、遊覧・娯楽のために諸種の乗り物や設備を備えた「遊園地」(「大辞林」参照)であるから、「娯楽施設」に該当する。

以下に、詳論する。

(2)本件施設は、キャンピング施設だけではなく、子供用のプール、ミニゴルフ、ファンサイクル用コース、プレイグランド、カヌーによる施設内散策、ビンゴパーティーなどの遊覧や娯楽のための乗り物や設備の提供も行っている(乙第1号証、乙第2号証及び乙第7号証)。

(3)ア.子供用のプール

本件施設に設備されたプールは、子供たちが水遊びをすることを目的として設営された水深の浅いミニプール(大きさ:10mX8m 水深:50cm〜90cm)であり、娯楽のための設備である(乙第7号証の写真番号−4.同5)。

イ.ミニゴルフ

ミニゴルフは、乙第7号証の写真番号−11及び同12でもわかるように、老若男女を問わず家族全員で遊ぶことができる娯楽のための設備である。

ウ.ファンサイクル用コース

本件施設では、施設内にファンサイクル用コースを設置し、「バナナピール」、「ローライダー」、「キックスクーター」及び「MTB」といったファンサイクルのレンタルサービスを行い、施設内を楽しみながら遊覧することができるようになっている(乙第7号証の写真番号−8及び同9)。

また、時には、ファンサイクルによるタイムトライアル大会を開催するなどしている(乙第7号証の写真番号−10)。

エ.プレイグランド

プレイグランドには、バスケットゴール、滑り台、砂場などの遊戯施設が設置されている(乙第7号証の写真番号−17及び同18)。

オ.カヌーによる施設内散策

本件施設内には、湿地地帯が存在しており、レンタルカヌーによって同地帯を散策して楽しむことができる(乙第7号証の写真番号−6及び同7)。

力.ビンゴパーティーなどイベント

本件施設では、キャンパーダイニング(乙第7号証の写真番号−13)などの施設を利用して、ビンゴパーティー、クラフト、クッキングパーティーなどの各種イベントを開催している(乙第7号証の写真番号−14ないし同16)。

こうした各種イベントは年間を通して行われている(乙第1号証、乙第2号証)。

(4)以上のとおり、上記の各種乗り物や施設は、遊覧・娯楽のために設けられたものであり、これらの乗り物や施設の利用を目的とする来客も多数存在する。

したがって、本件施設は、「遊覧・娯楽のために諸種の乗り物や設備を設けた施設」であり、いわばキャンピング施設をともなう「遊園地」である。

5.本件商標の使用方法及び使用時期

(1)有限会社松勘商事は、平成6年ころから平成16年4月24日まで、本件施設においてずっと本件商標を使用し続けている。

(2)具体的な使用方法としては、本件施設の宣伝ビラ(乙第1号証)、「KOAキャンピグランド」のパンフレット中の広告(乙第2号証)である。

(3)なお、乙第1号証は、平成15年から平成16年にかけて使用されたビラである。

また、乙第2号証は平成15年3月から平成16年2月までのカレンダーが記載されているように、平成15年から平成16年にかけて使用されたパンフレットである。

したがって、これらの使用は、不使用取消審判請求登録時(平成16年2月25日)より3年内の使用に該当する。

6.結び

以上のとおり、有限会社松勘商事は、被請求人の承諾に基づき、不使用取消審判請求前3年において、本件商標を「娯楽施設の提供」に際して使用している。

したがって、請求人の本審判の請求には理由がない。

第4.当審の判断

請求人は、被請求人の答弁に対し、弁駁書において1.使用商標は本件商標の使用に該当しない。2.仮に使用商標「サンクチュアリ」が本件商標と社会通念上同一と認められるとしても、該商標が「遊園地の提供」に使用されているとは認められず、「キャンプ場の提供」に使用されているにすぎないものである旨主張するので、以下この点について検討する。

1.使用商標が本件商標の使用に該当するか否かについて

被請求人が提出した「KOA(ケーオーエー)伊勢志摩キャンプグランド 」のパンフレット(乙第1号証)は、「キャンプ場施設」、「レンタルカヌー」、「ミニゴルフ」及び「子供用プール」等について記載されているものであり、表紙の上部には前記施設名称あるいはこれらの施設を提供する役務の出所表示として「KOA(ケーオーエー)伊勢志摩キャンプグランド」の文字及びその下部に「サンクチュアリ」の片仮名文字が記載されている。 しかして、商標法50条第1項は、「平仮名、片仮名文字及びローマ文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標」等は社会通念上同一の商標として認められる旨規定している。

そして、本件商標「SANCTUARY」は、「鳥獣保護区域、神聖な場所」等の意味を有する英語であり、「サンクチュアリ」の称呼のみ生ずるものであるから、使用商標「サンクチュアリ」は、本件商標の表音を片仮名表記したものみるのが相当である。

そうとすると、該使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

2.本件商標が本件取消に係る「遊園地の提供」について使用しているか否かについて

被請求人が提出した「KOA伊勢志摩キャンプグランドのパンフレット」(乙第1号証)、「KOA Directory(日本版ガイドブック)」(乙第2号証)、「有限会社松勘商事の履歴事項全部証明書」(乙第3号証)、「穴川殖産株式会社の履歴事項全部証明書」(乙第4号証)、「(本件商標の使用許諾に関する)確認書」(乙第5号証)によれば、本件商標権の通常使用権者は「有限会社松勘商事」であると認められる。

そして、前記「KOA(ケーオーエー)伊勢志摩キャンプグランド サンクチュアリ」のパンフレット(乙第1号証)及び(同第2号証)には、「・・・子供用のプール・ミニゴルフ・ファンサイクル用コースなどの施設の充実はもちろん、クラフトやクッキングパーティーやビンゴパーティーなどのイベントも盛りだくさん。場内で1日中楽しめます。・・・」との記載及び子供用プール及びカヌーエクスプローラーの写真が掲載されている。

また、平成16年5月28日付け写真撮影報告書(乙第7号証)には、有限会社松勘商事「KOA(ケーオーエー)伊勢志摩キャンプグランド」マネージャー 与茂雅之が2002年7月撮影した3「ウォーターパーク 受付看板」、4「子供用プール 1日500円」、8「ファンサイクルレンタル 各種30分500円」の写真及び2002年8月撮影した5「ウォーターショット(水中球入れ大会)子供用プールにて」の写真のカラーコピー及び園内略図が添付されている。

これらの施設には、キャンプ施設料金とは別に使用料が設定されていることが認められ、日帰り料金も設定されている。

さらに、「穴川殖産株式会社の履歴事項全部証明書」(乙4号証)の目的の欄には、7「ヨットハーバー、遊園地・・・の経営」と記載されている。

以上より、本件施設は、「遊覧・娯楽のために各種の乗り物や設備を備えた施設」であり、キャンプ施設を伴う「遊園地」あるいはキャンプ場と「遊園地」を併設した施設と認められるものであり、通常使用権者による本件施設の役務の提供は、「娯楽施設の提供」に属する「遊園地の提供」に属すべき役務とみるのが相当である。

そうとすると、前記請求人の主張1及び2は採用することができない。

また、乙1号証に記載の「イベントキャンペーンカレンダー」の日程及び「(有限会社松勘商事宛の)請求書」(乙第6号証)に日付け(平成15年6月10日)等より、当該パンフレットは2003年より2004年にかけて使用されたものであり、かつ、当該施設が通常使用権者(有限会社松勘商事)により、本件審判請求の登録(平成16年2月25日)前に営業されていたことが認められる。

してみれば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる「遊園地の提供」について、使用していたものというべきである。

したがって、本件商標は、指定役務中「娯楽施設の提供」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものではない。

よって、結論のとおり審決する。

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