結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30361号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2503549号商標(以下「本件商標」という。)は、「FTS留守番ボックス」の文字を横書きしてなり、昭和62年10月15日に登録出願、第20類「宅配物自動管理ロッカー」を指定商品として、平成5年2月26日に設定の登録がなされたものである。
(1)請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第13号証を提出した。
(2)請求の理由
本件商標は請求人の知るかぎり指定商品「宅配物自動管理ロッカー」について、継続して3年以上使用されている形跡は全く見られなかった。
また、甲第1号証として提出する商標登録原簿によれば、登録された専用使用権者や通常使用権者は存在しない。
本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(3)被請求人の答弁に対する弁駁
請求人は、宅配ボックスに関しては同業者であり、マスコミによる報道や広告、各種展示会等で被請求人会社の製造販売に係る宅配ボックスを度々目にする機会はあったものの「FTS留守番ボックス」の付された製品は大幅に遅れて提出された審判事件答弁書(第2)に添付の写真で初めて目にすることとなった。
『平成4年春頃より盛大に使用している』ことが事実であれば、使用の事実を立証する様々な証拠は数多く存在すると思われる。しかるに、不使用取消審判請求書の審判被請求人への発送日から指定期間である40日以内に証拠が揃わないことについての説明や釈明が全くない。
なお、審判事件答弁書(第2)では、『出願(昭和62年10月15日)〜と同時に当該商標の使用を開始した〜』として、先の審判1事件答弁書(平成4年春頃)と「FTS留守番ボックス」商標の使用開始時期が大幅に違っている。この点についてどちらの記述が正確なのか全く言及がない。
乙第1号証が平成8年8月末に据え付け工事完了したFTS450E型ロッカーであるとし、乙第2号証でダイア商事株式会社の被請求人宛注文書の写しが添付されている。
しかし、乙第1号証の写真がマンション「ダイアパレス亀有III」であるとの立証がなされておらず、かつ、撮影日時、撮影者が明らかにされていない。
最も重要なことは乙第1号証の2のロッカー正面写真には「FTS留守番ボックス」商標のシールが貼付されていないことである。
『本件商標(FTS留守番ボックス)の付されたロッカー設備一式の搬入は〜平成8年7月25日に現地搬入した。』とすれば、何故商標の表示していない写真が組写真の中に一枚存在するのか理解に苦しむものである。
乙第3号証が平成9年3月15日に据え付け工事完了したFT8410G型ロッカーであるとし、乙第4号証でダイア商事株式会社の被請求人宛注文書の写しが添付されている。
しかし、乙第3号証の写真がマンション「ダイアパレス東神田」であるとの立証がなされず、かつ、撮影者、撮影日時が不明である。
乙第3号証の1のロッカー全景写真には「FTS留守番ボックス」商標のシールが貼付されていない。
『本件商標(FTS留守番ボックス)の付されたロッカー設備一式の搬入時点である平成9年3月6日現在〜使用していた〜』とすれば、何故商標の表示していない写真が組写真の中に一枚存在するのか合理的な説明を求める。
乙第5号証として被請求人会社の東京ショールームの写真を提出している。
最近(平成10年10月末)当該ショールームに足を運んだが、写真に示されたような態様での商標の使用はなされていなかった。
目立たない台輪部分に異なった色の本件商標の使用の態様は、確認し難い各列の下段のボックスに夫々シールを貼って表しているもので「宅配ボックス」における商標の表示手段としては異例に属するというべきである。
一般的にはコントロールユニットに直接印刷等の手段で表記するものである。実際別途提出する甲第11号証から明らかなように被請求人の登録商標「フルタイムロッカー」(登録第2464574号商公平4−6508号)もコントロールユニットに表示されている。
検索期間を1993年より1998年(最新)として、日経テレコン21で被請求人会社名「フルタイムシステム」で検索した検索結果は、甲第7号証乃至同第9号証である。この中には商標「FTS留守番ボックス」に関しての言及はなかった。
なお「FTS留守番ボックス」をギーワードとしての検索もしたがヒットするものは皆無であった。
甲第10号証乃至同第12号証は、平成10年10月末千代田区岩本町のショヒルームで収集したカタログ及び取扱説明書である。
甲第10号証のカタログの表紙にはフルタイムロッカーの写真が印刷されており、その上には優良住宅部品認定商品(FTS450ーE型)と表記されている。この写真はマンションの壁内に埋め込まれるように設置されているもので、実際に搬入施行したものかと推測されるが、乙第1号証(FT8450E型)のように「FTS留守番ボックス」の表示はなされていない。
甲第10号証の3つのタイプの製品紹介をしている見開きを見ると、販売施行した例とし、同じくFTS450−E型のパークサイドすずかけ台10号棟(公団)、FTS450−ER型のクレッセンド阿佐ケ谷(民間)、FTS410一G型のライフエリア池袋(民間)が写真により提示されているが、乙台1号証、同第3号証、同第5号証とは異なり 「FTS留守番ボックス」の表記は全く見出すことができない。
パークサイドすずかけ台10号棟と乙第1号証のダイアパレス亀有IIIには同じ型式であるFTS450−E型が、ライフエリア池袋と乙第3号証に提示されたダイアパレス東神田には同じ、FTS410−G型が設置されているはずである。
甲第11号証はフルタイムロッカー(FTS410−G型)のカタログで、乙第3号証で提示した製品といえるが ロッカー本体の正面右隅には本件商標は表現されていない。
甲第12号証は取扱説明書であり、表紙には優良住宅部品認定番号TB0396(FTS450−E型)の写真が表示されているものの、乙第1号証、同第3号証、乙第5号証のように「FTS留守番ボックス」との表記は見当たらない。
乙第13号証は1996年BL部品データブックの写しであり本件商標の出願(昭和62年10月15日)及び平成4年春以降の資料であることは明らかであるが 被請求人のフルタイムロッカー(FTS450)には乙第1号証、同第3号証、同第5号証のような態様での本件商標の使用の様子が見当たらない。
被請求人が本件商標「FTS留守番ボックス」を商品「宅配物自動管理ロッカー」に使用しているとして提出する乙号証は、商標を表示したシールを製品に貼付したものと認められる。
被請求人は、本件審判請求書の送達を契機に本件商標を表示したシールを製造して設置されているマンションのロッカーに貼付して写真を撮影したり、自らのショールーム の展示商品に貼付して撮影した可能性がきわめて大であるといえる。
被請求人が審判請求登録(平成10年5月19日)の前に使用していたとする主張及び証拠は信を措き難く、使用されている様子のない本件商標が他人に熟知されるはずのないことは明らかである。
(1)被請求人の答弁の趣旨
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第5号証(枝番号を含む。)を提出している。
(2)答弁の理由
被請求人に於いては本件商標「FTS留守番ボックス」を被請求人製造販売に係る宅配物自動管理ロッカーにつき平成4年春頃より今日に至るまで盛大に使用しており、現在では需要者並びに同業者間に於いて、「FTS留守.番ボックス」商標の付された商品は被請求人製造販売に係る宅配物自動管理ロッカーであると直ちに認識せられる程熟知せられるようになっている。
被請求人は昭和61年5月、集合住宅等の無人管理システムの開発、並びに集合住宅住人に対する電話を使ったサービスを目的として設立された法人であって、設立と同時に、不在時における配達物の受け渡し及び保管をコンピュータ制御・通信システムによって24時間管理できる「フルタイムロッカー」を開発した。当該「フルタイムロッカー」は早速新規マンションに設置しされ、爾来、被請求人は宅配ロッカーのパイオニアとしてマンション・テナントビル・多目的ビル・寮・既存物件等にも積極的に拡販・進出し現在に至っているのである。
被請求人は昭和62年10月15日付を以て当該「フルタイムロッカー」 (宅配物自動管理ロッカー)に使用する目的をもって本件[FTS留守番ボックス」商標の商標登録出願手続きを為し、出願と同時に当該商標の使用を開始した。
商標使用の態様はロッカー本体の一部に「FTS留守番ボックス」商標を表示する方法を採用して居り、通常はロッカー本体の正面右隅部分に本件商標が表現されている。
被請求人は過去3年以内における本件商標使用事実を立証する為、平成8年度における被請求人施行に係る本件商標の付された宅配物自動管理ロッカー設置の一例として平成9年度における一例を示す。
乙第1号証の1乃至4に示される宅配物自動管理ロッカーはフルタイムロッカーとして開発されたFTS型ロッカーにして、平成8年1月新築着工されたマンション「ダイアパレス亀有III」(東京都足立区中川4−37−17)に平成8年8月末に据え付け工事完了したFTS450E型ロッカーであり、マンション住人が不在の際、宅配業者から配達された荷物を一時的に保管する荷物収納ボックスである。荷物の管理は該ロッカーに組み込まれたコンピューターが自動管理し、マンションの住人に引き渡されると共に、当該ロッカーは通信回線を通じて被請求人会社とオンライン接続されて居り、常時ロッカーの状況が被請求人会社で把握できるようなシステムとなっている。
該ロッカーの本体正面各ボックスの右隅部分には「FTS留守番ボックス」と本件商標が明確に表現されている。
乙第2号証は上記「ダイアパレス亀有III」に納品したFTS型ロッカーの正式注文伝票であり、平成8年8月23日に注文を受け、平成8年8月末据え付け工事を完了したものである。
尚、本件商標の付されたロッカー設備一式の搬入は平成8年6月19日付の仮注文に応じ平成8年7月25日に現地搬入した。
よって、本件商標をそのロッカー設備一式の正式注文時点である平成8年8月23日現在において、商品「宅配物自動管理ロッカー」について使用していたことを乙第1号証及び同第2号証を以て立証するものである。
乙第3号証の1乃至4写真に示される宅配物自動管理ロッカーは上記同様フルタイムロッカーとして開発されたFTS型ロッカーにして、平成8年8月新築着工されたマンション「ダイアパレス東神田」(東京都千代田区東神田3−5−14)に平成9年3月15日に据え付け工事完了したFTS410G型ロッカーであり、該ロッカーの本体正面各ボックスの右隅部分にも「FTS留守番ボックス」と本件商標が明確に表現されている。
乙第4号証は上記「ダイアパレス東神田」に納品したFTS型ロッカーの注文伝票であり、平成9年2月10日に注文を受け、平成9年3月6日に本件商標の付されたロッカー設備一式の搬入を行い、平成9年3月15日据え付け工事を完了したものである。
よって、本件商標をロッカー設備一式の搬入時点である平成9年3月6日現在、商品「宅配物自動管理ロッカー」について使用していたことを乙第3号証写真および同第4号証注文伝票を以て立証するものである。
又、被請求人は、現在被請求人会社のショールーム(東京都千代田区岩本町2−10−1)においても乙第5号証写真に示す如く本件商標の付された宅配物自動管理ロッカーを陳列展示販売して居り、現在も尚、本件商標の使用を継続している。
以上の如く、審判請求にかかる本件商標「FTS留守番ボックス」を被請求人製造販売に係る指定商品「宅配物自動管理ロッカー」に被請求人が公然と使用して居り、本件商標は商標法第50条第1項の規定により取り消される商標ではない。
被請求人が本件商標をその指定商品について使用しているとして提出した証拠を徴するに、被請求人が平成8年8月23日にマンション「ダイアパレス亀有III」新築工事に宅配ロッカーの注文を受けて平成8年8月末に設置工事を行った「FTS450E型ロッカー」の写真であるとする乙第1号証の1乃至同号証の4をみると、乙第1号証の2の写真と、同号証の1、3及び4の写真とを比較すると、前者のロッカーの右下隅部分には、何らの表示もされていないものであり、これに対して、後者には、同号証の4の拡大写真にみられる「FTS留守番ボックス」の表示がなされていることが認められる。
また、平成9年2月10日にマンション「ダイアパレス東神田」新築工事に宅配ロッカーの注文を受けて平成9年3月15日に設置工事が完了した「FTS450E型ロッカー」の写真であるする乙第3号証の1乃至同号証の4をみると、乙第3号証の1の写真と同号証の2乃至4の写真とを比較すると、前者に写っているロッカーの右下隅部分には、何らの表示もされていないものであり、後者には、同号証の4の拡大写真にみられる「FTS留守番ボックス」の表示がなされていることが認められる。
さらに、被請求人会社のショールームに陳列展示されている「FT8450E型(監視カメラ付タイプ)」の写真であるとする乙第5号証の1乃至同号証の5をみると、ロッカーの左側中央部分に「FTS」の文字を大きく表示し、右下隅部分に「FTS留守番ボックス」の表示がなされていることが認められる。
これに対して、請求人が提出した項第10号証乃至同第13号証についてみると、これらには「FTS450−E型」「FTS410−G型」「FTS450−ER型」そして「FTS450」の被請求人が製造・販売していると認められる「宅配物自動管理ロッカー」が掲載されているが、いずれの「宅配物自動管理ロッカー」の右下隅部分には、何らの表示もされていないことが認められる。
そして、被請求人提出の上記写真以外には被請求人は、「宅配物自動管理ロッカー」について「FTS留守番ボックス」の表示をしていないことが認められる。
そうしてみると、これらを総合勘案すれば、被請求人が本件商標「FTS留守番ボックス」をその指定商品「宅配物自動管理ロッカー」について、使用しているとして提出した、乙第1号証の1、3及び4、同第3号証の2乃至4及び同第5号証の1乃至5の写真にみられる「FTS留守番ボックス」の文字表示は、本件商標の登録取消についての本件審判請求を受けその登録の取消を免れるために本件商標「FTS留守番ボックス」の文字を表示した「シール」を作成し、これを1宅配物自動管理ロッカー」に貼付して写真を撮影し乙第1号証の1乃至4、同第3号証の1乃至4及び同第5号証の1乃至5の各証拠を作成したものであると推認するのが相当である。
してみれば、被請求人提出の各証拠は、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標をその指定商品について使用していたものとするための証拠として信用し難く、採用することはできない。
その他、被請求人は、本件商標をその指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたことについて何ら立証するところがない。
してみれば、被請求人は、本件商標をその指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用していなかったものであり、又、使用していないことについての正当な理由もないものといわざるを得ない。
なお、被請求人は、請求人の弁駁に対して、何ら答弁、立証するところがない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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