結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−30771(T2004−30771/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4432891号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成11年7月15日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,救命用具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,磁心,自動用シガーライター,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」を指定商品として、同12年11月17日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べた。
請求人が調査したところ、本件商標は、日本国内でその指定商品について、商標権者によって継続して3年以上使用された事実がない。また、本件商標の登録原簿には、専用使用権又は通常使用権の設定の記録はなく、他に商標権者の許諾を得て使用している者も見いだせなかった。
したがって、本件商標は、その指定商品中「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機」について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
(1)被請求人は、パーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略す)及びその周辺機器の製品企画、開発・設計、製造及び販売を主たる業務とするものであり、本件商標を使用したパソコンの販売を開始した時期は、平成11年7月まで遡る。
先ず、被請求人は、同年同月19日に「e−one 433」なる商標を付したディスプレイ一体型パソコンを発表して販売を開始したが、日本国法人のアップルコンピュータ株式会社と米国法人のApple Computer Inc.から、それらの会社が販売するパソコンと「e−one 433」のパソコンが類似しているために消費者が誤認・混同するとして、同年8月24日付けで不正競争防止法に基づく提訴がなされ、同年9月20日付けで東京地方裁判所において前記「e−one 433」のパソコンの製造・販売を禁止すべき旨の仮処分の決定を受けたために、被請求人は、その翌日以降、同パソコンの製造・販売を中止した。
そして、そのような当時の事情の中で、被請求人は、乙第1号証に示されるとおり、平成11年9月28日に、「『e−one』シリーズ第2弾」として、前記「e−one 433」のパソコンとは異なる形態のパソコンに「e−one」の商標を使用して販売を開始した。また、被請求人は、新規「e−one」シリーズのパソコンの販売に際して乙第2号証のパンフレットを作成して頒布するとともに、その後、数カ月を経過した頃にも乙第3号証のパンフレットを作成・頒布して販売促進を図った。
なお、新規「e−one」シリーズのパソコンは、乙第1号証ないし乙第3号証に示されているように、外観は同一であるが、メモリ容量やOSに係る仕様のグレード別に「e−one 500」、「e−one 500A」及び「e−one 500B」の3機種とされた。
(2)ところで、パソコン販売業界の常として、新型モデルを販売しても、その売上実績が大きいのは、せいぜい販売開始時から約半年ないし1年間程度であり、その後は、激減するのが一般的である。また、パソコン販売会社側は、そのモデルについて販売開始時から半年程度までは、パンフレットや新聞広告やインターネットのウェブサイト等を通じた宣伝を頻繁に行うが、それ以降は、宣伝広告の回数も減少し、1年半を経過すると、自社のウェブサイトにおけるオンラインサポートの対象として掲載するにすぎないことが多い。
被請求人の前記「e−one 500」シリーズも例外ではなく、販売開始から平成12年3月末までには40,431台を、平成12年4月1日から平成13年3月末までには6,152台を売り上げたが、それ以降は、極めて少ない販売実績となった。また、被請求人のウェブサイトである「SOTEC Outlet」のページに、「e−one 500」シリーズの広告を平成13年4月頃までは掲載していたが、その後、現在に至るまで、オンラインサポートの対象記事としているだけである。
また、被請求人が現在まで商標「e−one」を用いた機種は、「e−one 433」と「e−one 500」シリーズだけであり、それ以降は、「e−one」シリーズとして新機種を発表・販売することは行っていない。
これは、「e−one」シリーズの端緒であった「e−one 433」が前記のように裁判で製造・販売を禁止すべき旨の仮処分の決定を受けた事実を考慮したためであり、ユーザーの期待を裏切らないように、「e−one 500」シリーズを販売したが、しばらく期間をおいてから、再度「e−one」シリーズを改めて立ち上げた方がよいという方針に基づいていたものである。
とはいえ、少なくとも本件審判請求の登録前3年以内に相当する平成13年7月2日から平成16年7月2日までの期間内においても、「e−one 500」シリーズに関する販売実績はあった。
乙第4号証は、被請求人の売上管理システムから出力した過去の注文データ詳細の写しであり、幸浦0UTLETショップが個人需要者からパソコン「e−one 500」の受注を受け、被請求人は、平成13年(2001年)7月10日に幸浦OUTLETショップからの注文を受け付けた後、同年7月12日に出荷を行っていることが確認できる。
なお、乙第4号証において、黒く塗り潰されている箇所は、個人情報に該当する部分である。また、販売単価が通常からみると極めて安価になっているのは、販売開始時から既に1年10カ月も経過しているために大幅な値引きがなされているからである。
さらに、乙第5号証は、被請求人のカスタマー登録システムから出力した会員データ画面の写しであり、前記のパソコン「e−one 500」を購入した個人需要者が被請求人に対してカスタマー登録の申請を行い、平成13年(2001年)7月21日付けで被請求人の前記カスタマー登録システムに登録されている事実が確認できる。
ところで、「e−one 500」シリーズのパソコンには、その本体筐体の側面に「e−one」の文字が付されている。これは、乙第1号証及び乙第2号証の裏頁に掲載されている 「e−one 500」シリーズのパソコンの写真においても視認できるが、特に、乙第3号証からは、明瞭に確認できる。
したがって、前記のとおり平成13年7月10日に受注を受けて同年7月12日に出荷した「e−one 500」のパソコンには、本件商標が付されており、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る電子応用機械器具について、本件商標の使用(商標法第2条第3項第2号の使用)を行っている。
(3)前記(2)で説明したように、パソコンの販売実績は、新型モデルの販売開始時から約半年ないし1年を経過すると激減する。
したがって、被請求人のような販売者側には、在庫が残ってしまうことが多く、また、返品扱いとなった製品も販売者側に残る。
一方、そのような事情に対して、パソコンの販売会社においては、古い在庫品や返品扱いとなったものをリユース可能であるか否かを確認したうえで有価物として引き取って、再商品化するための各種処理を施したうえで、秋葉原等のショップやオークションサイトで売却することを業とする会社がある。
被請求人は、そのようなパソコン再商品化を主たる業務とする法人である株式会社タオから直接注文を受けて「e−one 500A」のパソコンを販売した事実がある。
乙第6号証は、その際の販売に関し被請求人の売上管理システムから出力した注文データ詳細の写しであり、また、乙第7号証は、前記注文に係る納品書の写しである。
乙第6号証と乙第7号証とから、被請求人が平成15年6月9日に株式会社タオから「e−one 500A」のパソコンの注文を受け付けた後、翌日の6月10日に同製品を出荷・納品していることが確認でき、前記(2)の場合と同様に、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る電子応用機械器具について、本件商標の使用(商標法第2条第3項第2号の使用)を行っていることになる。
(4)乙第8号証は、「e−one 500」シリーズのパソコンに係るプロダクトリカバリーCD−ROMの全体写真とその部分拡大写真である。
このCD−ROMのデータは、「e−one 500」シリーズのパソコンの工場出荷時に、インストールされているものであるが、そのデータが破損した場合等において、データ全体をパソコンのハードディスクに再インストールしなければならない時に、このCD−ROMが用いられる。
したがって、このCD−ROMは、工場出荷時にパソコン本体とともに同梱されているが、ユーザにおいては、それを紛失したり破損したりするようなこともあり、被請求人は、ユーザから、そのCD−ROMを再発行してもらいたい旨の申し出があった場合には、それを有料で提供することとしている。
そして、乙第9号証の納品書に示されるように、被請求人は、個人ユーザからの要請を受けて前記CD−ROMを平成16年(2004年)2月3日付けで発送している。
この乙第9号証の納品書には、商品名/型番の欄に「リカバリCD(EN0466A)」とあり、乙第8号証のプロダクトリカバリーCD−ROMの写真から「CODE:EN0466A」の印刷文字が視認できることから、乙第9号証の納品書が乙第8号証のCD−ROMに係るものであることは明らかである。なお、乙第9号証の納品書における取引先欄の「株式会社ソーテック・イー・サービス」は、被請求人の子会社であり、被請求人から製品発送業務を請負っている法人であって、前記CD−ROMは、同社から運送業者(日本通運株式会社)を介してユーザへと配送されている。
乙第8号証と乙第9号証に基づけば、パソコンの部品であるプロダクトリカバリーCD−ROMに、本件商標「e−one」が印刷されており、そのCD−ROMが平成16年2月3日に、被請求人から個人ユーザへ有償で販売されていることが確認でき、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る電子応用機械器具の部品について、本件商標の使用(商標法第2条第3項第2号の使用)を行っている。
(5)以上のように、被請求人は、本件審判請求に対して商標法第50条第2項本文に規定されている登録商標の使用を行っており、本件審判請求の理由は当たらず、請求人の主張は成り立たない。
被請求人は、「パーソナルコンピュータ及びその部品」(以下「使用商品」という。)について本件商標の使用を行っているとして、乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
しかしながら、乙第1号証のNews Releaseは、平成11年9月に使用商品の販売を開始した事実を示したものであり、乙第2号証のパンフレットは、平成11年10月に頒布されたものであり、また、乙第3号証のパンフレットは、被請求人が主張するごとく、使用商品の販売を開始した後、数か月を経過した頃に頒布されたものと推認し得るものであるから、乙第1号証ないし乙第3号証によっては、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標を使用商品について使用していたものということはできない。
また、乙第4号証ないし乙第6号証の注文データ等は、被請求人自身の管理用データと認められるものであって、そのデータの内容が事実であることを取引相手が具体的に何ら証明しているものではないから、乙第4号証ないし乙第6号証によっては、本件商標を使用商品について使用していたものと認めることができない。
さらに、乙第7号証及び乙第9号証の納品書は、そこに記載されている商品がいずれも一台ずつという不自然なものであり、また、その納品書には、受領印もなく、しかも、納品書に対する受領書の提出もない等信憑性に乏しいものといわざるを得ない。また、乙第8号証の写真は、CD−ROMを示すにすぎない。
そして、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品に使用している証拠として、乙第1号証ないし乙第9号証のほかには、何ら提出しておらず、その使用について立証をしていない。
してみれば、被請求人及び通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について本件商標を使用していなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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