結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−30801(T2004−30801/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4056987号商標(以下「本件商標」という。)は、「モンサン・ミッシェル」の文字を書してなり、平成8年1月23日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同9年9月12日に設定登録されたものである。
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
被請求人は、少なくとも過去3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品「菓子及びパン」について使用している事実が何ら認められない。
しかも、本件商標については専用使用権又は通常使用権の設定登録もなされていない(甲第2号証)。
上述のように、本件商標は、商標法第50条の要件に該当するものであり、その登録の取消を免れないものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
被請求人は、本件商標と被請求人が商品「食パン」に使用している商標「サンミッシェル」(以下「使用商標」という。)とが社会通念上同一性があると強弁している。
しかし、本件商標「モンサン・ミッシェル」と乙各号証に示された使用商標「サンミッシェル」とが物理的に同一でないことは明らかであり、また社会通念上も同一性がないことはこれまた明らかである。
すなわち、本件商標と使用商標とは、その構成において「モン」という二文字を異にしているものであり、外観上明らかに相違している。しかも本件商標は、「モンサン」の文字と「ミッシェル」の文字とを中黒「・」で結んだ構成となっている。したがって、「モンサン・ミッシェル」の構成中「モン」が意味を持たなくなることは外観上もあり得ないことである。加えて、本件商標は、フランスの著名な観光地名「MONT SAINT MICHEL」(甲第3号証)の表音であることからして、本件商標を称呼する場合、その構成中語頭の「モン」の文字が印象に残らないなどということはあり得ず、明瞭に「モンサンミッシェル」と称呼されるものである。
なお、使用商標「サンミッシェル」は、フランス共和国パリ市にある有名な通りである「Saint Michel」(甲第4号証)の表音として認識させるものである。
したがって、本件商標と使用商標とは、両者の外観、称呼及び観念のいずれの点においても同一性のないものであり、社会通念上も同一性が認められないものである。
以上のとおり、本件商標は、取消請求に係る商品について使用されていないことが明らかであり、使用商標の使用時期及び使用商品について弁駁するまでもなく、その登録は取り消されるべきでる。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第24号証を提出した。
(1)被請求人の使用商標と請求に係る登録商標との関係
(ア)被請求人が使用している商標について
被請求人は、昭和52年10月に福岡県飯塚市においてベーカリーショップ「サンミッシェル」を開店し、現在に至るまで営業を継続的に行っている(乙第2号証及び同第3号証)。
そして、被請求人は、昭和52年10月以降、現在に至るまで食パン等の商品「パン」について、「サンミッシェル」なる片仮名横書きの商標を使用している(例えば乙第7号証)。
一方、本件商標は、「モンサン・ミッシェル」なる片仮名文字を横書きしてなる商標であり、被請求人使用商標「サンミッシェル」と同一ではない。
(イ)本件商標「モンサン・ミッシェル」と使用商標「サンミッシェル」の社会通念上の同一性
本件商標と使用商標とを比較すると、本件商標は語頭に「モン」を有しているのに対して、使用商標は「モン」が存在しない点においてのみ異なっている。
かかる相違点について検討すると、本件商標は中点「・」を含む片仮名表記されていることから、一般的な日本人需要者にとって、全体としてフランス語的イメージを受ける可能性はあっても、語頭の「モン」なる意味を正確に認識する者は極めて少ないと思われる。したがって、一般的な日本人需要者にとっては、本件商標中先頭の「モン」なる仮名文字によって特定の観念を生ずることはほとんど、無意味な感覚で捉えられるものと思われる。
加えて、本件商標「モンサン・ミッシェル」が7音で構成され比較的冗長である点を考慮すると、本件商標が商品名として使用された場合は、一般需要者において上記無意味な「モン」が略されて「サンミッシェル」と称されることも多いと考えられる。
また、本件商標を日本語で発音する場合、通常は、本件商標の前半部の「モンサン」のうち、「モン」の先頭語の「モ」がこもった音で弱く発音されるのに対して、「サン」の先頭語の「サ」が強く発音されることから、「モンサンミッシェル」と日本語で発音した場合に、日本人の耳には先頭の「モン」はあまり印象に残らず、「サン」以降の「サンミッシェル」が特に印象に残り、全体として「サンミシェル」と聞こえることが多いと考えられる。
さらに、一般的な日本人需要者にとって「モンサンミッシェル」との語は、フランスの地名程度の認識しかなく、その語を特定の場所あるいは施設名として正確に認識する者は極めて少ないものと考えられるため、むしろ日本人需要者にとっては「モンサンミッシェル」の語は、「サンミッシェル」と同義であると解する者の方が多いと思われる。
これらの点を考慮すると、大多数の一般的日本人需要者にとっては、本件商標「モンサン・ミッシェル」と、その「モン」が略された「サンミッシェル」なる使用商標とは、実質的に同一の商標であると認識され、その結果、いずれの商標を付した商品であっても、それらの商品が同一の製造元あるいは販売元の商品であるものと認識されると考えられる。
そうとすると、一般的な日本人需要者にとって本件商標と使用商標は、実質的に同一であって、しかも社会通念上も同一と認められるものであると考える(商標法第50条第1項かっこ書)。
以上より、被請求人は、本件取消審判において本件商標の使用の証明として、「サンミッシェル」なる商標を使用していることを以下証明する。
(ウ)被請求人の使用している商品について
被請求人は、上記ベーカリーショップ「サンミッシェル」において、食パン等のパン類に「サンミッシェル」なる商標を付して、販売している(乙第4号及び同5号証等参照)。
これら商標の使用に係る商品は「パン」であり、本件商標の「第30類 菓子及びパン」の内の「パン」と同一である。
(2)被請求人の使用事実について
(ア)ベーカリーショップ「サンミッシェル」の営業について
被請求人は、昭和52年10月に開店したベーカリーショップ「サンミッシェル」にて食パンその他各種パンの販売を開始した。被請求人は、同60年11月に同ベーカリーショップを同一場所にて改装オープンした(乙第4号証)。
被請求人は、上記改装オープン後、当該ベーカリーショップにて各種パン類の販売を現在に至るまで継続的に行っている(乙第5号証)。乙第5号証は、平成16年8月18日に被請求人社員により撮影されたものである。
(イ)商標「サンミッシェル」の使用事実について
a 「サンミッシェル名入りプライスカード」の使用
食パンが陳列されている棚の上に「サンミッシェル名入りプライスカード」(定価表)を設置している(乙第4号証)。このプライスカードには「サンミッシェル」なる商標が付されており(同第6号証)、改装オープン当時、被請求人は、食パンの定価を表示して展示し、食パンを販売していた。
現在使用中のサンミッシェル名入りプライスカードを乙7号証として示す。当該プライスカードは現在においても使用している(乙第5号証)。
このように、被請求人は「サンミッシェル名入りプライスカード」を商品「パン」について、少なくとも昭和60年11月から現在に至るまで継続的に使用している。
b 「サンミッシェル名入り個装袋」の使用
(a)「サンミッシェル名入り個装袋」の使用状況
被請求人は、5種類の「サンミッシェル名入り個装袋」(乙第9号証ないし同第13号証)を作成し、ベーカリーショップ「サンミッシェル」において、当該個装袋により食パンを包装した状態で販売している。上記改装オープン当時(昭和60年11月)、「サンミッシェル名入り個装袋」に食パンを包装して当該食パンを販売していた(乙第4号証)。
また、「サンミッシェル名入り個装袋」は、現在においても使用している(乙5号証)。すなわち、被請求人は、この「サンミッシェル名入り個装袋」を、少なくとも昭和60年11月の改装オープン当時から現在に至るまで継続的に使用している。
(b)「サンミッシェル名入り個装袋」の製造依頼状況
被請求人は、上記ベーカリーショップ「サンミッシェル」にて当該商標を使用するため、上記「サンミッシェル名入り個装袋」の製造を、包装袋メーカーであるイケダ株式会社(広島市西区所在)に依頼し、同社より同個装袋を継続的に仕入れている(乙第14号証ないし同第24号証)。
被請求人は、平成13年から平成16年までの間、イケダ株式会社からサンミッシェル名入り個装袋(大)、(中)(小)及び食パン1斤用の個装袋、食パン1.5斤用の個装袋を仕入れた実績があり(乙第16号証ないし同第24号証)、これらの個装袋に食パン等のパン類を包装して、少なくとも平成13年3月から同16年4月までの間に、食パンを含むパン類を継続的に販売していた。
(3)結語
以上のように、被請求人は、福岡県飯塚市のベーカリーショップ「サンミッシェル」において、少なくとも昭和60年から現在に至るまで「サンミッシェル」と片仮名で横書き表示した使用商標を使用して食パンその他のパンを店頭にて販売している。
使用商標「サンミッシェル」と本件商標「モンサン・ミッシェル」は、社会通念上同一の商標に該当する。
被請求人の使用行為は、本件取消審判の請求の登録前3年以内の使用であり、商標法第50条第2項の登録商標の取消しを免れる時期的要件を充足する。なお、使用時期は、いわゆる駆け込み使用にも該当しない。
よって、被請求人は、本件商標を本件取消審判にかかる指定商品に、上記所定の時期において使用していたことは明らかである。
被請求人の提出に係る証拠によれば、本件審判の請求の登録(平成16年7月12日)前3年以内に、被請求人は、昭和52年に10月に開店した福岡県飯塚市のベーカリーショップ「サンミッシェル」において、「サンミッシェル」の文字からなる使用商標を請求に係る指定商品に含まれる「パン」について使用した事実が認められる。
そこで、「サンミッシェル」の文字からなる使用商標が「モンサン・ミッシェル」の文字からなる本件商標と社会通念上同一の商標にあたるか否かについて、以下検討する。
本件商標と使用商標とを比較すると、本件商標は、「モンサン・ミッシェル」の文字よりなるところ、これら各文字は、中黒「・」を介して同じ書体で一体的に表されていて、構成文字の全体をもって識別機能を果たすものといえるから、構成文字の全体に相応して「モンサンミッシェル」の称呼、及び「モンサンミッシェル(フランスのブルターニュ地方の小島)」(甲第3号証)の観念を生ずるものと認められる。
これに対し、使用商標は、「サンミッシェル」の文字よりなるものであり、その全体の構成文字に相応して「サンミッシェル」の称呼、及び「(パリの)サンミッシェル大通り」(甲第4号証)の観念を生ずるものといえる。
そうとすれば、本件商標との対比において、使用商標は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標といい得ないばかりでなく、上記両商標間における称呼上及び観念上の差異は一見して明らかであるから、使用商標は、もはや本件商標と社会通念上の同一性を論じる余地のない別異の商標といわなければならない。
してみれば、被請求人の使用する「サンミッシェル」の文字からなる使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
以上のとおりであり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を請求に係る指定商品「菓子及びパン」について使用した事実を証明していないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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