Trademark Appeal Case
レタリングと記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−6811(T2003−6811/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年11月12日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品については、平成14年11月25日受付の手続補正書により、第9類「クリップオンサングラス」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、表示方法に工夫の凝らされていることは認められるものの『EASYCLIP』の文字からなるものと容易に理解できることから、これより、全体としての意味するところは、『簡単にはさんで止めることができる』といった意味合いを認識させ、実際に、眼鏡の上にはさんで止めて装着するタイプのサングラスが商品として存在することを考え合わせると、これを本願指定商品中、上記に照応する商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、多少レタリングが施されているとしても、「EASYCLIP」の欧文字よりなるものであることが容易に理解・認識されるというのが相当である。
しかして、その構成文字である「EASY」及び「CLIP」のいずれの英単語も、我が国において親しまれたものであり、「容易に」及び「はさむ」「つかむ」を意味することは、本願指定商品の取引者・需要者において容易に認識し得るところであるから、本願商標からは、原審説示のような「簡単にはさんで止めることができる」といった意味合いが認識できることは明らかである。
また、本願の指定商品である「クリップオンサングラス」は、「眼鏡の上にはさんで止めて装着するタイプのサングラス」を指称する語として、その取引者・需要者に普通に使用されているものである。
してみれば、「EASYCLIP」の文字を「クリップオンサングラス」に使用しても、該サングラスの品質を表示するものと理解・認識されるにとどまるものというべきである。
ところで、商標法は、第3条第1項第3号において「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」と規定し、自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標であっても、本号に該当する場合は商標登録を受けることができないとしている。
そして、その商標登録の要件の一つである「普通に用いられる方法で表示する標章」とは、極めて特殊な態様で表されていないという意味であるから、本号に規定するところの「その商品の産地、品質等又はその役務の提供の場所、質等」であっても、極めて特殊な態様で表示すれば自他商品又は自他役務を区別することができるため、その場合には本号の適用はないと解される(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第16版)」参照)。
そこで、本願商標の構成態様について検討するに、本願商標を構成する「E」「A」「S」「Y」「C」「L」「I」「P」の各文字は、文字の幅・間隔が異なり、「C」と「L」の文字は接しているうえ、その接触部分の一部が朱色に描かれ、また、「Y」の右側部分は、「C」の背部の曲線に対応して曲線をもって描かれているものである。
しかしながら、近時、商品の広告、宣伝等において、レタリングや彩色を施した文字の使用形態の多様化が進展している実情にあり、本願指定商品を取り扱う業界においても、商品カタログに掲載された取り扱いに係るサングラス・メガネ等を表示する文字について、レタリングや彩色を施した文字が使用されていることが以下のインターネット上の広告・宣伝記事等において確認することができる。
(1)http://www.luzuco.com/shop/shop/b&r_cat/
この記事の表題部においては、当該広告・宣伝の業務主体を表す代表的出所表示部分(いわゆるハウスマーク)と認められる「B&R」の表示の下に、取扱商品たる「EYEWEAR」の文字が記載されているが、その文字の態様は別掲(2)のとおり、構成文字中、「A」の文字部分にレタリングが施されている(以下「参考表示1」という。)。
(2)http://www.bay-haruta.co.jp/ad/2003/MENU/index.htm
この記事においては、当該広告・宣伝の業務主体を表す代表的出所表示部分と認められる「adidas」の表示及び図形とともに、取扱商品たる「EYEWEAR」の文字が記載されているが、その文字の態様は別掲(3)のとおり、構成文字全体にレタリングが施されている(以下「参考表示2」という。)。
(3)http://www.bay-haruta.co.jp/cazal2003/100.htm
この記事の表題部においては、当該広告・宣伝の業務主体を表す代表的出所表示部分(いわゆるハウスマーク)と認められる「CAZAL」の表示とともに、取扱商品たる「EYEWEAR」の文字が記載されているが、その文字の態様は別掲(4)のとおり、構成文字中、「W」の文字部分が他の構成文字と比較して小さな文字(又は欧文字の小文字)で表示されている(以下「参考表示3」という。)。
(4)http://www.bay-haruta.co.jp/200104/sp/dior/index.htm
上記記事においては、当該広告・宣伝の業務主体を表す代表的出所表示部分(いわゆるハウスマーク)と認められる「Dior」の表示とともに、取扱商品たる「Frame&Sunglasses」の文字が記載されているが、その文字の態様は別掲(5)のとおり、構成文字全体に赤色と黒色の彩色が不規則に施されている(以下「参考表示4」という。)。
以上のインターネット上の広告・宣伝記事等において用いられる商品カタログに掲載されたサングラス・メガネ等を表示する文字と本願商標の構成態様とを比較した場合には、とりわけ本願商標の構成文字全体が極めて特殊な態様で表示されたものであるとはいい難く、本願指定商品を取り扱う業界においては、普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものというのが自然である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用するとしても、これに接する取引者、需要者は、上記のように、日頃からレタリングや彩色を施した商品表示等を目にする状況にあることから、容易に本願商標がその商品の品質を表示したものと理解・認識するにとどまり、これをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、これと同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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