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Trademark Appeal Case

著名商標と結合商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90553(T2001−90553/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4468030号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4468030号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおり、「GIO DOLCE」「ジオドルチェ」の文字を二段に横書きしてなり、平成12年6月20日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着, 水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。 ),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類, 仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成13年4月20日に設定登録されたものである。

2 本件商標に対する取消理由

当審において、本件商標の登録は取り消すべきものと認められるとして、通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

本件商標は、別掲に表示したとおり「GIO DOLCE」と「ジオドルチェ」の両文字を併記してなるところ、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠によれば、申立人は、20年以上にわたり「GIO」及び「DOLCE」の文字からなる商標(以下、両商標を一括して「申立人商標」という。)を女性用のジャケット、スカート、パンツ、ワンピース、コート、ブラウス又は男性用のブルゾン、ジャケット、シャツ、パンツなどに継続して使用しており、申立人商標は、本件商標の登録出願時には、既に取引者、需要者の間に広く認識され、著名であったものと認められる。 しかして、本件商標は、著名な申立人商標と文字構成を同じくする「GIO」及び「DOLCE」の両文字を半文字程度の間隔をおいて羅列し、その読みを下段に併記したものと認識し得る構成よりなるものであり、全体をもって一体不可分のものとのみ認識しなければならない格別の事由が存するものともいい得ないものである。

そうとすれば、本件商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、構成中の「GIO」及び「DOLCE」の両文字に着目し、これより「GIO」及び「DOLCE」の文字からなる申立人商標を直ちに連想、想起するものといわざるを得ないから、本件商標は、申立人又は申立人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

3 商標権者の意見

(1)本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当しないから、その登録は維持されるべきものである。

(2)本件取消理由通知書において、申立人商標(「GIO」及び「DOLCE」)は著名である旨指摘されている。

しかし、もし仮に申立人商標が著名であるとすれば、類似商品・役務間のみならず、非類似商品・役務間においても商品・役務の出所混同が生ずるおそれがあると解さざるを得ないものである。つまり、防護標章登録制度の趣旨を持ち出すまでもなく、著名商標は、いわゆる一般的出所混同の範囲(類似商品・役務の範囲)を超えて、非類似商品・役務の範囲にまで商品・役務の出所混同が生ずるおそれがあるとされる場合が多いからである。

ところが、実際には、乙第1号証ないし乙第17号証(コンピュータ書誌検索データ)に係る商標の如く、態様中に「GIO」「DOLCE」の文字を有し、「ジオ」「ドルチェ」の称呼・観念を生ずる商標が従来から各分類において多数登録されているという事情が存しており、しかも、これらの商標は、申立人所有に係る甲第2号証ないし甲第4号証に係る商標(1972年・1963年登録)が登録された後に、出願・登録された商標ばかりである。

すなわち、これらの事実は、取引者及び一般需要者(被服の需要者を含む)が「ジオ」「ドルチェ」の称呼・観念の生ずる商標を既に見慣れていることを示すものであり、また、「GIO」「DOLCE」の文字のみから特定人の業務を想起することはないことを示すものである。

よって、本件商標に接した取引者及び一般需要者が「申立人商標を直ちに連想、想起する」とする本件取消理由の考え方は、市場における実情にも沿わない不自然な印象を免れない解釈といえるものである。

(イ)また、一見して明らかなとおり、乙第18号証ないし乙第35号証(コンピュータ書誌検索データ)に係る商標は、その構成中に「GIO/ジオ」「DOLCE/ドルチェ」の文字を有する商標であり、しかも、本件商標と同様に「被服」をその指定商品とする商標である。すなわち、これらの商標は、著名と指摘されている申立人商標(「GIO」及び「DOLCE」)をその構成中にそのまま含み、申立人が長年にわたって使用している被服、靴等のファッション関連商品を指定商品とするものであり、本件取消理由の考え方からすれば、当然に商品の出所混同が生ずると解さざるを得なくなるものである。

しかし、実際には、これらの商標が市場においてファッション関連商品に使用されてきたにもかかわらず、取引者及び一般需要者が当該商品の出所について誤認混同したといった事態は生じていない。

また、上記乙第30号証及び乙第32号証に係る商標などは、申立人「株式会社ワールド」の異議申立てにもかかわらず登録され、そして、登録が維持された経緯を有している。

したがって、これらの実情に照らし考察すれば、既に「GIO」「DOLCE」の文字を含む多くの商標を見慣れている取引者及び一般需要者が本件商標を付した商品を申立人あるいはその関連企業の業務に係る商品であるかのごとく混同することはあり得ないことと解される。

上記理由により、本件商標を指定商品に使用しても、商品の出所について混同が生ずるおそれがないことは明らかである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当せず、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきでないと確信するので、本件商標の登録は、これを維持すべきである。

4 当審の判断

本件商標は、「GIO DOLCE」「ジオドルチェ」の文字を二段に横書きしてなるところ、これを常に一体不可分のものとしてのみ認識すべき格別の理由は見いだせないものである。

そして、申立人の提出に係る凡そ100頁にも及ぶ甲各号証(甲第2号証の1の1ないし甲第7号証の2)によれば、申立人は、20年以上にわたり「GIO」(又は「Gio」あるいは「gio」若しくは「ジオ」)及び「DOLCE」(又は「ドルチェ」)の文字からなる商標(以下、これらをまとめて「申立人使用商標」という。)を女性用のジャケット、スカート、パンツ、ワンピース、コート、ブラウス又は男性用のブルゾン、ジャケット、シャツ、パンツなどに継続して使用しており、申立人使用商標は、本件商標の登録出願時には、既に取引者、需要者の間に広く認識され、著名であったものと認められ、そのことは、以下の証拠から裏付けられるものである。

(1)商標「GIO」(又は「Gio」あるいは「gio」若しくは「ジオ」)について

(ア)申立人の会社案内(甲第6号証の4)(イ)商標「GIO」に関する陳述書(甲第2号証の6)(ウ)1996年(平成8年)ないし2000年(平成12年)までの5年度分の商標「GIO」の売上金額一覧表(甲第2号証の6中の別紙1)(エ)商標「GIO」に関するブランド取り扱い店舗一覧(甲第2号証の6中の別紙2−1)(オ)商品「被服」について商標「GiO」が使用されていることを示す写真(甲第2号証の1の1ないし甲第2号証の1の3)(カ)商品「被服」について商標「GiO」が使用されていることを示すカタログの写真(写)(甲第2号証の3の4ないし甲第2号証の3の5)(キ)商品「被服」について商標「gio」が使用されていることを示すカタログの写真(写)(甲第2号証の3の1ないし甲第2号証の3の3)(ク)商品「ドレス、スーツ、ジャケット、スカート、パンツ、コート、ブラウス、ベスト、セーター、カーディガン、ワンピース、Tシャツ、スカーフ、ベルト又はアクセサリー」について商標「GIO」(又は「Gio」あるいは「gio」若しくは「ジオ」)が使用されていることを示す専門誌記事(甲第2号証の2の1ないし甲第2号証の2の11:昭和56年9月20日、昭和61年9月20日、1992年(平成4年)11月15日、1993年(平成5年)11月15日、1994年(平成6年)12月10日、1995年(平成6年)11月20日、1996年(平成8年)11月20日、1997年(平成9年)12月20日、1998年(平成10年)12月20日、2000年(平成12年)1月20日及び2001年(平成13年)1月20日にそれぞれ発行された「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑」の「’82年版、’87年版、’93年版ないし’99年版、2000年版及び2001年版」)(ケ)商品「ブラウス、コート」について商標「ジオ」が使用されていることを示す新聞記事(甲第2号証の4の1:1993年(平成5年)4月30日発行「メンズデイリー」)(コ)商品「オーバー、ブラウス、カジュアルコート」について商標「ジオ」が使用されていることを示す新聞記事(甲第2号証の4の2:1993年(平成5年)5月25日発行「化合繊」)(サ)商品「女性用被服」について商標「gio」が使用されていることを示す「BRAND COLLECTION」カタログ写真(写)(甲第6号証の2の5及び甲第6号証の2の8)

(2)商標「DOLCE」(又は「ドルチェ」)について

(ア)商品「Tシャツ」等の「被服」について商標「DOLCE」が使用されていることを示す写真(甲第6号証の1の1ないし甲第6号証の1の7)(イ)商品「靴」について商標「DOLCE」を使用していることを示す写真(甲第6号証の1の8)(ウ)商品「ブルゾン、ジャケット、シャツ、ベスト、パンツ、スカーフ、セーター、マフラー、カーディガン、トレーナー、ポロシャツ、ジャージ、帽子、ストール、グローブ、ベルト、バッグ、サイフ、キーホルダー、靴」について商標「DOLCE」が使用されていることを示す92−93、93−94秋冬カタログ写真(写)(甲第6号証の2の1ないし甲第6号証の2の2)(エ)商品「カーディガン、シャツ、パンツ、ジャケット、セーター、ブルゾン、ジャージ、ポロシャツ、Tシャツ、ショーツ、ジーンズ、トレーナー、ベスト、スカート、ベルト、靴」について商標「DOLCE」が使用されていることを示す94春夏、95春夏カタログ写真(写)(甲第6号証の2の3及び甲第6号証の2の4)(オ)商品「男性用被服」について商標「DOLCE」が使用されていることを示す「BRAND COLLECTION」カタログ写真(写)(甲第6号証の2の5)(カ)商品「男性用シャツ、ベスト、パンツ、ストール、ブルゾン、セーター、ジャケット、ニット、パーカー、トレーナー、ショートパンツ、カットソー、ポロシャツ、Tシャツ、デニムパンツ、コート、帽子、バッグ、靴、ベルト」について商標「DOLCE」が使用されていることを示す「BRAND COLLECTION」カタログ写真(写)及び通常カタログ写真(写)(甲第6号証の2の6及び甲第6号証の2の7)(キ)商品「ジャケット、パンツ、ニット、ベスト、シャツ、ブルゾン、Tシャツ、パーカー、カットソー、ポロシャツ、トレーナー、帽子、靴、ベルト」について商標「DOLCE」が使用されていることを示すカタログ写真(写)(甲第6号証の2の9)(ク)商品「キルティングコート、トレーナー、ポロシャツ」について商標「DOLCE」が使用されていることを示す雑誌記事写真(写)(甲第6号証の3の2:1992年(平成4年)10月号「MANBOW」)(ケ)商品「ブレザー」について商標「ドルチェ」が使用されていることを示す雑誌記事写真(写)(甲第6号証の3の5:1992年(平成4年)9月16日発行「mono」)(コ)商品「ベスト」について商標「ドルチェ」が使用されていることを示す雑誌記事写真(写)(甲第6号証の3の6:1992年(平成4年)9月23日発行「Tarzan」)(サ)商品「Tシャツ」について商標「ドルチェ」が使用されていることを示す雑誌記事写真(写)(甲第6号証の3の7:1992年(平成4年)10月10日号「Hot・Dog」)(シ)商品「ブルゾン、シャツ、パンツ」について商標「ドルチェ」が使用されていることを示す雑誌記事写真(写)(甲第6号証の3の8:1992年(平成4年)5月1日発行「男子専科DANSEN」)(ス)商品「手袋、マフラー」について商標「ドルチェ」が使用されていることを示す雑誌記事写真(写)(甲第6号証の3の10:1991年(平成3年)9月20日発行「an・an」)(セ)商品「手袋」について商標「ドルチェ」が使用されていることを示す雑誌記事写真(写)(甲第6号証の3の11:1991年(平成3年)12月1日発行「MEN’S NON−NO」)

(3)以上の事実によれば、申立人は、本件商標に係る指定商品中の「女性用のジャケット、スカート、パンツ、ワンピース、コート、ブラウス」又は「男性用のブルゾン、ジャケット、シャツ、パンツ」等について、「GIO」(又は「Gio」あるいは「gio」若しくは「ジオ」)の文字よりなる申立人使用商標を少なくとも1981年(昭和56年)以降、本件商標の登録出願時(平成12年6月20日)ないし登録査定時(平成13年3月9日)まで継続して使用してきたものであり、その結果、申立人の取り扱いに係る上記商品の取引者、需要者の間において、申立人使用商標は、本件商標の出願前より広く認識されていたものといわなければならない。

そうすると、商標権者である株式会社クレオが、いずれも取引者、需要者の間において広く認識されている申立人使用商標〔「GIO」(又は「Gio」あるいは「gio」若しくは「ジオ」)〕の各文字をその構成中に含んでなる本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該構成中の「GIO」、「ジオ」、「DOLCE」又は「ドルチェ」のそれぞれの文字部分に着目して、申立人である株式会社ワールドの広く認識されている申立人使用商標を連想、想起し、本件商標が付された商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというのが相当である。

(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものといわざるを得ず、その登録は同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

(5)ところで、商標権者は、他の商品区分において「GIO」又は「ジオ」、「DOLCE」又は「ドルチェ」の文字よりなる商標が他人により登録されているとか、そうした文字を構成中に含んでなる商標が本件商標に係る指定商品と同じ区分においても存在している(乙第1号証ないし乙第35号証)旨縷々述べ、たとえ、商標権者が本件商標をその指定商品について使用したとしても、申立人使用商標に係る商品と、その出所について混同を生ずるおそれはない旨述べているが、商標権者の挙示する事例は、本件商標と申立人使用商標との関係、両者の商品同士の関係とは著しく事案を異にするだけでなく、周知著名な商標と出所の混同を生ずるおそれがあるか否かについての判断は、各商標毎に、それぞれの商品との関係や取引の実情等に照らして、個別具体的に判断されるべき性質のものであるから、商標権者の上記主張は、採用することができない。

よって、結論のとおり決定する。

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