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Trademark Appeal Case

著名人名略称と商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90162号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4195907号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4195907号商標(以下、「本件商標」という。)は、「KINGOFVALENTINO」の欧文字を横書きしてなり、平成9年3月7日に登録出願、第18類「なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,傘,ステッキ,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同10年10月9日に設定登録されたものである。

2 取消理由の通知(要旨)

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の申立の理由及び甲第7号証の2ないし同第62号証によれば、次の事実が認められる。

「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来同氏は、イタリア・ファッションの第一人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで世界三大デザイナーと呼ばれ国際的なトップデザイナーとして知られている。

我が国においても、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の名前は1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、その作品は「Vogue(ヴォーグ)」誌などにより継続的に日本国内にも紹介されている。

昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンティノヴティックジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は我が国のファッション雑誌にもより数多く掲載されるようになり、同氏は我が国においても著名なデザイナーとて一層注目されるに至っている。

以上のとおり、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」は、世界のトップデザイナーとして本件商標が出願された平成9年3月当時には、既に我が国においても著名であったものと認められる。同氏の名前は「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられており、ファッションに関して「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。

さらに、当審において調査するに、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」「VALENTINO GARAVANI」は、我が国においては、「ヴァレンチノ」、「ヴァレンティーノ」あるいは「VALENTINO」とも略されて表示されていることは、田中千代「服飾辞典」同文書院1981年p550、山田政美「英和商品辞典」(株)研究社1990年p447、金子雄司外「世界人名辞典」岩波書店1997年p84)において裏付けられるばかりでなく、雑誌における表現においても、たとえば、「marie claire」1996年2月1日号、「non−no」1989年 No23号等からも認められる。

以上の事実よりすると、申立人は、「VALENTINO」又は「VALENTINO GARAVANI」よりなる商標を婦人服を始めとし、紳士服、アクセサリー、バッグ、香水等の商品に使用しており、その結果、これら商標は、本件商標の登録出願の時には、既に我が国において、取引者、需要者間に広く認識されていたものといえる。

他方、本件商標は、その構成中に「VALENTINO」の文字を有するものであり、その指定商品は、引用商標が使用されている被服等と密接な関係を有する「なめし皮,毛皮,靴ひも,かばん類」等の商品である。

以上を総合すると、本件商標を、商標権者がその指定商品について使用した場合、取引者、需要者をして、その商品があたかも上記デザイナーあるいは、同人と何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 商標権者の意見(要旨)

(1)本件商標は、「KINGOFVALENTINO」の一体文字からなり、第18類「なめし皮、毛皮、革ひも、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、かばん金具、傘、ステッキ、愛玩動物用被服類」を指定商品とするものである。従来は、乙第1号証で示すとおり、「VALENTINO」が第18類のかばん類、袋物の商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたとは認めていない。この見解に基づき、ハンドバッグを指定商品とする「SUPER MONTANA VALENTINO」が、登録されている。また、靴類では「RUDOLPH VALENTINO」が登録第1504659号商標として登録され、これに対する無効審判も却下されている。これらの商標は、「VALENTINO」を含んでいるが、この商標が付された商品は、消費者が「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」と関係のある商品と混同を生じるおそれがないものと判断されて登録されている。服飾類以外の商品について「VALENTINO」は著名と言えない。

しかるに、「VALENTINO」及び「VALENTINO GARAVANI」が、かばん類を表示するものとして著名商標であると認めた上で、本件商標が、略記商標または申立人商標を想起し、出所の混同を来すおそれがあると認定している。

しかしながら、かばん類において、「VALENTINO」及び「VALENTINO GARAVANI」が著名商標であるとは認めることができない。常識的に判断しても、本件指定商品に関して、需要者が本件商標を使用した商品と「VALENTINO」あるいは「VALENTINO GARAVANI」の商品との間に出所の混同を来すおそれはまったくない。

また、「VALENTINO」は、日本でいえば「太郎」あるいは、「一郎」に相当し、それ自体、イタリアではありふれた男性の名前を表示するものである。

しかるに、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」という服飾ファッションデザイナーの姓名は、世界的に著名なため、「VALENTINO」を単独で使用すれば、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の略称として上記デザイナー名を連想するであろうが、「KINGOFVALENTINO」と商品に付してあれば、これが「バレンティノ ガラヴァーニ」に関係するものと異なるということは、デザイナー「ガラヴァーニ」の名称が著名であるがゆえに、一目瞭然である。「VALENTINO」が他の文字と結合した場合、結合した文字が商標の要部であり、「VALENTINO」は、商標の要部を構成しないことは、「VALENTINO」が、上述の如く、それ自体、イタリアではありふれた男性の名前を表示するものであることから、明らかである。

(2)以上述べた理由により、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、「VALENTINO」あるいは「VALENTINO GARAVANI」の商標を容易に想起するものではなく、その商品があたかも申立人会社ないしはその関連会社の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を来すおそれがある商標とは認めることができない。

4 当審の判断

(1)前記2(取消理由の通知)で認定したとおり、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は、世界的に著名な服飾デザイナーであり、本件商標の登録出願時には既に該デザイナーのデザインに係り、申立人の取扱いに係る商品「婦人服、紳士服、装身具、バッグ」等に表示される「VALENTINO GARAVANI」又は「VALENTINO」あるいは、その片仮名表記である「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」又は「ヴァレンティノ」は、本件商標の登録出願前より、我が国のファッション関連商品の需要者の間に広く認識され、その著名性は、本件商標の登録査定時の平成10年(1998年)8月6日に至るまで継続していたといえるものである。

そうすると、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)のデザインに係り、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている「VALENTINO」の文字を含む本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者に、該商品があたかも「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)のデザインに係る商品であるか、若しくは申立人、又はこれらと何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるとみるのが相当である。

(2)商標権者の主張について

商標権者は、商標に「VALENTINO」を単独で使用すれば、服飾デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の略称として連想するであろうが、「KINGOFVALENTINO」と商品に付してあれば、これが「バレンチノ ガラヴァーニ」に関係するものと異なることは、該デザイナーの名称が著名であるがゆえに、一目瞭然である。「VALENTINO」が他の文字と結合した商標は、結合した文字全体が商標の要部であって、「VALENTINO」のみでは、商標の要部を構成しないことは、「VALENTINO」自体がイタリアではありふれた男性の名前であることからも明らかである。また、本件商標をその指定商品について使用しても、「VALENTINO」あるいは「VALENTINO GARAVANI」の商標を容易に想起するものではないから、その商品があたかも申立人会社、もしくはその関連会社の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同をきたすおそれがある商標とは認めることができない旨主張する。

しかしながら、前記2認定のとおり、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は、本件商標の登録出願時において、世界のトップデザイナーとして、我が国のファッション関連商品の需要者の間に広く知られ、そのデザインに係る商品に付した「VALENTINO」又は「ヴァレンティノ」の表示も該デザイナーを表示するものとして広く認識されていたものである。

したがって、本件商標に接する取引者・需要者は、その構成中の「VALENTINO」からは、世界的に著名なデザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)を第一に想起し、イタリアのありふれた男性の名前と直ちに想起することはないというのが相当といえるものであるから、上記に関する商標権者の主張は採用することができない。そして、他に前記認定を覆すに足る証拠の提出はない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品に使用された場合、これに接する我が国の取引者・需要者がその構成中の「VALENTINO」の文字に注目して、周知・著名となっている世界のトップデザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)を連想・想起し、該デザイナーのデザインに係る商品であるか、若しくはこれらと何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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