結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89022(T2004−89022/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4670381号商標(以下「本件商標」という。)は、「RadiForce」の欧文字を標準文字により書してなり、平成14年7月25日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具,コンピュータ用ディスプレイ,映写装置,映写用スクリーン,液晶ディスプレイ,陰極線管ディスプレイ」及び第10類「医療用機械器具,医療用表示装置,医療用の放射線投射スクリーン,医療用の放射線装置,医療用X線発生装置」を指定商品として、同15年5月9日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中の第10類「医療用機械器具,医療用表示装置,医療用の放射線投射スクリーン,医療用の放射線装置,医療用X線発生装置」について登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第52号証(枝番含む。)を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号該当性
(1)請求人が引用する商標
(i)登録第1896543号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ラジフォーカス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和58年8月10日に登録出願、第10類「恒温器、試験管、望遠鏡用三脚、反射鏡、スライド映写機、フイルター、録音機械器具、温度計、比重計、血液検査器、心電計、体温計、注射筒、注射針、フイルム、感光剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、同61年9月29日に設定登録され、平成9年1月30日に存続期間の更新登録がされている。
(ii)登録第1896544号商標(以下「引用商標2」という。)は、「RADIFOCUS」の欧文字を横書きしてなり、昭和58年8月10日に登録出願、第10類「恒温器、試験管、望遠鏡用三脚、反射鏡、スライド映写機、フイルター、録音機械器具、温度計、比重計、血液検査器、心電計、体温計、注射筒、注射針、フイルム、感光剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、同61年9月29日に設定登録され、平成9年1月30日に存続期間の更新登録がされている。
(2)商標の類否について、
本件商標は、欧文字「RadiForce」を標準文字で表してなるものであるから、「ラジフォース」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標1は片仮名文字「ラジフォーカス」を、引用商標2は欧文字「RADIFOCUS」を横書きしてなるものであるから、引用商標1及び2(以下「引用各商標」という。)は、ともに「ラジフォーカス」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「ラジフォース」の称呼と引用各商標から生ずる「ラジフォーカス」の称呼とを対比するに、両称呼は前者は5音、後者は6音という比較的長い音構成となっており、両称呼は第5音における「カ」の音の有無において相違するのみであって、他の4音はいずれも共通するものである。
両称呼は、称呼の聴別上重要な位置を占める語頭部において、「ラジフォー」までが同一であり、しかも第3音の「フォ」が長音を伴っているため、強く発音・聴取されるので、その後に続く「カ」の音の有無は聴別されにくいものである。
以上のことからみて、両称呼における「カ」の音の有無は必ずしも明確に聴取されるものではなく、該差異が称呼全体に与える影響はきわめて小さいものであり、両称呼は相紛らわしいものというべきである。
(3)取引の実情について
商標の類否は、取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきであり、本件商標と引用各商標の類否を検討するにあたっては、上述した音声上の類似性に加え、以下のような取引の実情も考慮されるべきである。
請求人は、引用各商標を昭和60年9月よりその製造販売に係る「血管造影用カテーテル」「ガイドワイヤ一」「イントロデューサー」(以下「ガイドワイヤ一等」という。)の商標として採用し、以来今日まで継続して使用してきた(甲第11号証ないし甲第35号証)。
請求人が引用各商標を使用して製造販売するガイドワイヤ一等は、昭和60年9月の販売開始以来、急速に市場シェアを伸ばし、その販売代理店網は、大手を含み130社に達しており日本全国に及ぶものである(甲第37号証)。市場調査会社(株)矢野経済研究所の調査レポートによれば、例えば、平成14年度(2002年度)におけるガイドワイヤ一の請求人シェアは、数量ベースで約65%、金額ベースに至っては約71%と圧倒的なものとなっていることがわかる。また、同年度におけるイントロデューサーについてみても、請求人は数量、金額のいずれにおいても30%を超え、トップシェアを占めている。そして、請求人商品について論文が発表されている(甲第38号証ないし甲第48号証)。これらのことからみて、請求人がガイドワイヤ一等に継続して使用してきた引用各商標は、本件商標が出願された平成14年当時、すでに医療業界において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されていたものであることは明らかである。
しかも、近年、医療現場では薬の処方や投与に関するミスが頻発しており、その原因として名称の似た薬の取り違えが指摘され、かつ、社会問題化している(甲第49号証ないし甲第52号証)。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用各商標は、称呼上音声的に互いに判然と聴別できるほどの差異もなく、引用各商標の取引実情及び医療現場の実情等を勘案すれば、両商標は称呼において相紛らわしく互いに類似する商標であって、また、本件商標にかかる指定商品と引用各商標にかかる指定商品とが同一又は類似の商品であることは明らかである。
2.商標法第4条第1項第10号該当性
本件商標は、上述したとおり、請求人の業務に係るガイドワイヤ一等を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されている商標「ラジフォーカス」及び「RADIFOCUS」に類似する商標であって、その商品と同一又は類似の商品について使用をするものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第30号証を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標は上記構成からなり「ラジフォース」の称呼が生じる。他方、引用各商標は上記構成からなり「ラジフォーカス」の称呼が生じる。
そして、本件商標の称呼「ラジフォース」と引用各商標の称呼「ラジフォーカス」は、それぞれ5音、6音の構成音数からなるところ、5音や6音の構成音数からなる言葉は、一般的には容易に一息で称呼され、全ての音は明確に発音され、聞き取られることができる言葉というべきである。
また、両称呼の相違音「カ」は口を大きく開けて発音する「ア」を母音としているから、この音自体明確に発音されるから、「カ」の音は引用各商標の称呼「ラジフォーカス」に接する者の印象に強く残る音である。
その結果、両称呼に接する者は、両者の相違を容易に区別できる。
さらに、本件商標及び引用各商標は、第10類の「医療機械器具」を指定商品としているから、これらの商品との関係で、両商標中の「Radi」「ラジ」「RADI」は「radiology」から採用されたものと推測され、その結果、本件商標及び引用各商標は、「Radi」と「Force」、「ラジ/RADI」と「フォーカス/FOCUS」が結合されてできた商標と理解される。しかして、本件商標中の「Force」は「力、軍事力」等の意味を有する言葉であり、引用各商標中の「フォーカス/FOCUS」は「焦点、まと」等の意味を有する言葉として広く一般に誰もが知っている言葉である(乙第1号証)。
したがって、これらの語に接する者は、両者をそれぞれ「フォース」「フォーカス」と明瞭に発音する。しかして、このように広く一般に知られている言葉が発音された場合、わずかな相違であっても聴者は両者の相違を容易に認識することができることは疑いない。
また、本件商標と引用各商標が観念上及び外観上も非類似の商標であることは明らかである。
したがって、本件商標と引用各商標は、称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2.商標法第4条第1項第10号該当性
上述のとおり、本件商標「RadiForce」と引用各商標「ラジフォーカス」及び「RADIFOCUS」とは容易に区別することができる非類似の商標であることは明らかである。
したがって、仮に引用各商標が周知な商標であったとしても、本件商標が指定商品について使用された場合、需要者・取引者が両商標を混同することはあり得ない。
1.外観及び観念について
本件商標は「RadiForce」の文字よりなるところ、その構成中前半の「Radi」の文字部分は特定の語義を有する語として知られるものでないが、同後半の「Force」の文字は、「力」を意味する英単語を容易に想起させるものである。
他方、引用商標1は「ラジフォーカス」、引用商標2は「RADIFOCUS」の文字よりなるところ、それら構成中の「ラジ」又は「RADI」の文字部分上述と同様に特定の語義を有する語といえないが、「フォーカス」及び「FOCUS」の文字部分は「焦点」を意味する英単語又はその片仮名表記として一般世人によく知られた語である。
してみると、本件商標と引用各商標が構成全体では特定の意味合いを有しない一種の造語であり、両商標に接する取引者・需要者は、両者の各構成文字「Force」と「フォーカス」又は「FOCUS」の文字部分について前記各語を想起しやすく、欧文字と片仮名文字の字種の差異に加え「Force(フォース)」から「フォーカス」を連想するものといい難く、かつ、「Force」と「FOCUS」とは、5字構成中の「rce」と「CUS」の差異があり、それぞれの相違を容易に識別することができるといえる。
したがって、本件商標と引用各商標は、かかる構成文字の差異により、全体の外観印象を異にし、外観において彼此見誤るおそれはなく、また、いずれも全体として特定の観念を生じないものであるから、観念においても混同を生じさせる要因はないというべきである。
2.称呼について
本件商標と引用各商標は、その構成文字に相応して、前者からは「ラジフォース」の称呼を、後者からは「ラジフォーカス」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「ラジフォース」の称呼と、引用各商標より生ずる「ラジフォーカス」の称呼とを比較するに、両者は長音を1音としてみれば、5音と6音という構成音数の差違、すなわち、第5音目における「カ」の音の有無に差違を有するものである。
しかして、該差違音である「カ」の音は明確に発音される性質の音といえるものであり、これが格別冗長といい難い引用各商標「ラジフォーカス」の称呼中にあって、第5音目に位置するも明確に発音され、かつ、他の音に比して強く響き構成音の一として充分に聴取できるというのが相当である。また、上述のとおり一般世人によく知られた語である「フォーカス(Focus)」を無視して、当該構成音のいずれかを弱めたり又は略されて発音されるような事由は見出せない。
他方、本件商標「ラジフォース」の称呼は、全体が抑揚少なく平滑に発音・聴取される音構成といえるものである。
そうすると、「ラジフォース」と「ラジフォーカス」の称呼は、その構成音数、音の配列を異にし、彼此聞き誤るおそれはない。
3.小括
したがって、本件商標と引用各商標は、全体の外観印象を異にし見誤るおそれはなく、観念においても混同を生じさせる要因はない。そして、称呼においても彼此聞き誤るおそれはないから、両者は外観、観念及び称呼のいずれかからしても何ら紛れるおそれのない非類似の商標と判断できる。
4.取引の実情について
請求人が、その使用商標として「ラジフォーカス」及び「RADIFOCUS」をガイドワイヤー等の商標として継続的に使用し、かかる医療器機分野の需要者に広く認識されるものであるとしても、本件商標は上述のとおり、引用各商標とは非類似のものであり、ほかに、両者間にその出所を混同させる要因は見出せないから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が直ちに引用各商標を想起し、請求人の業務に係るものであるかの如く、出所の混同を生ずるおそれはないというべきである。
また、請求人は、近年における医療事故の原因の一つとして、商標の類似性を挙げているが、請求人が引用各商標を使用しているガイドワイヤー等の商品と医薬品とは自ずと物品としての相違、即ち形状、用途及び用法等が大きく異なり、薬の取り違えの問題と同列には論じられない。
その他、上述した認定を覆すに足りる証拠はない。
5.結論
以上のとおり、本件商標の指定商品中、第10類「医療用機械器具,医療用表示装置,医療用の放射線投射スクリーン,医療用の放射線装置,医療用X線発生装置」についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第10号に違反してされたものといえないから、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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