結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−30192(T2003−30192/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
第1.本件商標
本件登録第1706704号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和56年11月19日に登録出願され、「TOTAL ENGLISH」の欧文字を横書きしてなり、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として、昭和59年8月28日に設定登録されたものである。
第2.請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により、その登録を取消されるべきものである。
審判請求人は、本件商標の使用状況につき調査したが、本件商標は、その指定商品につき使用されていないことが判明した。
よって、請求の趣旨の通りの審決を求めるものである。
2.弁駁の理由(第1回)
平成15年4月15日付審判事件答弁書の被請求人の主張に対し、請求人は、次の通り弁駁する。
(1)審判事件答弁書中、(1)(2)(3)については、これを認める。
(2)同上(4)登録商標の使用説明書以下は、これを争う。
(2−1)被請求人は、登録商標の使用説明書として、乙第3号証と乙第4号証を提出し、この雑誌は、「被請求人(株式会社トータル英語研究会)の『Real English』(真の英語)の理解と運用及び普及を目指す精神に基づき刊行され〜」と主張し、なお乙第3号証と乙第4号証の冒頭においても「Real Englishの理解と運用及び普及を目指して」と小さく表示しており、また、乙第3号証の編集後記にも同様の文言がみうけられる。
そして、被請求人は、答弁書中(4ー3)にて「本件雑誌と事例を同じくする商品の商品性及び『雑誌』の該当性については、平成14年(行ケ)第43号審決取消請求事件(乙第5号証)において判示されており、本件雑誌も前記判例にならい、これを『雑誌』と認められて然るべきであり、」と述べているが、乙第5号証にて判示された雑誌は、英語教科書「TOTAL ENGLISH」を販売するに当たり、教師用指導書として発行されたものであり、それゆえ、その指導書も英語教科書にならい「TOTAL ENGLISH」となっていた。これと同様な雑誌とすれば該雑誌は教師用指導書であり、そうとすれば、被請求人の主張は、あたかも「Real English」という教科書が存在しそれの指導書であるが如く認識するものである。
しかしながら、請求人が調査したところ「Real English」という教科書は存在しない。もしも現実に存在するならば、被請求人において立証されたい。
(2−2)乙第5号証で判示された雑誌即ち教師用指導書は、先に述べた如く、教科書を販売するためのものであり、採用された教科書が教育現場において有効に利用され、その価値を高めるために必要な指導用資料であり、教科書と内容的に密接的な関係を有し、継続的に発行されるものであるから、「Real English」という教科書は存在しないならば、かかる雑誌即ち教師用指導書を頒布する理由は、教科書を取り扱う業界では考えられない。
また、編集後記の最後にー購読料 年間(4冊刊行)400円とあるが、このような雑誌は、一般書店に並ぶものではなく、販売するにあたっては、おそらく会員制であろうから、その購読者名の名簿と販売部数を立証されたい。
(2−3)乙第3号証と乙第4号証の奥付に書されている(連絡先)「トータル出版」についての電話番号の記載がないので、電話番号案内に問い合わせをしたところ 「東京新宿区四ッ谷1− 21− 601には電話番号の登録はない。」との回答を得た。電話番号の登録については、個人においては、プライバシーの点や種々の理由によって登録をしないことはあり得るが、かかる業を行っている者においては考えられないことであり、ましてや連絡先に指定している「トータル出版」が実在するものであるならば電話を登録しないことはない。連絡はすべて書面にて行わなくてはならないのか。
また、念の為、法務局新宿出張所にて登記についての調査をしたが、その会社は、存在しない(甲第1号証)。かかる実情からして、「トータル出版」の存在も疑わざるを得ない。
(2−4)被請求人は、答弁書中(4ー1)において「本件雑誌は、平成14年10月には83号を復活・刊行させ(乙第3号証)、平成15年2月に84号を刊行している(乙第4号証)。」と述べているが、復活・刊行された以前の、即ち82号以前のもので「Real Englishの理解と運用及び普及を目指して」のタイトルを付した雑誌が存在するならば、その提出を求める。
その雑誌が存在しないならば、復活とはいえないであろう。
(2−5)本件雑誌は、83号を平成14年10月に、84号を平成15年2月に刊行したとしているが、この年月については疑わしい。
すなわち、本件審判の審判番号通知が平成15年3月5日で、その予告登録が平成15年3月12日になされている(乙第2号証)のに、予告登録日以前の平成15年2月に刊行された本件雑誌84号の編集後記に「再度取消し審判を特許庁に学校図書(株)が請求しました。何故か?不可解なことです。」としているが、印刷するにあたり意識的に刊行された月をさかのぼらせたか、そうでないとすれば、審判番号も付与される前、予告登録以前の2月に審判請求があったことを編集者が知り得たこと自体何故か?不可解なことである。
(3)被請求人提出の登録商標の使用説明書(乙第3号証及び乙第4号証)は、前記(2−1)〜(2−5)において指摘した点が明らかにされない限り、整合性、信憑性に欠けるところがあり、請求人としては使用説明書(乙第3号証及び乙第4号証)自体の成立を認めることは出来ない。
乙第3号証及び乙第4号証は、単に不使用取消しを免れるために作成されたものと断じざるをえないし、8頁に過ぎないこの程度の小冊子を作成することは、出版業界においてはたやすい事であり、これで不使用取消しを免れることができるならば、登録商標の使用事実の立証を商標登録権者に転換した商標法第50条は働かなくなるであろう。
そして、乙第3号証及び乙第4号証は、このように疑わしい点が多々あるので、これに執筆されている小笠原林樹氏、小橋陽一氏に対し、原稿依頼の状況等を確認したいので、両氏の証人尋問の請求も考えている。
(4)「TOTAL ENGLISH」は中学生用英語教科書の題号として文部科学省(旧文部省)の指導のもと、前使用者(株式会社 秀文出版)より現使用者(審判請求人)までとぎれることなく、継続して昭和51年4月から今日まで既に27年間使用してきており、500万人以上の生徒、教員に使われ、中学生用英語教科書として周知著名なるところ、紛らわしい雑誌に同様なタイトルを付したものが少しであっても世間に出されること自体、この種業界を混乱させるばかりか、不思議な小冊子を使用説明書として提出し、不使用取り消しが免れるならば今後に禍根を残すことになるであろう。
(5)したがって、本件商標は、登録商標の使用説明書(乙第3号証及び乙第4号証)が、弁駁書中(2−1)〜(2−5)において指摘した点が明らかにされない限り、日本国内において、継続して三年以上指定商品について、被請求人により使用されていなかったものと認めざるを得ないので、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録は取り消すべきものであるから、請求の趣旨の通りの審決を求めるものである。 3.弁駁の理由(第2回)
平成15年11月21日付審判事件答弁書(第2回)の被請求人の主張に対し、請求人は、次の通り弁駁する。
(1)被請求人の答弁書に対し、弁駁する前に新しい事実が判明したので、これについて述べる。
即ち、東京法務局豊島出張所にて被請求人会社の履歴事項全部証明書(甲第2号証)を取り寄せたところ、平成9年12月24日より代表取締役ゴリス・リチャード・チャールズ及び取締役宮内訓子、同大久保雪美、平成10年12月25日より監査役廣瀬威がそれぞれ退任し、代表取締役ゴリス・リチャード・チャールズ及び取締役宮内訓子、同大久保雪美並びに監査役長谷川幸子が平成15年4月4日就任する間、6年数か月にわたり代表取締役、取締役、監査役(5年数か月であるが)のいずれも存在しなかったという事実が明らかになった。
会社の構造としては、その構成員たる社員のほか、会社の行為を行う機関が必要である。機関は、その権限によって意思機関(株主総会など)・業務執行機関(取締役など)にわかれるところ、被請求人会社においては、その業務執行機関を構成する者が全員退任により、会社としての行為を行うことはできない状態にあったことは明らかである。該会社は存在しない状態にあった。
してみると、先に提出された平成14年10月に発行されたとする乙第3号証及び同15年2月に発行されたとする乙第4号証は、いずれも前記会社の業務執行機関の空白時の期間中のものであり、乙第6号証ないし同第8号証も同様である。これらの書証をもって被請求人会社が登録商標を使用していたとすることは出来ない。
(2)上記の事実の下にあるにもかかわらず、何人かが発行した被請求人の提出に係る商標の使用の事実を示す書類(雑誌の実物)は、発行されたこと自体、誰がどのようになされたのか不明であり、また、それが真実発行されたものであれば、明らかに被請求人会社以外の者によってなされたものと推測せざるを得ない。そうとすれば、本件商標の使用は商標権者によっての使用とはなり得ず、審判事件答弁書(第2回)に対する弁駁は必要としないものであるが、被請求人の主張をすべて認めているものとの誤解を生ずるおそれがあるので、次に請求人としての意見を申し述べる。
(i)答弁(1)弁駁理由(2ー1)について。
被請求人は、過去の経緯からしても教科書販売の当業界においては教科書を販売するに当たり、その教科書の題号を同じくする教師用指導書を配布する実情を十分に知っている。
それにもかかわらず「Real English」なる教科書が存在しないことは当業界においては周知の事実であるので、本件雑誌は「Real English」を題号とする教科書の指導書的なものではなく、独立した雑誌として取引の対象とされているものであると強弁している。
(ii)同上(2ー2)について。
被請求人は、本件雑誌は、一般の書店で市販されるものではなく、被請求人の出版部門「トータル出版」に電話・FAX等で直接申し込めば、何人も自由に購入することが可能であると述べているが、乙第3号証及び同第4号証の奥付に(連絡先)東京都新宿区四ッ谷1−21−601となっている「トータル出版」には電話・FAXの記載もなく、これで何人も自由に購入することが可能であるというのは、いささか無理ではなかろうか。電話・FAXの存在自体疑わしいこと、第1回の弁駁書において述べた通りである。
(iii)同上(2ー3)について。
(連絡先)「トータル出版」の存在について疑いを持つこと、前で述べた通りであるが、被請求人は、かかる名称の出版業務は、本件雑誌以外の出版物においても、従来から行われていたことであるとして、乙第9号証及び同第10号証を提出しているが、乙第9号証の5及び同第10号証の5には、著作者(著作権所有者)の次に書されている「トータル英語研究会」は、法人格を有していないが、これを被請求人と同一のものとみれば、発行所 TOTAL SHUPPAN 東京都豊島区駒込4−12−7と被請求人と同番地になっており、このように記載してあれば被請求人の出版部門であること理解出来ないこともないが、本件雑誌のように(連絡先)「トータル出版」は被請求人の住所とは異にしている場合には直ちに被請求人の出版部門と理解することが出来るであろうか。
また、上記のように「トータル英語研究会」を被請求人と同一のものとみた場合には、著作者(著作権所有者)トータル英語研究会 代表者 宮内秀雄となっているのは、会社登記簿をみても、業務執行機関(取締役など)に載っていない宮内秀雄と記載されており、被請求人会社は不可解である。
そこで、乙第9号証及び同第10号証を詳細に調べてみると、(○の中に「c」の文字。)1975となっているところより、本著作物は、1975年のものと認められる。
また、宮内秀雄は株式会社秀文出版の初代の代表取締役であって、平成3年6月30日に死亡している。そして、「TOTAL SHUPPAN」は、調査するも不明である。
このように状況も大きく変わっている今日、29年も前の古い書類を証拠として探しだし、提出しているが、このような証拠は本件審判には何ら影響を与えるものではない。たまたま、こうしたものが見付かったので提出したものとみざるを得ない。
(iv)同上(2ー4)について。
被請求人は、本件雑誌の副題に「REAL ENGLISH」を使用したのは、83号以降であると述べているが、それならば何故に乙第3号証の編集後記に「NO.83を復活,」と記載したのか。また、乙第3号証の編集後記に「本来(株)トータル英語研究会の「ReaI English」の普及を目指す精神に基づき刊行され、早や25年の歳月が過ぎようとしています」としているが、25年の歳月が過ぎたNO.83以前の雑誌は、通常使用権者であった株式会社秀文出版の中学生用英語教科書の指導書として発行されていたものである。
それ故に、先の請求人の提出要求に応ずる事ができず、これと編集方針を異にし、副題に「REAL ENGLISH」を使用した新しい雑誌として生まれ変わったものであれば、NO.1から始めるべきであって、復活とか25年にわたる歴史的な古さを強調する事は、一般需要者に対する欺瞞というほかない。
(v) 同上(2ー5)について。
被請求人は、本件雑誌84号は平成15年2月に刊行後、同年3月中に同号を追加刊行し、その際に編集後記の記述を挿入したものである。と述べているが、わづか1000部の小冊子に追加刊行がなされるものであろうか。
しかも、追加刊行前の平成15年2月に刊行された雑誌は何部印刷されたか明らかにされていないが、その全部を販売しきれるものではなく、残部もあるとおもわれるのにそれの提出もないし、乙第6号証の領収証をみても追加刊行の形跡は見えない。
なお、乙第7号証(領収書)の送り先、東京都第一教科書供給(株)に調査をお願いしたところ、甲第3号証に示すように乙第7号証(領収書)を被請求人から受けとった事実は発見できなかったとの報告を受けた。
もしも甲第3号証の信憑性について、疑われるならば、証明者竹内禮二の証人尋問をなされたい。
次に、本件審判の請求の登録(以下「予告登録」という。)以前の2月に編集者が知り得た理由として、被請求人は、過去の経緯もあって、本商標権に対する審判請求等の情報を収集するための「ウオッチング」を行ってきたところ、審判請求がなされていることが判明したと述べている。
しかしながら、商標登録の取消しの審判においては、その審判の予告登録の日が該商標の使用についての期限となっている関係上、特許庁では、商標の取消審判には特に注意を払い、請求があれば速やかに予告登録の手続きがなされるものである。
よって、極秘に迅速に予告登録の手続きが進められる特許庁より漏れるはずはないし、ましてや請求人からも被請求人に対し、これから審判の請求をするなどの告知をすることもない。法定期間及び指定期間の定めのない、何時請求されるか判らない商標取消審判においては、いかなる「ウオッチング」を行ったとしても審判請求がなされていることの事実はつかめない。
そうとすれば、84号の追加刊行も立証不十分であり、上記「ウオッチング」も不可能であるから、本件雑誌84号の発行年月日については、なお遡ってなされたという疑問は解消しない。
(vi) 同上(3)について。
本件雑誌(乙第3号証及び同第4号証)は、不使用取消しを免れるために作成されたものであるとの請求人の主張は、(2ー1)〜(2−5)に示す通り、答弁書(第2回)によって、より一層の確信を深めた。
(vii) 同上(4)について。
「TOTAL ENGLISH」を題号とする教科書を出版したのは、あくまでも株式会社秀文出版であって、設立当初もその不足する資金を代表者が他者より融資を受け、事業を進めていったというのが事実であって、被請求人の主張するようなことはない。ただし、著作者に対する印税分のみは、株式会社秀文出版より被請求人に支払われ、印税の窓口である被請求人は、これを著作者に支払っていたというのが実情である。
(3)したがって、本件商標は、登録商標の使用説明書(乙第3号証及び乙第4号証)が、被請求人会社の業務執行機関の空白により、会社としての行為を行うことの出来ない状態の時に刊行されたものであり、第1回目の弁駁書中(2ー1)〜(2−5)において指摘した点について答弁がなされているものの、依然として明らかにされていないので、日本国内において、継続して三年以上指定商品について、被請求人により使用されていなかったものと認めざるを得ず、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録は取り消すべきものであるから、請求の趣旨の通りの審決を求めるものである。
第3.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む)を提出している。
1.答弁の理由(第1回)
(1)本件商標は、「TOTAL ENGLISH」の欧文字を横書きしてなり、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として、昭和59年8月28日に登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)請求人は、『本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。』との審決を求め、その理由として、本件商標はその指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取消されるべきものであると述べている。
(3)被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品中「雑誌」に使用しており、証拠方法として、乙第3号証及び乙第4号証を提出する。
(4)登録商標の使用説明書
(4−1)本件雑誌は、被請求人(株式会社トータル英語研究会)の「Real English」(真の英語)の理解と運用及び普及を目指す精神に基づき刊行され、早や25年の歳月が過ぎようとしている。そして、21世紀を迎えこの刊行物にも、新たな展開を目指して、既に、平成14年10月には83号を復活・刊行させ(乙第3号証)、平成15年2月に84号を刊行している(乙第4号証)。
しかして、本件雑誌の表紙には、題号として「TOTAL ENGLISH」の欧文字が表示されており、自他商品識別標識機能を果たしている。
なお、本件雑誌は今後も年間4回程度継続的に刊行の予定である。
(4−2)また、本件雑誌の奥付には、発行者(被請求人)の名称・住所及び連絡先として当社の出版部門の住所・名称と購読料400円の表示を印刷している。
(4−3)そして、本件雑誌には、現場の教師等の意見、感想などを紹介したり、英語教育の研究者の論考などを掲載しており、毎号その内容を異にしながら号を追って刊行され、それ自体独自の価値を有する内容の雑誌であり、独立して商取引の対象となっている商品である。なお、本件雑誌と事例を同じくする商品の商品性及び「雑誌」の該当性については、平成14年(行ケ)第43号審決取消請求事件「平成14年6月20日判決言渡」(乙第5号証)において判示されており、本件雑誌も前記判例にならい、これを「雑誌」と認められて然るべきであり、商標法上の商品といえるものである。
(5)上述のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において請求にかかる商品のうち「雑誌」について、本件商標を使用しているものである。
(6)よって、本件商標の登録は、審判請求に係る商品につき、商標法第50条第1項の規定により、これを取り消すことができないから、答弁の趣旨のとおりの審決を望む次第である。
2.答弁の理由(第2回)
(1)弁駁理由(2ー1)について。
請求人は、本件雑誌(乙第3号証及び乙第4号証)が、あたかも「Real English」という教科書が存在し、その指導書であるが如く認識する。もし前記教科書が存在するならば、被請求人が立証されたいという。
被請求人は、本件雑誌(乙第3号証及び乙第4号証)の商品性及び雑誌の該当性について説示したものであって、その当否の判断にあたっては、平成14年(行ケ)第43号審決取消請求事件判決(乙第5号証)を参考とされるべく提示したものである。
したがって、本件雑誌は「REAL ENGLISH」を題号とする教科書の指導書的なものではなく、独立した雑誌として取引の対象とされているものであり、もとより、「REAL ENGLISH」なる教科書が存在するものではない。そして、本件雑誌は内容においても、現場の教師が執筆する授業展開等の記事に引用されている英文は、しばし誤解による英文が多いので「Real English」(真の英語)に合わせるよう添削して集録しているのである。そして、「REAL ENGLISH」は本件雑誌によって、「真の英語の理解と運用及び普及を目指して」という役割を果たすためのセールスポイントとして副題に使用しているものである。
(2)同上(2ー2)について。
請求人は、「REAL ENGLISH」という教科書がなければ、本件雑誌を頒布する理由は考えられない。また、本件雑誌(乙第3号証及び乙第4号証)は、一般書店に並ぶものではなく、販売するにあたっては、会員制であろうから、その購読者名簿と販売部数を立証されたいという。
本件雑誌の内容については、既に答弁書(第1回)の(4ー3)で述べている。
本件雑誌は、一般の書店で市販されるものではないが、被請求人の出版部門「トータル出版」に電話・FAX等で直接申し込めば、何人も自由にこれを購入することが可能であり、本件雑誌は独立して商取引の対象となっている商品である。
よって、本件雑誌は上記の取引形態より流通するものであるから、会員制の購読者名簿等は存在するものではない。なお、本件雑誌は毎号1000部発行しており、その取引書類の一部を乙第6号証ないし乙第8号証として提出する。
(3)同上(2ー3)について。
請求人は、本件雑誌(乙第3号証及び乙第4号証)の奥付に書されている(連絡先)「トータル出版」の存在を疑わざるを得ないという。
被請求人は、この「トータル出版」につき前で述べたとおり、被請求人「株式会社トータル英語研究会」の出版部門であり、独立した法人としての登記は存在しないが、本件雑誌の奥付に記載の住所で出版業務を行っていたもので、本件雑誌の購入希望者は、被請求人又は出版部門の「トータル出版」に対し申し込み購入している。そして、かかる名称の出版業務は、本件雑誌以外の出版物においても、従来から行われていたことである(乙第9号証及び乙第10号証)。
(4)同上(2ー4)について。
請求人は、本件雑誌の82号以前のもので「Real English」のタイトルを付した雑誌の提出を求めるという。
本件雑誌の副題に「REAL ENGLISH」を使用したのは、83号以降であり、題号(主題)として使用したことはないが、請求人のかかる主張は、本件審判事件に何ら関わりのないことである。そして、本件登録商標をその指定商品に使用している事実は、乙第3号証及び乙第4号証に徴し明白である。
(5)同上(2ー5)について。
請求人は、「本件雑誌84号の発行年月について疑わしい。」という。
被請求人は、本件雑誌84号を平成15年2月に刊行後、同年3月中に同号を追加刊行し、その際に編集後記の記述を挿入したものである。
そして本件商標については、平成11年8月に不使用取消審判を請求された経緯もあり、爾来、本商標権に対する審判請求等の情報を収集するための「ウオッチング」を行ってきたところ、平成15年3月に請求人による本件審判請求がなされていることが判明し、前記編集後記にその旨を掲載したものである。
(6)同上(3)について。
請求人は、本件雑誌(乙第3号証及び乙第4号証)は、不使用取消しを免れるために作成されたものであるという。
本件雑誌は、「真の英語」の理解と運用及び普及をめざして、現場の教師をはじめ、広く一般人をも対象にした内容に編集し販売しているもので、請求人の主張は被請求人を甚だしく冒涜するものである。
(7)同上(4)について。
請求人は、「TOTAL ENGLISH」は中学生用英語教科書の題号として、前使用者(株式会社秀文出版)より請求人まで、昭和51年4月から今日まで継続して使用してきているという。
被請求人は、請求人の主張内容には重大な事実誤認と虚偽があるといわなければならない。すなわち、「TOTAL ENGLISH」を題号とする教科書を出版するについては、編集関係諸費(原稿料及び編集手当、監修及び書き直し等の費用)は、一切被請求人(株式会社トータル英語研究会)が支払ったものである。そして、前記「株式会社秀文出版」が、教科書の営業活動に是非「TOTAL ENGLISH」商標を使用したいとの要望に応じた経緯があり、たまたま出版元が「株式会社秀文出版」の名になっただけというのが実情である。
(8)同上(5)について。
請求人の弁駁は、独自の見解にたって被請求人の答弁及び証拠を非難するにすぎないものである。
第4.当審の判断
本件審判において被請求人より提出された乙第3号証及び同第4号証をみるに、これらはそれぞれ2002年10月(No.83)及び2003年2月(No.84)に発行されたと認め得る、英語教育に携わる指導者(主に、中学校教師)向けの小冊子と認められるものであり、その1頁の上段に本件商標とほぼ同一の商標が表示されており、また、最終頁(8頁)の下段には「購読料 年間(4冊刊行)400円」と表示され、かつ、最下段には小さな文字であるが、「発行 株式会社トータル英語研究会」と本件商標権者(被請求人)の名称及び住所が表示され、その右側に(連絡先)として、発行者の発行部署と認められる「トータル出版」の表示とその所在地が記載されていることが認められる。
そして、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付された、上記の小冊子は頁数は少ないが、毎号その掲載内容を異にし定期的に発行される出版物と認められるものであり、これは本件商標の指定商品中の「雑誌」について使用されていたと認められるものである。
また、同じく乙第6号証は、上記2冊の小冊子(No.83)、(No.84)の被請求人宛の取引書類(領収証)と認められるものであり、本件商標、号数、領収年月日、取引先の住所・名称等がそれぞれ記入されている。 しかして、上記被請求人の提出に係る乙第3号証、同第4号証及び同第6号証に記載されている日付からすれば、本件審判請求の登録(平成15年3月12日)前3年以内に本件商標の指定商品に属する「雑誌」についての使用と認め得るものである。
なお、請求人は、前記の第2.請求人の主張の2.弁駁の理由(第1回)において、被請求人より提出された乙第3号証及び同第4号証は、本件商標登録取消審判事件の不使用取消を免れるために作成されたものである旨又は同じく3.弁駁の理由(第2回)において、甲第2号証を提出して、これら乙第3号証及び同第4号証は、いずれも被請求人(会社)の業務執行機関の空白時の期間中のものであり、これらの書証をもって被請求人が本件商標を使用していたとすることはできない旨等を縷々主張しているが、これらの主張は、現に存在する会社(被請求人)が前述のそれぞれの時期に各小冊子を発行することができなかったとする客観的な理由とはなし得ないものである。
してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を指定商品に含まれる「雑誌」について使用をしていたと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。