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Trademark Appeal Case

「士」の資格誤認と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−8051(T2004−8051/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「医療事務管理士」の文字を標準文字で書してなり、第35類「医療事務の管理,医療事務に関する指導,医療事務処理の代行」を指定役務として、平成15年4月10日に登録出願されたものである。

そして、その指定役務については、同15年11月21日付けの手続補正書により、第41類「医療事務に関する知識の教授,医療事務に関するセミナー・講習会・研究会の企画・運営・開催」に補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要点

原査定は、以下の(1)及び(2)のとおりの認定、判断をし、本願を拒絶したものである。

(1)本願に係る指定役務のうち「医療事務の管理、医療事務に関する指導」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。そのため、本願は、政令で定める商品及び役務の区分に従って第35類の役務を指定したものと認めることもできない。したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。

(2)本願商標は、「医療事務管理士」の文字を書してなるところ、その構成中の「士」の文字は、「一定の資格を持った者」を意味し、例えば「弁護士、税理士、公認会計士、司法書士」等国が法律に基づいて資格を特別に付与した者を表示する事例が多いことから、本願商標をその指定役務に使用したときは、あたかも国家資格を表す名称の一つであるかのごとく、需要者に誤認を生じさせるおそれがあるから、このような商標を一私人である本件出願人が、自己の商標として採択・使用することは、公の秩序を乱すおそれがあり、穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断

(1)本願商標は、その指定役務について前記1のとおり補正された結果、役務の内容が明確で、かつ、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものになった。

したがって、本願商標が商標法第6条第1項及び第2項に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。

(2)本願商標は、「医療事務管理士」の文字よりなるものであるところ、その構成中、「医療事務」の文字部分は、「医療機関内での、受付窓口業務、カルテの管理、健康保険の算出、診療報酬明細書の作成や治療費の計算などの手続事務」の意味合いを看取させる語と認められ、また、一般国民が、末尾に「士」の付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表していると一般的には、理解することが多いということができる。

しかしながら、 請求人(出願人)の100%子会社と認められる「株式会社技能認定振興協会」は、1969年に、医療機関の求める職能者を育成し、病院内の業務改善や合理化等に貢献することを目的として「日本医療事務管理士協会」として発足、その後1980年10月に「日本医療事務振興協会」に改称、続いて2003年4月に「技能認定振興協会」に改称し、現在に至っているものである。

さらに、該協会は、医療事務に従事する者の知識及び技術の向上と、経済的な地位の向上のため、この職業に必要な技能及び知識を認定し、証明するため、1969年に本願商標と同一の名称の資格「医療事務管理士」養成講座及び認定試験を発足させ、その後約30年以上にわたり存続していること、この間の技能認定試験の受験者は14万人を越え、合格者数は6万人を越えていること、また平成13年度には厚生労働大臣指定の教育訓練給付制度の対象講座となり、現在においては請求人の子会社が実施機関として認定する資格の一名称として医療事務関係の取引者、需要者の間に広く認識されているものであることは、請求人の提出に係る甲各号証により認めることができる。

そうとすると、請求人の100%子会社である「株式会社技能認定振興協会」が行っている「医療事務管理士」の称号認定が、医療事務に関する教育分野における取引者、需要者の間において周知となっていたことや、「医療事務管理士」に類似する名称の国家資格も存在せず、「医療事務管理士」のような名称あるいは類似の名称が他の法律によって使用を規制されているといった事実も認められないことを考慮すれば、本願商標をその指定役務に使用しても、需要者をして国家資格を表す名称の一つであるかのごとく誤認を生じさせるおそれがあるとはいえず、また国家資格制度の秩序を乱すおそれがあるものということもできない。

してみれば、本願商標は、その出願に至る経緯の観点から検討しても、また、国家資格等との誤認を生ずるおそれの有無の観点から検討しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とは認められないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

したがって、原査定は、取消すべきである。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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