結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−30558(T2004−30558/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4285007号商標(以下「本件商標」という。)は、「彩花」の文字を書してなり、平成9年11月21日に登録出願、第31類「種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽」を指定商品として、同11年6月18日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,牧草,盆栽」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標に設定登録された専用使用権者又は通常使用権者は存在せず(甲第2号証)、本件商標の商標権者所縁の者の開設するホームページ「清香園」第2ページ該当箇所の説明によれば、本件商標の「彩花」は、「・・・商標登録し、清香園の提案する盆栽の一つの流儀として」とあり、これは、商品又は役務の区分からすると第41類の「技芸・スポーツ又は知識の教授」辺りに属するものであり、結局その余のホームページ表示箇所を参酌してみても、遂に本件商標の使用について確認をすることはできなかったこととの二つの理由により、正規の許諾による使用の事実も見いだせなかった。
叙上のごとく、本件商標は、その指定商品の中の「木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,牧草,盆栽」については、本件商標権者、専用実施権者又は通常実施権者のいずれもが、継続して3年以上にわたって日本国内おいて使用した事実はなく、商標法第50条第1項の規定に該当し、よって、上記商品に係る商標登録は取り消されるべきものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)証明されない事実1
乙第1号証の第2ページ「清香園の盆栽」の(盆栽に対する心と技)にある「さて、盆栽というのは根底に必ず自然愛というのがあって作りあげていくものです。自然の巧みな営みをとらえ、いかに表現していくかということで、そこには美的な要素がなくてはいけません。・・・」の記載や、同ページの「盆栽とは」の項目を開いたページにある「(盆栽の本質)」にある「・・・正に 『生きている』芸道・盆栽になりました。」の記載(甲第4号証)、乙第2号証の「園主のプロフィール」の後段「・・・盆栽道の楽しさなどを・・・」の記載、乙第7号証の冊子「MITSUKOSHI」(2004年1月/2月号)第30ページ中段「・・・彩花盆栽は枝ものに草も添えて一つの景色を作るのが特徴です。」の記載、同下段「・・・小さな鉢の中に自然を表現する喜び、大事に育てながら四季を演出する楽しさを彩花盆栽でぜひ味わってみてください。」の記載、乙第9号証の上段及び下段の写真中「山田香織 彩花盆栽の世界」の会場表示看板、乙第11号証の上段及び中段の写真中「春ほころぶ庭−彩花−」の会場表示看板などが如実に示しているとおり、それらは華道、茶道,舞踊などと同じように作家が創作した芸道(盆栽)の世界を総称する名称としての使用にすぎない。
このことは、甲第4号証の「盆栽とは」の項目を開いたページにある「(盆栽の歴史)」にある「盆栽の歴史は、・・・『盆景』が起源ではないかとされている・・・」と被請求人自らも認めているとおりであり、そこに記載のある「盆景」は、昭和41年1月20日株式会社小学館初版発行「世界原色百科事典」(甲第5号証)の記載によれば,「雅趣のある自然石を盆の中に立て、これに砂礫をあしらい山水その他の風物を描写する手工芸的芸道をいう。」とあることからも裏づけられている。
また、乙第9号証の中段の写真に写し出されている作品個々、同上段、下段の写真中 「山田香織 彩花盆栽の世界」の会場表示看板とともに写し出されている作品個々には、明確には読み取れないが、値段とともにその作品の名称が付されていると思しき商品札が明確に見て取れ、これは、盆栽の思想を具現化した作品(これをあたかも「盆栽」と勘違いしている。)が、展示品あるいは商品として並べられるときには、昔から個々に独立した名称が付される慣習があることからも首肯されることであって、事実、乙第2号証の「園主のプロフィール」の後段「ニ代目以来、竹の盆栽を得意とし・・・、亦、数多くの松柏盆栽を改作し、雑木盆栽,実物,花物盆栽、並びに草物盆栽、石付け創作盆栽と盆栽種全般を網羅し研究培養してまいりました。」の記載や、インターネットにホームページ開設する「天白さつき盆栽」のページ(甲第6号証)、同「東京盆栽」のページ(甲第7号証)、同「ラーストミニットドットコム」のページ(甲第8号証)など枚挙に暇がない事実からしても、その事実が裏付けられる。
また、乙第11号証の上段及び中段の写真中「春ほころぶ庭−彩花−」の会場表示看板とともに写し出されている「彩花」は、その看板が示すとおり「庭」すなわち「ガーデニング」を総称していて、まさか庭を売り出すわけでもないから、「庭作り」という芸道を指していることは誰の目にも明らかである。
したがって、商品区分第31類の「盆栽」その他の商品について使用している事実は、依然立証されていないことになる。
(イ)証明されない事実2
被請求人は、個人として登録商標の権利者ではあっても、それがたとえ自らが経営する会社とはいえ、必然的に法人である有限会社清香園(以下「清香園」という。)の所有に帰属する筈ベくもないことは、説明を要しないことであろう。
しかも、当の清香園での使用は、上記で指摘したとおり商品に使用するものでない以上、仮に黙示の使用権を主張してみたところで無駄というものである。
山田香織なる人物が仮に被請求人の真正な長女であるとしたとしても、自らも認めているとおり、清香園の従業員にしかすぎないことであり、上記の事実関係に変わりがなく、したがって、通常使用権者による使用があったとする事実は、依然として証明されないことは明らかである。
(3)結び
叙上の如く、本件商標は、指定商品中「木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,牧草,盆栽」について、本件商標権者はもちろんのこと専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、継続して3年以上にわたって日本国内において使用した事実の立証がなされていない。
被請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出した。
(1)被請求人は本件商標を本人及び通常使用権者である被請求人の長女である山田香織により商品「盆栽」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において正当に使用しており、取り消されるべきものではない。
(2)被請求人である山田登美男は、埼玉県さいたま市北区盆栽町268番地にて有限会社清香園を代表取締役として経営し、盆栽園である清香園の園主である。
清香園は、約170年の歴史を持ち、被請求人は清香園の四代目の園主であって、「盆栽」の創作・販売・リース・メンテナンスに長年従事する者である(乙第1号証及び同第2号証)。
また、同ホームページの「清香園業務内容」のページ(乙第3号証)には、「販売業務」として「美術盆栽全般 彩花盆栽」の記載がなされているように、被請求人により本件商標「彩花」を付した「盆栽」を創作・販売している。「盆栽」の販売は、盆栽園である清香園における常設の販売方法だけではなく、以下で述べるように「彩花」商標を付した「盆栽」に関し、展示即売会を各地で開催している。
(3)埼玉県さいたま市北区盆栽町所在の山田香織は、被請求人である山田登美男の長女として、被請求人より盆栽の創作技術を習得しその技能を継承する者である。山田香織は、被請求人より「彩花」商標の使用の許諾を受け、清香園の従業員として「彩花」盆栽の創作・販売を行っている(乙第4号証ないし同第6号証)。
(4)本件商標である「彩花」は「サイカ」と称呼され、被請求人より命名された「盆栽」についての名称である。独特の感性より生まれた盆栽の一形態について使用される名称であり、「盆栽」の販売においてもその名称を使用していることから、「彩花」の語は商品商標として機能している。
実際、平成16年1月6日〜12日まで日本橋三越本店において展示即売会を行っており、商品「盆栽」について「彩花」商標を使用している。乙第7号証は日本橋三越より顧客に頒布された冊子、同第8号証は上記展示即売会において「彩花」盆栽に付した価格表示タグの写、及び同第9号証は上記展示即売会の様子を写した写真である。
上述の証拠群(乙第7号証ないし同第9号証)は、本件商標を付した「盆栽」が通常の商取引により正当に使用されたことの証左である。
被請求人及び山田香織は、毎年各地の三越において「彩花」盆栽の展示即売会を開催しており、その一証左として乙第10号証(平成14年(2002年)1月11日〜17日に吉祥寺の三越にて開催された際に一般に頒布された「ポストカード」)を提出する。かかる証拠からも、本件商標が本審判の請求登録前3年以内に日本国内において使用されていたことが理解されるはずである。
上記期間内の使用ではないが、本件商標が長年使用されており、「彩花」が商品「盆栽」について商標機能を発揮して使用され続けてきた事実を証左するものとして、乙第11号証(平成12年(2000年)2月1日〜6日に恵比寿三越にて開催された展示即売会の様子を写した写真)及び同第12号証(同展示即売会において一般に頒布された「ポストカード」)を提出する。かかる写真・ポストカードは、商品「盆栽」について商標「彩花」が表示されていたことを裏付けており、写真より理解されるように実際に多くの来店者があり、即時販売は盛況であった。いずれの証拠も「彩花」又は「彩花盆栽」の表示を示しており、商標機能を発揮する本件商標が商品「盆栽」について使用されてきた事実を示している。
(5)請求人は、被請求人の開設するホームページに「・・・一つの流儀として」との内容に固執し、「これは、商品又は役務の区分からすると『技芸・スポーツ又は知識の教授』辺りに属すもの」と述べている。ホームページに「一つの流儀」であるとの記載がなされているとしても、創作された「盆栽」について上記の説明及び添付の各証拠に示すように「彩花」の名称を付して実際に販売しているとの実情からすれば、「彩花」が「盆栽」についての商品商標として機能していることは明らかである。
上述のように、山田香織は被請求人の長女であり、父親であり師匠の被請求人より盆栽の創作を習い伝承する者である。通常使用権の許諾が特許庁において未登録であるとしても、弟子であり娘である山田香織は、商標権者であり父の意思に基づく通常使用権者である。山田香織の「彩花」商標の「盆栽」についての使用は、通常使用権者による正当な使用であり、商標法第50条に規定する通常使用権者による本件審判請求に係る指定商品についての登録商標の使用に該当するものである。
(6)以上のように、被請求人及び通常使用権者である山田香織は、本件商標を「盆栽」ついて、本件審判請求の登録前3年以内に被請求人より日本国において正当に使用していたことは乙各号証から明白であり、取り消されるべき商標登録でないことは明らかである。
被請求人の提出に係る証拠及び答弁書の全趣旨によれば、2000年(平成12年)2月に、恵比寿「三越」で「春ほころぶ庭−彩花−」と題する盆栽の展示即売会が、2002年(平成14年)1月には、吉祥寺「三越」で「早春の小庭−彩花−」と題する盆栽の展示即売会がそれぞれ開催された(乙第10号証及び同第11号証)。また、2004年(平成16年)1月6日から12日には、日本橋「三越」において「山田香織の彩花盆栽の世界」と題する盆栽の展示即売会が開催され、同展示即売会では、「山田香織 彩花盆栽の世界」及び「『彩花』盆栽」等と記載された看板等が掲げられ、彩花盆栽の製作実習の講座が開かれるとともに、盆栽の展示販売がされた(乙第7号証ないし同第9号証)。
山田香織は、盆栽を製作、販売する清香園の園主である被請求人の長女であって、被請求人が1985年(昭和60年)に発表した創作盆栽「彩花」の後継者である(乙第5号証)。そして、被請求人は、弟子であり娘である山田香織は商標権者であり父・師匠である山田登美男の意志に基づく通常使用権者であると述べる。
以上によれば、山田香織は、本件商標について口頭等による合意に基づく通常使用権者であって、2000年(平成12年)2月、2002年(平成14年)1月及び2004年(平成16年)1月に開催された盆栽の展示即売会において、「彩花」の文字を盆栽を展示販売する識別標識として使用したものということができる。そして、上記「彩花」の文字からなる商標は、本件商標と社会通念上同一と認められ、上記展示即売会のうち、2002年(平成14年)1月及び2004年(平成16年)1月に開催した展示即売会は、本件審判請求の登録日(平成16年5月20日)前3年以内のものである。
請求人は、被請求人の提出したホームページの記載、冊子「MITSUKOSHI」の記載、及び上記展示即売会の会場の看板等の記載より、「彩花」は、華道、茶道,舞踊などと同じように作家が創作した芸道(盆栽)の世界を総称する名称としての使用にすぎない旨主張する。
しかしながら、少なくとも、乙第7号証ないし同第11号証に示された「彩花」の文字は、盆栽を展示販売する識別標識、すなわち盆栽について使用する商標と認識されるものといわざるを得ないから、請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
請求人は、山田香織は清香園の従業員にすぎず、通常使用権者による使用があったとする事実は証明されていないとも主張するが、乙第7号証ないし同第11号証に示された展示即売会は、山田香織の氏名が表示されて開催されたものであり、山田香織が本件商標の通常使用権者と認められること上述のとおりである。請求人の主張は採用しない。
してみれば、本件商標は、本件審判の予告登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者により請求に係る指定商品中の「盆栽」について使用されていたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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