結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−30603(T2004−30603/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4364904号商標(以下「本件商標」という。)は、「モバイルチケット」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成11年1月7日登録出願、第38類「移動体電話による通信,無線呼出し,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」及び第41類「興行場の座席の手配」を指定役務として、同12年3月3日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、第38類の全指定役務について使用されていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
(ア)被請求人は、本件商標が「移動体電話による通信」に使用されている旨主張するが、答弁書の理由及び証拠方法に鑑みれば、本件商標は「移動体電話による通信を利用して申し込まれる興行場の座席の手配」にのみ使用されていることは明らかである。
(イ)移動体電話による通信は、単なる提供手段に過ぎないから、本件商標は、本件取消審判の取消請求に係る指定役務には使用されていない。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判の費用は、請求人が負担とするとの審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第21号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)答弁の理由
乙第1号証ないし乙第16号証をもって、以下証明するとおり、本件審判請求に係る予告登録前3年以内に、被請求人は本件商標をその指定役務である「移動体電話による通信」について使用している。
(2)本件商標の使用役務について
(ア)本件商標「モバイルチケット」は、携帯電話通信サービスによるチケット予約と決済機能を備えた被請求人が提供する「iモード予約・決算システム名」であり、その導入事例の一つである東京ドーム内の遊戯施設である「ラクーア」の「予約・決算システム」の場合、アトラクションの乗車希望者は、被請求人の「La Qua iモードサイト」上で、「会員登録」、「アトラクションの予約」、「チケットダウンロード」、「アトラクションの利用及び決算」といった手続の全てを利用者所有の携帯電話の端末操作のみで完了することが可能となる(乙第1号証の1及び乙第1号証の2)。
(イ)本件商標で特定される「iモード予約・決算システム」は、「移動体電話による通信」役務を核とした「チケットの手配・予約の代行」役務及び「決済の代行」役務を当該システムの導入者(チケットを販売する興行主)並びにその利用者であるエンドユーザーに提供しているものであるが、本件商標を用いた「移動体電話による通信」サービス網の提供は、被請求人(販売に協力するパートナーを含む)とチケットを販売する興行主とで行われることから、当該サービスの直接的な需要者は、その興行主ということになる。
(ウ)被請求人は、本件商標の使用役務である「移動体電話による通信」の提供の対価を、「アトラクションの利用者」については「iモード利用者」に対する 「携帯電話使用料」という形で徴収し、システムを導入した興行主等に対しては、当該システム導入時に発生する費用の一部に組み込むということになる。
(3)本件商標の使用について
(ア)東京ドーム内の遊戯施設「ラクーアでのチケット予約・決算システム」への使用について(乙第2号証ないし乙第4号証)。
被請求人は、2001年9月に株式会社東京ドームに「モバイルチケット予約・決済システム」の企画書を提出した。この企画書は商標法第2条第3項第八号にいう「取引書類」に該当するものであり、当該企画書には、本件商標「モバイルチケット」が「モバイルチケット予約・決算システム導入前予測」「システムイメージ(モバイルチケット予約・決済)といった形で表示されていることから、当該企画書における「モバイルチケット」の表示は、本件商標の使用に該当する。
(イ)株式会社ぴあ提供の「電子チケットサービス」での本件商標の使用について(乙第5号証ないし乙第9号証)。
株式会社ぴあは、携帯電話をチケット代わりに利用する実験サービス「ぴあモバイルチケット・シアター」を開始することを2003年5月14日付で発表した。被請求人は、株式会社ぴあに対し、携帯電話によるチケット予約システムを提供するだけでなく、被請求人が定期的に発行しているリーフレット「ドコモ・ムーブメント」の2003年6月号で「モバイルチケットシアター」を広告し、2003年8月25日発行の「Weeklyぴあ」の紙面上においても「モバイルチケットシアター」が表示されているが、かかる表示自体、本件商標の使用に該当する。
(ウ)松下電器産業株式会社との間で平成12年11月1日付で法人ソリューションパートナー契約を締結した(乙第10号証)。
松下電器産業株式会社は、バスのチケット予約・決算システムを開発し、或るバス会社との間で「モバイルチケットの発行に関する契約書」を締結した(乙第12号証)。
(エ)「EXPO‘03広島」での「モバイルチケットによる各種チケットの予約・決算システム」についての展示会の開催及び展示資料の紹介(乙第13号証ないし乙第15号証)。
被請求人の関連会社であるNTTドコモ中国は、2003年10月22日から24日まで広島県広島産業会館西館において展示会を開催し、その展示資料に「モバイルチケット」を表示しているが、それらの展示資料は「移動体電話による通信サービス」に関する広告に該当する。
さらに、「モバイルチケットの会員証システム」と表示された展示コーナーにおいて、携帯電話を使って前記システムのサービスを体験することができ、かかる事実こそ、本件商標の広告そのものであるから、本件商標の使用に該当する。
(オ)以上、前記(ア)ないし(エ)から明らかなように、被請求人は、本件予告登録前3年以内に、指定役務「移動体電話による通信」について、本件商標を使用しているものである。
(4)弁駁に対する第2答弁
被請求人が提供する「iモードサービス」は、ユーザーとコンテンツ事業者の要求を満たす能力=サービスを有するネットワークの存在抜きには成り立たないサービスといえるものであって、かかるサービスにおいては「移動体電話による通信サービス」は単なる通信手段として位置づけられるものではなく、「被請求人独自の移動体電話による通信サービス」と「興行場の座席の手配というサービス」とが複合したサービスと言えるものである。
請求人は、「被請求人は、本件商標が『移動体電話による通信』に使用されている旨主張しているが、答弁書の理由及び証拠方法によれば、本件商標は『移動体電話による通信を利用して申し込まれる興行場の座席の手配』にのみ使用されている。」旨主張している。
そこで、被請求人の使用しているとする役務が、本件請求に係る指定役務中の「移動体電話による通信」の範疇に含まれるものであるか否かについて検討する。
(1)「移動体電話による通信」に属する役務については、「商品及び役務区分解説」(発明協会発行平成8年12月25日改訂3版)によれば、「移動体電話による通信」の役務を含む「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し」の役務については、「有線、無線その他の電磁的方法により、符号、音響又は映像を送り、伝え又は受ける役務である。」と解説されている。
加えて、商標法上、役務についての定義規定は設けられていないが、一般に「他人のために提供する労務又は便益であって、独立して商取引の対象となる交換価値を有するもの」等と解釈されており、したがって、労務又は便益であっても、他人のために提供するものでないものや、取引の対象とならないもの又は交換価値のないものは、取引秩序の維持を主目的とする商標法上の役務とはいえないものとされている。
そうすると、「移動体電話による通信」の役務であるというためには、「移動体電話を用いて符号、音響又は映像を送り、伝え又は受ける役務」でなければならず、かつ、この役務の提供に対し、第三者から相当額の対価を得ている必要があることになる。
(2)そこで、被請求人より提出された乙各号証をみるに、乙第1号証の1は、株式会社東京ドーム(以下「東京ドーム」という。)の遊戯施設である「ラクーア」におけるアトラクションのチケット予約の事例であるが、その内容は、iモードを利用した「1会員登録」、「2予約方法」、「3利用方法」の説明のみであって、そもそも、本件商標である「モバイルチケット」の語は一切掲示されていない。
そうすると、当該証明書によっては、前記役務が、本件請求に係る指定役務中「移動体電話による通信」の範疇に属する役務とはいえず、かつ、本件商標を使用していたと認めることもできない。
(3)乙第1号証の2及び乙第14号証は、「EXPO‘03広島展示資料」であるが、
この「携帯電話利用のモバイルチケット会員証システム」の提供者は、下段に記載があるとおり、「パナソニックモバイルコミュニケーションズ(株)」であって、本件商標の商標権者ではない。
そうすると、当該証明書は、その使用者と商標権者との関係、実際の使用場所、具体的な使用年月日が明らかでない。
(4)乙第2号証及び乙第3号証は、株式会社東京ドーム向けの企画書であるが、表題として「モバイルチケット予約・決済システム」の表示がみられるとしても、その内容は、「移動体電話による通信」というよりは、「チケットの予約と決済」の流れを順に図解しているものであり、かつ、その説明文には、「iモードで一週間先までのアトラクション(観覧車、ジェットコースター)の『搭乗時刻』『搭乗人数(最大4人)』予約が可能」との記載があることからして、当該役務は、「携帯電話による通信(iモード)を利用した搭乗チケットの予約・発行・決済等を行う役務」であることが認められる。
そうすると、当該証明書によっては、前記役務が本件請求に係る指定役務中「移動体電話による通信」の範疇に属する役務とはいえず、かつ、本件商標を使用していたと認めることもできない。
(5)乙第4号証は、東京ドームと商標権者である(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモとの間の業務委託契約書であるが、当該契約書には、「iモード予約・決済システム」とは記載されているものの、本件商標である「モバイルチケット」の語は一切掲示されていない。
そうすると、当該証明書によっては、本件商標の使用の事実を証明したものと認めることはできない。
(6)乙第5号証ないし乙第9号証には、「ぴあモバイルチケットシアター」、「モバイルチケットシアター」、「モバイルチケット・シアター」又は「モバイル」と「チケット」及び「シアター」の文字を三段に表示した商標の使用が認められるが、これらの商標はいずれも、本件商標である「モバイルチケット」とは別異の商標であると判断するのが相当である。
(7)乙第10号証は、松下電器産業(株)と商標権者である(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモとの間の法人ソリューションパートナー契約書であるが、当該契約書には、本件商標である「モバイルチケット」の語は一切掲示されていない。
そうすると、当該証明書によっては、本件商標の使用の事実を証明したものと認めることはできない。
(8)乙第11号証は、産経新聞(平成14年12月10日発行)の写しであるが、掲載記事の中には、商標権者である(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの名称は見当たらず、かつ、掲載記事中の「モバイルチケット」の文字部分は、商標の使用とはいえないものと判断するのが相当である。
(9)乙第12号証は、松下電器産業(株)と相手方不明の「モバイルチケットの発行に関する契約書」であるが、商標権者である(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの名称はなく、かつ、当該契約書に記載された「第2条(語句の定義)」によると、「”モバイルチケット”とは、携帯電話に、バスの便名、座席番号等を表示する画面データであり、・・」とあるとおり、当該役務が「移動体電話による通信」の範疇に含まれない役務であることを示している。
そうすると、当該証明書によっては、本件商標を本件取消請求に係る指定役務について使用している事実を証明していないというべきである。
(10)乙第13号証には、本件商標である「モバイルチケット」の語は一切掲示されていない。
そうすると、当該証明書によっては、本件商標を本件取消請求に係る指定役務について使用している事実を証明していないというべきである。
(11)乙第15号証には、被請求人の名称と「モバイルチケット会員証システム」の表示はあるが、「モバイルチケット会員証システム」とは、上記4(4)において述べた役務として理解されるものである。
そうすると、当該役務は「移動体電話による通信」の範疇に属する役務とはいえず、当該証明書によっては、本件商標を本件取消請求に係る指定役務について使用している事実を証明していないというべきである。
(12)加えて、被請求人は第二答弁書で縷々主張し、証拠資料として乙第18号証ないし乙第21号証(枝番号含む)を提出しているが、全て「iモード」に関する事項であって、本件商標である「モバイルチケット」そのものに関する具体的な主張は全く見当たらない。
そうすると、第二答弁書によっても、本件商標が本件取消請求に係る指定役務について使用されている事実を証明していないというべきである。
その他、商標権者又はその使用権者等が、本件商標を本件取消請求に係る指定役務について使用している事実を証する書面の提出もない。
(13)以上を総合すると、被請求人の主張する「モバイルチケット」によって提供される役務は、搭乗(入場)チケットの予約、発行及び決済処理を、iモード機能を有する携帯電話を利用して行う、一種の「興行場のチケットの手配」に属するものであって、本件取消請求に係る指定役務中の「移動体電話による通信」の範疇に属する役務とはいえないものというべきである。
(14)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定役務中の第38類に属する指定役務「移動体電話による通信,無線呼出し,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」について使用していなかったものといわざるを得ず、また、これを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、上記役務についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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