Trademark Appeal Case
著名商標の要部と結合商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90556(T2004−90556/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4776856号商標(以下「本件商標」という。)は、「HANSHIN JAGUARS」及び「阪神ジャガーズ」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成15年9月18日に登録出願され、第16類、第25類、第28類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成16年6月4日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4083154号商標(以下「引用商標」という。)は、「JACKSONVILLE JAGUARS」の欧文字を横書きしてなり、平成6年1月21日に登録出願され、第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、平成9年11月21日に設定登録されたものである。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)引用商標は、その「JAGUARS」の文字により「ジャガーズ」の 称呼を生ずるものである。引用商標は、前半部分の「JACKSONV ILLE」がアメリカ中西部の都市名であり、その要部は「JAGUA RS」と容易に認識でき、事実「ジャガーズ」と略称され、わが国にお いても親しまれている。
他方、本件商標は、その前半部の「HANSHIN」及び「阪神」が 「阪神地方」を意味する地名であることは、きわめてよく知られている こと明らかであり、その要部は「JAGUARS」及び「ジャガーズ」 にあると容易に認識されるものである。
よって、本件商標と引用商標とは「ジャガーズ」の要部において共通 する類似商標というべきであり、かつ、本件商標の指定役務と引用商標 の指定役務とは抵触するものであるから、本件商標は商標法第4条第1 項第11号に該当する。
(2)引用商標は、アメリカはもとより、世界的に人気のあるアメリカンプ ロフットボール(以下「NFL」という。)のチーム名である。NFL のゲームは我が国でも人気を博しており、試合の模様は新聞、テレビ放 送で報道されている。NFLの各チームは地域名とチーム名の結合した 構成からなるが、そのチーム名のみで略称され、報道、広告宣伝等され ている。引用商標も「ジャガーズ」と略称されて報道もされており、「 JAGUARS/ジャガーズ」は、NFLの著名性と共に、その所属チ ームの名称として広く知られ、商品化ビジネスを通じて商標としても周 知著名である。
他方、本件商標は、要部たる「JAGUARS」及び「ジャガーズ」 に地域名を結合させただけのものであり、これが、例えば、その指定役 務に含まれる「アメリカンフットボールの興行の企画・運営及び開催」 等に使用された場合には、NFLないしJACKSONVILLE J AGUARSと何らかの関係あるもの、ないし、それらの許諾を受けた ものによる使用であるかのごとく、役務の出所の混同を生じさせるおそ れがあるというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)「JAGUARS/ジャガーズ」の名称は、アメリカンプロフットボ ールチームの名称として世界的に知られており、かかる名称と地域名を 結合させただけの本件商標を申立人に何らの承諾を得ることなく出願し 登録することは、正当な商慣習に反し、かつ、国際信義に反するもので ある。また、「JAGUARS/ジャガーズ」の著名性にフリーライド しようとするものであり、不正の目的をもって出願されたものというべ きである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該 当する。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号 、同第15号及び同第19号の規定に違反して登録されたものであるか ら、その登録は取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記 1のとおり、「HANSHIN JAGUARS」及び「阪神ジャガー ズ」の各文字を同じ書体、同じ大きさでまとまりよく上下二段に書して なるものであって、視覚上一体のものとして看取されるばかりでなく、 商標権者のプロ野球球団の2軍のチーム名称として使用されていたこと からしても、全体としてプロ野球等のスポーツ競技のチーム名を表した ものとして理解・認識されるというべきである。そして、全体から生ず る「ハンシンジャガーズ」の称呼も、よどみなく一気一連に称呼し得る ものである。
そうとすれば、本件商標は、「ハンシンジャガーズ」の一連の称呼の みを生じ、プロ野球のチーム名の観念を有するものというべきである。
他方、引用商標は、上記2のとおりの構成からなるところ、その構成 中の「JACKSONVILLE」がアメリカ中西部の都市名であると しても、かかる構成において、該文字部分が、直ちに商品の産地・販売 地等を表示し、自他商品・役務の識別力を有しないものとまではいい得 ないものである。
また、後述のとおり、引用商標は、全体としてアメリカンフットボー ルのチーム名として認識されることがあるとしても、「JAGUARS 」の文字部分のみを抽出し、単に「ジャガーズ」との略称で知られてい るものとは認められない。そうすると、引用商標は、「ジャクソンビル ジャガーズ」の一連の称呼のみを生じ、アメリカンフットボールのチー ム名の観念を有するものというべきである。
しかして、本件商標から生ずる「ハンシンジャガーズ」の称呼と引用 商標「ジャクソンビルジャガーズ」の称呼とは、「ハンシン」及び「ジ ャクソンビル」の音構成の差異により明瞭に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標とは、その構成に照らし、外観上判然と区 別し得る差異を有し、観念においても相紛れるおそれはないものと見る のが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれ の点から見ても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければなら ない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するもの ではない。
(2)引用商標の周知性について検討するに、申立人の提出に係る各甲号証 によれば、NFLの試合がアメリカにおいて人気があり、わが国におい ても新聞・テレビ等で報道され、NFLのチーム名等を表示したTシャ ツ、帽子等の商品が販売されていることが認められる。
しかしながら、各甲号証に示された内容は、NFLに所属する各チー ムを統括したNFL全体としてのものがほとんどであって、個々のチー ムに関しては常にNFLと共に言及されており、各チーム独自のものは 見当たらないところからして、これらの証拠をもっては、各チームの名 称が単独で需要者間に広く認識されているものとは認め難いところであ る。
そして、チーム名としての「JACKSONVILLE JAGUA RS」が、「JAGUARS」と略称されていることを立証する証拠は 乏しく、「JAGUARS」が「JACKSONVILLE JAGU ARS」の略称として需要者間に広く認識されているものとも認められ ないところである。
また、引用商標及びその略称としての「JAGUARS」が、実際に シャツ、帽子等の商品について使用されている状況は、証拠上必ずしも 明らかでなく、引用商標がこれら商品に使用する商標として取引者・需 要者間に広く認識されているものとは認められない。
(3)上記(1)及び(2)の認定・判断からすれば、本件商標をその指定 役務について使用しても、これに接する取引者・需要者は、引用商標な いしNFLを連想、想起するようなことはないというべきであり、申立 人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役 務であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないと判 断するのが相当である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するもの ではない。
また、本件商標をその指定商品・役務について使用することが、直ち に正当な商慣習や国際信義に反するものとは認められないし、引用商標 の著名性にフリーライドする不正の目的を有するものとも認められない 。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び第19号のい ずれにも該当するものではない。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号 、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものでは ないから、その登録を維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定 する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。