Trademark Appeal Case
慣用商標と著名標章の判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90459(T2004−90459/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4775455号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成15年3月12日に登録出願、第39類「タクシーによる輸送」を指定役務として、同16年4月7日に登録査定、同年6月4日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、その指定役務に使用された場合、全国各地の財団法人「(道・府・県)タクシー協会」で組織され、国土交通省の承認を受けた公共団体である財団法人「全国乗用自動車連合会」を表すものとして、古来日本で「全国タクシー協会」と慣用呼称されてきた協会名称と同一又は類似する商標に該当するおそれがある。
また、他に類似の公共交通機関の団体として、財団法人「バス協会」や財団法人「日本トラック協会」等もあるが、すべて需要者間では、公な組織として安心して慣用呼称されてきた経緯がある。つまり、前者協会は、行政府の委託を受け、運輸行政における国家資格試験の開催や通達等の連絡等営利を目的としない公共業務を主体にした業務を運営している公益法人の名称である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1頂第2号に該当する。
また、タクシー事業の開業希望者を募り、その会員車のボディーに前記標章を張り付け、同時に「全国介護タクシー協会会員」の「〇〇タクシー」の文字を表示させ、公的協会所属の福祉介護タクシーの様に装い使用させている実態は、国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する商標であって著名なものと同一又は類似の商標の使用のおそれがあり、商標法第4条第1頂第6号に該当するものである。
更に、他人の業務に係る役務を表示するものとして、前記の如く需要者の間に広く認識されている公的団体の名称を不正の目的をもって使用することは、商標法第4条第1頂第19号にも該当するものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第2号、同法第4条第1項第6号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第2号について
申立人の主張は、必ずしも明確なものとはいい難いが、商標法第3条第1項第2号は、「その商品又は役務について慣用されている商標」と規定されている。
これを本件についてみるに、本件商標は、別掲に示したとおり、図形部分と「全国介護タクシー協会」の文字からなり、「タクシーによる輸送」を指定役務とするものであるから、本件商標が商標法第3条第1項第2号に該当するというためには、本件商標(図形部分及び「全国介護タクシー協会」の文字)が「タクシーによる輸送」という役務について、慣用されている商標であることを要するが、申立人の提出に係る資料によるも、そのような事実を裏付ける証拠はない。
また、全国各地の社団法人「(道・府・県)タクシー協会」で組織されている全国組織の社団法人「全国乗用自動車連合会」が「全国タクシー協会」と呼称され、その名称が「タクシーによる輸送」という役務について慣用されている商標であると解しても、本件商標構成中の「全国介護タクシー協会」という名称(商標)とは異なるものである。
そして、商標法第3条第1項第2号において、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を有しないとされるのは、その商品又は役務について慣用されている商標そのものであって、これに類似する商標までもが同号に該当するものとは解されないから、いずれにしても、申立人の主張は採用できない。
(2)商標法第4条第1項第6号について
商標法第4条第1項第6号は、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」と規定されている。
申立人は、いかなる標章が同号に規定されている著名な標章に相当する標章であると主張しているのか定かではないが、申立書及び添付資料には、「社団法人(道・府・県)タクシー協会」、「社団法人全国乗用自動車連合会」、「財団法人全国福祉輸送サービス協会」及びこれらの略称あるいは慣用呼称されていると主張している「全国タクシー協会」の名称が挙げられている。
しかしながら、そもそも、これらの名称(標章)と本件商標構成中の「全国介護タクシー協会」の名称(標章)とは、同一又は類似の商標とはいい難いばかりでなく、申立人の提出に係る資料のみをもってしては、これらの各名称(標章)が著名なものであると認めるに十分なものともいえない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとの申立人の主張も採用できない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(略)をもって使用をするもの(略)」と規定されている。
同号に規定されている他人の業務に係る役務を表示する商標を「社団法人(道・府・県)タクシー協会」、「社団法人全国乗用自動車連合会」、「財団法人全国福祉輸送サービス協会」及びこれらの略称あるいは慣用呼称されていると主張している「全国タクシー協会」の商標(名称)と理解したとしても、上記したとおり、これらの商標と本件商標構成中の「全国介護タクシー協会」の商標(名称)とは、同一又は類似の商標とはいい難いものであり、また、申立人の提出に係る資料のみをもってしては、これらの各商標(名称)が需要者の間に広く認識されている商標(名称)と認めるに十分なものともいえない。
したがって、その余の要件について判断するまでもなく、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとの申立人の主張も採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第2号、同法第4条第1項第6号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。