結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−30992(T2004−30992/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4449409号商標(以下「本件商標」という。)は、「A.T.S.」の文字を書してなり、平成6年1月20日に登録出願、第10類「止血用機械器具,その他の医療用機械器具」を指定商品として、同13年1月26日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同16年8月18日にされたものである。
請求人は、「商標登録第4449409号についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、商標権者又は通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)乙第1号証が、仮に、被請求人の述べるごとく、運輸会社UPS宛の「空輸便発注書」であるとしても、その名のごとく「空輸便発注書」であるから、単に、被請求人による発注事実を証するにすぎず、「タニケットシステム」なる物品が日本国内に輸入されている事実を証明してはいない。加えて、乙第1号証自体は、その記載内容から明らかなように、「ATS 750 TOURNIQUET SYSTEM」や「ATS 2000 TOURNIQUET SYSTEM」なる名称の物品が本件商標を付した指定商品であることを説明する内容を有するものではない。
(イ)被請求人は、「被請求人及び前記日本法人が日本国の顧客との取引に使用している前記製品についての日本語で作成したカタログ」なるものを乙第2号証として提出している。
しかし、そもそも、乙第2号証のカタログなるもの自体、これらが日本国内の顧客に配布されたものであることが事実であることについては、その証明が全くなされていない。
しかも、乙第2号証は、その記載内容自体から明らかなように、本件商標がその指定商品に使用されていることを一切説明していない。このことを以下に説明する。
(a)乙第2号証の1
乙第2号証の1には、その第1ページと第2ページの各最上段に「A.T.S.2000 Tourniquet System」なる文言が記載されている。この文言は、その他のページには全く存在しない。このカタログに登載されている物品の説明は、すべて「ATS2000タニケット」、「ATSカフ」、「ATSタニケットカフ」なる名称の「タニケット」や「カフ」についてであって、「タニケットシステム」なるものについての説明ではない。しかも、「A.T.S.2000 Tourniquet System」なる文言が特定の商品に付されている事実も見受けられない。そうすれば、この文言が特定の製品を指すとは到底いい得ない。
なお、乙第2号証の1には、その末尾ページの最上段に「A.T.S.2000 Tourniquet Accessories」なる一連の文字からなる文言が記載されている。しかし、この文言も、特定の物品に付されている事実は見受けられず、特定の物品について説明するために使用されている文言でもない。
加えて、この「A.T.S.2000 Tourniquet Accessories」なる一連の文字からなる文言も、また、前記「A.T.S.2000 Tourniquet System」なる一連の文字からなる文言も、これらの記載形態自体から容易に理解されるように、それぞれ一連の文字からなる意味内容を表すものとして記載されているのであって、本件商標たる「A.T.S.」を独立に意味するものとして記載されてはいないこと一見にして明らかである。
他方、乙第2号証の1には、本件商標たる「A.T.S.」なるドット付き3文字からなる文言それ自体は一切存在しない。
なお、乙第2号証の1には、先にみた「ATS2000タニケット」、「ATSカフ」、「ATSタニケットカフ」なる文言が標章として特定の物品に付されている事実は見受けられない。しかも、これらの文言中に含まれている「ATS」は、後述するように、本件商標「A.T.S.」とは同一性を欠くのである。そのため、乙第2号証の1は、本件商標を付した商品を説明するカタログとは到底いい得ない。
このように、いかなる観点からみても、乙第2号証の1は、本件商標たる「A.T.S.」が本件商標の指定商品に付されていることを何ら証明していない。
(b)乙第2号証の2
乙第2号証の2には、その第1ページの上段に「ジンマーATS−750タニケットシステム」なる一連の文字からなる文言が記載されている。その第1ページ、第2ページ及び第3ページに、ハンドル付きの同一装置の写真が登載されていて、これらの写真に見る装置の左上部分には、横長楕円形濃色地の中に「ATS」なる横書き3文字とこの3文字中の文字「T」の縦棒に直交する「750」なる横書き3文字との組合せからなる淡色の結合標章が付されている。そして、この結合標章の下には「AUTOMATIC TOURNIQUET SYSTEM」なる横書きの文言が記載されている。しかし、乙第2号証の2において、上記第1ページ上段の「ジンマーATS−750タニケットシステム」なる文言はカタログの単なるタイトルである。他方、上記ハンドル付き装置に表されている横書き文言「AUTOMATIC TOURNIQUET SYSTEM」は、その上に表されている上記結合標章「ATS 750」と一体ではなく、そのため、「AUTOMATIC TOURNIQUET SYSTEM」なる文言が特定の商品を指す商標として使用されているとは到底いい得ない。
しかも、上記結合標章「ATS 750」中の「ATS」は、本件商標たる「A.T.S.」とは同一性を欠く文言である。本件商標「A.T.S.」が先願の商標として存在するにもかかわらず、指定商品中に本件商標の指定商品たる「医療用機械器具」を含む後願商標「ATS」が同一でないとして登録されている実例(甲第1号証の1及び2)があるからである。
このように、乙第2号証の2もまた、本件商標たる「A.T.S.」が本件商標の指定商品に付されていることを何ら証明していない。
(c)乙第2号証の3
乙第2号証の3には、その末尾ページに、「ATSシングルカフ」、「ATSダブルカフ」、「ATS500/750ホース」なる文言が記載されている。しかし、乙第2号証の3において、これらの文言が特定の物品に付されている事実は見受けられない。しかも、これらの文言中の一部たる「ATS」は、上で述べたように、本件商標とは同一性を欠く文言である。
したがって、乙第2号証の3もまた、本件商標が本件商標の指定商品に付されていることを何ら証明していない。
(ウ)むすび
以上述べたように、本件商標が、その指定商品「止血用機械器具,その他の医療用機械器具」について、商標権者及び通常使用権者の少なくとも一方が継続して3年以上使用しているという事実が証明されていないから、その登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきである。
被請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、被請求人によって製造される手術用機械器具の一つである「タニケットシステム」(電動式止血器及びその附属品)に使用されている。附属品としては、カフ及び接続ホース、スタンド、ホースアダプター等がある。
(2)前記の本件商標を付したタニケットシステムは、日本国においては長年にわたり、被請求人の子会社である日本法人で、東京都港区に本店を有し、静岡県御殿場市に営業所を有するジンマー株式会社(以下「ジンマー社」という。)によって輸入され、国内で販売されてきている。したがって、本件商標は、前記手術用機械器具について、本審判請求の登録前3年以内に、日本国において、前記商品の輸入販売に関し使用されている。
(3)前記で主張した事実を立証するため、被請求人は、最近のものとして2004年6月から10月頃に発行された上記製品の運輸会社UPSに依頼した空輸便発注書(乙第1号証)を提出する。
(4)また、被請求人及び前記日本法人が日本国の顧客との取引に使用している前記製品についての日本語で作成したカタログ(乙第2号証)を提出する。なお、乙第2号証の原本はいつでもこれを提示する用意がある。
(5)上記の証拠方法により、本件商標がその指定商品につき日本国において適時に使用されていたことが明らかである。
被請求人が、ジンマー社は被請求人の子会社で日本法人であると主張するところ、これに反する証拠はないから、ジンマー社は、被請求人の日本法人であり、本件商標の通常使用権者と認められる。
(1)そして、「空輸便発注書」(乙第1号証の1ないし11)によれば、被請求人は、日本法人であるジンマー社に販売した「ATS 750 TOUNIQUET SYSTEM」及び「ATS 2000 TOUNIQUET」等を、平成16年4月から同年10月にかけて、ジンマー社の静岡県御殿場市の営業所宛に空輸便で発送したことが認められる。
(2)ジンマー社が作成した商品カタログ(乙第2号証の1及び2)によれば、以下の事実が認められる。
(ア)「Zimmer A.T.S.2000 Tourniquet System/ジンマーATS2000タニケットシステム」の商品カタログ(乙第2号証の1)の表紙には、これらの文字の外、中央には商品の写真が掲載され、該商品には「A.T.S.2000」等の商標が表示されている。そして、他のページにも商品の写真が掲載され、最後のページには、「A.T.S.2000 Tourniquet Accessories」として「カフ接続ホース」「アクセサリーバスケット」、「タニケットスタンド」が挙げられ、「ORDERING INFORMATION」には「カタログNo」「品名」「規格」欄が設けられ、品名欄には「ATS2000タニケット」「アクセサリーバスケット」「カフ接続ホース」「タニケットスタンド」「ATSシングルカフ」「ATSダブルカフ」と列挙されている。また下部の「カスタマーダイレクト(商品のご注文)」、「修理のお問い合わせ」、「製品のお問い合わせ」欄には、それぞれに電話番号、ファックス番号が記載され、最下部には「5/2003 ATS2000 タニケットシステム」の文字が記載されている。
(イ)ジンマー社の「ジンマーATS−750タニケットシステム」の商品カタログ(乙2号証の2)の表紙には、上記文字の外、左上部には、「750」の文字に一部覆われた大きな「ATS」の文字とその下部に小さな「AUTOMATIC TOURNIQET SYSTEM」の文字が配された商標(以下「ATS商標」という。)が表示され、中央上部には、「750」の文字とその左に二段書きの「Zimmer」と「ATS」の両文字からなる商標(以下「750商標」という。)が表示され、その下部には、商品の写真が掲載され、該商品にはATS商標が表示されている。そして、第2ページには、左上部にATS標章が表示され、その下部に「ジンマーATS−750タニケット・・・電動式止血器です。」と記載され、中央には、表紙の商品を異なった角度から撮影した商品の写真が掲載されている。また、その他のページにも商品の写真が掲載され、最後のページには、「ATS750 Tourniquet Accessories」として「ATS500/750ホース」「ATSタニケットバスケット」、「タニケットスタンド」が挙げられ、「ORDERING INFORMATION」には、「カタログNo」「品名」「規格」欄が設けられ、品名欄には「ATS−750タニケット」「ATSタニケットバスケット」「ATS500/750ホース」「タニケットスタンド」「インフラ/ATS750シングルカフ」「ホースアダプター」と列挙されている。また、下部の「カスタマーダイレクト(商品のご注文)」、「修理のお問い合わせ」、「製品のお問い合わせ」欄には、それぞれに電話番号、ファックス番号が記載され、最下部には「5/2003 ATS750 タニケットシステム」の文字が記載されている。
(3)そして、上記のとおり、「ジンマーATS−750タニケットシステム」の商品カタログ(乙2号証の2)に「ジンマーATS−750タニケット・・・電動式止血器です。」と記載され、加えて、例えば、研究社発行「新英和大辞典第5版」の「touniquet」の語義に「止血帯(器)、圧迫帯」と記載され、日刊工業新聞社発行「マグローヒル科学技術用語大辞典第3版」に「止血器touniquet」の語が収録されていることに照らせば、上記各商品カタログにおける「Tourniquet/タニケット」は「電動式止血器」を表すものと認められるから、「A.T.S.2000 Tourniquet System/ATS2000タニケットシステム」及び「ATS−750タニケットシステム」は、それぞれの品番・型式の「電動式止血器」であるというべきである。
(4)以上を総合すれば、
(ア)平成16年4月から同年10月にかけて、ジンマー社は、被請求人から「ATS750タニケットシステム(ATS750電動式止血器)」及び「ATS2000タニケット(ATS2000電動式止血器)」を購入した(乙第1号証の1ないし11)。
(イ)「ジンマーATS2000タニケットシステム」及び「ジンマーATS−750タニケットシステム」の各商品カタログ(乙第2号証の1及び2)は、ジンマー社が2003年(平成15年)5月頃に作成した。
(ウ)乙第2号証の1及び2の商品カタログに記載されている、「Zimmer A.T.S.2000 Tourniquet System/ジンマーATS2000タニケットシステム」、「ATS2000タニケット」、「ジンマーATS−750タニケットシステム」、「ATS−750タニケット」の各文字及びATS商標、750商標は、電動式止血器に使用されている商標と認められる。
そして、これらの商標中の「Zimmer/ジンマー」の文字部分は代表的出所標識を、「A.T.S.」「ATS」に続く「2000」、「750」の文字は商品の品番・型式を、「Tourniquet System/タニケットシステム」「Tourniquet/タニケット」は「止血器」をそれぞれ表示するに止まるものというべきであるから、ジンマー社が乙第2号証の1及び2の商品カタログにおいて電動式止血器に使用するこれらの商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(5)請求人は、乙第2号証のカタログ自体、これらが日本国内の顧客に配布された事実については、その証明がされていない旨主張する。
確かに、乙第2号証の1及び2の商品カタログを顧客に頒布した事実を証する証拠はない。しかしながら、商品カタログは取引者、需要者に配布する目的で作成されるものであって、これらの商品カタログも、上記(2)の(ア)及び(イ)でみたように、商品が把握しやすいように各ページに商品の写真が掲載され、また、商品を注文する際に使用される「ORDERING INFORMATION」欄が設けられ、さらに、「ダイレクト(商品のご注文)」、「修理のお問い合わせ」、「製品のお問い合わせ」欄には、それぞれに電話番号、ファックス番号が記載されている。そうすると、これらの商品カタログは、取引者、需要者の要請に応えられる体裁をもって配布する目的で相当部数作成されたものということができるから、商取引の経験則に従えば、2003年(平成15年)5月頃に作成され、取引者、需要者に配布されたものと推認することは可能というべきである。
また、請求人は、結合標章「ATS 750」中の「ATS」は、本件商標たる「A.T.S.」とは同一性を欠く文言である。本件商標「A.T.S.」が先願の商標として存在するにもかかわらず、指定商品中に本件商標の指定商品たる「医療用機械器具」を含む後願商標「ATS」が同一でないとして登録されている実例があるからである旨主張する。
しかしながら、「ATS」商標と「A.T.S.」商標とは、わずかにピリオド「.」の有無の差異に止まるものあって、これらより生ずる「エイティーエス」の称呼、「A」、「T」、「S」の各文字からなると観念される点において、同一の称呼、観念を生ずる社会通念上同一の商標といわなければならない。請求人の挙げる上記登録の事実は、社会通念上の商標の同一性の認定に関わるものではない。
したがって、請求人の主張は採用の限りでない。
(6)以上のとおり、本件商標は、本件審判の予告登録前3年以内に、日本国内において通常使用権者により、請求に係る指定商品について使用されていたものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。