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Trademark Appeal Case

論点抽出失敗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−35083(T2004−35083/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4436273号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年12月21日に登録出願され、「ジニアス」の文字(標準文字による)を書してなり、第9類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む),その他の電子応用機械器具」を指定商品として、平成12年12月1日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録の無効理由に引用する登録第2490129号商標(以下「引用商標」という。)は、平成1年2月28日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第11類「コンピュータ〔中央処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープを含む)〕ファクシミリ、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成4年12月25日に設定登録され、また、平成16年6月16日に指定商品を第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機,電子計算機用プログラム,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ,電子計算機の部品,ディスクドライブ,コンピュータ用回路基板,電子回路,集積回路,大規模集積回路,電子計算機のための文字若しくは図形などの入力装置,コンピュータ用キーボード,スキャナー,コンピュータ用マウス,電子計算機用周辺機器,モニター,プリンタ,コンピュータ用インターフェイス装置,モデム,ルーター,電子計算機用プログラムを記憶させたCD−ROM,CD−ROMドライブ,電子計算機用プログラムを記憶させたDVD−ROM,DVD−ROMドライブ,電気通信機械器具,ファクシミリ」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番を含む)を提出した。

1 請求の理由

(1)本件商標は、請求人が所有する引用商標に類似し、同一または類似の商品に使用されるものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して商標登録されたものであり、その登録は商標法第46条の規定により無効とされるべきである。

(2)両商標の類似性

本件商標は、片仮名文字により「ジニアス」と書して成るため、そのまま「ジニアス」の称呼が生ずる。また「ジニアス」の称呼に相当する英語としては、「genius」がある。甲第3号証広辞苑では「ジーニアス(genius)」と記載され、「天才」と記載されているが、「genius」を片仮名文字で標記する場合、語頭音を「ジー」のように長音とせず、「ジニアス」と表記することも普通に行なわれている。

例えば、甲第4号証のインターネット情報でもビジネススクールの名称として「GENIUSジニアス」と記載されているし、大修館書店の有名な「ジーニアス英和辞典」も「英単語のアルファベットと語源のページ」の中で「日本語訳はジニアス英和辞典に準じています」と記載されている(甲第5号証)。

したがって、本件商標「ジニアス」からは「ジニアス」の称呼と「天才」との観念が生ずるものである。

一方、引用商標は、英文字「Genius」を図案化した文字よりなるが、語頭の「G」の文字の上部に鼠の頭部と見られる図形が配置され、「G」の文字の下部には続く「e」の文字の下に向かって細長い尻尾状の図形が描かれている。従って、もし語頭の図案化された「G」の文字が1文字だけであった場合には、ローマ字を特定できない可能性もあるが、語頭の文字「G」に続く「enius」の文字は2文字目の「e」が語頭の「G」と同じ角度で傾いている以外、特段の特徴のある書体で描かれている訳ではないので、引用商標が「Genius」の文字を基調としていることは容易に理解できる。

また、図形商標であっても、商標である以上、需要者、取引者は何らかの称呼や観念をもって商標を認識しようとするのが常であるし、まして文字商標があることが明白な場合には、何の文字から成るかを需要者らは理解しようとするのが自然である。

そして、引用商標の場合、語頭の「G」の文字は円図形のように描かれてはいるが、右側の中央部には円の一部が開けられているので、たとえ全体として鼠の図形を象っていようとも、これを「G」と認識することはさほど難しいものではないし、「enius」の文字が一体に描かれ、「Genius」という単語が知られている以上、引用商標の英文字が「Genius」であることは需要者らの目には明白といえる。

因みに、甲第7号証に示すように、引用商標とMSゴシック体で記載した「Genius」の文字とを並べて見ると、引用商標が「Genius」の文字を書してなるものであることが一段と明白となる。

以上のことは、甲第8号証として提出する特許庁IPDLの商標登録情報において、引用商標の構成を「§Genius」と記載し、称呼を「ジェニアス、ジーニアス、エニアス」と認定していることからも明らかである。

よって、引用商標「Genius」からは「ジーニアス、ジニアス」の称呼と「天才」との観念が生ずるものである。

而して、本件商標と引用商標とは、スペリングが同じ英語「Genius」を語源とするものであり、「ジニアス」の称呼と「天才」との観念において類似する商標である。

(3)審決例

図案化された英文字よりなる商標において、どの程度に図案化された場合に、通常の英文字が認識されるかについての審決例を提出する(甲第9号証ないし甲第12号証)。

これらの審決例に係るレタリング又は図案化された商標と本件の引用商標を比較しても、引用商標はそれぞれの構成文字が他の文字と結合したり、筆記体のように繋がっているわけでもなく、依然として「G」「e」「n」「i」「u」「s」として一文字ずつ独立しており、それぞれの文字のデザインの程度もほんのわずかのものであるため、容易かつはっきりと「Genius」と認識されるものであることが理解される。

(4)指定商品の類似性

本件商標の指定商品は第9類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)、その他の電子応用機械器具」であるところ、要は「電子応用機械器具」を指定商品とするものである。

一方、引用商標の指定商品の記載、旧第11類「コンピュータ〔中央処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープを含む)〕ファクシミリ、その他本類に属する商品」は所謂全類指定という指定の仕方であり、旧第11類に属する全商品を指定しているものである。

而して、本件商標の指定商品「電子応用機械器具」が旧第11類に属していたことはいうまでもなく、よって本件商標の指定商品はすべて引用商標の指定商品に包含されているものである。

よって、本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商品に使用されるものである。

(5)むすび

以上述べたとおり、本件商標は請求人所有の先登録商標である引用商標に類似し、同一または類似の商品に使用されるにも拘わらず、商標法第4条第1項第11号に違反して商標登録されたものであるので、請求の趣旨記載の通り、本件商標を無効とするとの審決を求めるものである。

2 弁駁の理由

被請求人は、引用商標の語頭文宇の「G」が鼠のように図案化されていることをもって、引用商標が「Genius」と読めず、「Qenius」あるいは「enius」とも読めると反論するが、引用商標がよく知られた既成語からなり、それに意味がある以上、需要者らは訳の分からない「Qenius」あるいは「enius」などの語をもって商標を認識することなどあり得ない。

商標の称呼というものは、商標公報に表われた商標だけから認定するものではなく、取引の過程でどのように称呼され認識されているかが先ず問われなければならない。例えば、ドイツの高級自動車「BMW」は、かつてはドイツ語式の発音「べーエムベー」で知られていたが、日本の販売業者が日本人に読みやすい英語式の発音「ビーエムダブリュ」を採用し宣伝を始めたことで、現在では「ビーエムダブリュ」として広く知られている。同様に、スイスの乳製品のブランド「Nestle」もかつては「ネッスル」として宣伝していたが、現在では「ネスレ」の称呼で宣伝広告された結果、「ネスレ」の称呼で親しまれている。

したがって、引用商標の称呼を考えるに当たっても、請求人ないしは日本の販売代理店がどのように引用商標を称呼して販売活動を行なっているか、そしてその結果、需要者らに引用商標がどのように認識されているかが先ず問われなければならない。

この点、請求人の商品カタログ、宣伝広告物、商品パッケージ、そして商品自体には、引用商標と共に普通書体の「Genius」が併記され使用さているものであるから、引用商標が「ジーニアス」あるいは「ジニアス」と称呼されること明らかである。

第4 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁しその理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

1 請求人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して商標登録されたものであり、その登録は商標法第46条の規定により無効とされるべきであると主張するが、請求人の主張には全く理由がない。

2 請求人は、引用商標が「Genius」という英単語であり、そこからは、「ジニアス」と言う称呼が発生すると主張しているが、請求人が引用商標を看取した際に、直ちに「ジニアス」の称呼が発生するとは考えられない。請求人も述べているが、引用商標の語頭部分は、上部に鼠の頭部と思われる図形が配置され、下部に尻尾状の図形が配置されている円図形によって構成されている。この円図形は、英文字「E」の小文字である「e」を上下を逆さにし、左右を反転させたものと全く同一である。

請求人は、この円図形を「G」であるとし、従って、ここから「ジニアス」の称呼が発生すると主張するが、わが国におけるアルファベット文字表記の教育においては、「G」は右側の一部が開いている円図形と2本の短い直線を配してなる文字であり、直線のうち1本は、円図形部分の右端から真下に伸び、もう1本は同じ右端から円の中心に向かって描かれ、左側の円部分には到達しないと指導されている。また、ワードプロセッサーや英文タイプなどで使用されている「G」においても、右端から左に向かって延びている直線は左側の半円部分に接していない。手書きで数字の「6」のような「G」を書く欧米人は少なくないと思われるが、彼らと違い、英文字を母国語の文字表記として用いていないわが国においては、引用商標の円図形を直ちにデザイン化されたアルファベット文字「G」であると理解することはほとんど不可能である。

そして、後に「e」「n」「i」「u」「s」と言う英文字が続いていることから、語頭の図形もアルファベット文字ではないかと仮定し、円図形の下部に右やや下方向に伸びる尻尾状の図形がついていることで「Q」の文字を想起し、「Qenius」と言う造語であると判断する可能性や、「enius」が意味を有する言葉ではないかと仮定し、その結果、「Genius」と言う英単語を思い浮かべると言う可能性はあるが、簡易迅速を旨とする取引において、語尾部分から語頭を推測すると言うクイズを解くような認識方法を以って、商標を認識することはあり得ない。

この図形の上部に配された右向きの鼠の頭部は、その横幅が、中央部分の円図形文字部分とほぼ同一で描かれ、また下部に尻尾状の図形が配されていることから、中央の円図形が胴体を表している、鼠をデザイン化した図形であると容易に認識できる。文字と図形を比較した場合、文字から受ける印象よりも図形から受ける印象の方が強く記憶に留められる。してみると、請求人の引用商標の構成中、最も記憶に残る部分は語頭の図形部分であり、その図形商標を商標の中で最も重要な語頭部分に配していることから、消費者にこの図形を強く記憶させることによって、称呼や観念ではなく、外観によって請求人の商品と他者の商品を区別させようとする請求人の意図が理解できる。このことは、請求人がこの引用商標に「ジニアス」と言うルビを振っていないことからも明らかである。

請求人は、特許庁IPDLの商標登録情報に「ジエニアス、ジーニアス、エニアス」と言う称呼が記載されていることに触れ、特許庁が認定した称呼であるので本件商標の称呼と類似すると述べているが、記載称呼はあくまでも参考情報であり、その証拠に、商標公報や登録原簿には「称呼」の項目は存在しない。また、その参考情報としての称呼には、語頭部分が図形のために称呼が発生しないとした「エニアス」の称呼も記載されている。

3 請求人は、語頭に配した図形が「G」のデザイン化された文字として認識可能であることの立証として、レタリングによって表された商標に関する審決例を幾つか挙げているが、それら商標は、アルファベット文字のみをデザイン化させたものであり、請求人の引用商標のように鼠などの動物を構成要素とする図形をアルファベット文字として読ませているものではない。

従って、それら審決例は本件とはその趣旨を異にするものであり、請求人の図形商標が「G」として判読可能な範囲のデザインであることの立証になっていない。

4 本件商標と引用商標が類似しない例として、2件の審決例並びに1件の異議決定例を提出する(乙第1号証乃至乙第3号証)。

乙第1号証における審決では、「カ」と「ラ」の文字を図案化させた商標が、文字を図案化させたことにより、「一種のモノグラムであって、特定の称呼、観念を生じない図形であると判断するのが相当」とされ、「カーラ」の文字商標とは類似しないと判断されたものである。

乙第2号証における審決では、「SILVA」の「VA」部分がデザイン化されたことにより、「特定の文字を認識し得ない」として、「シルバ」の称呼は生じないと判断されたものである。

乙第3号証は、デザイン化された英文字を語頭に配した商標と片仮名文字商標が類似しないとした決定である。語頭部分について、「欧文字『J』を図案化したものといえるとしても、これより直ちに『ジェイ』の称呼を生ずるものとは言い難い」とされ、図形部分を含まない文字部分からのみ称呼が発生すると判断されたものである。

上記審決例並びに決定例を踏まえると、引用商標の図形部分が特定の文字として認識される可能性は非常に低く、従って、請求人が主張するような「ジーニアス」或いは「ジニアス」という称呼は発生せず、「エニアス」の称呼が発生すると考えることに全く無理はなく、よって、その称呼において本件商標と引用商標は類似しないものである。

5 また、外観においても、本件が片仮名4文字から成る文字商標であるのに対し、引用商標は、語頭に図形商標を配したアルファベット5文字から成る商標である。片仮名とアルファベット文字では全くその文字様態が異なることから、本件商標と引用商標とでは、その外観は全く類似しない。

さらに、本件商標が被請求人によって創作された語であることは、この語が辞書に記載されていないことからも明らかであり、従って、特定の観念が生じるものではないので、引用商標と観念において類似することはない。

6 以上述べたとおり、請求人の主張は理由がないものであるから、答弁の趣旨どおりの審決を求める。

第5 当審の判断

本件商標と引用商標の類否について判断するに、本件商標は、「ジニアス」の文字よりなるから、「ジニアス」の称呼を生ずること明らかである。

他方、引用商標は、別掲に示すとおり、文字と図形とを結合した構成よりなるところ、請求人は、これは英文字の「Genius」を図案化したものであると述べ、語頭(左端)の部分は、図案化された「G」の文字であるから、引用商標からは「ジーニアス」又は「ジニアス」の称呼と「天才」の観念が生ずると主張しているので、この点について検討するに、これに接する看者には、なるほど、語頭(左端)の部分は、何か欧文字を図案化しようとの意図をもって表現されていることは理解できるものの、そこに表された鼠(ネズミ)の頭部の如き図形、その胴体をともいえる「e」の文字の上下を逆さまにし、かつ、左右を反転させたような図形、そして、その下部右に接するように描かれた鼠の尾の如き曲線等からは、これらを結合して観察した場合においても、直ちに、これがデザイン化された「G」の文字であると理解・認識することはできないとみるのが相当である。そして、このことは、請求人が主張するように、続く英文字が「enius」であることを考慮した場合でも、「genius」の英単語は、日常的に一般に親しまれた語(例えば、中学用の基本語)ではないこととも相俟って、さほど変わらないといえるものである。

してみれば、引用商標の語頭部分は、一種のモノグラム風の図形として看取されるものであって、特定の称呼、観念を生じない図形よりなるものと判断するのが相当である。

そうとすれば、引用商標は、その図形部分を除く、「enius」の欧文字に相応して「エニアス」の称呼を生ずる造語よりなるものと認められる。 しかして、本件商標より生ずる「ジニアス」の称呼と引用商標より生ずる「エニアス」の両称呼は、共に比較的短い4音構成にあって、称呼の識別で重要な要素となる語頭において音質の全く異なる「ジ」と「エ」の顕著な差異が認められるから、それぞれを一連に称呼しても、相紛れるおそれのないものといわなければならない。

また、両商標の構成は、それぞれ前記のとおりであるから、外観においては十分に区別し得る差異を有するものであり、さらに、観念については、本件商標から「天才」の観念が生ずるとしても、引用商標は特段の観念を生じない造語と認められるから、両者は、比較し得ない非類似のものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても非類似の商標といわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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