Trademark Appeal Case
商標「HALLMARK」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−12929(T2002−12929/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は「HALLMARK」の文字を標準文字として表してなり、第14類「時計」を指定商品として、平成13年3月12日に登録出願されたものである。
そして、本願指定商品は、当審における平成17年2月15日付け手続補正書により「時計(貴金属製のものを除く。)」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は『HALLMARK』と普通に用いられる態様の文字で書かれたものであるところ『Hallmark』は、金・銀・プラチナ製品などの純度検証刻印として知られ、一般には、品質証明・優良刻印として理解されているものであるから、このような本願商標を、その指定商品に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が『金・銀等の純度を証明するしるしの付された品質優良のもの』という意味合いを認識するにすぎず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「Hallmark」の欧文字を表してなるものであるところ、小学館プログレッシブ英和中辞典(1994年2月10日 株式会社小学館発行)の「hall・mark」の項によれば、当該文字は「(金銀製品の)純度検証極印(plate mark);品質証明、優良極印、折り紙。・・・に(純度検証の)極印を押す;・・・の品質を保証する,」等の意を有するものである。
また、以下の事実がある。
(1)小学館 プログレッシブ英和中辞典(1994年2月10日 株式会社小学館発行)「hallmark」の項に「(金銀製品の)純度検証極印(plate mark);品質証明,優良極印,折り紙。」との記述がある。
(2)時計百科事典(昭和58年7月20日発行 精密工業新聞社発行)「けんしょうこくいん検証刻印(hallmarkホールマーク)」の項には、「イギリスの政府による、金や銀の純分を検証取締る方法のひとつ。」との記述がある。
(3)腕時計大百科(平成5年2月20日 株式会社グリーンアロー出版社)「ホールマーク(hallmark)」の項には、「金や銀の偽造や模倣を防ぐために、1300年にロンドンに設立されたゴールドスミス社は、イギリス政府から貴金属を検定し、検証刻印をする特典を与えられた。この検証刻印をホールマークと呼んだのが始まり。」との記述がある。
(4)図説時計大鑑(1980年3月20日 雄山閣出版株式会社発行)において、商品の紹介記事中に、「金ペアケースウォッチ」中に、トンピオンとバンガーの作。ホールマーク1703年。・・・」との記述がある。同じく、「タラベルまたはコーチ時計」中に、「ロンドンのウィリアム・トラバース作。1787年のホールマーク。・・・」との記述がある。同じく、「マーチンのウォッチ」中に、「ホールマーク1778年。・・・」との記述がある。同じく、「後期,イギリス銀製ペアケースウォッチ」中に、「C.ジェンキンス作。ホールマーク1779年。」との記述がある。同じく、「金側ウォッチ」中に、「マンチェスターのジョナス・クロスレイ作。ホールマーク1796年。・・・」との記述がある。同じく、「金側ペアケースウォッチ」中に、「ジョン・ウィラント作。ホールマーク1762年。・・・」との記述がある。(以下略)
「第4章 イギリスの発展・1660ー1750」、「a ウォッチケース」の項に、「・・・1740年頃より以前は銀ケースのホールマークのついているものはきわめて稀である。金の具合は早くからホールマークが一般に付けられた。」との記述がある。同じく「e ウォッチの機構」の項に、「・・・No.6はエリコットのウォッチからとったもので,ケースには1746年のホールマークがあり,優雅な外形は全く当時の一般的な好みと一致している。・・・また,チャールス・カミンズのもので,よく似たウォッチが1個あり,ホールマークは1837年になっているので,多分息子か甥にあたる人の作品かと思われる。・・・これらには大きな扇形のサーモメータダイヤルが常備され,その中のひとつでハント・アンド・ロスケルのために作られた素晴らしいウォッチをカラー写真で掲載しておいたが,1846年のホールマークがあり,・・・」との記述がある。
(5)インターネットホームページ情報、「独立行政法人造幣局 造幣局の事業」においては、「貴金属製品の品位証明」の項に、「貴金属製品の製造業者又は販売業者からの依頼に応じて、貴金属製品の品位試験を行い、この試験に合格したものには、次のような証明記号を打刻してその品位を証明しています。この証明記号を通称「ホール・マーク」といい、一般の方々からの信頼も厚く貴金属製品の取引の安定と消費者保護に貢献しています。」との記述や「ホールマークの由来」の項に「14世紀頃、英国の貴金属細工業者(Gold Smith)の組合が、ロンドンに会館(Gold Smith'sHall)を建て、組合に加入している業者の製造した貴金属製品を検査、これに合格したものに証明印を打って販売することにより製品の信用を保持した、つまり、ホールでマークを打ったことが語源となっております。なお、諸外国では、この制度は任意であったり強制であったり、また造幣局をはじめ国の機関が行ったり、指定を受けた業者が行ったりと様々であります。」との記述がある。そして、「貴金属製品品位証明手数料」の「品目区分」においては「時計側,鎖」等が記載されている(http://www.mint.go.jp/operations/page05-1.html)。
(6)インターネットホームページ情報、「用語解説集シェレmono.com」においては、「ホールマーク 14世紀頃、英国の貴金属細工業者(Gold Smith)の組合が、ロンドンに会館(Gold Smith's Hall)を建て、組合に加入している業者の製造した貴金属製品を検査、これに合格したものに証明印を打って販売することにより製品の信用を保持した、つまり、ホールでマークを打ったことが語源となっております。この制度は任意であったり、強制であったり、国の指定を受けた機関がおこなったり、指定業者が行ったり様々です。 日本では造幣局がホールマークにあたる刻印を施しています。」と記載されている(http://www.syare-mono.com/yougo.htm)。
これらの事実によれば、「HALLMARK」の欧文字は、「金銀製品の純度検証極印がなされた商品、品質証明済みの商品」を証明するための刻印であることを認識させるにすぎず、本願商標をその指定商品について使用するときは、取引者、需要者は、貴金属製品の品位証明がなされた商品であることを認識、理解するに止まるものであるから、本願商標は、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
請求人は、当審における証拠調べ通知書に対して、意見書を提出して種々述べ、平成17年2月15日付け手続補正書により本願指定商品を前項1のとおり補正しているが、たとえ本願指定商品を「時計(貴金属製のものを除く。)」と補正し、白金、金、銀等の貴金属製の時計を削除したとしても、補正後の商品が「時計」の範疇に含まれる商品であることに何ら変わりはなく、商品「貴金属製の時計」と、取引上極めて近接した商品として取り扱われるものといわなければならない。
そして、商品の品質を証明するために各種金銀製品につける図形や記号等、証明記号の刻印を意味する「HALLMARK」は、製造者にとっては、製品に刻印することにより商品の品質を保証するものであり、取引者、需要者においては、商品を購入する際、選択の指標とすること等から、商取引の場において重要な役割を果たしているといえるものである。
そうとすれば、「HALLMARK」といわれる各種金銀製品につける図形や記号等、証明記号の刻印は、商品の品質を証明するために取引上普通に使用されているというのが相当であり、「HALLMARK」の文字を普通に用いられる方法で表してなる本願商標は、前記のとおりの意味合いとして取引者、需要者に認識されているものであるから、商標のもつべき自他商品識別標識としての出所表示機能は果たし得ないものといわなければならない。
また、請求人は、平成14年2月28日付け意見書において、本願商標「HALLMARK」は、「ホールマークカーズインコーポレイテッド」の名称の略称であって周知である旨述べ、同年3月1日付け手続補足書により、1975年当時の東京商工会議所や各種企業、団体による証明書の写しを提出し、さらに著名な略称であることを紹介するため、同17年2月9日付け手続補足書により甲第1号証ないし同第11号証を提出しているが、これらの書面において証明された標章は、本件商標「HALLMARK」と同一の態様のものではなく、かつ、いずれの書面からも本願指定商品「時計(貴金属製のものを除く。)」について使用している事実をみいだすことができなかった。
してみれば、本願商標が出願人の略称であって周知であるとの主張も、認めることはできない。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ないから、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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