Trademark Appeal Case
ネクターの品質表示性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−4320(T2003−4320/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、「ネクター」の片仮名文字を標準文字で横書きしてなり、第30類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年12月28日に登録出願、その後、指定商品については、平成15年3月17日付け手続補正書により、第32類「清涼飲料,果実飲料」と補正されたものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、一般に果肉飲料といわれ、果実ピューレ又は果実ピューレに果実の搾汁を加えたものを希釈した果実飲料を意味する『ネクター』の文字を書してなるから、これをその指定商品中『果実飲料』に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3.当審の判断
本願商標は、「ネクター」の文字を書してなるところ、該文字は、「果肉をすりつぶした濃い果汁」を意味する語として一般に知られているものである(広辞苑第5版)。
そして、「ネクター」の文字について、当審において職権により調査したところ、該文字が、商品の品質を表示するものとして、各種辞典類及び各種新聞に、以下の紹介記事と共に掲載されていることが認められたので、平成17年3月16日付「証拠調べ通知書」を請求人に通知したが、請求人からは、何らの意見、応答もなかった。
(1)本願商標を構成する「ネクター」の文字が、「果肉飲料、果実飲料」を意味する語であることについて
(ア)「リーダーズ英和辞典」(株式会社研究社 l999年5月第2版第1刷発行)の「nectar」の項目(1662頁)には、「(一般に)おいしい飲み物、美酒、果肉飲料、ミックスジュース、ネクター」の記載。
(イ)「カタカナ語・略語辞典」(旺文社 1996年1月10日改訂新版発行)の「ネクター(nectar)」の項目(455頁)には、「(絞りたての)果汁。おいしい飲料。」の記載。
(ウ)「仏英独=和 洋菓子用語辞典」(白水社 1989年4月28日発行)の「nectar(ネクタル、ネクター)」の項目(175頁)には、「(nectar de+果実名)生のままでは酸味が強過ぎたり、濃過ぎる果汁に糖分、水を加えた加工果汁」の記載。
(エ)「製菓事典」(朝倉書店 1981年10月30日初版発行)の「6.3果実飲料」の項目(156頁)の第12行目には、「果実飲料はJAS(1977)によれば、濃縮果汁,果実ピューレー,天然果汁,果汁飲料,果汁入り清涼飲料,果肉飲料および果粒入り果実飲料に区分されている」の記載、及び下から8から7行目には、「果肉飲料(ネクター)は主に果実ピューレーを原料とし,これに糖,調味液,香料などを添加,調合,脱気,均質化した粘稠性の飲料」の記載。
(オ)「果汁・果実飲料事典」(朝倉書店 1978年9月30日初版第1刷発行)の「果肉系飲料」(2頁)の項目には、「『果実飲料の日本農林規格』では、果実の種類ごとに規定した限度以上にピューレーを含むものを『果肉飲料』という。果肉飲料は、米国の『ネクター(nectar)』と同じ考え方であるが,ヨーロッパでは果汁を多量に含み粘度の高いものをもネクターと称している。・・・」の記載。
(カ)「広辞苑(第5版)」の「ネクター(nectar)」の項目(2062頁)には、「果肉をすりつぶした濃い果汁」の記載。
(キ)「日本語大辞典」(講談社発行)の「ネクター(nectar)」の項目(1498頁)には、「果肉飲料の1つ。・・・」の記載がある。
(ク)「ジーニアス英和辞典」(大修館書店発行)の「nectar」の項目(1120頁)には、「(絞ったままの)果汁。おいしい飲み物」の記載。
(ケ)「プログレッシブ英和中辞典」(小学館発行)の「nectar」の項目(1258頁)には、「(絞ったままの)果汁;美味な飲み物。」の記載。
(コ)「朝日現代用語知恵蔵2003」(朝日新聞社発行)の「ネクター(nectar)」の項目(1242頁)には、「果肉飲料,果汁飲料」の記載。
(2)本願商標を構成する「ネクター」の文字が、取引の実際において使用されていることについて
(ア)1993年2月28日付け日本食糧新聞には、「『不二家ネクター』が初めて世に出たのは昭和39年2月。二五五グラム缶入六〇円で、・・・」の記載。
(イ)2002年9月2日付け日本食糧新聞には、「『不二家ネクター〈アップル&グァバ〉』は、『ネクター』の新アイテム。・・・」の記載がある。
(ウ)2003年10月24日付け日本食糧新聞には、「『ピーチネクター 500ml』発売〈日本ミルクコミュニティ)」の見出しのもと、「日本ミルクコミュニティは、果汁入り飲料『ピーチネクター500ミリリットル』を10月14日から全国で発売した。厳選したモモのピューレを贅沢に使用し、食感にこだわったネクター。」の記載がある等々。
(3)「ネクター」の定義に関する国際的な動き
2001年3月30日付け日本食糧新聞には、「昨年9月にブラジルのリオデジャネイロでCODEX委員会の果実・野菜ジュース特別部会が開かれた。・・・部会の会合は、・・・新たな製品分類で議論に時間がとられた。当初、ブラジルは『果実ジュース』『果実ネクター』『野菜ジュース』などをそれぞれ個別に製品を定義した案を示した。・・・」の記載。
そうすると、上記の実情からして、「ネクター」の文字は、飲料を取扱う業界において、「果汁飲料、果実ピューレ又は果実ピューレに果実の搾汁を加えたものを希釈した果実飲料」であること、すなわち商品の品質を表示するためのものとして、普通に使用されているものと認められる。
してみれば、「ネクター」の文字からなる本願商標を、その指定商品中「果実飲料」に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものであり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、ネクター商標権運営委員会において、果実飲料の日本農林規格(JAS)に基づいて、同委員会において定めたネクターの基準を厳守し、果実飲料の品質を保持してきた旨主張し、甲第1号証ないし甲第16号証を提出している。
そこで検討するに、請求人が「ネクター」の文字からなる商標を過去において所有していたことが認められるとしても、「ネクター」の文字は、前記したとおり、多数の辞書等に「果実飲料」と記載されているものであるから、現時点においては、商品の品質を表示するにすぎないものと判断するのが相当である。
また、「ネクター」の文字が、果実飲料の品質を一定のものに保持するための基準となる表示に使用されていることが伺え、各製造業者間でその基準を厳守し、その基準に適合したもののみに「ネクター」の表示を使用してきた事実が認められ、ネクターの許諾契約締結企業が商品名に「ネクター」の文字を使用していることを認めることができるとしても、「ネクター」の文字が請求人の自他商品識別標識として機能を果たし得るものであることを何ら証明するものではないから、結局、請求人の主張はいずれも認めることができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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