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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89040(T2004−89040/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4604733号商標(以下「本件商標」という。)は、「メシマベータ」の文字を標準文字で書してなり、平成13年11月30日に登録出願、第29類「メシマコブを主成分としてなる錠剤状・粒状・顆粒状・液状・カプセル状・粉状・ゼリー状の加工食品,食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、平成14年9月13日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は第29類について無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第58号証を提出した。

(1)請求人は、登録第4612911号の商標「メシマ」(以下「引用商標」という。)を所有している(甲第2号証)。引用商標が本件商標の先願先登録商標であり、引用商標の指定商品と類似することは明らかである。

(2)本件商標と引用商標との類否

a 「ベータ」が商品の記号、符号故の類似

本件商標の「ベータ」は、ギリシャ文字の「β」をカタカナ表記したものである。今日のわが国における「β」の使用頻度、浸透度にかんがみれば、需要者は本件商標に接した場合には上記のことを直ちに理解できる。取引においては、ギリシャ文字の「α」「β」等は往々にして商品の記号、符号として使用されることが多い。以上述べたことを考え合わせると、需要者が本件商標の「ベータ」を商品の記号、符号ととらえることは必定である。その結果、本件商標の「メシマ」の部分を当該商標の要部と認定し、簡易迅速を尊ぶ取引においては、「メシマ」の称呼・観念をもって取り扱われることも時としてあり得るといえる。したがって、本件商標は引用商標に類似する。

b 引用商標の著名性故の類似

請求人は、韓国科学技術省との10年にわたる共同研究により、薬用きのこであるメシマコブの培養に成功、メシマコブに少量含まれる抗ガン成分が有効量に達するまでに培養する事に至り、10のグループに分類されるメシマコブの菌株の中から最も強力で人体に無害な抗ガン免疫増強効果を発揮する画期的な物質はPL2・PL5であることも発見した。1993年にはメシマコブ培養菌糸体の熱水抽出物から制ガン免疫賦活剤「MESHIMA」を開発、一躍脚光を浴びた。請求人はこのメシマコブによって優れた工業製品に贈られる「韓国科学技術賞」を1997年に受賞した(甲第4号証及び同第5号証)。今日におけるインターネットの発達、経済の国際化の下では、諸外国の取引事情及びその国で著名な商標に関する情報は直ちにわが国の取引者・需要者の知るところとなっている。特に、韓国とわが国では地理的にも極めて近く、しかも、高麗人参をはじめとしていわゆる健康食品の分野では古くから経済交流が盛んであった。そうであるとすれば、1990年代に韓国で著名なものとなっていた請求人の「MESHIMA」のことをわが国の需要者、取引者は知り得ていたといえる。

c わが国おける使用による引用商標の著名

近年、わが国でも健康ブームの下、このメシマコブを成分としたいわゆる健康食品が注目を集めるようになった。このことは、平成15年9月25日付健康産業流通新聞において「メシマコブが日本市場に登場し、本格的に普及し始めたのは今から5年前だが...・」の記述(甲第5号証)から明らかである。なお、日本では薬事法との関係で薬剤ではなく、健康食品として販売されてきた。請求人はわが国における市場の育成、普及などを目的に東京都内に韓新メシマを設立し、同人の日本支社として同社が供給するメシマコブ製品の販売など、サポート体制を整えた(甲第5号証)。請求人の「メシマ」「MESHIMA」を付した商品の販売を行った者が日本市場における先駆者的役割を果たした。このことは、「日本市場で先駆者として市場の基盤を作り『メシマコブ』の認知度の貢献に努めたのは(株)韓国新薬のPL2菌糸株を取り扱う(株)エル・エスコーポレ−ション、サルデ薬品(株)。」の記述(甲第5号証)からも明らかである。いかなる時でも、また、いかなる商品の分野でも、市場における先駆者の商品が需要者の注目を集め、その結果、該商品に使用された商標は著名になり易いものである。加えて、平成12年に請求人の「メシマ」「MESHIMA」を付した商品を取り扱う製造会社、販売業者20数社からなる「メシマ普及協議会」が同人の商品の品質保証と普及を目的に設立され、請求人の商品を使用したものであることを証明するためのマーク「メシマPL2・PL5特許シール」を発行し、ブランドとしての差別化を図り、大学との共同研究やクリニックでの臨床データの収集にも注力してきた(甲第6号証)。請求人の「メシマ」「MESHIMA」を付した商品の広告は本件商標の指定商品の分野を対象とする新聞・雑誌にも継続的に掲載されてきた(甲第7号証ないし甲第11号証)。当該商品の小冊子も頒布された(甲第12号証)。平成14年10月の日経ヘルスに取り上げられ、その中で請求人の「メシマ」「MESHIMA」メシマを取り扱い、これに関してアドバイスを行なう医療機関が全国で60を越えている旨が述べられている(甲第14号証)。また、平成14年8月には請求人のメシマを取り上げた「ガン臨床医17人の証言 私がメシマコブを使う理由」なるタイトルの書籍が出版された(甲第15号証)。この書籍のタイトルからは直ちに請求人のメシマのことを取り上げたとは理解できないと考えるかもしれないが、その書籍の帯に「メシマコブ菌株『PL2・PL5』。」の記述があることから、当該書籍が請求人の「メシマ」「MESHIMA」のことを取り上げたことは明らかである。上記雑誌・書籍は商品の宣伝広告のために発行されるのではなく、むしろ既に世間で注目されている存在(これを商標法的にいえば、著名なものとなっている存在)を取り上げるものであるから、これらの雑誌・書籍自体が請求人の「メシマ」「MESHIMA」の著名性を裏付けるものであるといえる。特に、ある商標が使用されて商品について−冊の書籍が書かれることは極めて希有なことであり、このことからすれば、請求人の「メシマ」「MESHIMA」が極めて著名な存在であったといえる。しかも、上記書籍以外にも「メシマ」に関する書籍として「末期ガンを消したメシマコブって何だ ガン戦争シリーズ」「最強・最速の抗ガンキノコメシマコブ−あなたの免疫力を最強にする驚異のキノコの神秘」等の数冊の書籍が発行されている(甲第4号証)。この事実は請求人の「メシマ」「MESHIMA」が極めて高い著名性を有していたことを裏付けるものである。

以上述べた事情及び提出された証拠方法からすれば、わが国における使用によって、本件商標が登録された平成14年9月はおろか出願された平成13年11月においても、「メシマ」「MESHIMA」は請求人の商標として本件商標の指定商品である「メシマコブを主成分としてなる錠剤状・粒状・顆粒状・液状・カプセル状・粉状・ゼリー状の加工食品」の分野では著名なものとなっていたといえる。

d 本件商標と引用商標の比較

本件商標中「メシマ」は請求人の「メシマ」とは同一であり、同人の「MESHIMA」とは実質的に同じである。そのため、本件商標がその指定商品に使用されて取引場裡に置かれた場合には、需要者・取引者は本件商標中「メシマ」の部分に注意を引かれ、当該部分をもって取り扱うことがあるのは必定である。特に、本件商標は「メシマ」に商品の符号、記号として取引上頻繁に使用されるギリシャ文字の「β」のカタカナ表記を付加にしたにすぎず、需要者・取引者もこのことを直ちに理解できるものであるから、本件商標を請求人の商標「メシマ」に単に商品の符号、記号を表わす「ベータ」を付加したにすぎないととらえられる可能性が高い。この点、なお一層本件商標中「メシマ」の部分に注意を引かれる度合いの高いものといえる。また、本件商標の「ベータ」は脳波における「ベータ波」、放射線における「ベータ線」のごとくある概念の中身を更に分類する場合に頻繁に使用されている(甲第16号証)。一方、取引において、ある商標が使用される商品をその成分等の内容によって分ける場合、それに応じて基となる商標自体に別の語を付加することは頻繁に行われているところである。この場合、上述の「ベータ」の語の用途からすれば、基となる商標に「ベータ」を付加することは十分考えられる。特許庁もその審査基準において「指定商品について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字及び図形等を結合した商標はその外観構成がまとまりよく一体に表わされているもの又は観念上の繋がりあるものを含め、原則として、その他人の登録商標に類似するものとする。」として請求人と同じ見解を採っている。したがって、本件商標と引用商標の類否判断にあたっては、当然この審査基準に従って類似とされるべきである。

(3)商標法第4条第1項第11号違反

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

(4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号違反

これまで述べてきたこと及び証拠方法から、引用商標は本件商標が出願された平成13年11月には既に商品「メシマコブを成分としたいわゆる健康食品」について著名なものであった。上記商品と本件商標の指定商品が同一ないしは類似するものであることは多言を要しない。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものといえる。

さらに、引用商標が著名であることにかんがみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものといえる。

(5)まとめ

本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであり、当該商標の登録は商標法第46条の規定により無効とされるべきである。

(6)被請求人の答弁に対する弁駁

a 請求人は審判請求書と共に提出した証拠方法によって、引用商標の著名性は立証できたと確信するが、さらに、本弁駁書と共に以下のような証拠方法を追加する。

1999年10月 Nacre club(甲第19号証)

メシマについて請求人が優れた工業製品に贈られる「韓国科学技術賞」を取得したこと並びに当時の請求人の副会長が日本において「メシマ」について講演を行なったことが述べられている。

1999年12月1日 食べて効く究極のキノコ「メシマコブ」(甲第20号証)

メシマについて言及されている。

2000年1月 Nacre club(甲第21号証)

メシマ関係者の座談会が掲載されており、その中で「韓国でも日本でメシマの人気が高まっているのが知られているので、以前は薬局で手に入れた医薬品を日本人向けに空港の近くで売る人もいたんです。」なる記述がある。

2000年8月10日発行 メシマPL2・5の拡散のネットワークの治療療法(甲第22号証)

メシマの効能について述べられている。

2000年11月1日 ヘルスライフビジネス(甲第23号証)

「メシマでがん抑制・・・」なるタイトルの記事があり、その記事中に「この秋には、日本の第1次代理店の権利をメガックス・・・に与え、拡大する日本のメシマ市場に積極的に参入する動きをみせている。」なる記述がある。

2001年1月1日 日本流通産業新聞(甲第24号証)

特集記事でメシマが取り扱われ、かつ、広告が掲載されている。

2001年1月11日 健康産業流通新聞(甲第25号証)

メシマコブの特集が組まれ、その中で「メシマ」が日本でも健康食品として上市されるに至った旨が記載されている。また、メシマの広告が掲載され、「メシマ普及協議会」メンバーの会社が「メシマ」を取り扱っていることが述べられている。

2001年2月 わかさ(甲第26号証)

メシマの広告が掲載されている。

2001年2月28日 毎日新聞(甲第27号証)

メシマを取り扱った書籍「メシマコブがガンに効く」の広告が掲載されている。

2001年3月15日発行 メシマコブがガンに効く(甲第28号証)

メシマを取り扱った書籍であって、その中に「『メシマ』は現在、韓国のほとんどの医療機関で抗がん剤として使用されておりますが、同時に、韓国全土にメシマコブブームを引き起こす起爆剤となりました。・・・さらに、ニセモノまで出回る現象が起きているのです。」なる記述がある。

2001年4月12日 健康産業流通新聞(甲第29号証)

メシマについての記事が掲載されている。

2001年10月10日 THE HEALTH CARE TIMES(甲第30号証)

世界のトップブランドメシマなるタイトルの全面広告が掲載されている。

2001年11月25日 サンデー毎日(甲第31号証)

メシマについての記事が掲載されている。

2002年1月 健康(甲第32号証)

医師がメシマについて記載した記事が掲載されている。

2002年3月21日 日本流通産業新聞(甲第33号証)

全面で注目度ますます高まる「メシマ」なるタイトルの記事が掲載されている。

2002年6月20日号 週刊新潮(甲第34号証)

メシマを付した商品が純正品である旨のメシマ普及協議会の広告が掲載されている。

2002年6月23日号 サンデー毎日(甲第35号証)

メシマに関する記事が掲載されている。

2002年6月20日号 週刊文春(甲第36号証)

メシマを付した商品が純正品である旨のメシマ普及協議会の広告が掲載されている。

2002年8月8日 メシマ普及協議会の西部新宿駅JR側大型看板(甲第37号証)

2002年8月13日発行 ガン臨床医17人の証言 私が「メシマコブ」を使う理由(甲第38号証)

審判請求書と共に提出した甲第15号証の初版版

2002年10月 日経ヘルス(甲第39号証)

請求人の商品「メシマ」が取り上げられた記事が含まれている。

2002年10月25日号 週刊朝日(甲第40号証)

メシマを付した商品が純正品である旨のメシマ普及協議会の広告が掲載されている。

2002年10月16日 予防医療.comのホームページ(甲第41号証)

「メシマ」の商品と共に請求人が開発した「メシマ」が韓国国内で免疫賦活剤として承認された旨が述べられている。

2003年1月23日及び24日 読売新聞(甲第42号証)

メシマを付した商品が純正品である旨のメシマ普及協議会の広告が掲載されている。

2003年3月20日 日本流通新聞(甲第43号証)

全面で「メシマ」についての特集記事が掲載されている。

2003年3月24日 読売新聞(甲第44号証)

「メシマでガンバレー」なる広告が掲載されている。

2003年3月24日 ひとつの国を動かした抗ガンきのこメシマPL2・PL5が医療現場で使われる理由(甲第45号証)

「今では『メシマPL2・PL5』は日本だけではなく、各国に輸出され、ガンの免疫療法に広く使われている」旨の記述がある。

2003年3月25日 読売新聞(甲第46号証)

「メシマでガンバレー」なる広告が掲載されている。

2003年3月27日 読売新聞(甲第47号証)

メシマでガンバレー」なる広告が掲載されている。

2003年3月27日 読売新聞(甲第48号証)

「メシマでガンバレー」なる広告が掲載されている。

2003年3月31日 読売新聞(甲第49号証)

「メシマでガンバレー」なる広告が掲載されている。

2003年4月1日 日経ビジネス(甲第50号証)

メシマ普及協議会の広告が掲載されている。

2003年2月 日経マスターズ(甲第51号証)

メシマ普及協議会の広告が掲載されている。

メシマコブの話(甲第52号証)

メディカルインフォメーション(甲第53号証)

メシマの広告と医師が執筆したメシマについての記事が掲載されている。

メシマ普及協議会の広告類(甲第54号証)

新聞に掲載された株式会社エル・エスコーポレーションの「メシマ」に関する広告類(甲第55号証)

新聞に掲載された株式会社ファンケルの「メシマ」に関する広告(甲第56号証)

きのこ健康読本2(甲第57号証)

メシマの包装容器の写し(甲第58号証)

b 商標法第8条第1項第1号違反

本件商標が商標法第8条第1項第1号(当初本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反している旨を主張したが、引用商標が後に登録されていたので商標法第8条第1号違反に切り替える。)に違反して登録された否かの判断時期は登録時点である以上、本件商標が引用商標に類似するか否かの判断時期も当然その登録時点となる。そうであるとすれば、引用商標の著名性を取得したか否かの時期も必然的に登録時点が基準となる。審判請求書添付の証拠方法及び本弁駁書と共に提出された証拠方法から、特に、その証拠方法の中の記述にかんがみれば、本件商標が登録された2002年9月13日時点で引用商標が韓国のみならず日本でも本件商標の指定商品である「メシマコブを主成分としてなる錠剤状・粒状・顆粒状・液状・カプセル状・粉状・ゼリー状の加工食品」の分野では引用商標は著名なものとなっていたことは明らかである。審判請求書で述べたように、ここで挙げた証拠方法の多くは「メシマ」の宣伝広告のためのものではなく、世間で注目をされているものを取り上げるものである書籍・雑誌・新聞であり、「メシマ」を取り上げた書籍・雑誌・新聞が本件商標の登録前に数多く存在していたことからすれば、いかに「メシマ」が上記加工食品の分野では著名であったかは自ずと明らかである。また、本件商標が登録された後に発行された書籍・雑誌・新聞であっても過去の事実を述べているので、登録前の著名性を立証できるものとなる。

以上述べたことから、本件商標はその登録された時点では需要者に「メシマ」の部分を注目され、該部分をもって称呼・観念されたといえる。それ故、本件商標は引用商標に類似する。

なお、被請求人は「メシマ」と記号「PL2・PL5」と名称「メシマコブ」とを混沌とさせている旨述べているが、「メシマコブ」は普通名称であり、「PL2・PL5」の商標「メシマ」が付された商品の記号・符号であり、上記商品分野の需要者はこれらのことを明確に理解できる。

以上述べたことから明らかなように、本件商標は商標法第8条第1項第1号に違反して登録されたものである。

c 出願時の著名性

本件商標の指定商品である「メシマコブを主成分としてなる錠剤状・粒状・顆粒状・液状・カプセル状・粉状・ゼリー状の加工食品」の分野は極めて特殊な分野であり、さほど広い分野ではない。そのため、商標は短期間に著名になるものである。

審判請求書添付の証拠方法及び本弁駁書と共に提出された証拠方法から、2000年以前から韓国では「メシマ」は著名なものであったことは疑いようもない。そして、2000年以前でも「韓国でも日本でメシマの人気が高まっているのが知られているので、以前は薬局で手に入れた医薬品を日本人向けに空港の近くで売る人もいたんです。」なる記述がある(甲第21号証)ことや「メシマ」について特集が組まれていたこと、審判請求書で述べたように「メシマ」がパイオニア的なものであったこと、近年インターネット等の通信手段の発達により諸外国の事情が時を同じくしてわが国でも知ることが出来ることからすれば、本件商標が出願された2001年当時には少なくともこの商品の分野では著名なものとなっていたといえる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号にも違反して登録されたものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第18号証を提出した。

(1)本件商標と引用商標の類否

「ベータ」が安易に記号・符号としてとらえられない故の非類似

請求人は、本件商標「メシマベー夕」の後半の文字部分「ベータ」について、ギリシャ文字の「β」をカタカナ表記したものにすぎず、その結果、商標の要部は「メシマ」と認定されるべきであって、本件商標が現実の商取引においても「メシマ」の称呼・観念をもって取り扱われることがあると主張している。

しかしながら、本件商標「メシマベー夕」は、標準文字により同書・同大・同間隔にまとまりよく表わされていて、格別冗長とはいえず、よどみなく一気に称呼し得るから、かかる構成にあっては、後半の文字部分「ベータ」が省略されて「メシマ」の称呼・観念をもって取り扱われるとみることは非常に無理のある見解であると考える。例えば、特許庁のホームページ電子図書館で本件商標のデータを見ると、本件商標の称呼には「メシマ」の称呼は付されておらず、むしろ「ベータ」の部分に要部性が見いだされて「ベータ」の称呼が付されている程である(乙第1号証)。したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上非類似の商標であると見るのが相当なものである。

また、請求人のいう「メシマ」の観念というものは意味が不明であり、両商標は共通する観念を生ずることはなく、外観においても文字数の顕著な相違からして判然と区別できるものである。

したがって、本件商標「メシマベー夕」と引用商標「メシマ」とは称呼・観念・外観のいずれについても非類似の商標であると見るのが相当なものである。

このことは、特許庁の審査傾向にも表われているので、本件と同様な併存登録例を列挙する(乙第3号証ないし第9号証)。

さらには、以下のような登録商標が存在している事実からすれば、「ベータ」の文字部分も充分に商標の要部になるはずである。

登録第1865576号商標「BETA/ベータ」(乙第10号証)

登録第2548859号商標「ベータ/BETA」(乙第11号証)

登録第4364302号商標「ベータ」(乙第12号証)

登録第4454427号商標「ベータ」(乙第13号証)

請求人は、本件商標を強引に「メシマ」と「ベータ」とに区切り、更に後半の「ベータ」をギリシャ語の「β」に強引に結びつけ、この部分が記号・符号にすぎないので商標の要部ではないと主張するものであるが、本件商標の態様は「メシマβ」ではなく「メシマベータ」であり、その強固な一連一体性からすれば「ベータ」の部分も含めた商標全体が要部として機能することになる。

(2)引用商標の周知性・著名性の否定

請求人は、甲第4号証ないし甲第15号証を掲げ、請求人の引用商標がわ

が国において著名であると主張している。しかしながら、請求人が掲げる各証拠物は、証拠としての明確性・信憑性に欠け、引用商標がわが国において周知・著名であることを立証することはできない。

(3)商標法第4条第1項第11号の適用について

本件商標「メシマベータ」と引用商標「メシマ」は、称呼・観念・外観のいずれをとってみても非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

さらに、商標法第4条第1項第11号を適用するならば、引用商標が先願先登録であることが要件とされるが、引用商標は先願であっても先登録ではない。先登録は本件商標の方である。したがって、請求人の引用商標を根拠とする限り、原則として、本件商標に商標法第4条第1項第11号は適用できない。

(4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号の適用について

本件商標と引用商標が非類似商標であること、そして、上述した理由及び請求人の証拠物の明確性・信憑性の欠如からして、引用商標は、本件商標の登録時もさることながら、出願時においてもわが国で周知・著名であったとは認められないことにより、本件商標が請求人の業務と混同を生じさせることもあり得ないので、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではない。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第10号該当性について

本件商標は、「メシマベータ」の片仮名文字を標準文字で横書きしてなるものであり、その構成は、一体的に表されてなるものである。

ところで、請求人は、本件商標の後半の「ベータ」の部分は商品の記号・符号として需要者に認識されるものであって、前半の「メシマ」の部分は、本件商標の登録出願日及び登録査定時に、請求人及び請求人関連企業が使用の商標「メシマ」「MESHIMA」(以下「請求人メシマ商標」という。)が「メシマコブを主成分としてなる錠剤状・粒状・顆粒状・液状・カプセル状・粉状・セリ−状の加工食品」の分野で、わが国において、著名なものとなっていたことから、請求人メシマ商標を指称する商標の要部として需要者に認識されていた旨主張する。

しかしながら、請求人メシマ商標が本件商標の登録出願日及び登録査定の時に一定量使用されていたことが認められるとしても、本件商標の指定商品の第29類中には「メシマコブを主成分としてなる錠剤状・粒状・顆粒状・液状・カプセル状・粉状・ゼリー状の加工食品」が含まれているところ、メシマコブは、抗ガン成分を含むとされるキノコであり、名前の由来は、長崎県男女群島の女島(めしま)で発見されたコブ状のキノコであることから来ている(甲第22号証「メシマPL2・5と核酸のネットワーク栄養療法」34頁 21世紀代替医療研究会2000年8月10日発行参照)こと、また、メシマコブが抗ガン成分を含むとされることについては、わが国において本件商標の登録出願日及び登録査定(平成14年7月2日登録査定)時に、ガンの治療などガンに関心を有する人々やいわゆる健康食品に関心のある人々などの間に広く知られ、メシマコブを主成分とする健康食品が販売されていたものと認められるから、本件商標の「メシマ」は、請求人メシマ商標を指称するというよりは、前記メシマコブというキノコの普通名称の語頭からの「メシマ」に採択の意図が認められ、本件商標は、該「メシマ」の文字とギリシャ文字「β」のカタカナ表記である「ベータ」を軽重の差なく結合して一体の造語とした商標として、取引者・需要者に認識されるものというのが相当である。

してみれば、請求人の前記主張は採用できないものであり、本件商標は、「メシマ」の部分のみが独立して取引に資されるものとはいえず、よって、この部分のみをもって称呼、観念されるものといえないから、本件商標は、一連一体に「メシマベータ」とのみ称呼、観念されるものというべきであり、これと請求人メシマ商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれから見ても、非類似の商標であるといわなければならない。

したがって、本件商標は、請求に係る第29類の指定商品について、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものでない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

請求人メシマ商標が本件商標の登録出願日及び登録査定の時に一定量使用されていたことが認められるとしても、前記認定のとおり、本件商標と請求人メシマ商標とは、非類似の商標であって、本件商標を請求に係る第29類の指定商品に使用した場合、提出に係る証拠によっては、その「メシマ」の部分が前記メシマコブというキノコの普通名称の語頭からの「メシマ」であるという以上に、請求人メシマ商標を連想、想起させるに本件商標の登録出願日及び登録査定の時に取引者・需要者の間に周知又は著名であったとは認められず、これをその指定商品に使用しても、その商品が請求人又は請求人と何らかの関連を有する者に係る商品であるかのように需要者・取引者が誤信して、出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき相当の理由はないものである。

したがって、本件商標は、その第29類の指定商品について、商標法第4条第1項第第15号に違反して登録されたものでもない。

(3)商標法第8条第1項の規定違反について

請求人は、本件商標は商標法第8条第1項(当初の商標法第4条第1項第第11号違反との主張を変更)の規定に違反して商標登録されものである旨主張し、その理由に「メシマ」の文字を標準文字で書してなり、平成12年4月25日に登録出願され、第29類「きのこの子実体及び菌糸体を熱水又はアルコール水で抽出してそれの多糖類成分・センイ素成分・たん白質成分を取出しそれ等の混合物を主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・カプセル状・液体状の加工食品」を指定商品として、平成14年10月18日に設定登録された引用商標を引用する。

しかし、引用商標は、請求人メシマ商標が本件商標と非類似であるとした前記理由と同様の理由により、本件商標と非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、その第29類の指定商品について商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものでもない。

以上のとおり、本件商標は、その第29類の指定商品について、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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