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Trademark Appeal Case

著名商標と称呼・外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90376(T2002−90376/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4547695号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4547695号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年4月11日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」を指定商品として、同14年3月1日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立の理由

登録異議申立人(以下「申立人」という)は、登録異議申立の理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、ややデフォルメされた太めの書体で表され多少デザイン化されているが、無理なく「CT.R」の文字から構成されていると認識することができ、これより「シーティーアール」の称呼が生じる。

一方、登録第1555900号商標(「G・T・R」の文字よりなり、昭和54年3月16日に登録出願、第12類「輸送機械器具、その部品及び附属品(他の類に属するものを除く。)」を指定商品として、同57年12月24日に設定登録)(以下「引用商標1」という。)及び登録第1761894号商標(「GTR」の文字よりなり、昭和57年6月15日に登録出願、第12類「輸送機械器具、その部品及び附属品(他の類に属するものを除く。)」を指定商品として、同60年4月23日に設定登録)(以下「引用商標2」という。)は、その構成文字から「ジーティーアール」の称呼が生じる。

両称呼は第1音目において清音「シ」と濁音「ジ」の差異を有するにすぎず、互いに相紛れるおそれがあるから、本件商標と引用商標1及び2は類似の商標である。

また、過去の審決を調べたが、本件と同様に「シ」音と「ジ」音のみが相違する称呼は、互いに類似すると判断されている場合が圧倒的多数を占めている(甲第6号証の1ないし甲第17号証)。

さらに、申立人の自動車に「GTR」と書かれることもある。現実の取引においては、本件商標から生ずる「シーティーアール」の称呼が引用商標1及び2から生ずる「ジーティーアール」の称呼と聞き誤られるおそれは、相当に高い。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

申立人の使用商標「GT−R」又は前記引用商標「GTR」は、申立人の自動車「スカイラインGT−R」の略称として、「自動車」の需要者・取引者の間で広く知られている。

申立人は、国内外で有数の自動車メーカーであり、高級セダン「スカイライン」にカーレース用のエンジンをディチューンしたものを搭載した4ドアセダン「スカイラインGT−R」を、1969年2月に発売した。1970年10月にハードトップ「GT−R」が発売され、「ハコスカ」の愛称で親しまれた。1973年1月に3代目「GT−R」が発売され、「ケンとメリー(ケンメリ)」の愛称で多くのファンを惹きつけたが、排出ガスの規制に適合せず、ファンに惜しまれつつ同年4月に生産中止となった(甲第7号証)。その後、1989年8月に「GT−R」がR32型で復活し、高い評価を得た。以来「GT−R」は、「スカイライン」のイメージリーダーの役割を果たしている。

「GT−R」R32は、現在においても人気が高く、中古車であっても高値で取引されている。

1995年1月に「GT−R」R33型が発売され、発売41日間で受注台数が3300台を突破し、1998年5月に「GT−R」R34型が発売され、発売後4週間で2510台の受注を得、「GT−R」の根強い人気を裏付けた。

また、「GT−R」は、海外においても評価が高く、1997年にはR33型が英国で、1999年には「GT−R」R34型が英国及びオーストラリア・シンガポールなどに輸出された。

その後、2002年1月24日にR34型のファイナルバージョンとして「GT−Rニュル」が限定1000台で発売されたが即日完売し、幻の車となった。

「GT−R」は、申立人の代表的な車であるとともに、技術、イメージを象徴するものである。

なお、2002年1月24日に「GT−R」の生産中止が発表されたが、将来に再度復活することが自動車業界では確実視されている。

本件商標と申立人の「GT−R」を比較すると、称呼において「シ」と「ジ」の差異を有するにすぎず、「C」と「G」は字形が似通っている上、残りの文字が全て同じである。しかも、本件商標は「CT」と「R」の間に「.」が設けられており、「CT」と「R」の間に「−」を設けている申立人の商標と酷似する。

このように、著名な申立人の商標と称呼や構成において酷似する本件商標が、申立人の商品「自動車」と同一若しくは密接な関連性を有する「自動車並びにその部品及び附属品」に使用されれば、需要者、取引者は、本件商標より申立人の「GT−R」を直ちに連想し、本件商標に係る商品を、申立人の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同が生ずるおそれがあることは明白である。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、申立人の著名な商標「GT−R」と酷似するように構成されており、これを申立人の商品と同一又は類似の商品「自動車並びにその部品及び附属品」について登録することは、申立人の著名な商標「GT−R」が獲得している出所表示力や業務上の信用にただ乗りし、あるいはこれらを低下・失墜させんとする意思の表れである。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 当審の取消理由の要点

申立人が使用する商標「GT−R」は、「スカイラインGT−R」の略称として、取引者・需要者間で広く認識されているから、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

第4 当審の取消理由に対する商標権者の意見

本件商標と引用商標は、非類似の商標であり、また、現実の使用実態からしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者・需要者は申立人の引用商標を連想・想起することなく、申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に関係を有する者の業務に係わる商品であるかのような商品の出所について誤認混同を生ずることはなく、また、そのおそれもない。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではない旨主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。

1 本件商標は、文字とは即認できないほど特異な形態にデザイン化された文字からなるものである。本件商標はなか程の斜め「T」様の部分が「T」を表現していると理解して初めてその左右の部分も英文字からなり全体が英文字を表していると理解できるほどの外観において特異性を有してなるものである。

2 スカイライン車は、昭和32年プリンス自動車が開発・販売し、日産自動車に昭和41年合併された後は、ニッサンスカイラインとして継続し、現在は、単にスカイラインと略称している車種であるが、英文字部分はスカイライン車のグレードを表す記号である。

したがって、需要者が「スカイライン」シリーズについて話題にしているときに「スカイラインGT−R」を「GTR」と略称することがあっても、他社を含む自動車一般を話題にしているときに「GTR」で「スカイラインGT−R」を認識することはできないというべきである。甲各号証においても殆ど「スカイラインGT−R」と表示しており、「GT−R」のみの記載は「スカイラインGT−R」の記述の略記として記載されているにすぎず「GT−R」のみで著名であるからではない。

また、「GTR」の表示は、乙第4号証に示す「ベレット1600GTR」のように他社の商標の一部にも使用されている。

以上より、「GT−R」のみが申立人の商標として著名になっているとの認定は事実に反することである。

3 本件商標と申立人使用商標とは外観、称呼及び観念において紛れることのない非類似の商標である。

本件商標は、外観において顕著な特徴を有するものであり、引用商標から「ジーティーアール」の称呼を生ずるとしても、記号・符号的表示からなる引用商標と類似するものではない。このことは、最高裁昭和39年行ツ110号判決からも首肯できる。

4 乙第8号証の1ないし3に示すとおり、商標権者は、自動車部品メーカーであり、申立人初め日本の自動車メーカーと自動車専用部品の取引を行っていることより、日本の自動車メーカーにおいて「CTR」が商標権者を表示する商標として認識されている。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標1及び2は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるから、両者は外観上区別し得る差異を有すること明らかである。

つぎに、称呼、観念についてみるに、本件商標は、その構成中央部分は英文字「T」を斜体で表したものと理解できるが、その左右は特異な形態にデザイン化されたものであって、全体としてモノグラム図形からなるものといい得るから、これよりは特定の称呼、観念を生ずるものとは認められないとするのが相当である。

一方、引用商標1及び2は、その構成文字に相応し、「ジーティーアール」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を有しない造語よりなるものといわなければならない。

そうとすれば、本件商標より「シーティーアール」の称呼を生ずるとし、その上で、本件商標と引用商標1及び2とが称呼上類似する商標であるという申立人の主張は、理由がないものといわなければならない。

2 商標法第4条第1項第15号について

申立人の提出した甲各号証によれば、申立人は、わが国における有数の自動車メーカーであって、申立人の製造販売に係る「スカイラインGT−R」は、1969年2月に発売されて以来、申立人の技術・イメージを象徴する代表的な高級スポーツカーとして人気が高く、各種の自動車レースにおいても繰り返し優勝を遂げ、新聞・雑誌などにおいても、「GT−R」は「国内最高峰のスポーツカーとしてファンあこがれの的」、「超高性能モデル」、「日産のイメージリーダーカー」、「話題を集めた車」等々の形容のもとに紹介されていた事実を認めることができ、「GT−R」は、「スカイラインGT−R」の略称として、本件商標の登録出願時はもとより登録査定時においても、我が国における取引者・需要者の間において広く知られ、特に自動車愛好者の間においては広く知られていたものと認められる。

しかしながら、本件商標が特異な構成態様からなるモノグラム図形であって、特定の称呼、観念を生ずるものとはいえないこと前記のとおりである。

一方、「GT−R」は、その構成文字から「ジーティーアール」の称呼を生じるものというのが相当である。

そうとすると、本件商標と「GT−R」とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいて類似しない別異の商標といわなければならない。

したがって、本件商標を商標権者がその指定商品に使用しても、取引者・需要者がこれより申立人の商標を連想・想起し、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の商品であるかのように、その商品の出所について混同するおそれはないものと判断するのが相当である。

3 商標法第4条第1項第19号について

本件商標と「GT−R」とが商標において類似するものではない商標であること及び取引者・需要者がこれより申立人の商標を連想・想起させるものでもないこと上記2に述べたとおりであって、これを商標権者がその指定商品に使用しても、申立人の業務上の信用にただ乗りし、あるいは信用を低下・毀損する目的即ち不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用するものとは認められず、また、その証左も見出せない。

4 結論

したがって,本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではない。

よって、本件商標は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。

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