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Trademark Appeal Case

家系帳の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−21784(T2003−21784/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「家系帳」の文字を横書きしてなり、第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年3月25日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同15年1月17日付けの意見書により、第42類「コンピュータシステムの企画・開発・保守及びコンサルティング(ただし、ハードウェアの保守を除く)」と述べているものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『家系図』に類する『家系について表したもの』としか認識し得ない『家系帳』の文字を普通に用いられる方法で表してなるものであるから、これを意見書において述べている本願指定役務中前記文字に照応する役務、例えば、「家系について表すためのコンピュータプログラムの開発・作成」等に使用するときは、単に役務の質、内容を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、上記1のとおり「家系帳」の文字を書してなるところ、その構成中の「家系」の部分は「家の系統。血統。血すじ。」を、「帳」の部分は「書きこみ用の冊子」を意味する語として、広く一般に知られ親しまれていることから、「家系帳」の文字よりなる本願商標は、該「家系」と「帳」を組み合わせた造語であるとしても、取引者・需要者にとって「家系帳」の語自体から、「家の系統等を書きこむ冊子」が関係する役務であると理解し認識することは容易というべきである。

そして、近年のIT(Information Technology)社会の中では、インターネットの普及やデジタル記憶装置の大容量化が進み、「電子辞書(電子化された辞書のこと)」、「電子チケット(インターネット上で予約、販売、発行される各種イベント等の入場券)」、「電子カルテ(コンピュータの記憶装置に残すように設計されたデジタルカルテ)」、「電子番組表(テレビ画面に表示される番組ガイド)」のように、従来紙媒体であったものがデジタルデータ化され、広く利用されているところである。

そうすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、その指定役務が上記1の意見書によれば「コンピュータシステムの企画・開発・保守及びコンサルティング(ただし、ハードウェアの保守を除く)」であることから、取引者・需要者であれば、本願商標は、「家系について表すためのコンピュータプログラムの開発・作成」とする役務の質、内容を表わすものとして、これを、直接的に「家系帳」と表現したものである、と理解し認識することになるのは至極自然なことというべきである。

してみれば、「家系帳」の文字よりなる本願商標をその指定役務中「家系について表すためのコンピュータプログラムの開発・作成」について使用するときは、これに接する需要者・取引者は、前記したように、その役務の質、内容を表わしたものと理解するにとどまり、それをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、また、前記役務以外の役務に使用するときは、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

なお、請求人は、「拒絶理由通知書において、本願商標は、『家系図』に類する『家系についてあらわしたもの』としか認識し得ないとあるが、購入者は多くの場合『商品名』を記憶して選択するものであるから、他社が出した同一名、同様パッケージ商品が市場に並存する事態になれば混乱を招く。ユーザーの側に立てば、『家系帳』がたとえ日常的にありふれた名称であっても、ひとたびソフトの商品名となれば法的に守られるほうが利便性あり、利益にかなうと判断する。」旨主張している。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解される(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第16版)」参照)。

そして、本願商標「家系帳」については、前記のとおり、取引者・需要者をして、役務の質、内容を表示したものとして理解するにとどまるものであり、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものである。

したがって、請求人の前記主張は、採用することができない。

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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