Trademark Appeal Case
結合商標の分離観察と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−20887(T2003−20887/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「サンドリー アガリクス」の片仮名文字を標準文字により書してなり、第5類及び第29類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成14年3月19日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同14年12月24日付けの手続補正書により、第5類「アガリクス茸を使用してなる薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」及び第29類「アガリクス茸のエキスを主原料とする粉末状・粒状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・ペースト状又は液状の加工食品,食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),アガリクス茸を使用してなる冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,アガリクス茸を使用してなる加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第656293号商標、登録675895号商標、登録第1886510号商標、登録第2013203号商標、登録第2077850号商標、登録第2110932号商標、登録第2187989号商標、登録第2187990号商標及び登録第4553625号商標は、「サントリー株式会社」、「SUNTORY」、「サントリー」の文字を書してなるか、あるいは、それらの文字を結合してなるものであり、それぞれの指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりであって、いずれも現在有効に存続しているものである。
以下、これらの引用商標をまとめて「引用各商標」という。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「サンドリー アガリクス」の文字を書してなるところ、「サンドリー」の文字及び「アガリクス」の文字との間には、一字分のスペースが存在することから、スーペースの前後で「サンドリー」と「アガリクス」とに分離して看取されることは、外観構成上から明らかである。
本願商標構成中の「サンドリー」の文字部分は、特定の語義を有しない造語と認められるものである。
また、本願商標構成中の「アガリクス」の文字部分(語)は、「朝日現代用語『知恵蔵』2005」によれば、「健康食品として注目されているキノコの一種」、「現代用語の基礎知識2005」(自由国民社 発行)によれば、「ヒラタケ属のキノコ。煎じて健康食品として飲まれる。」、「コンサイスカタカナ語辞典 第2版」(株式会社 三省堂 発行)によれば、「ハラタケ科のキノコ。多数の多糖類や抗腫瘍物質を多く含んでいるとされ、健康食品として注目されている。」といった意味を有するものであり、これらの各書籍が全国的に広く頒布されているものであること、その他に各種新聞の広告やインターネットのホームページ情報においても、「アガリクス」は、いわゆる健康食品の一つとして紹介されていること、そして、近年一般需要者の健康についての関心の高まり、といったことを考慮すると、「アガリクス」の語は、いわゆる健康食品として利用されているキノコの一種を意味するものとして我が国において広く知られているといえる。
以上のことからすると、本願商標「サンドリー アガリクス」は、一般需要者をして、「サンドリー」と「アガリクス」の2つの語よりなる結合商標と認識され得るものということができる。
そして、上述したとおり、本願商標の構成中後半部の「アガリクス」の文字部分は、いわゆる健康食品として利用されるキノコの一種を理解させるものであるから、本願商標をその指定商品中、「第5類」の「アガリクス茸を使用してなる薬剤」や「第29類」のいわゆる健康商品「アガリクス茸のエキスを主原料とする粉末状・粒状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・ペースト状又は液状の加工食品」及び「アガリクス茸を使用してなる冷凍野菜,アガリクス茸を使用してなる加工野菜及び加工果実」といった商品に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、構成中の「アガリクス」の文字(語)よりは、商品の原材料、品質等を想起、連想するものというのが相当であって、該文字(語)は、かかる商品に使用する場合、自他商品の識別力を有しないか又は極めて自他商品の識別力が弱いものといわざるを得ない。
この点、請求人は、本願商標は一体不可分に捉えられるものであり、本願商標が「サンドリー」と「アガリクス」の部分に分離して観察され称呼されるべき格別の事情が存するものではなく、「サンドリー アガリクス」の称呼は格別冗長というべき程でもなく、淀みなく一気一連に称呼されるものである旨主張する。
しかし、先に述べたとおり、本願商標に接する取引者、需要者は、これを分離して把握し、認識し、称呼することが十分にあり得るものであって、かつ、その意味内容においても相互に密接な関連性を有するものとは認め難く、観念上も常に不可分一体のものとして認識されるということもできないものであるから、本願商標は、全体としての「サンドリー アガリクス」の文字部分に相応する称呼のほか、その要部といえる「サンドリー」の文字部分に相応する称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないものというべきであり、請求人の上記主張は、採用することができない。
次に引用各商標について検討するに、引用各商標の構成は、前記のとおり「サントリー株式会社」、「SUNTORY」、「サントリー」の文字よりなるか、あるいは、これらの文字を結合してなるものであるところ、それぞれの構成各文字は、同書、同大、等間隔に表されているものである。
この引用各商標のうち「サントリー株式会社」の文字からなる商標は、これを全体としてみるときは、法人である商標権者の著名な商号を普通の表示態様をもって一連に表したものと認識し理解されるといえるところ、一般に商号が商標として使用された場合、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、取引上、「株式会社」等の法人格を表示する文字部分を省略し、これを除いた商号の略称である構成文字より生ずる称呼をもって取引に資せられる場合が多いというのが実情である。
そうとすれば、前記の「サントリー株式会社」の文字からなる商標は、その構成中の「株式会社」の部分が、会社の種類を表すため、株式会社の商号中に必ず使用される語句であって、一般の注意を惹くものでもなく、取引上は省略されて称呼されることも決して少なくないといえるから、その構成文字全体に相応して、「サントリーカブシキガイシャ」の一連の呼称を生ずる他に、上述した実情より「株式会社」の文字部分を省略し、「サントリー」の文字に相応して「サントリー」の呼称をも生ずるとみるのが相当である。
そして、その他の引用各商標からは、それぞれの構成文字に照らし「サントリー」の称呼、「サントリー株式会社の著名な略称又はその使用する商標」の観念を生ずるものである。
ところで、商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決)。
そこで、本願商標より生ずる「サンドリー」の称呼と引用各商標より生ずる「サントリー」の称呼とを比較すれば、両者は、第3音において「ド」と「ト」の差異を有するものであるが、この両者の子音〔d〕〔t〕がいずれも調音点を同じくする破裂音であるばかりでなく、母音〔o〕を共通にする関係上、両者は近似の音といえるものである。
また、本願商標の構成中の「サンドリー」の文字と引用各商標の構成中の「サントリー」の文字とは、何れも長音記号を含めて5文字より構成され、そのうち「サ」「ン」「リ」「ー」の4文字を共通にし、第3文字において「ト」の濁点の有無に過ぎない構成であることから、外観上も極めて近似したものである。
さらに、観念については、本願商標と引用各商標は、比較することはできない。
そして、本願商標の補正後の指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
してみると、本願商標と引用各商標は、観念において比較することはできないが、称呼において相紛らわしく、かつ、類似するのものであって、外観上も極めて近似していることや先に述べたいわゆる健康食品の分野における事情をも総合勘案するならば、両商標が、その指定商品中のいわゆる健康食品に使用された場合には、その出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものであり、両商標は、類似の商標であるといわざるを得ない。
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、本願商標が「サンドリー」と「アガリクス」の部分に分離して観察され、その結果、本願商標から「サンドリー」の称呼が生じ得るとしても、「サンドリー」の標章は、本願出願人である「株式会社サンドリー」の社名の一部であり、その「サンドリー」の標章は、インターネット上及び新聞紙上等における健康食品に関連する宣伝・広告において頻繁に使用されており、需要者・取引者は「サンドリー」の標章を本願出願人と容易に結びつけて理解し得るものであるから、本願商標が本願指定商品に使用された場合には、需要者・取引者は、本願商標の一部である「サンドリー」の部分と本願出願人を結びつけて理解するものと考えられ、「サントリー」の標章がアルコール飲料の分野でよく知られている「サントリー株式会社」の一部であることを考慮すると、両者をいずれも良く知られた社名の一部であると認識し、その結果両者を明確に識別することができるものである旨主張する。
しかし、本願商標を構成する「サンドリー」の文字部分が請求人の社名の一部であり、それが健康食品に関連する宣伝・広告において使用されている場合があるとしても、そのことをもって、本願商標がその指定商品について使用された場合、引用各商標に係る商品との間に、出所の混同を生じさせるおそれがないと断ずることはできないものである。すなわち、請求人提出の証拠からは「サンドリー」の標章が請求人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者、取引者の間に広く認識されていると認められるものではなく、また、引用各商標の商標権者であるサントリー株式会社のインターネットのホームページをみると、サントリー株式会社は、酒類及び食品事業をはじめ、健康食品分野などにも事業展開していることが認められるのであって、引用各商標が、食品関連の分野においても極めて高い著名性を有していることを併せ考慮すれば、本願商標をその指定商品中のいわゆる健康食品に使用した場合、称呼及び外観において極めて近似する引用各商標との関係で商品の出所につき誤認混同の生じる可能性を否定することはできないものであるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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