結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−30636(T2004−30636/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4279602号商標(以下「本件商標」という。)は、「にん」の平仮名文字と「忍」の漢字とを上下二段に書してなり、平成10年1月22日に登録出願、第33類「清酒」を指定商品として、同11年6月4日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査したところによると、本件商標は指定商品について、商標権者である被請求人若しくは使用権者によって、少なくとも継続して過去3年以上にわたり使用されている事実を発見することができなかった。
また、甲第2号証として提出する登録原簿によれば、使用権の設定登録もされていない。
よって本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取消しを免れることができないものである。
(2) 答弁に対する弁駁
不使用取消請求に係る商標登録の取消しを免れるためには、被請求人が登録商標を使用している事実を証明しなければならない。
答弁書で示された証拠方法を見ると、使用証拠になるものとして、受領書(乙第2号証)と商品ラベル(乙第4号証及び同第6号証)がある。
受領書の方は、「大東一 忍」と横一連に書されているもので、商品ラベルの方は「だいとういち.にん」と横一連に平仮名で書されたものとダルマを思わせる、モノグラム化された墨書の漢字「忍」とその忍の「心」の中に同じく墨書の「大東一」の文字が配されたものである(甲第3号証参照)。
まず、受領書の方の「大東一 忍」はそれぞれ識別力のある語「大東一」と「忍」の文字を結合させたものであるから、「大東一 忍」として一個の商標を構成するもので、外観、称呼、観念のいずれの点から見ても登録商標「にん/忍」との一致点・共通点はない。このように、この使用商標は登録商標「にん/忍」とは別個の商標である。
次に、ラベルの方であるが、登録商標とは全くその外観を異にしている。この図形化された漢字からであると「ニンダイトウイチ」「シノブダイトウイチ」の称呼も生じるが、その上段の「だいとういち.にん」の文字から称呼が「ダイトウイチニン」に特定されている。
この商標もその態様は登録商標とは外観上全く別異のもので、称呼、観念の点でも登録商標とは非類似のものである。
このように、使用商標はいずれも登録商標とは同一の文字の構成からなるものではなく、称呼及び観念も異なり、外観上も同視できるものではないので、登録商標の使用の例示(第50条第1項括弧書き)に該当するものではないことは明らかである。また、識別力のある語の結合であり、外観上も一体性の強い商標においては、一体で一個の商標として機能するものであるから、そのような商標の使用をもって、その一部に存する商標の使用であるとの主張は成り立ち得ないものである。
本件の場合は、使用商標はこのような一体性のある商標であるから、その使用はあくまで商標「大東一 忍」の使用であって、その一部に存する「忍」の使用とはいえないものである。本件商標と使用商標とは社会一般の常識に照らし、これらは別個の商標であると考えるのが相当であるので、その他の社会通念上同一と認められる商標でもない。
審決においても、甲第4号証のように同旨の判断がされている。
被請求人は、答弁書で思い入れといったものをるる述べているが、使用商標が登録商標の使用であるかは客観的に判断すべきものと考える。
また、こちらで調べたところでも「大東一」のブランドは、かなり知られている事情がうかがえるが、それだけになおさら、取引の実情から見て「大東一」の「忍」という位置づけ、すなわち、使用商標は「大東一 忍」「だいとういち.にん」であると需要者が認識すると考えるのがごく自然なものということになる。
以上述べたように、答弁書の使用証拠に示されている使用商標は本件商標と社会通念上同一のものでもなく、本件商標の使用の事実を証明しているものではないから、被請求人提出の証拠によっては、被請求人等によって審判請求登録前3年以内に本件商標が使用されたことは何ら証明されていないものと考える。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、昭和57年3月20日に、「大東一」(称呼 だいとういち)「忍」(称呼 にん)という銘柄、すなわち、一般の「大東一」とは差別化を図った「大東一」の中の「忍」という銘柄の清酒を新規発売し、同年3月30日に和歌山税務署長に販売価格の届け出を行った(乙第1号証)。じらい、当該商標による清酒の販売を今日まで継続している(乙第2号証の1ないし7の各物品受領書、同第3号証のラベル納品書、同第4号証の写真参照。)。
(2)この間、被請求人は、平成10年1月に「忍」(称呼 にん)という商標の登録を出願し、平成11年6月4日、商標登録第4279602号をもって商標登録を受けた(本件商標)。
(3)なお、被請求人は、大正3年11月8日に、「大東一」について商標登録を受け(商標登録第69090号)、以降更新を重ね、現在に至っている(乙第5号証)。この「大東一」という銘柄は、それ自体が和歌山県を代表する伝統ある清酒銘柄であり、被請求人の製造する清酒であることを示す商標であり、「忍」は、この「大東一」の中の更なるブランドであることを表示するための商標である(乙第7号証)。商品への表示においても、「忍」の文字を前面に打ち出し、これがブランド名であることを強調している(乙第4号証の写真及び同第6号証の1のラベル参照)。
しかも、その表記においては、常に「大東一」と「忍」の間を「.」で区分したり(乙第4号証の1の写真)、表記上「忍」という大文字の中に小さな字で「大東一」と表示したりする(同号証の2の写真)など注意を払い、「忍」(にん)という本件商標の独立性を明示した使用を行っている。
(4)以上のような本件商標の使用方法であるため、顧客等には、「忍」(にん)という名称で親しまれ、「忍(にん)を何本。」という注文を受けている(乙第7号証)。
(5)このように、被請求人は、「大東一」、「忍」のいずれについても商標権を有しており、それらの独立性とそれら商標の各別の意味付け(「大東一」については被請求人製造の一般向け清酒であること、「忍」については被請求人の製造する清酒のブランド名であること)を維持しつつ今日に至るまで継続して自社の商品(清酒)の商標として用いている。
なお、過去3年内の本件商標の使用については、次の証拠から明らかである。
本件商標を付した商品である清酒(乙第4号の写真)は、昭和57年の発売以降現在まで継続的に販売されているが、ある特定の顧客に対する商標登録のなされた平成10年以降現在まで毎年7月分の物品受領書(乙第2号証の1ないし7)を証拠として提出する。このうち、平成13年7月2日の受領書(乙第2号証の4)、平成14年7月1日の受領書(乙第2号証の3)及び平成15年7月2日の受領書(乙第2号証の2)は、本件商標を付した清酒が過去3年内に販売されたことを証明するものである(他の月に同一もしくは他の業者から受領した同様の物品受領書も多数存在するが、大部になるので7月分のみ提出する。)。
上記商品には、乙第6号証の1及び2の各ラベルが貼付されるが、これらのラベル(レッテル)は、印刷所より継続的に納品され、被請求人の商品に使用されているが、乙第3号証の納品書は、このラベル(レッテル)が、過去3年内に被請求人に納品されたことを証するものである。
(6)以上のとおり、被請求人は、本件商標を予告登録日の過去3年内に使用したことは明らかである。なお、被請求人は、本件商標について、自ら使用しており、第三者に使用権を設定したことはない。
本件商標は、「にん」の平仮名文字と「忍」の漢字とを二段に書してなるものである。
そして、被請求人の提出した乙第4号証、同第6号証の1及び2を徴するに、乙第4号証は、商品「清酒」の一升瓶容器であり、そこには、次に示す肩張りラベル及び胴張りラベルが付されており、同第6号証の1は、その肩張りラベルであり、同2は、その胴張りラベルであるが、その肩張りラベルには「だいとういち」の平仮名文字と「にん」の平仮名文字とが「.」を介してなり、胴張りラベルには、ダルマ様にモノグラム化されているが容易に漢字「忍」と把握される文字を大書して、その忍の「心」部に相応する位置内に「大東一」の文字が縦書で配されてなるものである。
しかして、大書されたダルマ様の「忍」の文字と「大東一」の文字とは、文字として一体的に把握されなければならない関係になく、また、肩張りラベルの横書された「だいとういち」と「にん」の間に「.」を介してなること、及び、税務署への販売価格の届けに当たっても(乙第1号証)受領書の記載方法に当たっても(乙第2号証の1ないし7)「大東一」と「忍」を分離して表していること、さらに、該「大東一」と本件商標とは、別々に商標登録をしていることともあわせ勘案すれば、被請求人が「大東一」と「忍」とは別異の商標として扱っており、その結果、それぞれが独立して商標としての機能を果たしていると見るのが自然である。
そして、かかる「忍」「にん」は、本件商標と社会通念上同一の商標であるというを相当とする。
また、前記受領書は、本件審判の請求の登録前3年以内に該当する平成15年7月2日、同14年7月1日及び同13年7月2日付のものであるから、本件商標を付した商品「清酒」が、当該日付において、被請求人によって、他人(顧客)に引き渡されたものであることが明らかである。
してみれば、本件商標は、被請求人により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について使用されたものといわなければならない。
なお、請求人の掲げる審決例は、本件商標とは商標の構成が相違し事案を異にするものであるから、請求人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。