Trademark Appeal Case
著名商標と複合語の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90011(T2004−90011/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4714192号商標(以下「本件商標」という。)は、「ビームパワー」の文字を横書きしてなり、平成15年1月20日に登録出願、第5類「殺菌剤」を指定商品として、同年10月3日に設定登録されたものである。
2 本件商標に対する取消理由
当審が、平成17年1月12日付で商標権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠によれば、申立人は、世界のトップグループに名を連ねる米国の総合農業薬品メーカーであって、2001年(平成13年)には売上高が約30億ドルで世界第5位であった(甲第2号証及び甲第3号証)。
申立人の業務に係るトリシクラゾールを主成分とする「いもち病防除剤」の「ビーム」剤(以下、同防除剤の商標を「引用商標」という。)は、1981年(昭和56年)に発売以降継続して製造販売されていて、1999年(平成11年)には、我が国の「いもち病防除剤」市場におけるシェアが16%で、第1位であった(甲第6号証)。そして、「農薬ハンドブック2001年版」における「殺菌剤」の項の「トリシクラゾール剤」に括弧書きで「ビーム」と記載され(甲第19号証)、インターネット上の「化学物質と法規制」を掲載したサイト(甲第20号証)では、「トリシクラゾール」の別名として「ビーム」と記載されている。
申立人は、独自であるいは他社と共同で「ビーム」剤に他の薬剤を加えた各種の農業用薬剤を開発・販売しており、これらの農業用薬剤は、「ビームトレモンセレン」「ビームラントレスターナ」「ビーム」「ビームゾル」「ビームエイトゾル」「ビームプリンス」「ビームエイトトレボンゾル」「ビームプリンスグレータム」等の名称で販売されている(甲第9号証ないし甲第18号証)。
以上によれば、少なくとも本件商標の登録出願の時(平成15年1月20日)には、引用商標は、我が国において「いもち病防除剤」の商標として取引者、需要者の間において広く認識され、著名性を獲得していたものと認められる。
そこで、本件商標についてみるに、本件商標は、上記のとおり、「ビームパワー」の文字よりなるものであって、その構成中に上記著名な引用商標と文字構成を同じくする「ビーム」の文字を含むものであり、その指定商品も「殺菌剤」であって、申立人の「ビーム」剤と密接な関係を有するものである。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該構成中の「ビーム」の文字部分に着目し、これより引用商標を連想、想起し、当該商品が申立人又は申立人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 商標権者の意見
(1)本件商標「ビームパワー」は、商標法第4条第1項第15号に該当するとの理由により、その登録を取り消されるべきでない。
(ア)申立人の提出資料によれば、申立人は、総合農業薬品メーカーで、2001年(平成13年)には売上高約30億ドル、業界では世界第5位であり、また、申立人が引用商標とする、申立人の業務に係るトリシクラゾールを主成分とする「いもち病防除剤」の「ビーム」剤は、1981年(昭和56年)発売、1999年(平成11年)、我が国の「いもち病防除剤」市場におけるシェアが16%で第1位、「農薬ハンドブック2001年版」の「殺菌剤」の項の「トリシクラゾール剤」に括弧書きで「ビーム」と記載され、インターネット上の「化学物質と法規制」を掲載したサイトでは、「トリシクラゾール」の別名として「ビーム」と記載されているので、引用商標「ビーム」は、取引者、需要者に広く認識されていると強く主張している。
しかし、その論旨の内容よりすると、広く認識されているというのは、限られた農業用薬剤の分野だけであり、商標としての観点では、単に「ビーム」だけの文字である。したがって、一語で構成される本件商標「ビームパワー」とは全く相違し、申立人又は関連企業の商品であるかのごとく誤認されることはあり得ないので、以下に述べるごとく、申立人の主張は、本件商標の登録を取り消すに足る根拠となっていない。
(イ)本件商標の登録の取消理由は、上記2の取消理由通知書によれば二つあり、その第一は、「ビーム」又は「ビーム」の付いた引用商標が周知であること、第二は、本件商標「ビームパワー」が「ビーム」の付いた引用商標を使用する申立人又は申立人と関係を有する者の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるということである。
しかしながら、申立人の主張は、極めて自己に都合のよい論拠によるものであり、本件商標の登録を取消す根拠はない。
引用商標「ビーム」は、農業用薬剤中の殺虫剤「いもち病防除剤」として農業用薬剤の分野においては周知であり、かつ、申立人の使用する名称、商標として広く知られているということについては、広い諸分野ではなく農業用薬剤に限定した分野において、申立人が販売する農業用薬剤中の殺虫剤として「ビーム」剤が大きな実績を有するということが証拠資料に示されているので、農業用薬剤の分野にのみ限定すれば、周知であると是認する。
しかしながら、本件商標の登録に係る指定商品は、第5類「殺菌剤」であり、これは申立人の業務に係る農業用薬剤中の殺虫剤も包含するが、商標権者が本件商標を使用している「乳幼児、幼児用の衣料及び器具類」の分野においては、引用商標「ビーム」は、全く知られていないし、申立人が販売している「いもち病防除剤」である殺虫剤が「ビーム」の名であることも知られていない。
つまり、本件商標が使用されている「乳幼児、幼児の衣料及び器具」の分野は、農業用薬剤とは全く異なる分野であるから、「ビーム」という引用商標や、「ビーム」に連続させた各種の引用商標(以下「引用商標群」という。)については、見聞の機会がなく、申立人主張の広く知られているという事実には該当しない分野であって、申立人主張のような商品の出所について誤認や混同が生じることはない。
(ウ)次に、本件商標の前半部分の「ビーム」の文字が申立人の使用する引用商標及び引用商標群に冠されている「ビーム」と同じであるから、商品の出所について混同し誤認を生ずるおそれがあるということであるが、誠にもって自己に都合のよい我田引水的な論理である。
(a)第一に、本件商標は、前記のとおり、「ビーム」と「パワー」の二語を一語にした合成語「ビームパワー」であり、商品を特定するためにも、「パワー」を省略して、他にも使用されている「ビーム」だけを残して使用することはあり得ない。この点は、引用商標群においても同様であると推測される。
(b)第二に、「ビーム」の文字は、申立人が独占している文字(語句)ではなく、また、申立人の企業名に密接に関係する文字でもないし、一般に使用される語句である。商標においても「ビーム」の文字を冠したものが使用されており、商品を特定し、出所の混同・誤認を防止するために、「ビーム」の後又は前に他の文字が添えられている。合成語よりなる商標の中には、企業名等を表す文字と商品名とを連結させたものが数多くあるところ、それらの場合には、冒頭の文字が企業名を認識させるので、これらの商標中にあって、冒頭の文字(企業名)を冠した商標は、申立人主張のような商品の出所について誤認・混同を生ずることは当然あり得る。
さらに、品名を例にとれば、ポリマー樹脂の商品には、共通する「ポリ」の文字が冠されており、また、樹脂材料においても、「ポリ」の文字が冠された品名が極めて多くあるところ、「ポリ」の文字は、材質名であり、特定の者に独占されるべき文字ではないし、「ポリ」の後には何らかの文字が必ず付加されるので、商品の出所について誤認・混同を生じることはなく、この点は、誰にも独占されていない「ビーム」の文字においても同様である。
しかも、本件商標「ビームパワー」は、「ビーム」と「パワー」の合成語であって、一語として構成されているので、引用商標及び引用商標群と「ビーム」の文字だけ同じであっても、商品の出所について誤認又は混同されることはない。「ビーム」は、日本語において、通常、「光線」等の意を、また、「パワー」は、通常、「力」等の意を表す英語であることは周知であり、本件商標である一語の「ビームパワー」は勿論、それを構成する「ビーム」「パワー」の各文字も薬剤、薬剤の効用、農産物、農業用薬剤の関連物を表わしたり又は連想させたりする文字ではないし、商標権者が本件商標を使用する商品は、光触媒の殺菌効果を利用するものであるから、むしろ、電気的、光学的なものを連想させる可能性がある商標といえる。
(c)第三に、申立人は、農業用薬剤の分野で使用する商標として引用商標及び引用商標群を挙げているが、これらの商標は、商標権者が本件商標を使用している「乳幼児、幼児の衣料及び器具」の分野とは全く相違する分野であり、後者の分野では、引用商標は知られていないし、申立人の名など全く認識されていない。したがって、本件商標「ビームパワー」が引用商標を連想し、商品の出所について誤認・混同されることはあり得ない。
(エ)以上述べたとおり、本件商標に係る指定商品「殺菌剤」の分野は極めて広く、農業用薬剤の分野は、その一部であり、申立人の提示した引用商標は、農業用薬剤の分野では知られていても、商標権者が本件商標を使用している乳幼児、幼児関連の商品分野では、「ビーム」の文字を冠した殺菌剤、殺虫剤はないので、全く認識がなく、引用商標を使用している申立人の名さえ知られていない。
(オ)また、本件商標には、「ビーム」の文字が冠されているとしても、「ビーム」の文字は、独占された企業名、企業商標ではないし、一語の合成語である本件商標「ビームパワー」は、申立人提示の引用商標とは明らかに別異の商標であるから、もし、申立人主張のように、引用商標を連想することがあったとしても、それは引用商標が付された農業用薬剤に関与する小範囲の人に限られ、乳幼児、幼児関連の商品分野の人達が引用商標を連想、想起することは全くないと断定できる。それは、農業用薬剤中の殺虫剤を連想されると、本件商標の使用者にとって大打撃となることからも容易に推測できることである。
(2)したがって、引用商標を連想して、商品の出所について誤認・混同されるおそれは全くない。
よって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきでない。
4 当審の判断
(1)申立人主張の全趣旨及びその提出に係る甲第2号証及び甲第3号証、甲第6号証ないし甲第21号証によれば、申立人の使用に係る引用商標「ビーム」は、申立人の業務に係るトリシクラゾールを主成分とする「いもち病防除剤」の商標として、農業用薬剤の分野において基幹的(「ビームトレモンセレン」「ビームラントレスターナ」「ビーム」「ビームゾル」「ビームエイトゾル」「ビームプリンス」「ビームエイトトレボンゾル」「ビームプリンスグレータム」等)に使用され、少なくとも本件商標の登録出願時(平成15年1月20日)には、申立人の該引用商標は、既に、我が国における「いもち病防除剤」を含む農業用薬剤中の「殺菌剤」の取引者、需要者の間において広く認識され、著名性を獲得していたといえるものであり、また、その状況は、本件商標の登録査定時(同年8月19日)を含む今日に至るまでの間も継続していたものと認められる。
そして、本件商標は、「ビームパワー」の文字よりなるところ、その構成中に上記のとおり著名な引用商標と文字構成を同じくする「ビーム」の文字を含むものであり、その指定商品も「殺菌剤」であるから、申立人の「いもち病防除剤」、すなわち農業用薬剤中の「殺菌剤」に属する「トリシクラゾール剤」(甲第2号証の10枚目、甲第14号証及び甲第15号証、甲第19号証の3枚目及び甲第20号証の3枚目の各頁参照)又は「殺虫(・)殺菌剤」(甲第13号証、甲第15号証、甲第18号証参照)とは密接な関係を有するものである。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品「殺菌剤」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「ビーム」の文字部分に着目し、これより引用商標を連想・想起し、当該商品が申立人の取扱に係る商品群に使用される著名商標「ビーム」の一種あるいは兄弟又はファミリーブランドに係る商品であると誤認し、あたかも、それが申立人又は申立人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるとして、その登録を取り消すべきものとした上記2の取消理由は妥当なものというべきである。
なお、これについて、商標権者は、上記3のごとく種々意見を述べているが、それらの主張は、以下の理由によって、採用することができない。
(2)商標権者の意見について
(ア)商標権者は、申立人の引用商標「ビーム」が農業用薬剤、とりわけ「いもち病防除剤」(注:商標権者は、これが「殺虫剤」であると断定している。)の分野においてのみ、その取引者、需要者の間において広く認識されているにすぎず、商標としての観点からは、一語で構成されている本件商標「ビームパワー」とは全く相違しているので、本件商標がその指定商品「殺菌剤」に使用されても、申立人又はその関連企業の商品であるかのごとく、その出所について誤認ないし混同されることはあり得ない旨主張している。
しかしながら、引用商標「ビーム」は、申立人の業務に係る農業用薬剤中の「殺菌剤」に属する「トリシクラゾール剤」又は「殺虫(・)殺菌剤」に属する「トリシクラゾールを主成分とする『いもち病防除剤』」等に使用される商標として著名であって、それが「ビーム」単独で用いられる場合だけでなく、農業用薬剤の分野においては、基幹的(「ビームトレモンセレン」「ビームラントレスターナ」「ビーム」「ビームゾル」「ビームエイトゾル」「ビームプリンス」「ビームエイトトレボンゾル」「ビームプリンスグレータム」等)に用いられており、その結果、我が国において、引用商標「ビーム」は、「いもち病防除剤」を含む農業用薬剤中の「殺菌剤」又は「殺虫(・)殺菌剤」の取引者、需要者の間において広く認識されるに至っていたことは、上記(1)において認定したとおりである。
なお、商標権者は、取消理由通知に対する意見書中で、申立人の引用商標「ビーム」が広い諸分野ではなく農業用薬剤の分野に限定されれば、証拠資料にも示されているので、農業用薬剤中の殺虫剤「いもち病防除剤」の商標として、広く知られていることを是認する旨述べている。
(イ)本件商標の指定商品は、第5類「殺菌剤」であって、それは申立人の業務に係る農業用薬剤中の「殺菌剤」又は「殺虫(・)殺菌剤」をも包含しているものと解し得るところ、商標権者は、本件商標「ビームパワー」をその指定商品ではなく、他の商品「乳幼児、幼児用の衣料及び器具類」に使用しており、当該商品の分野においては、引用商標「ビーム」は全く知られておらず、申立人の販売に係る「いもち病防除剤」(注:商標権者は、これが「殺虫剤」であると断定している。)が「ビーム」という名であることも知られていないし、このように、商標権者が本件商標を現実に使用している商品「乳幼児、幼児の衣料及び器具」の分野は、農業用薬剤とは全く異なる分野であるから、引用商標「ビーム」の文字や、該文字に何らかの文字を連続して付加してなる引用商標群については、見聞の機会がなく、申立人主張のように、引用商標が広く知られているという事実はなく、商品の出所について誤認ないし混同が生ずることはない旨述べている。
しかしながら、本件商標の指定商品は、上記のとおり、第5類「殺菌剤」であり、商標権者は、それに使用することを前提として、本件商標の商標権を取得したのであるところ、実際には、その指定商品「殺菌剤」に本件商標を全く使用しておらず、別異の商品「乳幼児、幼児用の衣料及び器具類」に本件商標を使用していると自認している。
他方、申立人の引用商標「ビーム」は、商品「農業用薬剤中の『殺菌剤』又は『殺虫(・)殺菌剤』」について継続して使用されてきた結果、その取引者、需要者間のみならず、本件指定商品「殺菌剤」の取引者、需要者の間においても広く認識されていると容易に推認し得るところである。
しかるに、商標権者は、申立人が別異の商品「乳幼児、幼児用の衣料及び器具類」に引用商標「ビーム」を使用しておらず、その結果、別異の商品の取引者、需要者の間において、引用商標「ビーム」は知られていないから、著名とはいえないと主張しているが、そのような一事をもって、商標権者が本件商標をその指定商品「殺菌剤」に使用した場合に、申立人の引用商標に係る商品と、その出所について混同ないし誤認を生ずるおそれがないと断言し得る根拠はなく、その主張は妥当でないといわざるを得ない。
(ウ)次に、商標権者は、本件商標に接する取引者、需要者は、それが一語で構成されているものと認識するから、その構成中、前半の「ビーム」の文字のみに着目するということはあり得ない旨主張している。
また、商標権者は、その指定商品以外の商品分野において、引用商標と同一か又はそれを含む商標が多数登録されていると示唆し、したがって、引用商標は、本件指定商品「殺菌剤」の取引者、需要者の間において広く認識されているものではなく、その出所について誤認ないし混同が生ずるおそれもない旨主張している。
しかしながら、指定商品の相違する商品分野において、同一又は類似する商標が他人により登録されている事例が枚挙にいとまのないことは、いうまでもないところであり、個々の指定商品の取引界の実情がそれぞれ異なる場合がある以上、それぞれ個別・具体的な判断が示されたものというべきであるから、かかる登録の存在は、本件商標に関する上記(1)の判断を左右するものではない。
しかも、他類に他人の同一又は類似の既登録商標があるからといって、引用商標「ビーム」が本件指定商品「殺菌剤」につき著名であるとの取引者、需要者の認識が成立し得ないというわけでもなく、むしろ、引用商標は、指定商品「殺菌剤」と密接な関連を有する「農業用薬剤中の『殺菌剤』又は『殺虫(・)殺菌剤』」を表示するものとして、その取引者、需要者の間において広く認識されていると認められるものであるから、本件指定商品「殺菌剤」についても、それを表示するものとして、その取引者、需要者の間において広く認識されていると認め得ることの妨げとなるものではない。
(エ)商標権者は、本件商標のように、一語として構成されている文字からなる商標の場合には、本件商標から引用商標が連想されることはなく、本件商標と引用商標とが異なることは明らかである旨述べている。
しかしながら、引用商標「ビーム」が「農業用薬剤中の『殺菌剤』又は『殺虫(・)殺菌剤』」について広く認識され、著名となっているが故に、それと密接な関連を有する本件指定商品「殺菌剤」の分野において、商標権者が本件商標「ビームパワー」を使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本件商標が商標権者の商標とは認識せず、かえって、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品群に使用される基幹商標「ビーム」を含んでなる引用商標群の一として認識する場合も多いというのが相当である。
さらに、本件商標の指定商品「殺菌剤」と、申立人の引用商標が使用されている「農業用薬剤中の『殺菌剤』又は『殺虫(・)殺菌剤』」とは、いずれも薬剤に属し、前者は、後者を包含し得る場合もあり、また、使用方法、製造者、販売者、規制法等を共通にし、その取引者、需要者が重複する場合も決して少なくないといえることから、本件商標「ビームパワー」に接する本件指定商品「殺菌剤」の取引者、需要者は、それが「農業用薬剤中の『殺菌剤』又は『殺虫(・)殺菌剤』」について継続使用されて著名な申立人の引用商標「ビーム」の文字を含んでいることより、該文字部分に着目し、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品についての商標と連想し誤認することも少なからずあると見るのが取引の実情に照らし、相当というべきである。
したがって、商標権者の上記主張も採用することができない。
(3)以上のとおりであって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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