Trademark Appeal Case
ワニ図形の類否と全体観察
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90789(T2004−90789/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4807301号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成15年1月21日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年9月1日に登録査定、同年10月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)申立人使用商標の周知性
申立人は、被服、サングラス、時計、バッグ、化粧品やホームリネン、ヨット等500種以上の商品を取扱っており、世界中で毎年2500万点以上の商品が販売され、売上額は765百万ユーロに上る。そして、それらの商品全てに、別掲(2)の(ア)ないし(エ)のとおりの構成よりなる商標(以下、これらを「引用各商標」と総称する。)を使用したことにより、引用各商標及びその通称の「ワニ」は、申立人ブランドとして、名声を不動のものとした。
我が国においては、1964年に輸入商品として市場に登場、その後、別掲(2)の(ア)を使用し、71年から86年までは三共生興が、86年以降は、西武百貨店とライセンス契約し、販路を百貨店、専門店、スポーツ店等に広げ、ポロシャツを核にした総合ブランドとして、売上高を順調に伸ばしてきている。その結果、引用各商標及びその通称「ワニのマーク」は、我が国においても、申立人のブランドとして高い著名性を獲得した(甲第2号証ないし甲第8号証)。
(2)出所についての混同のおそれ
本件商標は、別掲で示すとおり、ワニの図形及び「AlligatorKing」の文字を配した態様で表示してなるところ、かかる構成態様にあっては、ワニの図形と文字とが不可分一体のものとしてのみ把握・認識される特段の理由はないものである。また、本件商標中の前記文字は、「アリゲーターキング」の称呼を生ずるが、特段の意味を有さない造語であるから、本件商標は、顕著に表されたワニの図形を捉え、それより生ずる「ワニ(鰐)」の称呼・観念を生ずるものである。
よって、本件商標と引用各商標は、共に「ワニ(鰐)」の称呼・観念を生じ、また、外観においても、表現の仕方に多少差異があるものの、口をあけ、尾を曲げた右向きワニの図形という構成の軌を一にするものである。しかも、本件商標の指定商品は、申立人が販売する商品と殆ど一致するものである。
そうすると、本件商標は、これを本件指定商品に使用された場合、需要者、取引者は、その商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係が有る者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用各商標との比較
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、黒色長方形内に、鰐の図形と装飾的なアンダーラインを伴った「AlligatorKing」の文字とを上下、ほぼ均等の割合に配した構成からなるものであり、これらの構成要素は、細部を除き、いずれも緑色で表されているものである。
他方、引用各商標は、別掲(2)に示したとおり、(ア)は鰐の図形の内部に「lacoste」の文字を配したものであり、(イ)及び(ウ)は鰐の図形の下部に「LACOSTE」の文字を配した構成からなり、(エ)は、鰐の図形のみからなるものである。
そこで、本件商標と引用各商標の図形部分とを比較するに、これらの各商標は、申立人が主張しているように、いずれも右向きの鰐の図形を表したものであるとしても、本件商標の鰐の図形は、口を僅かに開き、尾も先端が頭部に接するように曲げ、姿勢を低く構えたやゝ長めの構成からなるものであって、鰐の姿態を比較的、写実的に表現したものであるのに対して、引用各商標における鰐の図形は、いずれも、口を大きく開き、尾を高く跳ね上げているところに特徴を有する一種独特な形状をもって表されているものである。
そうとすれば、本件商標と引用各商標の鰐の図形とは、その構成態様において著しい差異を有しており、図形全体から受ける視覚的印象を全く異にするものというべきであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標は、別掲(1)のとおり、鰐の図形と「AlligatorKing」の文字とがまとまり良く一体感をもって表されているものであり、しかも、いろいろな形態の鰐の図形が商標として採択されている実情にあることをも併せ考慮すれば、本件商標から、単に、「ワニ(鰐)」の称呼、観念をもって取引に供されることはないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標から単に「ワニ(鰐)」の称呼、観念をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用各商標とが称呼及び観念においても類似するものとする申立人の主張は採用できない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記したとおり、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
なお、申立人は、審決例を挙げているが、それら審決例で争われている商標は、いずれも、本件商標とは商標の構成を異にするものであって、事案を異にするものというべきであるから、上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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